遊戯王AVENG   作:葉分

7 / 11
第7話 星集う場所「ヒューレー」

 バイクを走らせ、遊星号の後ろを追いかける。そして、遊星さんは町の外れ辺りの喫茶店でバイクを停めた。店の看板には「ヒューレー」と変わった名前だが、外観も普通にオシャレな喫茶店のようだった。

 

「おいおい、お茶をしに来たわけじゃねえよな?」

 

「まあ、とにかく入れ。」

 

「遊星さんヘルメット付けたままだけど!?」

 

 普通にスルーされなが店内に入る。中も特段変わったところもない普通のいい雰囲気の喫茶店だ。遊星さんは席に座り、俺たちも遊星さんの対面に座る。そうすると、黒髪オールバック、赤目の執事姿の店員らしき人物が注文を取りに来た。

 

「ご注文は?」

 

「ミルクでも貰おうか。」

 

「そちらのお二人は?」

 

「え、じゃあコーヒーで」

 

「私はカフェオレで。」

 

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

 店員がテーブルを離れ、厨房へと入って行く。そして運ばれてきたミルクを遊星さんがぐびっと一気飲みした後、俺は質問を投げかける。

 

「それで、カードの白紙化とか、シグナーとか、グールズだとか、ダークシグナーとかこの双六町に何が起こってんだ?」

 

「君たちは、デュエルモンスターズには不思議な力があることを信じるか?」

 

「不思議な力……?」

 

「簡単に言えば、精霊の存在や神の存在を信じるか?」

 

「この世界に精霊とか神様がいるってのかよ!?……いや、この目で降臨するところを見ちまったから信じはするけど。」

 

「そうだ、この世界には古くから精霊や神の存在が確認されている。デュエルモンスターズとは、元々インダストリアルイリュージョン社の社長。ペガサス・J・クロフォードが、3000年前のエジプトの壁画を調査し、それをヒントに古代の神官たちと魔物(カー)の戦いを再現したカードゲームなのは知っているな?」

 

「そうなのか?」

 

「有名な話よ。その当時最強デュエリスト。武藤遊戯は、名も無きファラオの魂を宿したデュエリストとも言われていたらしいわよ。」

 

「へえー」

 

「その魂が冥界に帰るまで、彼は幾度となく危機に陥った。その要因の1つがグールズだ。グールズは、マリク・イシュタールという墓守の一族の呪いを断ち切るために結成された。」

 

「グールズ!?俺たちが戦ったあいつらが100以上も前に活動してた奴らだったっていうのか!?」

 

「その通りだ。だが、墓守の宿命はファラオが冥界に帰ったためグールズは解散された。本来のグールズの目的は既に果たされている。」

 

「じゃあ、何で今頃活動してんだよ。」

 

「その理由は、世界の破壊だ。」

 

「世界の破壊……?」

 

「動機は不明だ。だが、やつらはそのために動いている。ある協力者を引き連れてな。」

 

「それが、ダークシグナー……?」

 

「正確に言うと、冥界の王アヌビスだ。やつはナスカの地上絵に封印された邪神「地縛神」を操り自らを復活させようと動いている。そしてやつは先んじて、もう一人協力者を復活させている。」

 

「それがグールズの親玉のマリク・イシュタールってことか。」

 

「その通りだ。そして、君たちの腕に刻まれた竜の痣は、地縛神と戦い続けている赤き竜によって選ばれたシグナ―の証だ。俺たちと一緒に戦ってくれないか。世界の破壊を防ぐために協力してほしい。」

 

「デュエルモンスターズに救われた身としては、ほっとく訳にはいかねえ!協力させてくれ!なっ?美智?」

 

「選ばれちゃったからには仕事はするわよ。」

 

「二人ともありがとう。それじゃ、早速今後の作戦会議と行こう。君たち、夏のデュエル大会には参加するか?」

 

「部活で出るつもりですけど」

 

「なら話は早いな。この夏のデュエル大会は、シグナ―を呼び寄せる向こう側の罠だ。」

 

「なんだって!?じゃあ、出ない方がいいんじゃ!」

 

「そうとは限らない。逆に考えれば、このデュエル大会には必ずグールズかダークシグナーのどちらかが現れる。そして、シグナ―が集結できる。」

 

「つまり、そこで集まってこっちからまとめて叩くと……」

 

「そうだ。俺たちも大会に出場し、やつらの動きを探りながらシグナ―を先に見つけ出す。」

 

「俺と美智は部活でチームを組むけど、遊星さんは単独で行くつもりですか?」

 

「いや、俺は彼と出る。」

 

 そう言って遊星さんは執事定員の方を指差す。

 

「「え!?」」

 

「何でしょうか?」

 

「プラシド、今度の夏のデュエル大会用にチューンアップしたデッキはどうだ?上手く回されるか?」

 

「当たり前だ。不動遊星、どのような風の吹き回しか知らないが、貴様が俺たちを雇った以上、最後に貴様を潰すのは俺だ。」

 

 すげえ口調変わって威圧的な態度取ってる!?

 

「それは楽しみだな。話を戻すが、これから二人にはシグナ―を探して欲しい。大会で集まる可能性は高いにしろ、集まらない可能性も出てくる。不安要素は少しでも解消したい。」

 

「探す分にはいいんだけど、シグナ―がどこにいるかの見当は付いてるのか?」

 

「それに関しては、大丈夫だ。シグナ―同士は引かれ合う。君たちが探せば探そうとするほど、他のシグナ―も向こうから動いてくれるさ。」

 

「それほんとに大丈夫なの……?」

 

「まあ、探してみない限り分かんねえってことだ。話してても仕方が無いし、今からでも探しに行ってくる!」

 

「あ!ちょっと置いてかないでよ遊牙!」

 

 二人が店を出た後、不動遊星はヘルメットを外す。プラシドは追加で作ったコーヒーを持ち遊星の近く寄る。

 

「これでいいんだな?」

 

「ああ、彼らを騙すような形になってしまうが仕方がない。誰しも希望となる光が必要だ。私がかつて不動遊星に希望の光を見たように、彼らには、私の背中を追い、希望を見て、絶望などせず、前に進んで欲しい。」

 

「それは望みすぎではないか?確かに希望という力は強力な原動力となる。だが、希望は時に絶望に反転する。希望という指針を見失えば、それこそ希望を追い求めた者は絶望の淵に伏す。君が言う希望の姿は、人が織り出せるものではない。」

 

「君の言う通りかもしれない。だが、それでも私は諦めずに前に向き続ける。その姿は必ず、彼らの希望となれることを、彼は教えてくれた。それに私もニ度は折れないさ。」

 

「ふっ、流石は俺たちの創造者様だ。」

 

「プラシド、君に一つ頼みたいことがある。」

 

「何だ?」

 

「彼を鍛えてやって欲しい。」

 

「どういうことだ。ヤツの強さは俺の目から見ても強いものだった。いくら手を抜いているとはいえ、お前に勝てる強さだ。わざわざ俺が鍛える必要はないと思うが。」

 

「今の彼の力では、マリクは倒せない。やつは、正真正銘の神を従えている。奇跡に賭けてみるのもアリだが、奇跡はそう簡単に起きるものじゃない。奇跡など起きなくともマリクを倒せるだけの実力と力を君たちで鍛えてほしい。」

 

「……わかった。そう君が言うのなら、できる限りの稽古をやつにつけてやる。無論、あのチビとジジイは使っていいんだよな?」

 

「ああ、彼らも直に目覚めるころだ、好きに使うといい。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。