博士とセーラの交換日記   作:もちもち物質@布団

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10月13日:ダイチ・アカツキ

 また遠出してきたよ。今回もいい調子だ。

 ただ、いい調子、ではあるのだけれど……相変わらずの遅々とした進行でもあるね。

 理論上は、水を蘇らせ続けて、循環させ続けていればいずれは星全体を蘇らせることになるのだけれど、どうしてもそれだけじゃ遅い。

 今回は水を含む液体全ての機構をある程度自動化させることに成功したのだけれど、これは第一歩だね。

 このまま続けていれば、いつかは地上へ出て暮らせるような環境になるだろう。

 ……溶岩とか、そういう形で固体を液体に転化して作業を進めれば滅茶苦茶早いんだけどね。理論上。

 地形破壊するのもなんかね。

 仕方ないから、ブロック状に地表を区切って、毎回一区画ごとに作業を進めていく、っていうかんじになるね。

 資源はともかく、エネルギーは現地調達するしかないからなあ。

 なんかよさげなエネルギー体が見つかればいいんだけどね。そうそう上手くも行かないか。

 ……でも、まあ、順調だよ。

 少なくとも、最悪の事態からは脱してるんだから。

 前向きに頑張ろう。

 

 セーラの学習も進んでいる。イヌカイさんの番も終わって、今はフナダとフジが担当しているよ。

 ……でも、セーラはインプットは得意なんだけれど、アウトプットがあまり得意じゃないみたいだね。

 セーラ自身からそれを相談されたよ。なんだか嬉しい……のかな?うん、多分、嬉しい。嬉しくてもいいよね?

 僕なりにアドバイスできたことは、『とりあえず全部一回出してみる』ことかな。

 鞄の中に入れたネジが見つからなくなったら、とりあえず、鞄をひっくり返して、それからネジを探すだろ?

 そんなかんじで、とりあえず、全部、アウトプットする。

 その後で、しっちゃかめっちゃかなそれを、成形していく。うん。僕がいつもやってるやり方だね。

 ……どうにも、僕もアウトプットが苦手なクチだからね。こうやって、でっかく作って削っていくやり方しかできない。

 一応セーラには、アカシヤに聞いてみるといいかもよ、ってアドバイスしておいた。

 アカシヤは頭の中で設計図を作れちゃう人だからね。彼女の伝説『頭の中の情報だけでディサセンブリークリーナーを作った』を聞けばそのすごさが誰にでも分かると思う。うん。

 ……もしかしたら、今日、僕がセーラにできた一番のアドバイスって、よりよいアドバイスの請求先を提示したことだったりして。

 

 それから、今日、珍しくチハラが吐いた。

 更に言うならば、吐いた場所は僕の部屋だ。

 ……なんで僕の部屋に酒瓶持ち込んで酒盛り始めるのかなあ、みんな!

 いっつも思っているけれどね、僕の部屋は居酒屋じゃない!

 更に言うならば、僕は清掃員じゃないんだ!

 なんだって皆して、僕を宴の後片付け要員にしようとするんだ!

 チハラが正気に戻ったら文句付けてやる!今度こそ!今度こそ、僕の部屋への酒類持ち込みを完全禁止してやる!

 

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