博士とセーラの交換日記   作:もちもち物質@布団

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10月23日:ダイチ・アカツキ

 僕の部屋への酒類持ち込み禁止は駄目だったよ。

 何故かって、まさかとは僕自身も思ったけれどね、僕自身が飲み会の場所として、僕の部屋を提供したからさ。

 ……ごめんね、10月13日の僕。でも、許してほしい。今回はチハラは吐かなかった。前回ので反省したのか、そんなに飲まなかったし……いや、あんまり飲む気分じゃなかったのかもしれないけれどね。

 

 昨日、『Stella Lacrima』……通称『涙星』、つまり、僕らが今居る、この星についての会議があった。

 αの代表者と、γの代表者、それから、βからはブラン氏をはじめとして、あとはそれぞれの地区から数人が会議に参加した。βからはブラン氏の他に、リュンヌさんとイヌカイさんが参加した。

 ……そこで議題に上ったのが、γの規模の縮小だったんだ。

 正直ね、理に適っているんだ。

 γの人達は5年で増えた(この状況で、だよ)から、その分、資源が足りなくなっている。

 ……実質、そんなことができていないから資源不足になっている訳だけれど、仮に。もし、仮に、僕らが全ての元素をノーコストで無駄なく完璧に100%使い回すことができたとしても……『人』になってしまった元素は、もう資源として使えない。死ぬまでは、ね。

 だから、γの人達には悪いけれど、人数が増えた分、資源を削る。合理的だね。理に適ってはいるよ。

 ……でも、γの人達からしてみたら、当然、受け入れられる話じゃないんだよね。

 人数が増えたのに資源が少なくなるなんて、彼らからしてみればおかしな話なんだから。

 

 そして、その会議の内容を踏まえて、β内で話し合いが行われた。

 僕と、ブラン氏、リュンヌさん、イヌカイさん、フナダ、フジ、パイソンさん。チハラとアカシヤ。それからメリルさんとシバタさん。

 皆で顔を突き合わせて考えたのは、前々から出てたことの繰り返しだよ。

 つまり、100を捨てて1をとるのか、そうせずにじわじわと0になる未来を選ぶのか。

 ……結局僕らは、100を捨てる方をとった。

 そのせいで何を捨てなきゃいけないかも、話し合った。

 具体的な事がたくさん決まったけれど、機密だからここには書かない。とてもじゃないが、アナログの鍵しか付いていない日記に書けないよ。それに、書きたい物でもないから。

 

 ……ってことで、僕が皆を誘ったのさ。僕の部屋を提供するぞ、とまで言ってね。

 そうして、チハラとアカシヤは勿論、フナダもフジもパイソンさんも来たし、イヌカイさんやリュンヌさん、メリルさんとシバタさんも、そしてなんと、あのブラン氏まで僕の部屋で酒を飲んでいったよ。

 勿論、皆、下手な酔い方はしなかったよ。

 人間は不思議なものだね。酔っぱらわなきゃやってられない気分の時ほど、気持ちよく酔っぱらえない。

 皆そんなかんじだったけれど、でも、少しは前向きになれたかな。

 これから捨てていく100じゃなくて、その先に生まれる1を見つめ直すことができた。酔っ払いの効果ってすごいね。最初は只のやけっぱちだったのが、その内本当に希望になっていくんだから。

 ……ということで、改めて10月13日の僕、ごめん。

 これからも僕の部屋は定期的に飲み会の会場にされると思うよ。

 

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