【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】   作:野神 汰月

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 本日は原作では悪の権化だったデミウルゴスがご来店です。

 果たして原作とはどう違うものなのか、お楽しみください。


 それでは本日ももふキッチン開店です☆


十三人目 デミウルゴス様がご来店しました。

 カラッと晴れた冬に差し掛かる今日この頃に、本日ももふキッチンに来客があった。

 

 

 「どうももふキチさん。また来ちゃいました」

 

 「おう、ベルトさん。こないだぶりじゃの?そして……」

 

 

 来店してきたウルベルトの後ろに控える悪魔の姿をチラ見する。

 

 オレンジと白のストライプ柄のスーツに身を包み、小型の丸眼鏡をしたツンツン頭の悪魔。それはウルベルトが創造したNPC、ナザリック第六階層を守護する守護者デミウルゴスだった。

 

 

 「お久しぶりでございます、もふキチ様。我が主人ウルベルト様の敬愛なさる貴方様に再びお目にかかることができ恐悦至極にございます」

 

 

 デミウルゴスはそう語ると膝をつき、アインズ・ウール・ゴウンのギルメン以外に初めて最敬礼をした。

 

 デミウルゴスがもふキチに会うのはこれで二度目だ。最初の邂逅は忠誠の儀でのこと。ウルベルトの悪を…いいやアインズ・ウール・ゴウンの悪とは何かを築いた第一人者であり、ウルベルトが大きく影響を受けた者だと紹介された。そして自分も敬愛するモモンガの曾祖父だとも。

 

 それを聞いた守護者たちは即自分たちの主と同じく…いやそれ以上の存在なのだと心に、魂に刻み込まれた。

 

 真の悪とは力を持たず絶えず搾取されるもので、世界の理をそのまま体現する真の正義を守り味方する者の事だと。

 

 全ての守護者にはフレーバーテキストにもふキチの悪の在り様を刻み込まれているのだが、一層深く魂の奥にまで浸透した瞬間だった。

 

 

 「今さ、リ・エスティーゼ王国の闇を暴いてる最中なんですけどね…どう民たちに一切の被害を出さずにクズどもを排除するか悩んでいましてね?」

 

 

 原作ではゲヘナ編あたりの事が今現在起こっているようだ。それで市民に誰一人被害を……いや街へも被害を出させずに粛清という名の死をどう与えようかと、ウルベルトも、守護者の中で一番の頭脳を持つとされるデミウルゴスでさえ頭を抱えていた。

 

 そこでもふキチに助言を貰おうと来たというわけだ。

 

 立ち話もなんだから座れと言うとデミウルゴスは「いえ、ウルベルト様がおかけになるのは良いですが私は―――」などと言い始めるからもふキチは「アインズ・ウール・ゴウンとは違いここでは儂がルールじゃ、座れ」と一括するとおずおずとカウンター席に座る。鋼鉄の殻をかぶる尻尾で椅子を傷つけないように慎重に。

 

 とりあえず座った二人に何も出さないのはどうかと思い、もふキチはバーボンをロックで二人にサーブした。

 

 

 「今回は前のと違う酒ですね?」

 

 「前のもじゃが今度のもウチで作ってるバーボンの三十年ものじゃ。美味いぞ?」

 

 

 もふキチに礼を言いいただきますと言ってひとくち口に含むと、バニラやキャラメルなどの甘い香りと味が舌を通り抜けて、強めの酒精が喉を焼く。

 

 

 「流石もふキチさん…すごく美味しいですよ」

 

 「そうじゃろ?うちは酒も逸品ばかりじゃよ」

 

 

 そんな会話の中で、デミウルゴスだけが手を付けないでいる。酒は苦手か?と思い、もふキチが尋ねると―――

 

 

 「いえ、こんな高価な逸品をしもべたる私が頂いてもいいのかと……」

 

 

 などとのたまった。だからまたもふキチはいいから飲め!出したモンは引っ込めんぞ!!と怒った。それならばとデミウルゴスもグラスを持ち上げ「いただきます」と一言言ってから口に含む。

 

 その瞬間、普段眼鏡で隠されているダイアモンドの目が大きく露出する。

 

 

 「……ナザリックにもBARがありますが、そこで飲む酒とは格が違いすぎます。これが天上の味なのですね」

 

 

 などと大袈裟に感動するデミウルゴスだった。

 

 

 ―――

 

 

 それぞれバーボンをお代わりし、もふキチが摘みにサラミとチーズ(これもとんでもない代物)を出し、本題に入る。

 

 

 「そのクズどもだけどっかに飛ばして始末すればええんじゃないか?」

 

 「それができれば苦労はしませんよ。まさかナザリックに飛ばすわけにもいきませんし…。もし生き残りが出たらせっかく隠ぺいしてるナザリックの場所が割れてしまいます」

 

 

 もふキチが以前ナザリックに三〇〇〇の刺客の半分を請け負ったときのように、どっかに飛ばしてそこで始末すれば一般人にも建物にも被害は及ばないというと、ウルベルトはそんなん出来たら苦労しないと返す。

 

 その言葉に、「ああ」と納得の言ったもふキチが言葉を発した。

 

 

 「儂に任せてくれるんならできるぞ。恐らく…マーキングさえできれば儂の……というかフェンリルの塒に飛ばすことは可能じゃ」

 

 

 それを聞いたウルベルトはピンと何かを勘づいた様子で薄ら笑いをした。

 

 

 「以前、まだYGGDRASILL時代にうちが襲撃されたことありましたよね?アレのリーク元、貴方でしたか」

 

 「うむ、儂にはもう今は昔の遠い昔話しじゃがな。ちなみに半数受け持ったのも儂じゃ…。ちょいブチきれとったからのう」

 

 

 あの時もふキチは冷静ではいられなかっただろう。いつもやってくるアインズ・ウール・ゴウンのメンバーが心血注いで作った場所を襲撃し略奪しようとしていたのだから。そのようなゲス共に心底もふキチは切れていた。

 

 

 「あの…会話に割り込んで恐縮なのですが、もふキチ様おひとりで一五〇〇の人間たちと殺りあったのですか?」

 

 

 その言葉に今度はウルベルトが「ああ」となった。

 

 

 「この爺さんな?中身は俺らと一緒だが、超ド級のチートキャラなんだよ。多分全盛期の俺ら四一人揃ってたところで勝てなかったろうぜ」

 

 「そんなになのですか!?」

 

 「ああ、この爺さん今は獣人(ライカンスロープ)として此処に居るが、その正体はワールドエネミーのフェンリル様だからなぁ」

 

 

 ウルベルトはデミウルゴスにそう教えるとくつくつと笑った。そして感づいたのだ。この爺さんに助けを乞うたら以前のように塒までクズの外道どもを転移させてくれると。

 

 

 「では、もふキチ様はこの世界の神でいらっしゃるのですか?!」

 

 「まあ、ここではそんな感じになっとるのう。民たちもそんな感じで崇めてくることもあるし……」

 

 

 もふキチは少しげんなりとした風に肩をすくめる。確かにこの世界においてもふキチは何でもできるが、やれるのとやらないとではどちらかといえばやらないほうだ。

 

 例えば街の住人が死んだとしても彼は蘇らせたりしないだろう。

 

 

 「まあ、もふキチさんが協力してくれるならあとは一網打尽……なんだが」

 

 

 ウルベルトはそこまで言うと少し言葉を濁す。

 

 彼の言には一つ厄介なものが含まれているという。それはクズどもの中にリ・エスティーゼの王族…しかも王太子が関わっているという。それも根深く。

 

 中には貴族も含まれてるがそれは別にいい。なんたってウルベルトの大嫌いな現実世界(リアル)の富洋層と全く同じ人種だからだ。だが王族となると少し不味い。下手をすればお尋ね者になってしまう。

 

 

 「なんじゃ、あの坊主の息子か。それも儂が何とかしてやるわい」

 

 

 この爺さん、王族にも知り合いがいるらしい。何故かといえば国王であるランポッサ三世には貸しがあるのだから。

 

 いつだったかランポッサが膝を壊したさい、その膝を治してやった恩があるのだ。だからもふキチが一言いえばそれで済むだろう。息子だからと手を出せずにいる彼が悪い。

 

 さらに言えばバハルス帝国との戦争を止めたのもこのもふキチだったりもする。

 

 二人はさらに話を進め、決行日にはマーキングを施すアイテムでマーキングされた連中全部フェンリルの塒に転送して一網打尽にするそうだ。

 

 そんな二人をデミウルゴスは「お二方がそろえばもうなんでもありなのですね」とさらに信仰心的なものを上げたのは当たり前のことなのだろう。

 

 

 ※※※

 

 

 話を聞いておると、どんどん儂は不機嫌になっていった。闇奴隷にクスリをばら撒く組織。さらにはランポッサの小僧の息子が儂やモンちゃんたちが救ったカルネ村を襲撃する計画まであるという。

 

 それらの証拠はシャドウデーモンたちが集めてきており確実に黒と分かっている。

 

 ここまで不機嫌にされたのはYGGDRASILL時代のナザリック襲撃依頼じゃな……。

 

 

 「ベルトさん、ランポッサの所の小僧は儂に任せてもらえんかの?」

 

 「え……あ、ああ。もふキチさんがヤるっていうならそれでいいですけど―――」

 

 

 儂の冷え冷えとした声にベルトさんを少し怖がらせてしまったようじゃが……。じゃが謝らんぞ?儂にその話をしたのが悪い。

 

 今現在あの村は儂とアインズ・ウール・ゴウンの庇護下にある。ランポッサも名君ではあるが僻地にまで目を向けられぬようではまだまだよのう。

 

 小僧の倅…名はなんと言ったか……。まあ、ええじゃろ。死にゆく者の…クズにも劣る外道の名など覚えておく必要もないか。

 

 

 「決行日はいつだったかの?」

 

 「―――今モモンガさんと伝言(メッセージ)で確認取りましたが、一週間後に決行予定です。その隙に私たちと交流を持ったアダマンタイト級冒険者の青の薔薇がブツの元になってる植物を栽培してる村を襲撃、これを殲滅させます」

 

 「ならばその日はうちの塒でモンちゃんたちは待機を。儂はカルネ村を防衛する」

 

 

 儂はそう言って「準備があるから」と二人を帰す。

 

 目には目を…外道には真の外道を持って返してやろうぞ―――。

 

 儂は心の中でそう呟くと守護者全員を集結させたのだった。




 なんか不穏な雰囲気のまま終わりましたが、この事件は仕込み中(挿話)で次回出そうと思ってます。

 それではまた次回お会いしましょう。See you next story,バイバイ☆

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