【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】   作:野神 汰月

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 十人目を書いて「更新日いい夫婦の日じゃねぇか!?」と思いだして急遽二話目。本日は二話投稿です。

 ご来店客は死別したはずなのにゲームの世界に転生し、転移したことで現実になって再開したもふキチの奥さまがご来店です。


 京ことばだらけになるけど頑張るぞ!!そしていつも誤字報告をしてくださり感謝してます。



 それではもふキッチン開店です☆


 ※注意:本日は二話投稿です。こちらが二話目なのでご注意ください。


十一人目 アマテラス(みゆき)様がご来店しました

 「おばんどすえ」

 

 

 そう言っても夜も更けてきたころにふキッチンに入ってきたのはアマテラスこともふキチの嫁(ガチ)のみゆきだった。

 

 みゆきがこうして来客としてくるのは珍しく何かあったかともふキチは慌てる。

 

 

 「みゆき、どうしたんじゃ?いつもなら勝手口から入ってきおるのに」

 

 「あらあら、何か心配させてもうたみたいですみません。ただ、うちもたまには客として旦那様の手料理、楽しみたいだけどすえ」

 

 

 そう言ってみゆきはもふキチの前のカウンターに腰を掛ける。その所作は十二単着てるのにどうなってんだと思うほど上品な所作だった。

 

 別段別の服を持ってない訳でも着れない訳でもないが、外に出る時はいつもこの十二単に着替えてくる。

 

 

 「―――そういえば」

 

 

 ふと何かを主出すもふキチ。大分時間間隔がバグってきているが、今日は確か―――。

 

 

 「そう言えば結婚記念日じゃったのう。儂とお前さんの」

 

 「思いだしていただけて嬉しいどすえ」

 

 

 もふキチの言葉にはんなりと笑みを浮かべるみゆき。

 

 忘れていたわけではない。結婚という人生の大舞台のことをもふキチが忘れるわけはないのだ。ただ、この世界にはカレンダーがない。

 

 もふキチの瞳に映るまだゲームの時と同じUIに日付と日時が表示刺されるのみだ。これは町の元NPC達や守護者にはない。

 

 言い訳でしかないが、最近はこの表示すらカットしていた。私生活に邪魔なのだ…。

 

 

 「これでもう何回目の記念になりますか……えろう長う時間生きてると何かと忘れ気味になりますなぁ」

 

 「今日で一一〇〇回目じゃよ。すまんの、最近日付表示消してしまっとってな」

 

 

 そう言いつつもふキチはさくっと暖簾を仕舞い、店を閉めてしまう。

 

 今日だけは営業時間を短縮し店仕舞いをする。本来ならあと半刻(一時間)ほど営業する時間なのだが…。

 

 

 「それじゃあ今日は一日だけ、居酒屋もふキッチンになるとするかのう」

 

 

 そう言ってまずお通しに蛸とワカメの酢の物を小鉢でみゆきに出す。

 

 日本酒はもっきりスタイルで獺祭を用意した。個人的に祝いの酒とくればこれだともふキチは思っている。

 

 

 「ん…酸味も程よい塩梅で美味しおすえ」

 

 

 まずは酢の物を口にしてから日本酒をこぼれないように啜るように飲むみゆき。「獺祭の純米大吟醸、それも二三磨きのええやつどすね?」と出した日本酒の種類まで当てるみゆき。

 

 彼女の味覚は鋭く、まずいものはまずいと普通に言ってくるのでもふキチも手は抜けない。

 

 

 「さて、お客さん。本日は何をいたしましょう?」

 

 「せやねぇ…てっさ、いただけますか?」

 

 

 居酒屋の雰囲気を醸し出しながら訪ねるもふキチにみゆきはてっさ(関西でのフグの刺し身のこと)を注文する。

 

 しょっぱなから難しいものを頼みなさる。ともふキチは心の中で汗をかきながら「あいよ」と元気に返事をした。そして作れるということは何気にフグの調理師免許を持っているということだ。料理は趣味だと言い張るこの男、あなどれない(笑)。

 

 解体したフグの切り身を丁寧に薄く透けるほどのそれを維持しながらもふキチは引いていく。

 

 普通は大皿に花びらが咲くがごとくに並べるのだが今日は少し小さめの皿にフグ刺しの花を描く。それにネギなどの薬味ともみじおろしとポン酢を小皿でだす。

 

 我ながらなかなかの自信作じゃ。ともふキチは心の中で満足げになっていた。

 

 みゆきは、「おおきに」と言って受け取ると早速薄いフグ刺しを二枚ほど箸で掬い、ネギを巻いて紅葉卸を少々添えてポン酢を少しつけてから口に入れる。

 

 

 「ん…厚さも均一でいいお味どすえ」

 

 

 何とかみゆきの舌の審査には通ったようでホッとするもふキチ。

 

 次の料理は先ほど捌いて刺し身にしたフグの身の残りをカラッと唐揚げにして出した。

 

 

 「下味はついておるでの、そのままいっとくれ」

 

 「ええ…外はさっくりとからりと揚がっていて中はほっくり、ええお味どす」

 

 

 そう言ってみゆきは微笑んだ。そして空になった酒のグラスに、もふキチは今度は京都の酒を注いだ。これも日本酒で神蔵という祭りにちなんだ名前の酒だった。

 

 二人にしてみればこの結婚記念日は一種の祭りなのだ。だから先ほどから祭りにちなんだ酒をもふキチは出していた。神蔵は香りも味わいも高次元で融和させた良い酒だ。それでから揚げの濃いめの味を洗い流す。

 

 次からは京都のおばんざいを中心に小出しにしていく。まずは南瓜の煮物、味噌だれで食べるふろふき大根など。

 

 

 「生まれ故郷の味を出してもろてほんま嬉しいわぁ…生前より腕、上がったんと違います?」

 

 「まあ、そうじゃろうなぁ。この世界では特殊技術(スキル)があるからのう。お前さんの記憶にある味に近づけられとったら嬉しいんじゃが」

 

 

 最後に小さな船盛の刺し身三種盛(鯛・平目・サーモン)を出し、もふキチもカウンターから出てみゆきの横に座る。自分には日本酒ではなくビールをグラスに注いで。

 

 

 「いややわぁ。うちの思い出の味は確かに京都の味でしたが、今ではもう旦那様の味が思い出の味ですえ」

 

 「嬉しいこと言ってくれるのう…」

 

 

 そう言って二人は額を突き合わせて微笑むのだった。




 というわけでいい夫婦の日にちなんでもふキチとみゆき(アマテラス)のイチャイチャ話でした。少し短いですが…。

 ちゃんとイチャイチャしてる感出てればいいなぁ…。



 それではまた次回お会いしましょう。See you next story,バイバイ☆

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