博士とセーラの交換日記   作:もちもち物質@布団

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2月15日:セーラ

 博士から頂いたジャガイモの花は、アカシヤさんに教えて頂いた通り、押し花にして空気を遮断後、冷凍保存してあります。こうすると劣化しないのだそうです。折を見て、何かに加工したいですね。

 

 シンセティックユテレッサーは、予想通り安定してきました。

 途中で1基、不具合を生じて停止しましたが、それ以外は至って順調です。

 N.B.Lもそろそろ調製し直してもいいかもしれません。メリルさんのレポートによれば、ビタミンK群や無機類の投与をどの段階かからか、始めなければならないようです。こちらはもう少し調べてから時期を検討します。

 

 並行実験について。

 ハード面での制作は順調です。しかし、やはりAE関係の資料はありません。

 ……なので、私も遠出してこようと思います。

 期待はできませんね。博士は処分すべきであるとお考えのようですから。

 でも、記録の一片でも残ってさえすれば、それは大きな宝になります。

 それほど、今の私の状況は芳しくない、ということです。

 一応、γやαもあたってみますが……おそらくは、遠出することになるでしょう。

 ハード面の制作が一区切りしたら、遠出の準備を始めなければいけませんね。

 

 それから、チハラさんの日記についてです。

 申し訳ないような気もしたのですが、チハラさんの性格からして、実験ノートに日記を書いたのは、後世に残すためであったように思えるのです。

 つまり、人の目に触れるように、と。

 できる限り残されて、後世でも参考にされて、それでいて研究者以外の者の目には触れないものが実験ノートですから。

 その、チハラさんの日記の最初のページに、こう書いてありました。

「セーラへ。この手紙を読んでいる頃、私はもう生きていないだろう。けれど、私は私の人生を悔いてはいない。それは未来があるからってだけじゃなくて、単に人生が今まで十分に楽しかったからだ。どうせ私の事だから酒の飲み過ぎで死んだとかそういうろくでもない死に方なんだろうけれど、それは多分楽しい死に方だと思う。多分、私は楽しく死んだ。それは保証しよう」

 それから思い出話が続いていました。

 チハラさんはとても楽しい方でした。それは、私も保証します。しかし、チハラさんご自身が楽しかったという保証はできませんでしたから……やはり、チハラさんがこの日記をつけておいて下さって良かったとも、思います。

 

 また、チハラさんの日記の続きですが、「もし、セーラかアカシヤがこの日記を読んだなら、私の部屋のベッドの下の床板を外してみてくれ。そのほかの奴がこれを読んだ時は……見なかった事にしろ!」とありました。

 なので、明日はチハラさんの部屋の片づけを行おうと思います。

 やはり、チハラさんはとても楽しい方だったと言えるでしょう。今になっても、こうして私を楽しませてくださるのですから。

 

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