【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】   作:野神 汰月

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 本日は当作ではよくもふキチに怒られてるイメージが定着しつつある(?)たっち・みーが妻と子供を連れてのご来店です。

 またしょっぱなかみなりなのか…?そしてこどもはどうして心が女の子になったのか…


 それでは本日ももふキッチン開店です☆


 ※長くなりそうなので前後編に分けます

 ※書けちゃったので通常配信にしました。


五人目 たっち・みー一家様がご来店しました(前編)

 その日はもふキチがもう店じまいしようとしていた時だった。暖簾を下げようとしたところ彼の曾孫でたっち・みーの妻であるテル・ミーのから伝言(メッセージ)が飛んできたのだ。

 

 

 『なんじゃ、今からもう店じまいするところなんじゃが…』

 

 『お爺様申し訳ありません……うちの人がなにやらご相談があるとかで』

 

 『ぇー…明日からじゃダメかの?今日はうちの住人たちが飲み食いに来とって疲れとるんじゃが……』

 

 

 もふキチは本当に疲れてるのか重々しいため息で答える。

 

 実は今日アームスヴァルトニル湖周辺の集落や村の元NPCの住人たちがリングヴィに集まって収穫祭をやっていたのだ。

 

 無論もふキッチン以外にも飲食店はあるのだが、やはりここの管理者で周りから神のごとく崇め奉られてるもふキチの所が一番客入りがあった。

 

 ちなみに収穫された作物なんかも奉納(笑)されて時間停止付き食糧庫がパンパンになってたりする。

 

 さらに言えばもふキチは維持する指輪(リング・オブ・サステナンス)を装備することを嫌うので(生きているという実感がわかないから)ガチで疲れている。

 

 ――閑話休題――

 

 さておき、そんなわけで今日は早く休みたいもふキチなので勘弁してくれとガチ泣き(嘘)をしたところ、何とか翌日にすることができたのだった。まあ、どのみち翌日は休業日にしてたから誰も来ないのでちょうどいいだろうし。

 

 そんなんわけでもふキチはさくっと伝言を切って片付け終えると速攻寝床に潜り込んだのだった。

 

 

 ―――

 

 

 「太陽万歳!!」

 

 

 とどこかの煩悩戦死が何かに誘発されたのかグ〇コのお兄さんポーズしてたのでさくっと茶釜に伝言し連れ帰ってもらった。

 

 暖簾は出てないが鍵は開いてるから勝手に入ってこいと連絡していたので、たっち・みー夫妻と子供はそのまま引き戸を引いて入店する。

 

 

 「お邪魔します……」

 

 「お休みのところ申し訳ありません」

 

 「おじいちゃま、おはようございます!!」

 

 

 入ってきたのはすごく申し訳なさそうにし、少し顔色の悪い「おまえどこのガ〇アスだよ!」といいたくなる筋骨隆々のばっさと音が鳴りそうな黒髪の男と、いつもと何ら変わらないテル・ミーとその子供であるキャッチ・ミーだった。

 

 

 「お前マジで何処のガイ〇スだよ…もうそのツラじゃ正義じゃなくて悪役だろに」

 

 「人化の指輪つけたらこうなりまして……てっきり左手に鬼を封印したさえない学校教師になるものかと……」

 

 

 それに続編では自分なりの正義を見つけた味方だったからいいんですよ。と〆ると、たっち・みー一家はそれぞれ並んでカウンター席に座った。

 

 それぞれにもふキチは飲み物を出す。テル・ミーにはダージリンのファーストフラッシュを。たっち・みーにはコピ・アルクのコーヒーを。キャッチ・ミーには新鮮搾りたてミルクを出す。たっち・みーのに関しては少々意地悪でもある。

 

 

 「うにゅ…わたしミルク嫌い……」

 

 

 可愛い声でそう呟いたのはキャッチ・ミーだった。種族はコボルトで間違いなさそうだが、黒柴なのはどうしてなのかはなぞである。

 

 ミルク嫌いというのはまあ、仕方なさがある。現実世界(リアル)でのミルク…牛乳は完全人工生成物でなんちゃってミルクなのだ。しかも乳臭さもすごくてあまり美味いものではない。せめてベビー用品の粉ミルクくらいにはましなものになっててほしかったまであるのだが、もふキチの持つ如月グループでも再現は難しかった。

 

 

 「チィちゃん(キャッチ・ミーのあだ名)、それはちゃんとした牛さんから搾った新鮮でおいしいミルクじゃよ。一度騙されたと思って飲んでごらん?」

 

 

 もふキチに言われしぶしぶながらキャッチ・ミーはグラスを持ち上げる。

 

 確かにミルク特有の乳臭さはあるものの、それ以上に甘い香りがミルクから漂ってくる。

 

 少しの勇気を出して一口飲むと、彼女は途端にぱぁっと花が咲くような笑顔で「臭くないし甘くておいしい!!」と言ってはしゃいだ。

 

 それもそのはず…もふキチが出したミルクは今朝搾ってきた新鮮な【豊穣の雌牛(グラス・ガヴナン)】のミルクなのだから。

 

 何気に道具鑑定をしたテル・ミーは大きなため息をついて頭を抱えた。

 

 

 「お爺様…いくらなんでもいきなり豊穣の雌牛のミルクを出されては困ります」

 

 「ブフォッ!?」

 

 

 普通なら通常の本物の牛乳から慣らしていく予定だったらしいテル・ミーの言葉にガイア〇…じゃなかった砂漠のとr…げふん、たっち・みーは飲んでいた珈琲を盛大に噴出した。

 

 

 「うぉ、きったなっ…!」

 

 「御前様、いったいなんちゅうもんを飼ってらっしゃるんですか!?」

 

 

 YGGDRASILLにおいて豊穣の雌牛はMobでは無いものの超高難易度のクエストに登場するキャラクターだ。目的としては雌牛のミルクを入手する、ただそれだけなのだが採取しようとするとキアンという撃破不可能なNPCに邪魔…というか抹殺しに来る。そのキアンの猛攻をしのぎながら雌牛の乳を搾るとか運営はマジで鬼畜である。

 

 もふキチはたっち・みーが噴出して汚れたところを拭いてついでに清潔(クリーン)を掛けながら「じつはの?」と語りだす。

 

 もふキチ曰、数百年前に突如としてアームスヴァルトニル湖北の草原に現れたそうだ。話せるかどうか試したところ話が通じたのでどうしてここに来たのか尋ねると―――

 

 

 「いつの間にか此処に居たの。でもここはすごく過ごしやすくて安らぐからここに住み着いてもいいかしら?」

 

 

 と言ってきたのだ。住んでもいい代わりに乳を幾許か譲ってほしいと頼むと「いいわよ♪」とあっさり了承したのだ。

 

 彼女が住み始めてから北の方では作物が豊作でできもいいらしい。さすがは豊穣を冠するキャラだけある。

 

 

 「まあ、グラス・ガヴナンの話はええとして、今日は何の話じゃ?」

 

 

 せっかくの休日を邪魔され少しぶっきらぼうに話すもふキチ…。それなんですがと前置きをしつつたっち・みーが話をする。

 

 

 「うちの息子…いや、今は娘になってますが元の男の子に戻せませんか?」

 

 「はぁ?」

 

 

 たっち・みーの願いにもふキチはそっけなく返す。確かに性別を変える方法はある。だが精神が女性で身体が男性だと心身に異常をきたす恐れがある。ならば今のままの方が絶対にいいのだが…。

 

 彼とテル・ミーの話によればキャッチ・ミー…葵は一歳の頃から様子がおかしかったという。

 

 葵は男児としてこの世に生を受けた。だが好みが男児のそれとは違い、女児が好むものを好むという。何かおかしいと思うようになった二人は葵が三歳の頃に一度病院へ行って診断を受けたらしい。

 

 つまり生物学的には男であるが精神の方が女である同一性障害だと診断された。何とか男の子のように育てようとしたが、YGGDRASILLを始めたときに♀型アバターになってしまったことでどうすることもできないと思った。

 

 だが、現実となった今ならもふキチがもつ超位魔法【星に願いを(シューティングスター)】で性別も精神も男にすることができるのではないかと考えた。

 

 

 「ですから―――」

 

 「言っとくが儂はやらんぞ?」

 

 

 たっち・みーの言葉を遮ってもふキチは言い放つ。

 

 

 「何をされても儂はその願いを叶えることはない。この子は今のままが一番自然なんじゃから…」

 

 「…そう……ですか…」

 

 

 たっち・みーは目に見えるほどに落胆した。何故そうまでして男の子にこだわるのか全く分からないが、もふキチはかたくなに拒否をする。

 

 

 「……まあ、これには訳があるんじゃがな。少々尋ねるが、チィちゃんモンちゃんに異常に懐いてたりしないか?」

 

 「……どうでしょう?たしかにモモンガさんに会うと嬉しそうに走り寄って抱き着きに行きますが」

 

 「そうか―――だとすれば、儂の推測が当たっておるかもしれん」

 

 

 ※※※

 

 

 儂は二人の話を聞いてほぼほぼ確信に至った。

 

 どういうことですか?とテルが尋ねてくるので、儂はチィちゃんには聞こえないように伝言を使って二人に繋ぎ思考発声で儂の考えを伝える。

 

 

 『言ってなかったがの、儂には人の魂が見える。正確には魂の色じゃな。親子同士なら魂の色がほぼ同じように見える……じゃが』

 

 

 儂は絶対にチィちゃんには悟られるなよと前置きして真実を話す。

 

 

 『お前さんらどちらともチィちゃんの魂は似ておらんのじゃよ―――』

 

 『『―――っ!?』』

 

 

 二人から驚きの波長が届く。まあ、そうじゃろうな。これぶっちゃければ血縁関係ないように聞こえるし。

 

 

 『じゃが、安心せい。チィちゃんは間違いなく二人の子供じゃ。魂の色が似通ってないだけでの…』

 

 

 そう告げると今度は安どの波長が返ってくる。そして、ここからが本番なんじゃよ。

 

 

 『チィちゃんの魂とほぼほぼ似通ってる魂を持つものが、一人だけいるんじゃよ』

 

 

 今度はつばを飲み込む音が二人から聞こえる。それにチィちゃんが反応して二人を見つめ首をかしげておる。それに対して儂は「大丈夫じゃよ…ちょっとチィちゃんのパパとママに大事なお話を伝言でしてるだけじゃから」と言って安心させる。

 

 

 『チィちゃんとほぼ同一も魂を持つもの…それはの―――モンちゃんなんじゃよ』




 キャッチ・ミーちゃんが精神女の子なのに関してのお話です。

 ちょっと長くなりそうなので前後編にしてしまい申し訳ありません。


 キャッチ・ミーちゃんがどうして女の子になったのか…勘づいた人にはもれなく

 「君のような勘のいい(以下略)」ってもふキチに罵倒されます(笑)


 しれでは次回またお会いしましょう。See you next story,バイバイ☆

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