大食TSハンターが人型イビルジョーと呼ばれるまで(旧題チート名:一般ハンター) 作:超一星龍編成楽しすぎる
アダストリア新大陸は、とある古龍が過去に戦った影響の名残で、小さな大陸の中にも様々なロケーションがある。極寒の大地も、灼熱の砂原も、雷降り注ぐ高原も、滋味住まう大海も。結果圧縮された生態系の坩堝とも言える、生命に満ち溢れた大陸となっている。
クソガキとエレンちゃんと言う、二人の新人ハンターの育成のため、私はその大量のロケーションの一つ、近くの森丘へ行くことを選んだ。
向かう手段はネコタク……と言ってもやられた時にベースキャンプに戻してくるあれではなく、アプトノスが牽引する、大型馬車といった風情の乗り物だ。
それに姉弟とともに乗った私は、食パン6斤と子牛の串焼き4本とホールケーキ10個といういうごく控えめな朝食(本日3回目)を取っていた。
「わあ……本当に良く食べるんですね……」
「うんこ製造機かよ」
「むぐむぐ……むちゃむちゃ……もぐもぐ……はぐはぐ……ごくん。ごめんね、現地着いたらハンター稼業についてしっかり教えるから、今は栄養補給させて……あぐ……」
やっぱり控えめ過ぎてちょっと喰い足りなかったので追加でこんがり魚5匹をたっぷり味わい、ジューシーなこんがり肉をペロリと平らげ、アプトノスのソーセージ入りの、ホットドッグ20本ををバクバクと食べた
そして人心地つくと彼らに色々と聞いた。弟のクソガキはろくに話さなかったものの、姉のエレンちゃんからは色々と話が聞けた。何でも、彼らはユクモ村近くの大商会の御曹司である事。
頼りになる優しい父親によって愛情も財も注がれ大切に育てられていたが、ある日ユクモに出現した、そこら一帯では見られない古龍、【オオナズチ】によって父親が殺された事。
そいつを殺すためにハンターになることを決めたと聞かされた。
ちなみにアダストリアくんだりまで来たのは、古龍含めた様々なモンスター達と戦い、人類の開拓の最前線を守れてるハンター達に師事するのが一番良いと考えたからみたいだ。もっとも最前線を守れている理由の九割九分九厘はクロエちゃんのおかげなんだけどさ。
そして色々話す内に、30分後現地に到着した
「とうちゃーく! んじゃ訓練とかありがたいお話始めるよ、まずは」
ぐるるるるるぐううううううう
「ば……化け物……馬車の中であんだけ食べてたのに……」
「嘘だろ……」
うん、腹減った。
我ながら凄まじい消化速度だ。正直大量に喰わないと腹が膨れない事よりもこっちの異常な腹減り速度のほうがヤベえんだよね。よっぽど大量に喰わない限り1時間も持たず狂おしい程の空腹が襲いかかってくる。
「エレンちゃん、ちょっーと良い?」
「は、はい、なんでしょうか……」
「なんかお弁当とかもって無い? 私、自分のご飯はもう全部食べ尽くしちゃったからさあ」
そう言うと一匹の巨大昆虫が飛んできた。左右に突き出したような独特な形状の胸部を持ち、真正面から見るとそれが頭部のように見える。
通常の個体でも人間の子供並みかそれ以上の大きさがある、甲虫種モンスター。要はブナハブラが飛んできた。
こいつの厄介な点は麻痺ばりを叩き込んでこちらを麻痺にしてくること。それ以上に厄介なのが、シンプルに外見がキモいこと。
「ぎゃああああああああああキモイキモイキモイキモイ! 助けて! クロエさん!」
「うおあっ! ひいっ! なんとかしろ! クソ女!」
「オヤツ!」
私はブナハブラをガバリと両手で抱きかかえた。そして大口を開け、ブナハブラにかぶりついた。
バリバリ、ムシャムシャ
さっすがクロエちゃん、頭から丁寧に食べるとか、食い方が上品!
「だ、大丈夫なんですか……」
「んー美味いよー。カリカリの鶏肉みたいで。姿揚げにしたら絶対美味しいよ。これ」
ヴォリッ! ヴォリッ!
ブナハブラは、一見頭に見える真っ赤な胸部を失い、ビクンビクンと動いて絶命しかけてる。生きの良い内に美味しく頂いて上げなくては。
■■
完食して口元を拭うとエレンちゃんからは化け物でも見るような目を向けられていた。ちょっとでも目をやると「ヒィ!」だの「喰われる!」だの叫び声を上げてくる。
クソガキは私に敵意を込めた目を向けているが、よく見ると足が笑ってる。な……なぜなんだ……私、今日はまだそんな化け物めいた事してないはずなのに……またも見ると「ギャー!」「喰わ無いで!」だのわめいていたので試しに
「これからありがたいお話始めるけど、ちゃんと聞かないと食べちゃうぞ、がおー」
と言うと2人で抱きかかえあって竦み上がっていた。
*
「まず結論から言うけどまず君らに必要なのは、二つ。1つ目は小型モンスターを狩れるだけの戦闘能力を身につける事、二つ目は大型モンスターから逃げられるよう隠密、索敵、逃走能力を磨く事、以上です。小型狩れれば一生食っていけるくらいの稼ぎにはなるので、大型狩ろうだなんて幻想は捨てて下さい」
そう言うと二人は、は? と言わんばかりの顔をする
「お前馬車で何聞いてたんだよ! おれ達は、大型モンスター! オオナズチを狩りてえんだよ!」
「私達には、あの、父さんを奪ったオオナズチを殺すためなら! 血のにじむような努力をする覚悟だってあります!」
わーわーぎゃーぎゃー言い出す。
うん。彼らの言う事はよくある話だ。モンスターに家族を奪われ、復讐を試み そして死ぬ。
「んーと。まず血のにじむ様な努力なんてまともなハンターはみんなしてるんだよね。だからハンター稼業は基本才能が物を言うんだけど、馬車での様子をみる限り君等そこまで才能があるわけじゃあ無さそうなんよね。古龍討伐ってのは国に一人いるかどうかレベルの才能ある奴が必死こいて初めてできるのよ」
何か反論しようとする姉弟の口を、手を前に出して止めた。
「リアライズ:王刀ライキリ」
そして雷を纏った太刀を顕現させた。
「これ300キロくらいあんだけどさ、これ君等持てる?」
彼らの、目の前に太刀を放った
クソガキは
「女のテメエにできて男の俺にできない事なんてあるわけ無いだろ!」
と言って必死で持ち上げようとするが太刀は横移動するだけでピクリとも上がらず、エレンちゃんに至っては「無理無理無理、無理ですよぉ!」と最初から諦めている。
「私体重五じゅ……四じゅ……三十キロ台なんだけどさ、古龍殺すならその体重でこれくらいの武器を持ち上げるだけじゃなくぶんぶん振れてやっとスタートラインなわけよ。普通の大型狩るならその半分未満でも良いけどさ」
そう言うと彼らは絶望したような表情を浮かべた。
「まあ安心してよ。リオレイアくらいなら狩れるレベルまで引き上げてやるからさ、と言うか君等金持ちなんだろ。そこから私に依頼料払ってくれれば私がそいつぶっ殺してやんよ。ぶっちゃけ古龍相手に単なる人間が喧嘩売るとか無駄死によ。そんな事したら両親も悲しむぜ」
彼らに古龍を狩れるような才能は無い。何でさっさと諦めさせ、私がそいつを殺し、ついでに弱めの大型仕留めるだけの技能をつけさせてやれば良い。
それが、全員が一番得するやり方だ。
そう思って奴らの顔を見ると、致命的なまでにこちらへの信頼を無くした顔をしていた。
……あー。私、またやっちまった。そうだ、私が彼らの立場で、仇を直接討たず、諦めて他人に任せろと言われても諦められず、仇を直接殺すためにあらゆる手段を講じただろう。
と言うか、家族の仇を直接討つことを諦めていなかったからこそ今の私があるのだ。
龍に家族を焼かれた喪失感と、絶望は、胸に穴が空いたというチープな比喩でしか表せない。奪いやがった龍への憎しみは脳を焼き焦がす。モンスターを狩る以上、モンスターに狩られても文句は言えないという正論? クソ喰らえ。怒りのままにモンスターを惨殺したくなる憤怒。それらは私が一番分かってた事じゃないか。
……ガチって育てるか
「ま、それは教える側に飛び抜けた才能がない場合の話だけどさ。天才のクロエちゃんなら、そのオオナズチを直接ぶっ殺せるレベルまで全力で鍛えてやれるからね」
そう言うと彼らの顔がパアッと輝いた。
あー、仕方ない。古龍武器の貸与とかそこら辺のインチキ込みで1年みっちり育て上げれば一応直接殺せるくらいのラインまで持っていけるかも知れん。
あー、もうやるしか無いか。他人事とは思えんしな。
「あ、そうだ。まずこれ装備して」
そして私はポーチから装備を取り出した。
取り出したのは二つの武器
エレンちゃん用の双剣ジャギットショッテル
クソガキ用の片手剣ポイズンダバルジン
どちらも生産が容易な割に、有用な装備として有名な武器だ。
今はレンタルするだけだが、後々にちゃんとこいつら自身が生産して彼彼女らの所有物になる可能性も十分ある代物だ。
まずジャギットショッテル。これは大型モンスターの素材を必要としない。本気で作ろうと思えば、大型狩れないハンターでも割とあっさり作れ、さらに上位種のリーデルショッテルへの強化も大型の素材なしで作れるというこちらの世界のハンターでも十分作成可能な武器だ。
そしてポイズンダバルジン。ジャギットショッテルと違い、大型モンスター、ゲリョスの素材を必要とするが、それを補って余りある性能をしている。攻撃力こそ低いが、レア素材も、強力なモンスターの素材も要らないのにも関わらず古龍にすら通用する凶悪な毒属性値とそれを相手に流すための高い切れ味を両立している。実際私はこれ使ってクシャルダオラをぶっ殺した事もある。
後はカムラノ装・継
忍者装束のようなそれはRISE初期装備の最終強化防具。これを選んだ理由は、着てる奴が素人でも動きを阻害しない程度に動きやすく、防具自体に付与された【精霊の加護】が生存にかなり有利に働くから。おまけに大量の空きスロットを持つため装飾品によって性能を弄りやすい。はめ込まれた装飾品によって発動する複数の防御系スキルにより、とにかく動きを阻害しない、死なせないと言う二点の総合値であれば古龍性防具すら凌ぐ一品だ。
とりあえず渡すと、エレンちゃんが、
「あ、あの! 装備の貸し借りはギルドの法で禁止されてるはずじゃ!」
と悲鳴に近い声を上げた。
「あーそれねー。うちそう言うとこ緩めだから帰るまでに返してくれりゃー大丈夫」
原則、ハンター同士での装備の貸し借りは禁止されている。
装備と言うのは「素材となるモンスターを狩れる実力がある、一定数を狩ったことがある」という狩人としての履歴書でもあるからだ。
仮に装備の貸与や譲渡が容易だと、金で装備だけ手に入れた偽ハンターなどが現れるのが目に見えている。
また本物のハンターだとて、自分で狩れもしないモンスターの素材を金にあかせて入手し身に付けるなどという行為は経歴詐称に等しい。
それで能力に見合わない仕事を受けて死のうもんならハンター、依頼主、ギルドの三方が損をする。
そのためギルドはそこら辺くっそキビシーのよ。
あんまやりすぎるとギルドナイトって言うこわーい連中が襲いかかってくるくらいには。
もっともアダストリアギルドはまだ出来立てかつ、そこら辺の規約に緩めなんだけどさ。
「クソガキにはこれやんよ、今回の依頼のためだけに作った奴だからせいぜい感謝しろよ♡エレンちゃんには私ので良いかな、ほい、お下がり」
とりあえずクソガキにはオーダーメイドした男用のカムラ防具を出しエレンちゃんには私のお下がりを渡した。
そう言ってしばらくすると、クソガキは装備をつけたようだが、エレンちゃんは妙に手間取っていた。
「ん? どうしたん? なんか問題でも?」
「あ……あの……これ胸のあたりがきつくて……」
……わあ♡こいつ♡腹立つぅ♡