街道を歩いて目的地に向かう。それにしても周りからの視線が痛い。まあ、それは1年前の自分のせいではあるんだが、カードショップまでの辛抱だ。
カードショップに着き、ショーケースなり、ストレージを漁って目ぼしいカードをかき集める。白紙化の影響でいくつかのカードショップが潰れるなんてことがありえるらしい。実際に町外れのカードショップは店を畳む方向に舵を切っていた。
店内をうろちょろしているとデュエルスペースで雑談する客の声が耳に入る。
「ここ
「しょうがないぜ、カードショップに行っても白紙化で自分の使っていたカードが使えなくなって、新しく買っても意味がなくなって萎えて辞めたやつが友人にいるからな。」
「俺たちはまだ恵まれてる方だってことか。前みたい双六町に活気が溢れればいいんだが。俺らデュエリストにはこの空気は退屈で重すぎる。」
まあ、それはそうだよな。だが、こんな状況だからこそデュエルをして気を紛らわすのも一手だ。
レジでカードの会計を済ませた後にエラーカードを買い取ってもらおうと店員にカードを見せる。ひとしきりそれを見た店員は答えた。
「……これはうちじゃ扱えないねえ」
「そうですか、無茶言ってすいません。」
「いいんだよ、最近白紙化の影響で売り上げが半分以下にまでなっちゃってね。この店に来てくれるだけで私たちカドショ店員は嬉しい限りさ。」
「ありがとうございます。」
俺はそのままデッキを調整するためにデュエルスペースにカードを広げ、デッキを組み直す。汎用シンクロも軒並み白紙化。デッキコンセプトのマイナーだけど強いを集めたハイランダー構築は変えたくないし、かといってカードたちのシナジーが出るようにもしたいし、ロマン的なギミックもぶち込みたい。贅沢な悩みだが、どうにかするしかない。それができてこそのデュエリストだ。
デッキ構築と睨み合って軽く2時間。ごちゃごちゃとしているが一応はまとまったというか、構築がほとんど変わらなかった。
「こんだけやって構築が変わらないとはな……逆に才能じゃねえか?」
そう独り言を言いながら店を出ようと席を立ち、出口に向かって歩き出そうとする前に異様な光景が目の前に映る。それは、頭に目の模様が施された黒紫色のローブを着た謎の男がストレージを漁っている姿だった。その男はひとしきりカードを手に取った後「クズカードしかねえ」と吐き捨てながら乱雑に床にばら撒き踏みつけると店を出て行った。俺はすぐさまそのカードたちを拾い上げる。
「ひでぇことをしやがる……」
沸々と心の奥底から怒りが湧いて出る。カードを纏め、近くの台にそっと置き、あのクズ野郎を追いかけ、店の外へと飛び出す。
「どこに行きやがった……」
右、左と周りをも渡すと向かいの建物の路地裏へと入って行く黒紫の布の端が見えた。
「あそこか……!」
すぐに向かいの路地裏へと移動し、後を追う。そして男は路地裏の奥へと進んで行くと、少し開けた場所に出た。俺は物陰に隠れながら後を追い奇襲のタイミングを窺っていると男が立ち止まる。
立ち止まった、尾行がバレたか……?
警戒しながら様子を伺うと、路地裏の奥から男と同じ姿の男たちが二人ほど現れると、話し合いを始める。俺はその会話に耳を澄ませる。
「どうだ、レアカードは集まったか?」
「ああ、たんまりだ!デュエリストたちがカドショに訪れないおかげで安売りされててな。」
「なに普通に買ってんだこのマヌケッ!俺たちがグールズ。盗んでこそのグルーズだ。」
「あっ、そうだった。普通に盗めばよかったのか!」
「だが、レアカードが集まったことは事実。これをあのお方に献上すれば俺たちもたんまり金が貰える。とっととここからつらかるぞ。」
グールズ?あのお方?何を言ってんのかわからんねえが、こいつらが口から反吐が出るほどの悪だってのはわかった。よし、今から病院送りにしてやる。
そう意気込み、物陰から立ち上がると背中を軽く叩かれる。
「あ?ぐはっ!?」
振り返った先にいたのは男たちと同じ姿のやつだった。そいつに不覚にも不意打ちで右ストレートを喰らった後に足で蹴られ、グールズが集まる広場の方へと押し出される。倒れた拍子にデュエルディスクがハミ出て、腕に装着される。
「な、なんだぁこいつはッ!?」
「こそこそ隠れ盗み聞きしてたガキだ。」
「このガキがか?おうおう兄ちゃん、正義面してヒーローごっこか?」
そう言いながら男は俺に近づき、髪の毛を掴んで俺を起こす。
「なあ、兄ちゃん。あのカードショップにいたデュエリストだろ?レアカード寄越せよ。そうすれば痛い目に遭わずに済むぜ?」
そう言いながらむかつく顔を近づける。男が瞬きし目を閉じた瞬間に俺は目の前に来た男をぶん殴る。男は突然の攻撃に掴んでいた髪の毛から手を離し、地面へと尻餅をつく。
「テメエこの野郎!」
そう言いながら殴りかかってきた背後の男に対し、足を引っ掛け転ばせ首を晒させると、俺はデュエルディスクのプレート部分の縁の方で首筋辺りを強めに打つ。男の神経に上手く響いたらしく、背後の男はそのまま地面へと倒れ込む。その姿を見て怯んだ尻餅をついた男が俺に問いかける。
「て、テメエ!ただのガキじゃあねえな!何者だ!?」
「知らねえなら好都合だ。本当だったら話し合いとかで穏便に澄ませようとしたが、お前らから先に手を出してきたからな。お前ら一旦病院送りでいいよな?」
指鳴らしをしながら一歩、また一歩と近づく俺に恐れる三人のグールズの一人が口を開く。
「お、お前デュエリストだろ?先に手を出したの謝る……お前がデュエリストならよぉ、デュエルで決着付けるってのはどうだ……?」
「……いいぜ、お前をデュエルでボコした後に集中治療室にぶち込んでやる。」
「言質は貰ったぜッ!」
男もデュエルディスクを展開し、互いに数歩離れる。
「「デュエル!」」
「先行はもらう。俺のターン!」
手札が悪い。動けるのは次のターンぐらいからか。
「俺は「カードブロッカー」を召喚!こいつはフィールドに出た時に守備表示になる。カードを3枚伏せてターンエンド。」
「威勢の割に随分と弱い場面だな、俺のターン!俺は「強欲な壺」を発動!デッキからカードを2枚ドロー!」
「禁止カード!?汚ねぇぞ!レギュレーションを守れよ!」
「言ってなかったか?このデュエルはアンリミテッドデュエルだぜッ!!」
「貴様!どこまでデュエルモンスターズを侮辱すれば気が済むんだ!」
「俺らグールズにとって、デュエルはあくまで道具。汚くて結構!続けるぜ……
「リソースと盤面を一気に増やしやがった!?」
「さらにさらにもう1枚の「天使の施し」を発動し、3ドローして2枚を捨てる。さあ、準備は整った。俺は手札から
フィールドの真ん中に黒い球体が現れると同時に凄まじい引力を放ち、モンスターたちを吸い込まんとその大きさと引力を高める。向こうの暗黒界の尖兵は普通に吸い込まれたのに対して、俺はカードを発動し守る。
「させない!リバースカードオープン!速攻魔法「ピアニッシモ」!このターン中、自分フィールドのモンスター1体の元々の攻撃力を1000に変更することで、戦闘・効果破壊から守る!」
カードブロッカーの周りをピアノの音と共に音楽記号がずらっと包み、ブラック・ホールの引力から守る。
「ちっ、破壊損ねたか……だが!フィールドのモンスターが対象を取らないカード効果で破壊されたため、手札からこいつを特殊召喚できる。さあ、黒き引力の狭間から現れ出でよ!「ブラック・ホール・ドラゴン」!」
吸い込みを止めたブラック・ホールからまるで次元の狭間を引き裂くように黒く刺々しい竜が現れる。
「攻撃力3000のモンスター!?」
「それだけじゃあないッ!「ブラック・ホール」の破壊によって、墓地の闇属性モンスターの数は3体となった。ボチヤミサンタイ!現れよ「ダーク・アームド・ドラゴン」!そしてさらに墓地の闇属性モンスターを3体除外することで、手札からこのモンスターを特殊召喚できる。光と闇の根源!!
そして、さらに「ダーク・アームド・ドラゴン」と「混源龍レヴィオニア」の2体が現れた。
「闇属性の大型ドラゴン族が3体フィールドに並びやがった!?」
「「混源龍レヴィオニア」の効果を発動。闇のみを生贄として召喚したこのカードは、相手の手札1枚をランダムに1枚デッキに戻す。まあ、兄ちゃんの手札は1枚のみ。そのカードをデッキに戻しな!
カードがひとりでにデッキに戻り、デッキがシャッフルされる。
「俺は手札から永続魔法「王家の神殿」を発動!これによりセットした
「守備貫通持ちが3体も!?」
「そう、そこ弱小モンスターなどカモ同然!バトル!行け!「ブラック・ホール・ドラゴン」!ブラック・ホール・フィニッシュ!」
「この瞬間、「カードブロッカー」の効果を発動!攻撃対象になった時、デッキトップから3枚墓地に送り守備力を1500ポイントアップする!」
[「カードブロッカー」
DEF:400→1900]
ブラック・ホール・ドラゴンが両手を広げた後に合わせると手と手の間にブラックホールが生まれ、そこから高出力レーザーのような光を線放つ。その線はカードブロッカーの盾を貫通し、俺へと向かう。そしてその光線が俺の体に触れた瞬間、体に焼けるような痛みが走る。
「ぐっ……!?」
[遊牙
LP:8000→6900]
何が起きた!?ダメージを受けたのか……?いやそれは合ってる、ただ、何だこの痛みは!?ソリッドビジョンには爆風や衝撃が再現はされるが、普段のデュエルならリミッターがかけられてダメージは受けない仕様になっているはず……
「お前!俺に何をした!?」
「ようやく気付いたか。これは闇のゲーム。デュエルの衝撃は現実のものとなり、己の肉体を勝敗が付くまで傷つけ合う本物の
「なるほどな、お前を病院送りにするのに手を汚さなくていいわけだ。」
「そういうことだ、理解が早い。(まあ、俺たちグールズの肉体にはダメージは入らないようにしているがな)。さあ、まだモンスターの攻撃が残っている。「ダーク・アームド・ドラゴン」追撃しろ!ダーク・アームド・バニッシャー!」
「まだだ!「カードブロッカー」の効果にはターン1制限はない!よって再びデッキから3枚墓地に送り、守備力を1500ポイントアップさせる!これで守備力は3400!」
[「カードブロッカー」
DEF:1900→3400]
「攻撃を終了。生き延びられてよかったじゃあないか。俺はカードを2枚伏せ、「ブラック・ホール・ドラゴン」の効果で墓地から「ブラック・ホール」を手札に加えターンエンド。」
「……俺のターン!ドロー!」
「ほう、まだ戦える根性が残っているか、いいぜじっくり痛めつけてやる!」
次のターンは防ぐことができるが、決定打が足りない。このカードで逆転のカードを引かない限り俺に勝機は訪れない。
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」
「張り甲斐がねえなあ、俺のターンドロー!バトル!「ダーク・アームド・ドラゴン」よ、その雑魚モンスターを攻撃しろ!ダーク・アームド・バニッシャー!」
「「カードブロッカー」の効果発動!デッキから3枚墓地に送り、守備力を1500ポイントアップさせる!」
[「カードブロッカー」
DEF:400→1900]
「だか、守備力足らずだ!」
「ぐわぁぁぁ!!!」
[遊牙
LP:6900→6000]
「さらに追撃だ!「ブラック・ホール・ドラゴン」でダイレクトアタック!ブラック・ホール・フィニッシュ!」
「リバースカードオープン!「強化蘇生」!レベルを1つ上げ、攻守を100ポイントアップさせて「カードブロッカー」を守備表示で特殊召喚させ、さらに効果を発動し、デッキから3枚墓地に送り、守備力を1500ポイントアップさせる!」
[「カードブロッカー」
DEF:500→2000]
「だが、攻撃力はこちらが上!貫通ダメージを受けるがいい!」
「ぐぅぅ!!!」
[遊牙
LP:6000→5000]
「さあ、これでお前を守るモンスターは消え去った。「混源龍レヴィオニア」でダイレクトアタック!
レヴィオニアの両翼から光と闇を思わせるオーラが凝縮され、プラズマを放ちながら口元へと運ばれる。そして白く、黒く発光するそれに通すように吐き出された青い炎が一本の太いレーザーとなって俺の体全体を飲み込み、路地の壁へと体が打ち付けられる。
[遊牙
LP:5000→2000]
「ぐはっ……う、うぅ…はぁ…はぁ…防ぎ切ったぜ。ざまあねえな。」
「こいつッ!?まだ立ち上がれるのか……!?」
「はぁはぁ……ハッハハ、昔から喧嘩ばっかしててな、体はちょっと頑丈なんだわ……俺は、あいつに救ってもらった……あいつがデュエルを教えてくれなかったら、俺は救われなかった。だから、デュエリストとして、救ってくれたあいつとデュエルモンスターズを踏み躙るお前らみたいなやつらをぶっ潰すまで、俺は立ち上がってやる!!!」
「(あ、ありえない……これだけの攻撃を食らって、体に傷を負っているのにもかかわらず立ち上がれる強い覚悟があるッ!そして、恐怖や痛みに耐えれる精神力があるッ!……この男、肉体的にも精神的にも強い。同じ男として、尊敬に値するほどにッ……!!!)兄ちゃん、さっきまでの非礼を詫びるぜ、あんたの名前を聞かせてほしい。」
「……
「そうか、遊牙か……遊牙の兄ちゃん。ここからはグルーズとしてではなく、一人のデュエリスト。
意識が朦朧としながら、デッキに手を伸ばす。
「俺のターン、ドロー!リバースカードオープン!
[遊牙
LP:2000→1000]
「「活路への希望」だと!?確かあのカードの効果は、発動時に1000LPを支払い、相手とのライフ2000ポイントの差だけドローする、一発逆転の効果ッ!そして、俺と遊牙の兄ちゃんの差は7000ポイント、つまり、兄ちゃんは3枚ドローすることになる!?」
あいつの言う通りだ、ここで逆転のカードを引き込めるか、それが勝負の分け目となる……
デッキに眺め、意志を固める。ここで引く、このドローにすべてをかける。そう思いを込めてデッキへと手を伸ばそうとした瞬間。胸ポケットが突如として光り出す。慌てて確認するとあの時拾ったエラーカードが光り輝いていた。直感からエラーカードをEXデッキに加え、ドローするためにデッキに手を置き、目を閉じ深呼吸する。そして、目を見開き、覚悟を決め、デッキからドローする。
「3枚……ドロー!!!」
ドローしたカードを表に向け確認する。
「来た!応えてくれた!」
「どうやら、望みのカードを引けたようだな。さあ、この盤面を崩してみやがれッ!」
「俺は「デブリ・ドラゴン」を通常召喚!」
「チューナーモンスター!?」
「「デブリ・ドラゴン」の召喚時効果を発動!自分墓地の攻撃力500以下のモンスターを1体、効果を無効にして特殊召喚できる!俺は「カード・ブロッカー」を特殊召喚!」
EXデッキが召喚可能モンスターがいると反応を示す。そして、自分の腕にまるで竜の頭のような赤い痣が浮かび上がると、上空にその頭の形と酷似した赤い竜が姿を現す。その竜を見た
『QUUUUUUUOOOOOOO!!!!!!!』
「おお!こいつが、あのお方が言っていた赤き竜!そして、その腕に刻まれた竜の痣はシグナ―の証!高潔な肉体と精神を併せ持つ兄ちゃんにお似合いだぜ!兄ちゃん、そのモンスターを使ってシンクロ召喚をするんだ!」
「俺は、レベル3の「カードブロッカー」にレベル4の「デブリ・ドラゴン」をチューニング!」
デブリ・ドラゴンが4つの光の輪に変化すると、カードブロッカーは光点に変化し、光の輪が、光点を潜らせるように取り囲む。そしてそれを赤い竜が飲み込む。
「遥かなる星々の果て、闇の軌道を切り裂く刃よ! 凍てつく虚空に響け! シンクロ召喚! 飛来せよ、「
EXデッキから取り出したエラーカードに名前などの情報が刻まれていき、イラスト描かれたを模るように姿を変えていくと、そこに現れたのは、純白な帯と紫色の球体からなる巨大な龍の姿だった。しっかりと効果を確認し、俺はデュエルに戻る。
「俺は「
カイベルトは、その帯のような翼を呻らせると、その翼がまるで刃のように鋭く纏まり、レヴィオニアの体を正面から切り裂いていく。
「さらに、手札から
「一気にモンスターを召喚しやがった!」
「俺は「
「な、何を考えていやがるッ!?これじゃあせっかく出したモンスターが相打ちで終わるだけだぞ!?」
「「
「な、何ッー!?」
[速水
LP:8000→5000]
「よし!1体撃破このまま行くぜ!カイベルトで「ダーク・アームド・ドラゴン」に攻撃!」
「迎え撃て!ダーク・アームド!ダーク・アームド・バニッシャー!……き、効いていないッ!?」
「俺は、墓地から
[速水
LP:5000→4500]
「ぼ、墓地から
「俺はこれでターンエンドだ!」
「すごいことをされちまったな。だが、これはデュエル。全力で行かせてもらう!俺のターン、ドロー!永続
フィールドに現れたブラックホールがカイベルトたちを引きずり込んでいく。イダテンが先に逝き、カイベルトが破壊された時、白銀のカイベルトのシルエットがその場に残り、それがブラック・ホール・ドラゴンへと突撃すると、ブラック・ホール・ドラゴンの体が徐々に白くなると動きを停止する。
「何故だッ!?何故、「ブラック・ホール・ドラゴン」の体が凍り付いてやがるッ!?それも、ガッチリと動かないッ!?」
「まだ終わらない!カイベルトの効果を発動!
「俺の手札にはもう禁止カードしかない。これを今から使うことはデュエルには勝てるだろうが、それは勝負に敗北したことになる。デュエリストとして再び勝負を始めた俺には使えないカードだ。俺はこのままターンエンドだぜ。」
「俺のターン!ドロー!俺は手札から
「俺のターン!ドロー!俺は「ブラック・ホール・ドラゴン」でダイレクトアタック!ブラック・ホール・フィニッシュ!」
「墓地から「ネクロ・ガードナー」の効果を発動!墓地のこのカードを除外することで、モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!サンキュー、ネクロ・ガードナー!助かったぜ!」
「これも防いだか、これでターンエンドだ。」
「俺のターン!ドロー!よし...…行くぜ、カイベルト!俺は「切り込み隊長」を通常召喚!そして召喚時効果で、手札から「デルタフライ」を特殊召喚!そして、デルタフライの効果を発動!1ターンに1度、自分以外のモンスターのレベルを1つ上げる!俺は「切り込み隊長」のレベルを3から4に上げる!」
「チューナーと非チューナーがそろった!?ってことはまさか、また出す気か!?」
「俺は、レベルが4となった「切り込み隊長」にレベル3の「デルタフライ」をチューニング!遥かなる星々の果て、闇の軌道を切り裂く刃よ! 凍てつく虚空に再び響け! シンクロ召喚! 再来せよ、「
「出やがった!」
「カイベルトのモンスター効果!こいつがシンクロ召喚した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動でき、そのカードを破壊する。俺は「ブラック・ホール・ドラゴン」を破壊する!」
「血迷ったかッ!「ブラック・ホール・ドラゴン」は効果では破壊されないぜ!」
「それはどうかな!カイベルトの効果にチェーンして墓地から
「リバースカードオープン!「スケープ・ゴート」!これでこのターンを守り切れば、逆転ができるッ!」
「何を勘違いしてるんだ?お前に次のターンなど回ってこない!
「何を呼び出しても無駄だぜッ!このターンに破壊できるトークンの数は精々多くて3枚が限度。さらに俺のライフはまだ4500残っている。これを1ターンで削り切れるわけねえ!」
「言っただろう。このターンでケリを付けると!リバースカードオープン!「バーストブレス」!「始原竜プライマル・ドラゴン」をリリースし効果を発動!リリースしたモンスターの攻撃力より低い守備力のモンスターを全て破壊する!」
「バカ言ってるんじゃあないぜッ!自分のモンスター諸共全てを破壊するつもりか!」
「
カイベルトがプライマルを捕食すると、カイベルトの翼は黄金に光輝き始める。そして、捕食したプライマルの力を知らしめるようにカイベルトは金色のブレスを放ち、スケープ・ゴートを一匹残らず破壊し一掃する。
「だが、もう打つ手は!」
「まだある!リリースされた「始原竜プライマル・ドラゴン」は、自分のドラゴン1体に力を授ける。その効果は2回攻撃の付与だ!さあ、終わらせるぞカイベルト!カイベルトでダイレクトアタック!
カイベルトの放った熱戦が、速水のライフを0にする。
[デュエルエンド
勝者:天野遊牙]
「禁止カードを使っても負けるとは、完敗だぜ。」
「へへっ……勝ってやったぜ……うっ」
そう言って遊牙が歩き出そうとした次の瞬間、全身の力が抜けたように遊牙の体勢が崩れる。それを見た速水は、地面に倒れる前に遊牙を受け止める。
「小僧ッ!?……無理もないか、闇のデュエルで勝利したとて傷は癒えねえ。きっと、デュエルの興奮でアドレナリンをドバドバ出していたから立っていられたんだ。見たところ体格的には出来上がってるが、まだ高2くらいのガキだ。すぐにこいつを運び出さねえと……」
遊牙を抱える速水にグールズの1人が話しかける。
「おい、忘れたのか。シグナ―の存在は我らが主の敵となる存在だぞ。そいつのデッキからシグナ―竜のカードを抜いてデッキも回収する。」
「おいおい、テメエらは主がこんな高2のガキに負けると言ってる訳じゃあねえよな?こんなシグナ―は、放っておいても問題ねえ。それよりもサツだ。さっきのデュエルで通報が入ってるのかサイレン音がする。ここから離れるのが身のためだ。」
「お前、さっき、ワザとプレミをしたな。「ブラック・ホール」を発動してから「リビングデッドの呼び声」を使えばお前が勝っていただろう。こいつを庇ってるのか?グールズを裏切るのか?」
「くっ……俺は……」
速水が言葉を発しようとするより先に、衝撃的なことが起こる。路地裏の中へと赤いD・ホイールが侵入する。
「だ、誰だお前は!?」
「俺の名は不動遊星。」
「不動遊星だとッ!?」
赤いD・ホイールは、背もたれ右沿いに設置されたキャノン砲から発射されたレーザーで地面を焼き、グールズの二人と速水を分断する。速水は、突如として現れたD・ホイールに乗る赤いヘルメットを被ったD・ホイーラーに遊牙を託す。
「こいつを安全なとこまで連れてってやってくれ!頼む!」
必死に懇願する速水に、D・ホイーラーはただ頷き、遊牙を自分のD・ホイールへと乗せ、路地裏から飛び出していく。
「頼んだぜ、不動遊星!」