博士とセーラの交換日記   作:もちもち物質@布団

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8月12日:セーラ

 進捗が芳しくありません。理論は組み立てられたのですが、研究設備を整えるまでにもう少しかかりそうです。

 しかし、やるべき事が分かった以上、あとは倉庫の資源在庫や私自身の技術に応じた解決方法を模索し、構築していくだけです。

 11月までには研究設備を整え、実験段階に入りたいと考えています。

 

 β-D地区の倉庫を確認したのですが、アルバムのタブレットメモリを再生できるような機器はありませんでした。

 私の記憶では、β-D地区には燃料系資源が保存してあったはずなのですが、いつからここはジャンクヤードになったのでしょう?

 乱雑な物の置き方から推測するに、恐らくはチハラさんと博士の所業ですね。

 

 しかし、タブレットメモリ周辺機器は見つかりませんでしたが、古い水製造機を発見することができました。

 今後の実験において水が大量に必要になるので、停止していた水製造機を修理して稼働させました。

 水製造機再稼働にあたっての修理箇所と対応を記録しておきます。

 

 まず、エネルギー供給パイプが破断していました。破断個所は、ポンプ接続部と、制御端末内。

 それぞれシルバーソルダーで補修した後、被膜テープで絶縁しました。

 それから、液体導管とポンプの接続部のスクリューの破損個所は樹脂系統の接着剤で固めてしまいました。応急処置ですからこれで十分でしょう。きっと、1年以内に必要無くなるものですから。

 水製造機の機構部分がほぼ無傷のままだったのは幸運でした。おかげで私にも修理ができた訳ですが、今後、このような幸運ばかりが続くとも思えません。11月までに設備を整えきれるかは、不透明です。

 

 博士が天文学についてご教示くださったことがありましたね。

 その時に地球についてもご教示いただきました。遠い祖先が暮らしていた星であり、液状の水資源が地表の7割を覆い尽くす『水の星』であったと。それから、生命は水から生まれたのだ、とも。

 この水製造機が、人類がこの星で再出発する先駆けとなれば、と思います。

 ……このような時、『祈る』と言うのでしたね。それもあの流星群の日に教えて頂きました。

 流星を肉眼で観測した直後に実行したいコマンドを3回入力するのだ、とも博士は仰っておられましたが、文献によると『願い事』を3回口にすると叶うという迷信のようです。

 いつか、博士と流星を見られる日が来ることを『祈って』います。

 

 研究の進行は手探りですが、博士やチハラさん、アカシヤさん、イヌカイさん……皆さんの力をお借りして、少しずつですが、順調に進んでいます。

 

 明日はケイ素の精錬についての論文を探そうと思います。

 

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