【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】 作:野神 汰月
入出禁止の部屋にポータルあるはずなのにどうやってきたのか…。
そしてなにが目的なのか…。こうご期待(笑)
それでは本日ももふキッチン開店です。
暦上秋となる今日この頃。少しずつもふキチが温度を下げつつ山々の紅葉にも気を使い始めた。
アームスヴァルトニル湖は本来一年通して気候は安定してる為四季はないのだが、それでは困ると思いもふキチが神経とがらせながらも管理していた。
そんなある日、ありえないはずの来客があった。
「もふキチ様、いらっしゃいますでしょうか?」
最近よく乱暴にされがちなもふキッチンの引き戸が静かに開けられ、一人の女性が入店してきた。
その女性を見るなりもふキチは驚く。
「アルベド!?アルベド何で!?」
ナザリックが異世界転移したその日に「獣風情」と言いかけ、ちょっぴりもふキチをピキらせちゃったり、その後もナザリックにもふキチが行くとよそよそしかったりしたアルベド。
しかもここに来るためにナザリックに設置したポータルは、ギルメンともふキチが制作したルプスレギナ以外は入ってはいけないと厳命された部屋にあるはず。だから来れないと思っていたのだが……。
「この度、リザードマンの集落を庇護することになりまして、何故かそこにこちらへ繋がるポータルがあったものですからつい……」
どうやらこのサキュバスさん、我慢できずに「入っちゃいけないところじゃないからいいよね?」という子供じみた理論で来ちゃったらしい。
しかし、リザードマンの集落?あそこはもふキチが初めて扉を通った時に出たところにできた集落で、もともともふキチがそこに住み始めた彼らに何かあったらこっちに避難するよう言っていたはずなのだが何かあったらしい。
「どうもレイドボスが湧き、それにリザードマンたちが『もふキチ様の手を煩わせるな!我らで解決するぞ!』と勇みこんだらしく…」
アルベドの説明を聞いて、もふキチは「あちゃ~…」と頭を抱え込む。あそこにはお気に入りのリザードマンの番がいるのでいろいろと甘やかしてしまったところがもふキチにはあった。
それ故に自分に迷惑をかけないようにと勇み足で行ってしまったんだろう。
「被害はどの程度じゃ?」
「いえ、被害が出る前に御身たちが討伐なさいましたので影響はございません」
どうやら偶然外をほっつき歩いていたどっかの鳥が発見し、ギルメン全員でわいわいしながら討伐したそうだ。まあ、久しく彼らなりの戦闘らしい戦闘がなかったのもあってはっちゃけたんだろう。だが「我らにお命じ下さればよろしいものを…」と不満を漏らすアルベド。そこはまあ察してやれとしか言いようがないが…。
そのレイドボス(ザイトルクワエ)が斃される直前にリザードマンたちが来たらしいのだが、たっち・みーの一撃でリザードマン到着と同時に斃されたらしい。
それで話を聞いてみるとなにやらもふキチが気にかけている種族だということでそれなら自分たちもとなったとか。
「で、アルベドはそれを報告に来ただけというわけじゃないんじゃろ?」
「はい、以前モモンガ様のご祖父様とは存じ上げず獣風情と言ってしまいそうになった件、深くお詫びしたく……。ただ自死をもって償うことは固く禁じられておりますのでどう贖ってよいのかわからず…」
あ~、そんなこともあったなぁ程度のもふキチに対し、何やら必死なアルベド。もふキチが「もう済んだことじゃ、気にしとらんよ」というがアルベドは納得しない。
たしか以前モモンガに会った時に「タブラさんがアルベドの設定最後に書き換えたらしく…」という話は聞いているのでそれ関係だろうか?
「
とつとつと自身の心情を語りだすアルベド。その話を要約すると、ギルメン全員愛しているがモモンガだけは別格に好きなのだとか。
その理由はタブラが限界まで書き込んだフレーバーテキストにある。設定を色々読み解くと【アルベドはモモンガの嫁になる】という一文が出来上がるのだ。
以前餡ころもっちもちが「そういえばタブラさんがアルベドはモモンガさんの嫁にするとか言ってたですぅ」と言っていたのを思い出し、すでに外堀埋めてやがったなあいつともふキチは思った。
「それで、儂に料理を教えてほしいと?」
「はい…その…以前の事があり厚かましいのは重々承知しておりますが、ピッキー(ナザリック副料理長)やシホウツ(ナザリックの料理長)に教わるわけにもいかず、向こうではどうしてかまともに料理を作れませんので……」
そう、何故かモモンガたちのいる世界では、自分に合わない職業の事柄全てが全くできないようになっていた。それに関して一〇〇〇年以上あの世界と密接になっているもふキチにもわからなかった。
まるでゲームの仕様がそのまま現実になっているようなところも多々みかけられる。本当に謎な世界である。
「……まあ、儂でいいならいいが。だがまずは簡単なもの、そして基本となることからしか教えんぞ?」
「ああ、お教えいただけるのですね!ありがとうございます!!」
アルベドはそう言って深々と頭をさ上げるのだった。
―――
だが、アルベドに料理を教えるのは困難極まっていた。
このアームスヴァルトニル湖の世界でなら職業関係なしに料理ができることは分かっていた。前回来店したヘロヘロがそれを実証して見せていた。今日ヘロヘロは休日日だったので良かったとも思える。
アルベドは力加減が苦手なようで、包丁を持ち、野菜などを切ろうとするとまな板どころか台まで切り裂いててしまう。卵を割ろうとしたら四散するし、鍋をかき回そうとしたらお玉で鍋がぼこぼこになる。もう料理を教える以前の話となってしまった。
普通に食器を持って食事ができるところを見る限り、力加減ができないということはなさそうなのだが―――。
「―――もしかして緊張しとるのか?もしくは張り切りすぎているのか…どっちじゃ?」
「……恐らく両方かと」
ふとした疑問を投げかけるとそう返ってきた。
なるほど、初めての料理に挑戦する緊張と、愛しい方へ愛の手料理(?)をという二つの感情が邪魔をしているらしい。それならばともふキチは一つのアイテムを取り出しアルベドに渡す。
「これは精神安定がかけられてるマジックアイテムじゃ。それを付けてもう一度やってみぃ」
もふキチが渡したのはラピスラズリがはめ込まれた簡素な指輪だった。本来アクセサリーをつけての料理はあまり好ましくはないのだがこの際仕方ないと割り切る。
想いを込めた料理を!には反するかもしれないが緊張と興奮が原因で自分の城(調理場)を破壊されては困るのだ。まあ、ほぼワンタッチで修復できるのだが(GM権限で)。
それをアルベドが装備したのを見届けて、今回は卵を割るようにいうと、恐る恐るといった感じでゆっくりと卵にボウルのふちでひびわれを入れる。すると今度はいい感じでひびを入れられたので両手を少しプルプルさせながらボウルに卵を割り入れる。
「で、できました!!」
「うむ、ではその調子であと二つ割り入れてみな」
喜ぶアルベドにもふキチは少し安堵しながら彼女に指示を出す。今作ろうとしてるのは卵焼きだ。だが卵焼きをバカにしてはいけない…これは基礎中の基礎なのだから。
次々に指示を出すもふキチに真剣に取り組んだ結果、少し焦げがあるが何とか卵焼きを作ることに成功した。
少し焦げ付いてしまったのは今日の卵焼きは甘めの砂糖を入れたやつだからだろう。初めてのものにしては上出来である。もし出汁巻きなどだったらそこそこ見た目も綺麗だったかもしれない。
「それを持って帰ってモンちゃんたちに食わしてやれ」
アルベドの最初の作品である卵焼きに保存の魔法をかけながらそういうとアルベドは慌てだした。
「そんな…このような失敗作を至高の御方がたに召し上がっていただくわけには!!」
「いいんじゃよ。初めてにしてはようできておるし、最初の一品だ。連中は喜んでお前さんをほめながら食べてくれるだろうよ」
帰りはナザリックの方に設定してやるからさっさと帰って食わせて来いと、もふキチはアルベドの背中を押して、異世界の門まで連れて行き押し帰す。
その時に「指輪とあと今後お前さんもこっちに行き来できるようモンちゃんに言っといてやるからまた料理したくなったら来るとええぞ」というとアルベドは満面の笑みでもって帰って行った。
※※※
何やらアルベドが勝手にリザードマンの集落のポータルを使っておじいちゃんの所に行ってきたらしい…。元NPC達が自分で考えて行動してくれるのは嬉しいのだが、勝手に行ったことはしかりと怒っておいた。
何しに行ったのかと聞けば、初顔合わせの時の「獣風情」についての謝罪と料理を学びたいからだったという。
アルベドに料理?できるのか?この世界では
更に深掘りをして尋ねれば、アームスヴァルトニル湖では普通に料理ができたらしい。今アルベドが持ってる少し焦げ付いた卵焼きは自分が作ったそうだ…。まあお爺ちゃんに教わりながらだそうだが。
「そうか、では今日のことに関してはお前を許そう、アルベド。それで?私たちにお前の初めての料理をふるまってくれるのだな?」
「お許しいただきありがとうございます、モモンガ様…。ええ、もふキチ様にも初めての料理だから召し上がってもらえと言われました。ですがこのような―――」
「良いのだ、アルベド。誰しも初めては上手く行かぬものだ。私とて初めての事には失敗もする」
俺も料理実験して失敗しちゃったしねぇ…。その後は職業に合わないことはできないと分かったからいいんだけどさ。
「それにその卵焼き、少し焦げているだけではないか。上手にできてると私は思うぞ」
「ありがたきお言葉、感謝の念に堪えません。そ、それでは一切れ召し上がってくださいませ」
みんな周りにいるんだけど、どうやらアルベドはギルマスである俺を優先させてくるようだ。
「うむ、では頂こう……うむ、甘めの味付けだが美味いぞ。よくやったな、アルベド」
一切れ口に入れ味わうとそれはお爺ちゃんが作る出汁巻きよりも甘めで少し硬めだったがとても美味しく感じた。
なによりNPCが自分で動いて努力した結果なんだ。不味いわけがなかった。
「ああ、本当に……もふキチ様のおっしゃったとおりでしたわ」
なんか俺が感慨に更けてたらアルベドは感動が振り切れたのか滂沱の涙を流し、みんな慌てふためくのだった。
その後みんなも食べて美味しいぞとほめていた。だから俺はその後お爺ちゃんから
というわけでベドさん初めてのお料理(お使いの方のBGMかけてください)回でした。
タブラェ…最後の文字を書き換えただけではなく外堀埋めるとかやりおるな!!
それでは本日はこの辺で。また次のお話でお会いしましょう。
See you next story,バイバイ☆
追記:活動報告に重大発表があります。よろしければご覧ください
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