博士とセーラの交換日記   作:もちもち物質@布団

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9月1日:セーラ

 ようやく、ケイ素の精錬についての資料が見つかりました。

 β-F地区の倉庫に該当部のメモが残っているノートパッドが比較的良好な保存状態で残っていました。幸運です。

 ……しかし、記述者名が『ダイチ・アカツキ』でした。真面目な文章もお書きになるんですね。

 かなり古いノートパッドでしたから、博士が研究者になってすぐ、或いは、研究者になる前のものだったのかもしれませんね。

 

 ノートパッドにあった資料は、とても単純な、涙星(るいせい)初期文明の技術を書き留めたものでした。

 ごく簡単な材料・単純な手順による精錬方法でしたから、資源も手元にある物だけで足り、無事、コンパウンドティシューの合成に至りました。

 今週中にはシンセティックユテレッサーの内殻が完成するでしょう。

 高温を作りだす必要がありましたが、その炉の作成については『ボーキサイトから作るヨウカン・バーの呈味生について』の論文が非常に参考になりました。勿論、ヨウカン・バー作成段階ではなく、ボーキサイト精錬についての箇所ですが。

 

 シンセティックユテレッサーの外殻については、少々難航しそうです。

 以前、β-E地区に設置してあったウォーマナイザーを改造して用いようと思っていたのですが、温度調整センサーが故障しているようです。

 原因はウォーマナイザー開閉時の温度の低下後、フィードバックが過剰であるためでしょう。よって、フィードバックを制御する機構が働いていないか、或いは電熱機構自体に問題があると考えられます。

 前者なら別の機器からセンサーを取り外して着け直すか、或いは、フィードバックの温度上昇量を調製することで解決できますが、後者の場合は、このウォーマナイザーを改造するより、別の機器を改造する方が簡単かもしれません。

 或いは、ウォーマナイザーを二重構造にすることで解決を図るべきかもしれません。外気温と等しければ、過剰なフィードバックは起こらないでしょう。

 また別の倉庫を探してみようと思います。

 

 そういえば、まだタブレットメモリ再生機器は見つかりません。

 このアルバムを作成した人は、何故このようなオールド・ファッションな媒体を使ったのでしょう?

 画像データは貴重な資料です。これだけ古い媒体ですから、もしかしたら地球の資料が中に入っているかも。

 失われたものの復元も、私の大切な使命です。

 きっと、このタブレットメモリの解析も行いましょう。

 

 今日はこれで。それでは博士、また3日後に。

 

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