サイレン音が鳴り響く。双六町のカードショップ「マスター」の近くから通報があった。「怪しい男が路地裏に入った後、ソリッドビジョンでは考えられない爆発音が聞こえた」と。その通報に駆けつけていった交番勤めのセキュリティ
「何だあのD・ホイールは?型番に無いD・ホイールだな……違法改造か!」
牛尾はD・ホイールとの車間距離を詰める。そして、斜め後ろに付き搭乗者を確認する。そこには脱力状態のヘルメット無しの傷だらけの少年と赤いヘルメットを被ったD・ホイーラーの姿があった。
「こいつ、ノーヘルで乗せてやがるが、えらく後ろに座ってるやつが脱力している……緊急の用事か?もしや、病院コースか!?」
そう疑問を持った牛尾が赤いD・ホイールに近づこうとした時、無線が入る。
『こちら、双六町セキュリティ本部。現在、青いアロハシャツを着た少年が誘拐されたのを目撃したとの通報が入った。犯人と思わしきD・ホイーラーは現在赤いD・ホイールで逃走中。見つけ次第、デュエルにて拘束せよ。繰り返す……』
その無線は牛尾の疑いを怒りへと変えた。牛尾は、前を走るD・ホイールの横に付き、顔を覗かせる。
「そこのD・ホイーラー。少し話をしようや。」
「……悪いが、急いでいる。」
そう一言、言い残して不動遊星はスピードを上げる。その速度に追いつこうと、牛尾も追走するも、距離はどんどん離れていく。
「デュエルに持ち込める範囲を出ちまった!?クソ、ならこれを!」
牛尾はセキュリティのD・ホイールに備わっている追尾弾を発射する。それは赤いD・ホイールにピタッとくっつくと牛尾はD・ホイールのスピードを落とす。
「よし、これであのD・ホイールの位置は手に取るようにわかる。ヤツのアジトに着いた瞬間。特攻を仕掛けてやるぜ……」
不動遊星が向かった先は、赤竜神社だった。遊牙を背負い、階段を登り、神社の脇に彼の身を置く。そして、遊牙の体に1枚のカードを向ける。そうすると緑色の光が遊牙の体を包むと、完治とまではいかないが、体の傷が徐々に癒えていく。
「よし……」
傷が癒えていくのを確認した不動遊星は、神社の階段を降り、遊星号に乗り込み帰ろうとすると、サイレンと共に牛尾と牛尾の部下が現れる。二人はD・ホイールから降り、不動遊星の前に立つ。
「オイ、ガキはどうした?さっきガキについて調べたんだがな、少年院にぶち込まれたことがある立派な犯罪者だった。通報を受けたあの爆発も、あのガキの仕業だろ。」
「……。」
「そのDホイールどこから盗んだ?」
「……。」
「ふん。ははは!マーカーありか?フンッ、囮かよ。クズはクズ同士かばい合いか?」
「……。」
「お前が、逃亡を手助けしたおかげで立派に拘束する理由ができたな。ああ、そのDホイールの出どころも聞かなきゃな。」
「おい……」
「ああ?」
「デュエルしろよ。」
「はっ!コスプレ犯罪者のクズがこの俺とデュエルだとぉ~?カードも持ってないくせに、笑わせんなよ」
「カードは拾った」
遊星はデッキを左腕のホルダーにセットする。
「俺が勝ったら今日のことは無かったことにしてもらう」
「お前、そんな事できるわけ……」
牛尾が動こうとする隊員を制止させ、強気に言う。
「言うじゃねぇか。その話乗った……」
「牛尾さん、まずいですよ!」
「俺の責任でやる。お前ら帰れ……」
「牛尾さん!」
しつこい隊員に睨みを利かせながら牛尾は言う。
「行けよ。俺が負けると思ってんのか?」
「やれやれ……」
隊員たちは先に引き上げる。
「面白い男だな……」
「何が言いたい?」
「セキュリティは信用できない。だが、デュエリストならば話は別だ……あなたはこのデュエルに乗った。信用してやるよ」
「いちいちムカつく野郎だ」
両者、D・ホイールに乗り、デュエルレーンがある方へと移動し、2人はデュエルの準備に入る。
「フィールド魔法『スピード・ワールド3』、セット!」
スピードワールド3が発動され、フィールド全体に魔法がかかる。
『デュエルモード、オン。オートパイロット、スタンバイ』
『デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。通路上の一般車両は直ちに退避してください。デュエルが開始されます…………』
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」
「先行は俺がもらうぜ。「アサルト・ガンドッグ」を召喚!」
体の両端にアサルトガンを装備した警察犬が現れ、D・ホイールと並走する。
「さらに、カードを1枚伏せてターンエンド。」
「俺のターンだ。ドロー!」
[遊星
SPC:0→1
牛尾
SPC:0→1]
「「スピード・ウォリアー」を召喚」
「ほう、攻撃表示か。だが、俺の「アサルト・ガンドッグ」の攻撃力にも遠く及ばない……」
スピード・ウォリアーが青いオーラを帯び始める
[「スピード・ウォリアー」
ATK:800→1600]
「攻撃力が倍増したッ!?」
「「スピード・ウォリアー」は、召喚したターンのバトルフェイズのみ、攻撃力が倍となる。」
「ふん、気にいらねぇな。ゴミの分際で」
「「スピード・ウォリアー」ソニック・エッジ!」
スピード・ウォリアーが足のブースターを起動し、高速のヘッドスピンをかけながら、強烈な回し蹴りをアサルト・ガンドックを蹴り飛ばす。
[牛尾
LP:8000→7600]
「やってくれたな。だが、こちらも特殊効果だ!」
アサルト・ガンドックは、やられる直前に遠吠えを起こす。そうすると、D・ホイールの後ろからさらに2体のアサルト・ガンドックが駆けつける。
「「アサルト・ガンドッグ」がバトルで墓地送りになった時、デッキから別の「アサルト・ガンドッグ」を任意の数だけ特殊召喚できるって訳だ。」
「カードを1枚伏せて、ターンエンド。」
「俺のターン!ドロー!」
[遊星
SPC:1→2
牛尾
SPC:1→2]
「「アサルト・ガンドック」2体をリリースし、レベル8モンスター「
アサルト・ガンドックをリリースし現れたのは手錠のような口を持つ二つ頭のドラゴンだった。
「「
スピード・ウォリアーの四肢を一方の頭が取り押さえ、身動きが取れなくなったところをもう一方の頭が食らい付き、スピード・ウォリアーが破壊される。
[遊星
LP:8000→6100]
「
「ちっ、後続を呼びやがったか。そんなクズモンスターなんざ、次のターンにはおさらだ。」
「俺のターン!」
[遊星
SPC:2→3
牛尾
SPC:2→3]
「「ロード・ランナー」をリリースし、「サルベージ・ウォリアー」をアドバンス召喚。そして、「サルベージ・ウォリアー」の召喚時効果を発動!手札、または墓地からチューナーモンスターを1体を特殊召喚できる。こい、「ニトロ・シンクロン」!」
サルベージ・ウォリアーの鎖が手札へと向かい、そこからニトロ・シンクロンを引きづりだす。
「チューナーモンスター?まさか……」
「そのまさかだ。「サルベージ・ウォリアー」に「ニトロ・シンクロン」をチューニング!集いし思いがここに新たな力となる。光さす道となれ!シンクロ召喚!燃え上がれ、「ニトロ・ウォリアー」!そして、「ニトロ・シンクロン」が「ニトロ」モンスターのS素材となったことで、デッキから1枚ドロー!」
「シンクロ召喚だと?だが、俺の「
「誰が相打ちすると言った。「
「血迷ったみてぇだな、返り討ちにしろ!「
「この瞬間、「ニトロ・ウォリアー」の効果を発動!このカードがフィールドにいる状態で
「攻撃力が上回っただと!?」
「行け!「ニトロ・ウォリアー」!ダイナマイト・ナックル!」
[牛尾
LP:7600→6600]
「やってくれたな、だが、「
「だが、ここで「ニトロ・ウォリアー」の効果を発動!このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊したダメージ計算後に発動できる。相手フィールド上に表側守備表示で存在するモンスター1体を選択して攻撃表示にし、そのモンスターにもう1度だけ続けて攻撃できる!ダイナマイト・インパクト!」
「何ッ!?」
「喰らえ!ダイナマイト・ナックル!」
[牛尾
LP:6600→5600]
「ダメージを優先して「
ニトロ・ウォリアーに
[「ニトロ・ウォリアー」
ATK:2800→1000]
「見たか。「
「カードを2枚伏せてターンエンド。」
「俺のターン!ドロー!」
[遊星
SPC:3→4
牛尾
SPC:3→4]
「揃ったぜ、セキュリティ専用テーマカード!「
レトロアクティヴが手札に戻り、代わりに現れたのはサイバーパンクチックの赤いサムライだった。
「「
「モンスターが3体……」
「現れよ、世に蔓延る悪を捕えるサーキット!アローヘッド確認、召喚条件は「
牛尾のD・ホイールの上にサーキットが出現し、そこにリンク素材となるモンスターが竜巻のように回転しながらリンクマーカーに飛び込んでいく。
「サーキットコンバイン!リンク召喚!現れよ、Link3「
そうして現れたのは、身の丈3mほどのサイバーパンクな重装甲パワードスーツで全身を固めた大男が現れる。
「リンクモンスター……見たことの無いモンスターだ。」
「「
「
攻撃をしようとする
「んおっ!?」
「こいつは、相手のモンスターの攻撃を無効にすることができる」
「ふん。悪い手じゃねぇが、
ジャスティファイの拳がニトロ・ウォリアーにぶつかった瞬間。時空の扉のようなものが開き、そこにニトロ・ウォリアーが吸い込まれていく。
「モンスターが除外された!?」
「幽閉完了!「
[遊星
LP:6100→4300]
「くっ……」
「次のターンでケリを付けてやる。カードを1枚伏せてターンエンド。」
「(カード達よ。俺はお前達を信じる!俺の声に応えろ)俺のターン!ドロー!」
[遊星
SPC:4→5
牛尾
SPC:4→5]
「……来たか!相手フィールドのみモンスターがいる場合、このカードは手札から特殊召喚できる。こい、「アンノウン・シンクロン」!」
「まさか、またシンクロ召喚を行う気か!」
「さらにチューナーモンスター「ジャンク・シンクロン」を召喚!「ジャンク・シンクロン」の効果を発動!墓地からレベル2以下のモンスター「スピード・ウォリアー」を特殊召喚する!さらに墓地の「ボルト・ヘッジホック」はフィールドにチューナーがいる時、墓地から復活する。さらに
「フィールドにモンスターが5体並びやがった!?」
「レベル1「ロード・ランナー」、レベル2「スピード・ウォリアー」、「ボルト・ヘッジホック」にレベル3の「ジャンク・シンクロン」をチューニング!集いし願いが新たに輝く星となる。光さす道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ、「スターダスト・ドラゴン」!」
「「スターダスト・ドラゴン」だと!?ハッハハ!コスプレ犯罪者にしては、妙に凝ったデッキだな。だが、「スターダスト・ドラゴン」1体でこの盤面を捲れはしない!」
「コスプレか、面白い事を言うな。興が乗って来た、コスプレかどうかこの目で確かめるといい。「
「レベル1「ロード・ランナー」にレベル1「アンノウン・シンクロン」をチューニング!集いし願いが新たな速度の地平へ誘いざなう。光さす道となれ!シンクロ召喚!希望の力、シンクロチューナー、「フォーミュラ・シンクロン」!」
「シンクロチューナー!?」
「見せてやろう、加速する世界でしか見出せない良い心、悪しき心を超越した、揺るぎなき境地を!」
「クリアマインド!レベル8シンクロモンスター「スターダスト・ドラゴン」にレベル2シンクロチューナー「フォーミュラ・シンクロン」をチューニング!集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く!光り射す道となれ!アクセルシンクロォーーーーーー!!」
「消えた!?」
加速した遊星号と共に不動遊星の姿が消える。そして、自分の後ろからまるでトンネルからでるように瞬間移動し、そこにいたのはスターダスト・ドラゴンではなく、別のモンスターがいた。
「生来せよ、シューティング・スター・ドラゴン!!」
「これが、あの有名なシューティング・スター・ドラゴンか……!」
「シューティング・スターの効果を発動!1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを5枚めくってデッキに戻す。そして、めくったカードの中のチューナーモンスターの数まで攻撃できる!1枚目「ジャンク・メイル」!2枚目「スターダスト・シンクロン」!3枚目「クイック・シンクロン」!4枚目「エフェクト・ヴェーラー」!5枚目「ジャンク・アンカー」!」
「合計5回の攻撃だと!?」
「行くぞ!バトル!「シューティング・スター・ドラゴン」で「
「
「それはどうかな!シューティング・スターの効果を発動!1ターンに1度、カードを破壊する効果を無効にする!」
[牛尾
LP:5600→4900]
「くっ……!まさか、こいつ本物の不動遊星なんじゃ……!?」
「シューティング・スターで連続ダイレクトアタック!スターダスト・ミラージュ!!!!」
シューティング・スター・ドラゴンの幻影による連続攻撃が牛尾のLPを削り切るとD・ホイールは停止し、煙が吹く。そこに遊星が近づく。
「勝負はついた。約束通り、見逃してもらう。」
そう言い残して、不動遊星は走り去っていく。