【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】 作:野神 汰月
最初のお客様は毎度おなじみAOGの可愛い骸骨ことみんな大好きモモンガ様です。
※注意:この作品基本的に全員人化してます。そうしないとフレーバーテキストの現実化で精神崩壊するのと、「食いもん食えない!!」(←ここ大事)ので
異世界に転移してもその異世界と次元の狭間に存在するアームスヴァルトニル湖。平和な時間が流れる湖の中央に浮かぶ島リングヴィ…その島にある街の片隅で今日も今日とて食事処もふキッチンは営業している。
「えっと…こんにちわ。お邪魔します」
「モンちゃん、らっしゃい!」
店主であるもふキチと最も縁のあるギルド、アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターモモンガがこの店を訪れたのは、彼らが異世界に転移してきてから一週間経った今日だった。
その間にいろんなことがあった。モモンガが階層守護者を集めて色々と説明をしようと呼び集めた結果、何故か守護者たちから忠誠を誓う儀式をされたり、守護者統括であるアルベドが滅茶苦茶挙動不審だったり、モモンガをはじめとするギルメン(キャッチ・ミー除く)の評価がおかしいほどに天元突破していたり、etc.etc.―――
ギルマスとして、守護者たちの主として魔王ロールを四六時中やらなきゃならなくなり心身ともに疲弊したモモンガは、癒しを求めてこのアームスヴァルトニル湖…ひいてはもふキッチンに来る方法をもふキチから教わり逃げ……いや、やってきた次第である。
もふキッチンに来る方法はいくつかあるが最も簡単で確実なのは、もふキチが世界各地に設置したポータルを利用するかトブの森のひょうたん型の湖にある転移門(現在リザードマンが暮らす地域)を利用するしかない。
モモンガたちが異世界に転移したその日に、もふキチによりナザリックの第九階層のロイヤルスイートの空き部屋にポータルを設置してもらっているので本日はそれを利用してモモンガは来店している。
モモンガがポータルで飛んだ先に、もふキチ主催のイベントで見たワールドエネミーが門番をしていたのにはぎょっとしたが…。
「…あ~、なんかすごく落ち着きますね」
カウンター席に案内されて着席したモモンガはそっと出された氷入りの水のグラスを一気に煽ってそのままテーブルに
―――そう、今のモモンガはいつものオーバーロードの姿ではなく…人の姿をしていた。その様相は某最後の物語の七作目のラスボスを黒髪にして瞳の色を深紅にしたような感じだ。いやあの銀髪黒にして赤目にしていつものモモンガの
守護者たちによるギルメン全員(プラスキャッチ・ミー)に捧げる忠誠の儀(笑)のあと、もふキチがふと思い出したように取り出して人数分の人化の装備アイテムを渡してきたのだ。
『全員それつけときな。もっちゃんとキャッちゃん(キャッチ・ミーのこと)はそうでもないかもしれんが、そのアバターのままだとフレーバーテキストに心が引っ張られてMOB化しかねんでな』
そう言われてすぐさま全員(餡ころもっちもちは付けなかった)アイテムを装着して人化した姿がこれだった。
「もふキチさん―――」
モモンガがもふキチを呼ぶが、もふキチはあえて反応しない。もふキチはもうゲームではないのだからちゃんと身内として「おじいちゃん」と呼ぶようにとモモンガに言ってあるのだ。だからもふキチとモモンガに呼ばれても彼は無視をする。
「…おじいちゃん、なんでわた……俺はこんなセ〇ィロ〇みたいな姿なの?」
「言っておくが、儂モデリングはしとらんぞ?その姿になったのは偶然じゃ偶然。あれはそれぞれに似合ったものを自動でジェネレートして姿を変えてくれる代物じゃ。つまりその姿はモンちゃんに合った姿ということじゃよ」
もふキチがそう説明すると「うへぇ…」とモモンガはさらに項垂れるのだった。
そんな風に会話しながらも、もふキチはモモンガが入店したときから手を動かし料理をしていた。もふキチからしてみればかなり昔のことだが、モモンガがYGGDRASIL時代のもふキッチンに足を運んだ際、美味しそうだ、本当に食べられたら…と言っていた料理を、現実となった今なら―――人の姿をとっている今なら食べさせてあげられると思ったからだ。
そうこうしているうちに、もふキチ渾身の逸品が出来上がる。
「ほい、昔モンちゃんが美味しそうだ、本当に食べられたらって言っておった
盆にのせてカウンターの向こうからモモンガの前に出されたそれは、湯気が立っていて美味しそうな香りを漂わせていた。
牛肉とピーマンと筍を細切りにしてオイスターソースなどの調味料で炒めたそれは本当においしそうである。山盛りの炊きたて白ご飯に卵の中華スープもついている。
「うわぁ…本当に美味しそうですね。というかよく覚えてらっしゃいましたね?お爺ちゃんからしてみればすっごい昔の事なのに…」
「儂は一度見聞きしたことは忘れん質でな。ほれ、冷めないうちに召し上がれ」
にっこりと微笑むもふキチにモモンガは「いただきます」とちゃんと手を合わせてから箸をとる。そして少し迷ってから、まずは炊き立ての白ご飯を口に運ぶ…。少し熱そうなので息をふーふーと吹きかけ冷ましてから。
※※※
昔もふキッチンに足を運んだ時に美味しそうで本当に食べられたらなぁってこぼしたそれをお爺ちゃんは覚えていてくれた。料理名なんてちっともわからなかったそれがチンジャオロースというのを初めて知ったのだが…。
俺はまず何に手を付けようか迷ったが、
現実世界ではお米は高級品で、普段で回るものは人工合成米ででんぷんを固めたものだったから炊いてもどろりとしたなにかにしかならなかった。けどこれは違う。おじいちゃんが自信をもって出したっていうことは、これこそが本当のお米でご飯なんだろう。
湯気の立つそれはすごく熱そうだったのでふーふーと二度ほど息を吹きかけて冷ましてから口に含む。
「あひっ…!!」
まだ少し熱かったけど、口の中で少し転がすようにしてさらに冷まして嚙むとほんのりとした甘さと、おそらくお米本来の香りが口いっぱいに広がった。
「美味しい…」
その美味しさに俺は思わず声が出る。噛めば噛むほど甘みが増すような気がする。よく噛んで呑み込み、次はメインであるチンジャオロースを箸でつまむ。細切りにされた肉と緑と薄茶色の野菜をバランスよく取ると同じく息を吹きかけて(今度は少し多めに)頬張る。
「……っ!!」
甘辛く感じる芳醇なタレ?に絡まった肉とシャキッとした食感野菜。すぐにご飯が欲しくなる味のその料理に思わず茶碗を持ち上げて行儀が悪いがかきこむようにご飯を口に入れる。
そんな俺をお爺ちゃんは優しい表情で…優しい笑みを浮かべながら見守っていた。
「美味しい!本当においしいよお爺ちゃん!!」
行儀悪くかきこむ。少し口が重くなったらたまごのスープ?に手を伸ばす。口の中が少しさっぱりしたところでまたチンジャオロースとご飯をかきこんだ。
「うむ、ほんに美味しそうに食べてくれて儂も作り甲斐があったというものよな」
にこにこと笑いながらそういうお爺ちゃんは本当に嬉しそうだった。
※※※
アームスヴァルトニル湖が…儂が管理していたマップが現実のものとなり、悟君…モンちゃんたちまでもがこの世界(ちと違うがまあええじゃろ)に転移してきてしまったときふと思い出したのじゃ。そういえば昔YGGDRASILの儂の店にバフ目当てで来た時、出した料理が本当に食べられたらと言っておったのを。
じゃから彼が来た時、あの時だした料理を作って出してやろうと思った。
それは正解だったようじゃ。本当に美味しそうに食べてくれる。少し行儀の悪い食べ方ではあるが、それだけ美味いと思ってくれているということなのじゃから。
「あ…」
がつがつとすごい勢いで食べておったモンちゃんが、空になった茶碗に一瞬しょんぼりとする。まだ青椒肉絲は残っておる…。
「お代わりいるかの?」
「―――お願いします」
儂が尋ねるとモンちゃんは少し恥ずかしそうに茶碗を差し出してそう言った。まあ、現実世界では米はなかなか食えん食品の代表格じゃったからな。仕方あるまい。
儂は茶碗を受け取ると、先ほどより気持ち多めによそってやるのだった。
※※※
結局お代わりを三回もしてしまったモモンガはすごく恥ずかしそうに顔を赤らめながら「ごちそうさまでした」と言ってもふキチに差し出された食後のお茶(ほうじ茶)を啜る。たくさん食べてくれてもふキチも満足そうだ。
そしてもふキチはこう思う。他の連中にもいろいろと食わせてやらねばと…。まあ、餡ころもっちもちに関しては少し味にうるさそうではあるのだが―――特に煩悩戦死(笑)なあん畜生の鳥には以前作ったような鶏料理のペペロンチーノ風を喰らわせてやろうともふキチは心の中でほの暗く笑うのだった。
少し短いですが今回はここまでです。次回は誰にしようかしら…やっぱり鳥?
それではまた次回お会いしましょう。See you next story,バイバイ☆
追記:誤字報告感謝いたします。またありましたらご報告いただけますと汰月は五体投地して謝罪しながら感謝いたします!
またご意見ご感想、評価も頂ければ幸いです。
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