「ようやく来たか。随分と待ったぞ、天野遊牙。」
フューレーの外に出ると、厨房に立っていた時と雰囲気が明らかに違うプラシドさんがいた。機械騎士のような見た目に、髪色は白に染まり、右目には
「すいません。デッキの調整に手間取ってしまって。」
「謝罪はいい。早くD-ホイールに乗れ。特訓を開始する。」
そう言ってヘルメットを被り、俺のことを急かす。俺も急いでD-ホイールに乗り込み、デュエルディスクを連結させる。デュエルレーンがある方へと移動し、デュエルの準備に入る。
「フィールド魔法『スピード・ワールド2』セット!」
「スピードワールド2」が発動され、フィールド全体に魔法がかかる。
『デュエルモード、オン。オートパイロット、スタンバイ』
『デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。通路上の一般車両は直ちに退避してください。デュエルが開始されます…………』
「行くぞ。ライディングデュエル」
「アクセラレーション!」
[遊牙
LP:4000
プラシド
LP:4000]
凄まじい勢いで第1コーナーを取られ、俺は後攻を余儀なくされる。というか、LP4000でデュエルかよ。先に言ってほしかったぜ。
「先行は俺が貰う。「機皇枢ワイズ・コア」を召喚!」
何だあの機械仕掛けの卵のようなモンスターは?見たことの無いカードだ。
「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ。かかって来るがいい。」
「行くぜ、俺のターン!」
[遊牙
SPC:0→1
プラシド
SPC:0→1]
「俺は「カードガンナー」を召喚!そして効果を発動!デッキの上からカードを3枚墓地に送り、1枚につき攻撃力を500ポイントアップさせる!」
[「カード・ガンナー」
ATK:400+1500=1900]
えーっと、落ちたカードは「エルフの剣士」と「ドレッド・ドラゴン」に「魔装戦士テライガー」か。クソ、運がねえな。まあ、このターンは「カードガンナー」で牽制すればいいか。
「行け!「カードガンナー」!」
「
「んなっ!?自らモンスターを破壊しやがった!?」
「破壊された「機皇枢ワイズ・コア」の効果を発動!このカードがカードの効果によって破壊された時、デッキ・手札・墓地から「機皇帝ワイゼル
「一気に5体のモンスターを特殊召喚した!?」
「さあ、無限を超え合体せよ、機皇帝ワイゼルよ!」
「そしてモンスターが合体しやがった!?」
「機皇帝は、コアとなる
[「機皇帝ワイゼル
ATK:500+1200+0+800=2500]
「攻撃力2500ってことは、それがプラシドさんのエースか。だがそう簡単にターンは返さねえ「カードガンナー」が破壊されたことで1枚ドローする。そして、カードを2枚伏せてターンエンド。」
「俺のターン。」
[遊牙
SPC:1→2
プラシド
SPC:1→2]
「少しは歯応えがあると思ったが、所詮は運だけでここまで勝ち残っただけの死にぞこないだな、貴様は。」
「何だと!もういっぺん言ってみやがれ!」
「聞こえなかったか?死にぞこないと言ったのだ。行け!「機皇帝ワイゼル
「そうかよ!その口、絶対ひん曲げてやる!リバースカードオープン!「ガード・ブロック」!ダメージを0にして、デッキから1枚ドローする!」
いいの来いよ!いいの来いよ!……だぁあ!畜生!「チューン・ウォリアー」!?こんなカードデッキに眠っててほしいってのに……いや、そもそもこのデッキに「チューン・ウォリアー」なんか要らなかった。通常モンスターは、そのサポートカードが使えてこそ真の力を発揮する。「スピード・ワールド2」とかだと、制限されるカードが多すぎて使い物にならない。
「カードを1枚伏せてターンエンドだ。さあ、その姑息な手はいつまで続くかな?天野遊牙。」
「うっせぇ!俺のターン!」
[遊牙
SPC:2→3
プラシド
SPC:2→3]
「相手フィールドにのみモンスターがいる時、このカードはリリース無しで召喚できる。こい!「地翔星ハヤテ」!そして、「
[遊牙
SPC:4→5
プラシド
SPC:4→5]
「防戦一方だな。それでは、俺やグルーズの幹部連中には勝てないぞ!俺はフィールドの「機皇兵装ワイゼル
[「機皇帝ワイゼル
ATK:2500-1200+1600=2900]
「さらに攻撃力が上がった!?」
「行け、「機皇帝ワイゼル
「この瞬間!「地翔星ハヤテ」の効果を発動!このカードの攻撃力を500ポイント下げることで、1ターンに1度だけ、攻撃を無効にできる!」
「凌いだか。ならば、
[遊牙
SPC:5→6
プラシド
SPC:5→6]
「ようやく来たぜ!「デブリ・ドラゴン」を召喚!そして効果を発動!墓地の攻撃力500以下のモンスター「カードガンナー」を効果を無効にして特殊召喚!」
「合計レベル7、さあ、呼ぶがいい。貴様の僕を」
「言われなくてもやってやる!俺は、レベル3の「カードガンナー」にレベル4の「デブリ・ドラゴン」をチューニング!遥かなる星々の果て、闇の軌道を切り裂く刃よ! 凍てつく虚空に響け! シンクロ召喚! 飛来せよ、「帯刃龍カイベルト」!そして、カイベルトの効果を発動!フィールドのカード1枚を破壊できる!俺は「機皇帝ワイゼル
「そんな手が通用すると思っているのか?
「なら!リバースオープン!「タイラント・ウィング」を発動し、カイベルトに装備!」
[「帯刃龍カイベルト」
ATK:2500+400=2900
DEF:1900+400=2300]
「これでカイベルトはモンスター相手に2回の攻撃ができる!行け!カイベルト!機皇帝に攻撃しろ!」
「そうはいかない。「機皇兵装ワイゼル
「何だと!?だが、これでもうワイゼル
「
「くっ……カードを1枚伏せてターンエンド。そしてこのエンドフェイズ「タイラント・ウィング」の効力は失われ、破壊される。」
[遊牙
SPC:3→4
プラシド
SPC:3→4]
「ここまでは前座だ。さあ、思う存分絶望するがいい。シンクロ・キラーの恐ろしさを!「機皇帝ワイゼル
青白い光の鎖がカイベルトの体に巻きつく。それにカイベルトは抵抗するも虚しく、ワイゼル
「か、カイベルト!?」
「そして「機皇帝ワイゼル
[「機皇帝ワイゼル
ATK:2500+2500=5000]
「攻撃力5000だと!?」
「さらに「機皇兵装ワイゼル
「リバースカードオープン!「パワー・ウォール」!デッキの上からカードを墓地に送り、1枚送るごとに500のダメージを軽減する。俺は10枚のカードを墓地に送って、ダメージを0にする!」
「無駄な足搔きだ!LPを半分支払い、手札から
「そんな……」
「終わりだ。機皇帝でダイレクトアタック!」
[デュエルエンド
勝者:プラシド]
機皇帝のダイレクトアタックによって、LPが一撃で持っていかれた俺のⅮ-ホイールは、モーメントエンジン部分から白い煙を上げて路肩に止まる。俺はバイクを殴り、苛立ちを露わにする。
「反則だ!インチキだ!自分からあえて有利な条件でデュエルを開始するとか反則もいいところじゃねえか!!!」
プラシドは、そんな俺の近くにバイクを止め、俺の首元に剣を突き立てる。
「本当に奴らが正々堂々とデュエルを受けると思うか?」
「え?」
「そしてお前は、本当の闇のゲームで負けた時も同じセリフを吐くのか?」
「そ、それは……」
「人は一度死んだらそこで終わる。赤き竜に選ばれたシグナーが敗れ、命を落とし全滅したとして残るのはやつらによって破壊された未来だけだ。お前は、荒れた戦場には、向こうから必ずチャンスが訪れるとでも思っているほどの、おめでたいやつなのか?」
「……」
「確かに、戦場には希望などない。あるのは絶望だけだ。だが、お前の右手に宿る赤き竜の痣には、その絶望をひっくり返す希望の力が宿っていることを忘れるな。」
プラシドは、剣を収めてバイクに乗る。
「でも、どうやってそんな力を……」
「だから言われただろう。俺たちがその力を引き出してやる。時間が掛かるかもしれないが、来る時のための力を身に付けてもらう。だから毎日ここに通え。いいな。」
「え?俺たち?」
「フューレーには他にもメンバーがいる。今は寝てる最中だが実力は確かなやつらだ。きっと、お前の力になれる。」
そう言って、プラシドは1枚のカードを俺に投げ渡す。そのカードは神社で拾った白紙のシンクロカードと同じカードだった。
「これは!なんで、プラシドさんがこのカードを!?」
「ぞ……いや、不動遊星はその赤き竜の力が宿れるブランクカードを開発した。赤き竜の力を呼び覚ませ、そのカードを覚醒させることが唯一の希望だ。」
「わかった。プラシドさん、俺頑張るよ。」