【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】   作:野神 汰月

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 本日は一万UA突破記念で特別編になります。

 少し時期外れてますがお月見しながらいっぱいという話です。



 それではもふキッチン開店です☆


仕込み中 一万UA記念 月見酒

 とある満月が綺麗に見える日…。スーパー(っていうかウルトラじゃね?)ムーンを肴にみんなで酒宴をしようともふキチが言いだしたのがきっかけだ。

 

 アームスヴァルトニル湖の南に位置する草原でそれは開催された。

 

 GM権限があるもふキチだからこそできる丁度いい気温、天候、星々の煌めきの下でアインズ・ウール・ゴウンのメンバーともふキチたちが酒を酌み交わしていた。

 

 

 「まさか御婆様まで転生していらしたとは…驚きです」

 

 「ほんまになぁ…うちもこういう形で旦那様と再会できるとは思うておりまへんでしたえ」

 

 

 日本酒の久保田のぬる燗を一緒に御猪口でちびちび飲んでいるアマテラスこともふキチの実の妻みゆきとテル・ミーこと旧姓如月 輝美は話し合っていた。キャッチ・ミーも「おばあちゃま♪」といってみゆきの膝の上で甘えていた。もちろんキャッチ・ミーはお酒ではなくジュースを飲んでいる。

 

 

 「最初の頃は自分の意思で動かれへんかってんけど、おそらくゲームがリアルになったからやろな…自分の意思で動けるようになったんよ」

 

 「そうでしょうね……しかしアマテラスに転生されてたとは」

 

 

 そう言いながらテル・ミーは深雪の空いた御猪口に酒を注ぐ。

 

 

 「おおきに…。そういえばうっすらとやけど、あんさん方とも戦った記憶がありますえ」

 

 「もうほんと強烈でしたですぅ…」

 

 

 みゆきがそうテル・ミーの逆隣りに座っていた餡ころもっちもちに話しかけると彼女はげんなりと肩を落とした。

 

 当たり前である。何を隠そうリングヴィ中央神殿地下イベント会場全一三階層の中でフェンリルを除くとアマテラスであるみゆきが最強なのだから。

 

 デバフ無効、弱点無し、だけど向こうは弱点攻撃してくる上にデバフまでかけてくるうえで自己にバフ付けてくるもんだから最悪である。デバフ解除要員を置いて解除(ディスペル)しまくってもらわなければ即瓦解する相手なのだ。

 

 その横をそれまで戦い抜いてきたギルメンに託してモモンガ含め六名はフェンリル戦に挑んだのだ。まあ、フェンリル本体には何もできずにハティスコの玩具にされて終わったのだが…。

 

 今思いだしてもイラっと来る案件である。たとえ自分の曾祖父の仕業だったとしてもだ、とみゆきの前の席に着いているモモンガは思った。

 

 そのイライラを感じ取ったわけではないだろうがちょうどいいタイミングでもふキチが追加の料理を持ってきた。

 

 

 「追加の料理持ってきたぞ。今回は肉じゃがと芋煮じゃよ。秋じゃしのぅ」

 

 

 秋の主役といえば芋!とばかりに芋系の料理を持ってきたらしい。ちなみに肉じゃがの肉は手羽元だった。

 

 で、何の話をしていたのかと聞くと、自分が開催していたフェンリルイベの話だったと聞くともふキチは苦笑した。

 

 

 「仕方なかろう?フェンリルの子供として言い伝えられる太陽を追う者(スコル)月を追う者(ハティ)なんじゃから…。あとあの二匹にはちゃんと対応策があったんじゃよ?」

 

 「え…?」

 

 

 間抜けな「え…」が我らが可愛いモモンガから漏れ出た後もふキチはその対応策と言いうものを話し出す。

 

 

 「よく考えてみればすぐわかる事じゃよ?スコルには太陽の魔力を持つものを、ハティには月属性を持つ何かを追いかける習慣がある。メンバーにそういった類のアイテムや装備もっとるやつがいれば追いかけっこが始まってそのうち疲れて止まるんじゃ。その間に儂に攻撃…っとくるのが正解じゃよ」

 

 

 わかるかそんなもん!!

 

 とあの戦いに挑んだ者たちが一斉に叫ぶ。

 

 大体であるが、YGGDRASILLは伝承を基に作られてる側面がある。ならばその伝承やらを読み解いてイベントを熟してこそのユグドラシラー(YGGDRASILLプレイヤーの事)だろうともふキチは言う。

 

 優先順位なのか分からないが、確かに後衛職を斃した後に狙われたのはペロロンチーノと餡ころもっちもちだった。ペロロンチーノは対もふキチ戦の為に作ったゲイ=ボウが太陽の属性を持っていたし、餡ころもっちもちの専用ハンマーは月属性だ。確かに言ってることはあってるのかもしれない。

 

 だがしかし、司令塔となる人物(モモンガのこと)が後衛職で真っ先にやられてしまってはどうしようもなかっただろう。と愚痴ったのだが…。

 

 

 「開戦直後にバフかけようとしたりヘイト集めようとしたらそりゃそうなる。その前に各属性のキャラが鬼ごっこせにゃ」

 

 

 とからからと笑いながらもふキチは言う。そして、最後の料理を出すためにまた転移(テレポート)で自分の店へと戻ってしまうのだった。

 

 

 「なんや聞いてるとあの人らしい思う話やなぁ」

 

 

 一瞬の静寂の元、そう言ったのはみゆきだった。

 

 

 「あの人は難しいけど絶対に解けへんような謎やからくりを絶対にしやしまへん。それでもってあちこちにヒントを隠しておくんどす。いくらそのイベントの内容をプレイした人間が伝えられへんでも確実に準備できることをあちこちにばら撒いてはったはずやわ」

 

 

 みゆきのその言葉にモモンガはふと思ったことがあった。ゲーム時代のリングヴィの町では様々な商品がNPCたちによって売られていた。その中には現実世界(リアル)にある国の特産だったりお守りだったりやら『なぜこんなものを?』と思うものが多かった気がする。

 

 そう思うと準備できることは確かに多かったのかもしれない。それでも彼はこう思うのだ……性格ひねくれすぎ!運営とそりゃ良い仲になるよな!!と。

 

 もふキチがこのアームスヴァルトニル湖というフィールドをここ限定とはいえGM権限付きで譲られたのにはいくつか理由があった。

 

 一つは最高難度のワールドエネミーである世界樹の上の黄金の果実を守護する雄鶏を斃し、その黄金の果実(世界級アイテム)での交渉。

 

 二つ目は如月財閥というとんでもない企業団体からの寄付。

 

 そして最後にもふキチのあの性格だろう。そうモモンガは思ったのだった。

 

 

 ※※※

 

 

 さて、最後の料理に取り掛かる前にちょいと準備をせにゃならんなぁ。

 

 前日に挽いておいた上新粉とモチ米を引いたものを今回は弾力が出るようにするため四:六の割合でブレンドする。そしたら何度かふるいにかけてダマが出ないようにする。

 

 それが終わったら適温にしたぬるま湯を少しずつ丁寧に入れコネ合わせ、いい具合のもっちり感になったところでやめる。

 

 普段は蒸すんじゃが今回は量が多い上にはよ作って持って行ってやらんといかんのでゆでる方で作る。

 

 いったん慕情にしたそれを同じ二センチほどに切り分けていき手で丸くする。あ、安心していいんじゃよ?儂の毛って絶対抜けないから(誰に対して言い訳しとるんじゃろな?)。

 

 

 「~♪」

 

 

 月夜にピッタリな曲を鼻歌で歌いつつ儂は丸めた団子をぐつぐつと湯が沸く大鍋にポイポイと投入していく。時々鍋の底に引っ付かんようにお玉でかき混ぜるのも忘れない。

 

 三分ほど茹でたら氷水などでしめる。さて、団子は出来たがこれは関東風。ということはもちろん関西風もあるわけで、みゆきのためにもひと工夫しますかのう。

 

 儂はそう独り言ちりながら奥にしまってあったとっておきを取りに行くのじゃった。

 

 

 ―――

 

 

 「戻ったぞい、お待ちかねの団…子…」

 

 

 儂が戻るとそこは地獄絵図じゃった。茶ーちゃんにフルボッコされとる鳥は見慣れておるが、テルに正座させられてお説教されとるたっちぃなぞ久しく見んぞ?何やらかしたんじゃこやつら…。ベルトさんも少し距離を置いたところでどんよりしとるし。それをへろちーがけらけら笑っておる。

 

 

 「ああ、旦那様おかえりやす。いまちょっと悪い子にお説教しておりますさかいにちょお待っとってください」

 

 

 鳥はまぁなんとなく想像ができる。チィちゃんかうちのみゆきの胸(花魁みたいに十二単から谷間が見えるんじゃよ…直そうとしてもそうなってしまうんじゃ)でも見てヤラシィこと考えとったんじゃろうな。あ奴すぐ顔に出るし。

 

 しかしたっちぃとベルトさんは?なんかいつからだったかはわからんがそんなに言い争ったりすること無くなっとったんじゃが……。

 

 みゆきに事の顛末を尋ねると、鳥はま当たりでたっちぃとベルトさんは久々に正義と悪について話し合って火がついてしまい武力行使しそうになったところテルにメテオされたらしい。(メテオとは言うが単に土系魔法上位のやつを空から落とすだけ)

 

 慌てて避けたため個々に被害はないが(フィールドは…まあ、うん。後で直しておくとするかのう…。ここバステトの領地になっとるし)武力行使に出そうになったたっちぃを今テルがお説教中なようじゃ。

 

 

 「あら、旦那様。月見団子、関西風も作ってくれはったんどすね?」

 

 

 儂が両手に大量の団子が乗っておる盆を見て嬉しそうに笑う。その笑顔、プライスレスじゃよ。

 

 

 「ほら、説教はその辺にして団子で来たぞい!!」

 

 

 儂はまだ説教の途中だった連中に大声で呼びかける。するとすぐに反応した鳥が「お前は最後だバカ愚弟!!」とみぞおちに一発入れられてダウンした。あやつAGI=DEXの紙装甲じゃからなぁ…。

 

 テルの横炉も一旦は終了という形で二人そろってやってくる。ベルトさんもまだけらってるへろちーと一緒に戻ってきた。

 

 

 「こっちの何にもついてないのが関東風。で、餡が巻いてあるのが―――」

 

 「その前にお爺ちゃん…」

 

 

 みゆきに引っ付いてチィちゃんと避難していたモンちゃんが儂の説明を遮る。

 

 

 「なんかその餡子金色に輝いてみるんだけど……」

 

 

 口元を引くつかせながら言うモンちゃん。ふむ、この様子だと知っておるな?

 

 

 「うむ、この餡に使ってるのは黄金小豆じゃよ。それのこしあんと粒あんの二種類。ちなみにさっき言いかけたがこの巻いてある方が関西風じゃ」

 

 

 元はサトイモのように見せるためとかじゃった気がする…そんな話を聞いた覚えがある…。ま、違ったら違ったでええじゃろ。味には関係ないしの!!

 

 

 「今回関東風の方には一切甘味料は使っておらん。新米のうるち米とモチ米を石臼で丁寧に引いた粉を使っておる。米の自然な甘さを堪能しておくれ。関西風は言うに及ばず…美味いこと間違いなしじゃよ」

 

 

 儂はそう言って人数分の菓子楊子(和菓子を切ったり刺して食べるアレ)を配る。モンちゃんは「うわぁ…」と呟いて蹲っておるが…はよせんと全部食われるぞ?

 

 

 「んっ、美味しい!!」

 

 「うっま!!」

 

 

 そう声を上げたのは茶ーちゃんとベルトさんだった。食べたのは関東風。そうじゃろそうじゃろ、うちの自慢の米使っとるからの。

 

 

 「これ本当にお砂糖とか使ってないんですか?!」

 

 「うむ、関東風には一切使っておらんよ」

 

 

 もっちゃんが少しはしたないが食べながら口元に手を当てながら訪ねてきた。そう一切使ってないのに感じるその甘さが米本来の甘さじゃ。

 

 そして、それに合う日本酒を儂は出す。玉乃光 純米大吟醸の京の紫…優雅でキレの良い日本酒じゃ。

 

 

 「あら、旦那様…京のお酒にしはるなんて。うちに気ぃ使わんでもええんよ?」

 

 「いや、そういうわけじゃないんじゃよ。何故かうちの米を使った料理には京都の酒がよく合うんじゃ…」

 

 

 本当なら気を使ったと言いたいところなんじゃが、本当にうちで取れた米に京の酒が合う。まあ、大体察しはつておるんじゃが…。

 

 

 「ほれ、早く食べんとなくなってしまうぞ?」

 

 「ええ、ほんまどすね…。皆はんよう食べはりますわ」

 

 

 そう言ってみゆきは関西風のを口に入れ「お上品で程よい甘さどすな」とにっこり笑い、酒を口にするのだった。




 ということで、UA祝一万オーバー記念でした。

 十一月になってしまいましたが時期的にも遅くないかなと思いお月見にしました。

 最近めっきり冷え込んできましたけどね(´・ω・`)


 皆様もお体にはお気を付けください。それではまたお会いしましょう。


 See you next story,バイバイ☆

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