【オーバーロード】食事処もふキッチン【異世界編】 作:野神 汰月
今週は茶釜様がご来店です。愚弟の為に頭を下げる姉の鏡!!よそ様の二次では茶釜さんも結構下ネタブッコみがちですがうちではまともです…。エ〇ゲ声優やっててもまともです(大事なことなので以下略)
それでは本日ももふキッチン開店です☆
ナザリックが異世界転移してきてからにぎやかになりつつあるもふキッチン。ある意味平和な時間の流れるこの店に本日もお客様がご来店されたのだが……。
「ほんっとうにうちの愚弟がごめんなさい!!」
背の低い栗色の髪の女の子が土下座せんばかりの勢いで入店直後に店の主であるもふキチに頭を下げていた。
その声はアニメ声…正確にはロ〇ボイスで、実際いろんなアニメやゲーム(どっかの鳥も好む紳士向け含む)で耳にしたことのある声だった。
見た目は幼さを残した少女でセミロングの髪を組紐で束ね右肩から前に垂らし、オレンジと白と黒の導師服をまとった庇護欲を誘う容姿をしていた。…ぶっちゃけて言うと某ティアラに涙なタイトルの妹系ヒロインさんそのものだったりする。
もふキチ曰く「中の人的にその容姿は必然だろう」とのこと。だってゴッ〇ゥーザ様だもの(By:作者)
何を隠そう(バレバレだが)ぶくぶく茶釜が弟であるペロロンチーノがやらかしたと知った翌日に速攻で謝罪に来たのであった。
「茶ーちゃんが謝る事ではないよ。全てはあの〇ドロ〇クソ鳥が悪い…ほれ、頭を上げてこっちに来てお座り」
そう言ってもふキチは茶釜をいつものカウンター席に案内した。彼女はもう一度謝ると素直に席に着く。
茶釜が席に座ったところにもふキチはそうだと思いいたって茶釜に質問をした。
「そういえば茶ーちゃんは甘いものとか食べるかのぅ?」
「甘いものですか?はい、普通に好きで食べますけど…」
「そうか。儂たまお菓子焼いたりするんじゃが、自分で食うにはそれなりに思えても他人はどうかわからんでな…試食してもらえんかの?」
うちの今の家族には好評なんじゃが、と苦笑しながらもふキチは準備を始める。準備と言っても菓子を切り分けて皿に盛りつけて出すだけなのだが。
もちろん彼の言うそれなりというのは嘘であり、彼の家族(配下のワールドエネミー)達には大好評な代物で試食などは必要ない。自信をもって誰にでも出せる品物なのだが気を遣わせずに茶釜に食べてもらおうとするもふキチの芝居で合った。
「ほい、バナナのパウンドケーキ。現実世界にも高級品であったと思うがそれよりかは美味いと思うぞ」
「ほわぁ…美味しそう!」
現実世界であったパウンドケーキはその昔あったそれとは似ても似つかないモドキであり、ほぼほぼ人工物で構成されていた。
だがもふキチの差し出したそれは焼き立てなのか香ばしい香りと、それに負けないほどの濃厚な甘い香りだった。中には輪切りにされたバナナが入っており、食べるまでもなくこれは美味しいと感じさせられた。
もふキチはかちゃかちゃと飲み物を用意すると、それも一緒に茶釜に出す。それはティーカップに注がれたオレンジ色の香り高い紅茶だった。
「甘いもの、特にこのパウンドケーキにはこれじゃよ。砂糖は入れずにパウンドケーキと一緒にどうぞ」
にっこりと微笑みながらそう言ってもふキチが出したのはセイロンティー…その中でもキャンディと呼ばれる銘柄の軽い飲み心地の紅茶だ。
「それじゃあ、いただきます…」
茶釜はそう言って手を合わせると、まずは紅茶から手を付ける。
ストレートティーなので甘みは一切ないが、渋みが少なくまろやかでさらりとした飲み心地の香りのよい飲みやすいものだった。
茶釜もナザリックで最高級と言われている紅茶をメイドに淹れらてもらって飲んだことはあったがそれよりもおいしいと感じた。
紅茶で口を湿らせた後、満を持してパウンドケーキに手を付ける。小さなフォークで少し切り取り口に運ぶ。
「…わぁ!!」
口に入れた瞬間感じるのはバナナの濃厚な香りと香りづけのラム、それと微かにシナモンの香りがした。噛むとむぎゅっとしたほど良い歯ごたえとバナナの甘み…だがしつこくなくさっぱりとしたそれに茶釜は目を見開く。
「現実世界でもナザリックでもこんなに美味しいお菓子食べたことない!」
茶釜にそう褒められて、もふキチは照れ臭そうに笑うのだった。
※※※
クソ愚弟のやらかしを謝罪に来たはずなのに、私は今もふキチさんにもてなされていた。
彼(と言っていいのか…お歳がお歳だし…)はうちの愚弟に怒ってはいても血の繋がった家族である私に非はないと言ってくれ、お菓子を出してくれた。
現実世界でも見たことのある一辺が少し盛り上がった四角いお菓子。それはとても優しい甘い香りがして見ただけで美味しいと解る代物だった。私は「いただきます」と言うとそのお菓子…パウンドケーキと一緒に出されたお茶にまず口を付ける。
謝罪のために急いできたので少し口の中が乾いていたから、焼き菓子であるパウンドケーキを食べる前に口の中を潤したかった。
紅茶を口に含んだ瞬間広がる香ばしさの後に広がる薔薇の香り(後から聞いたらドライローズの香りだそうだ)に少し心が晴れる。ストレートティーなのに渋みも少なく飲みやすかった。
口の中が潤った後にいざと意気込むようにフォークでパウンドケーキを切り分けて口に運ぶ。すぐに私は「うわぁ…」と感嘆の声を上げてしまう。濃厚なバナナの香りの中に微かなお酒の香りと少しスパイシーな甘みのある香りが交じり合ってその匂いだけでも美味しいと感じる。
生地を嚙むとむぎゅっとした心地よい噛み心地とバナナのねっとりとした食感の後に濃厚な、けどしつこくないバナナの味と甘みが広がる。私が食べたことあるバナナとは全然違うその味に驚く。
「そのバナナはの、生地に混ぜる前にレモン汁とラム酒。それにシナモンを少々入れてマリネしてあるんじゃよ。じゃから普通のバナナと違ってもったりとした甘さではなくさっぱりとした後味と甘さになっておるんじゃよ」
驚いた私にもふキチさんがそう説明してくれる。なるほど…そういうことなんだ。
ナザリックでデザートとしてバナナが出たことがあった。初めて天然もののバナナを食べたのだが、その時はその時で驚いた。でも今回の驚きはそれ以上だった。
「もふキチさん、すごく美味しいです」
「そうか、それは良かった」
少しはしたないが切り取らずにフォークでケーキを刺して頬張る私を、もふキチさんは優しい笑顔で見ていた。
お勧めされた紅茶との相性もばっちりなそれは、以降私の好物になるのだった。
―――
出されたケーキを平らげて紅茶飲んで少し落ち着いたころ、私はふと以前から気になっていたがずっともふキチさんに聞けなかったことを思い出す。ちょうどいい機会だ…聞いてみよう。
「ねえ、もふキチさん」
「ん?どうした、茶ーちゃん」
「もふキチさんの正体知った時から何時か聞こうと思ってたんだけど…」
もふキチさんが大企業…というか世界的な財閥のトップだと知った時から私には一つ疑問に思っていたことがあった。
私は以前、もふキチさんに問われ自分のことを話したことがあった。何故人気声優で稼いでいるのにクソ愚弟が好むような紳士向け(笑)ゲームの声優までやってるのか…。それを聞かれた時、何故か私はもふキチさんにならいっかと思って話したのだ。
私たち姉弟の両親は私たちがまだ幼い時分に他界している。その後の面倒を見てくれていたのは父方の祖父母だった…。そんな祖父母の喜寿祝いにアーコロジーにある温泉旅館の宿泊をプレゼントしようと頑張っていたことを。
その話をした数日後に覚えのない懸賞が当たり、アーコロジー内の温泉旅館宿泊券が送付されてきた。
当時は他にも懸賞応募してたからもしかして自分で気づかないうちに応募したのだろうと思っていたけど…。
「昔、私たちの祖父母の喜寿祝いの為にお金貯めてたって話したの覚えてます?あの後身に覚えのない懸賞に当選してアーコロジーの温泉宿泊券が送付されて来たんだけど…あれって―――」
そこまで言うともふキチさんは悪戯がばれた子供のように苦笑した。
「うむ…茶ーちゃんが健気でいい子過ぎての、感動してもうてお節介してもうた。ちょいとツテを使って茶ーちゃんのリアル調べて…申し訳なかったの」
少し申し訳なさそうなもふキチさんに私は首を横に振って
「ううん、結構ギリギリだったので。あのままだと間に合わなかったと思うし…貯めてたお金は別にプレゼントに使えたから。ありがとうございました」
と、私のできるとびっきりの笑顔でお礼を伝えた。今までもやっとしてた疑問がすっきりしたので、本当によかったと思ったのだった。
※※※
その後ゆったりともふキチとおしゃべりを楽しみ、あの時なんとなくプレゼントした生声アラーム付き腕時計の感想を聞いたりしてもふキチを赤面させたりなどをして茶釜はナザリックに帰って行った。
茶釜が帰った後、もふキチは久しぶりに彼女にプレゼントされた腕時計を取り出し、久方ぶりに秘密のボイスを聞いたもふキチはあの時より滾ってしまいあの時より若返っている身体だからかものすごくもにょったという…。
グレーターワイズマンなもふキチ「やっぱり最低じゃ…儂って…」
というわけで最後に最低なもふキチでこんかいは終了です(笑)
前回最低だったのにまた下ネタをブッコむ汰月…そんな堕猫に痺れもしないし憧れもしないでしょうがどうぞお付き合いくださいませ。
ここでいいわけタイム…。先週ちょっといろいろあって体調も悪かったので投稿ができませんでした。本当に申し訳ありません。
今後も急に途切れることがあるかもしれませんが、生暖かい目で見守ってくださると幸いです。
それではまた次回お会いしましょう、See you next story,バイバイ☆
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