【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】   作:野神 汰月

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 本日のお客様はもふキチがお目当ての餡ころもっちもち様です。

 どちらかというと客より襲撃者w

 そして、もふキチにはまだ秘密があって―――


 それではもふキッチン開店です☆


 ※今週二話投稿しております。こちらが二話目となりますのでご注意ください。


七人目 餡ころもっちもち様が襲撃に来ました(笑)

 平和な昼下がりののんびりとした空気が漂うアームスヴァルトニル湖のリングヴィ。

 

 だがそんな平和を乱すものが今まさに猛ダッシュでもふキッチンに向かっていた。それは誰であろうこの人だ。

 

 

 「もふキチおじ様ぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 「うおっ!?」

 

 

 店の引き戸を勢いよく開き神〇のイ〇パルスかと思うほどの勢いでカウンター奥にいたもふキチにカウンターを飛び越えてダイレクトアタックしてきたのは、ふくよ…げふん、ダイナマイトボディを欲しいまま(笑)にこれ絶対センシティブ判定だよね?!と言わんばかりに薄着の白い毛並みを持つコボルト族の餡ころもっちもちだった。

 

 本当に一瞬での出来事で危うく後ろに倒れこみそうだったが何とか耐えて餡ころもっちもちを受け止めた。

 

 

 「やぁっとお店にこれたですぅ!!もうモモンガさんってば酷いんですよ?!『餡ころもっちもちさんはしばらくもふキッチンに行ってはいけません』って私にここに来るの禁止にしたんです!!」

 

 

 それがやっと解禁されたので超音速で来ましたですぅ♪とご機嫌に語る餡ころもっちもち。

 

 それまでは満月になってケモっちゃったルプスレギナや自分で創造したペストーニャ・S(ストロベリー)・ワンコをモフっていたが、どうにももふキチの毛並みの良さが忘れられず毎日暴走してはあちこちを破壊しまくっていたらしい…ご自慢のハンマーで。

 

 

 「やっぱりもふキチさん(の毛並み)は最高ですぅ~…♪」

 

 

 と半ばトリップ状態でもふキチをモフりつつ吸う餡ころもっちもち。

 

 STRタイプのキャラのはずなのに、何故か動きが素早い…豊満我儘ボディなのに〇速のイン〇ルスみたいにひょいひょい攻撃を避ける。一体どうやったらこうなるのか不思議で仕方ない…のだが、今はそんなことをのんきに考えてる場合ではなかった。

 

 今のこの抱き合ってる風に見えるこの状況は、今日に限ってはまずいのだ……。見つかる前に早いとここの状況を打破しなければ―――

 

 

 「あら、旦那様?なにやらかわええ娘っ子とイチャコラしはって……焼けてまうわぁ」

 

 

 店の奥側の方から丁寧なのに冷気が漂ってきそうな言葉が聞こえた。その瞬間もふキチが今まで見せたことのないレベルでビクッ!!と身体を強張らせる。遅かったかと半ばあきらめモードのもふキチ。

 

 そんな彼を恐れさせるのは、もふキチと同じ白い毛並みで黒髪ロングな獣人(ライカンスロープ)狼種(ウルフリング)の暖色系の十二単をまとい、顔には紅い隈取をした女性だった。餡ころもっちもちはその女性に見覚えがある。

 

 

 「ワールドエネミーのアマテラスですぅ!?」

 

 

 そう、その狼種の正体はリングヴィ中央神殿地下イベントのフェンリル戦直前の階層を守護していたワールドエネミーのアマテラスだった。

 

 彼女を視認した瞬間餡ころもっちもちはすぐさまもふキチから飛びのいて、愛用のハンマーをアイテムボックスから召喚する。

 

 

 「ちょ…待つんじゃ二人とも!!みゆきは落ち着いて、もっちゃんはソレすぐしまうんじゃ!儂の店を壊す気か!!」

 

 

 普段、彼の家族のワ-ルドエネミーたちは普通にその名を呼ぶのに対し、もふキチはアマテラスのことを【みゆき】と呼んだ。そこに違和感を覚えた餡ころもっちもちは素直に召喚した武器をアイテムボックス内に仕舞った

 

 

 「―――そんな焦らんでも、うち何とも思うてまへんよ。その子やろ?いつもハラスメント覚悟で抱き着いてくる娘っ子ちゅうんは」

 

 「そうじゃ、この子がお前によう話とったもっちゃん……餡ころもっちもちちゃんじゃよ」

 

 

 なにやら平和に終わりそうだともふキチは大きくため息をついた。……のだが―――

 

 

 「旦那様にはなんも思うとこはあらへんけど……人の夫に粉掛けようとしとる娘っ子には少々思うところがあるんよ?」

 

 

 アマテラス……みゆきのその一言で再度空気が重苦しくなる。その状況に再びもふキチは緊張しだす。

 

 

 「みゆき?頼むからここでおっぱじめるのはやめてくれな?な?」

 

 「解っとりますえ。この店は旦那様の城やさかい、ここでやろうとは思っておりまへん」

 

 

 ここではってことはどっかで殺りあう気なのかともふキチは内心冷や汗が滝のように流れていた。

 

 

 「どういうことですか、もふキチさん!!なんでアマテラスがもふキチさんのことを旦那様と呼ぶんです?後何でもふキチさんはこのアマテラスをみゆきって呼ぶんですぅ!?」

 

 「ちょ、もっちゃんマジで落ち着いて……ああもう、暴れない!!」

 

 

 一種のパニック状態に落ちた餡ころもっちもちを諫めるため、もふキチは仕方なく餡ころもっちもちに麻痺のデバフをかけるのだった。

 

 

 ―――

 

 

 「で、説明していただけるんですよね?」

 

 

 いくらか落ち着いた餡ころもっちもちをカウンターの席に座らせて、飲み物(オレンジペコのアイスティー)を出したところ、ストローで一口飲んでから彼女は口火を切る。

 

 

 「うむ…まあ、奇天烈な話になるがの?このアマテラスは儂の連れ合い……嫁さんなんじゃよ」

 

 「……?ここでご結婚したってことですぅ?」

 

 

 いまいち要領を得ない回答に餡ころもっちもちは首をかしげる。

 

 

 「いや、そうではなくての…現実世界(リアル)での死んだ婆様なんじゃよ」

 

 「―――――え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?」

 

 

 その意味を理解するのに数秒かかったが、理解すると途端に店をも振るわせる大声を上げて驚くのだった。

 

 

 ※※※

 

 

 うちは旦那様と長い時間連れ添った。あの人との初めての出会いは酷いものやったけど少しずつ仲を深めていくうちに愛し合うようなったんどす。

 

 二十代の半ばを超え、あの人とカラオケデートなるものに誘われていったとき、恋の歌をうちに捧げてきてプロポーズしてくださりはった。うちはあの人の歌唱力とプロポーズに完全に堕ちてしもうて、その場で「はい…幾久しゅうに」と受けてしまったんどす。

 

 うちは当時大きな会社を多くもつ家の箱入り娘でした。あの人は天才で力もあったけどまだまだ小さい会社の社長。むろんうちの両親は大反対やった…。けど、凰翔はんがうちのグループ内の問題をさくっと解決したことによって、うちらの結婚はめでたく了承されました。あの時の旦那様はすごくかっこようて…今でも思い出すと頬が赤ぉ染まってまいます。

 

 すぐに子宝にも恵まれ、孫もひ孫もようさんおるようになり、あの人も重役から肩の荷を下ろしてようやっと二人っきりで残りの人生を過ごせる……そう思っとたんやけどなぁ。

 

 橘樹のぼんぼんが旦那様の好きそうなゲームに誘って案の定はまってしまいはって…。

 

 きちんと夫婦の時間を取ってくれはしはりましたが、徐々に短くなっていき―――。まあ、うちがそろそろお迎え来るようになるとゲームそっちのけでうちの事だけに集中してくらはったことには感謝しとります。

 

 でも旦那様の献身いっぱいの介護も空しううちは旦那様より先に黄泉路への旅を……。

 

 そうおもっとたんですが、うっすらとした意識の中でうちはなんやファンタジーな格好の人間と戦っておったんどす。自分の意思とはかけ離れたところで。いかん、そんなことしたらあかん!と何度も身体を止めさせようとしましたができまへんでした。

 

 そんなうちが自分の意思で行動できるようなったんは今から一〇〇〇年ほど前の事やった。

 

 ここはどこなんやろう…。そう思って上へ行くか下へ行くかで悩んだうちは下へ降りることにしたんどす。そしたらそこには昔旦那様が見せてくれはったスクリーンショットに映っとったフェンリルの塒やったんどす。

 

 ほいたら、ここはゲームの中なんやろうか?ゲームの中言うことは目の前で眠りこけとるのは旦那様なんか?

 

 うちは一応ゲームに詳しい。箱入り娘ではありましたがそこまで束縛はされへんかったのでいろいろとゲームをしていたため、旦那様がはまっていた…たしかユグドラシル?というゲームのことは聞いておりました。そして自分がゲームのラスボスのようにしてイベントを開催していると。その時に見せてくれはったんが今うちが見ている光景そのままやった。

 

 しかし…旦那様は何で寝とるんやろか?たしかあのゲームは寝落ちしたらログアウトするというてはった気がするんやけど……。

 

 首をかしげていると、旦那様(フェンリル)の近くにいはった白と黒の狼?がうちに気付いて走り寄ってきはった。

 

 

 「お母様?珍しいですね、下まで降りていらっしゃるなんて」

 

 「おかーさん、おとーさんに会いに来たの?」

 

 

 なんと!この子たち喋れはるんですね。少し驚きましたが昨今のゲームではこういう風にNPCいいましたか?も喋れるようになったんやねぇ。でもお母様とは?

 

 

 「お二人はん、お名前は?それとなんでうちの事お母様いいはるん?」

 

 

 そううちが問いかけると狼の二匹は顔をかしげ―――

 

 

 「え?だっておとーさんのお嫁さんでしょ?だからおかーさんはおかーさんだよ?」

 

 「ええ、狼姫の言う通りお父様の奥さまですもの。お母様とお呼びするのは普通ですわ。それと名前ですが私が白夜、こっちのスコルが狼姫ですわ」

 

 

 そう言って自己紹介もしてくれはった。けどあまり要領が得られませんなぁ……。

 

 もう少し詳しう尋ねてみても「そう感じるから」としか言わはりませんし…。それにしてもこうしてお話してるのに旦那様は一向に起きる気配ありませんな?

 

 

 「おとーさんね、一年くらい前から急にいなくなってさっき戻ってきたんだけど…」

 

 「この通り何をして起きてくださいませんの……」

 

 

 狼姫と白夜と名乗った二匹の狼さんはそういうて耳と尻尾がへたっとなってしまいました。今はそんな場合ではないと思ったのですがとても可愛いらしゅう思うたんどす。

 

 それにしても本当に起きていらっしゃらへんな?不思議に思い、うちは旦那様のところへ走るのははしたない思うて歩いて向かいました。

 

 もしかしたら―――なんて思いもあり、本当なら駆け寄りたいとこなんですが。十二単なんて動きにくい思いましたがなんということもあらへんで、旦那様が寝取う高い所の前まで来ることができました。

 

 

 「……よかったわぁ、本当に寝てらっしゃるだけ見たいどすな」

 

 

 近づけばお腹のあたりが伸び縮みして呼吸してるのわかるし、息も感じられました。うちは安心してホッと溜息を一つつきました。

 

 うちはそれからというもの、旦那様が寝ているところの上の階(十二階層だそうです)の自室(うっすらとしていた時から知ってはいましたが)に戻り、毎日旦那さんのところに通いました。

 

 今日こそは起きてきてくれはるやろうか…。そう思いつつ一〇〇年がたち―――

 

 

 ※※※

 

 

 「一〇〇年も寝て居られて、起きたらすぐうちのところ来てくれはる思っとったんに、この人すっ飛ばして町の方に行ってしもうたんですよ」

 

 

 事情をアマテラス……みゆきの口から語られもふキチは居心地悪そうに縮こまっていた。だってまさか自分の奥さんがゲームのMobに転生?憑依?してるなんて夢にも思わないだろう。さらに言えばみゆきの話を聞きながらも餡ころもっちもちはもふキチをモフリ続けている。

 

 その話を三杯目のアイスティーを飲み終えた餡ころもっちもちは「はぇ~…」と聞いていた。

 

 

 「それはもふキチさんが悪いですぅ」

 

 「え、儂が悪いんか?!だって「あ、これ死んだな」って思った瞬間意識引っ張られて起きたら一〇〇年経っとったっていうだけじゃよ?!」

 

 

 そう言って某RPGの断髪したら性格良くなったまだ断髪前の彼のように「俺は悪くねぇ!!」をしだすもふキチ。

 

 まあみゆきが転生し、そうやって毎日会いに来てくれていたことを後で知ったもふキチは滂沱の涙を流して抱き合い再開を喜んだのだが。

 

 

 「それでもですぅ。男なら気合と根性で起きるものですよ!!」

 

 「無茶言わんでくれ…本当に儂の体感じゃと一瞬じゃったんじゃから」

 

 「気合が足りてないんですぅ!!今から私が根性注入してやるですぅ!」

 

 

 そう言って餡ころもっちもちは再びもふキチに襲い掛かってモフりまくるのだった。

 

 それをみゆきは「あらあらうふふ」しながら見ていたのだった。




 なんか筆のってもう一話できてしまったので投稿…。あれ?餡ころもっちもち様のお話のはずがもふキチ嫁の話になってね?

 京都出身の京言葉使ってる皆様にまずお詫びを…。もうしわけありません!!(五体投地


 今回の新キャラ、もふキチの嫁!ができたんですがしゃなりとしたおっとり系にしようと思ったところ、「そうだ、京都にしよう()」というのが浮かんで京言葉にしました。

 私色んな地方の方言混ざってるなんちゃって弁しか使えないので…お見苦しかったら「ヤメロよこのばか!」とどこかの運命の主人公(最近では劇場版で犬と化した)みたいに罵ってやってください(´・ω・`)


 今週2話と新シリーズ1話で頑張ったので、もう休んでもいいよね…。あ、新シリーズの方もどうか見てやってください(ダイマすんな


 ではまた次のお話でお会いしましょう、See you next story,バイバイ☆

 追記:配信の仕方でアンケート実施しています。よろしければお答えください。

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