鬼滅の刃 〜星空を舞う蝶〜 作:ありす(旧名:紅茶・ルミエール)
童磨との激戦から数日後、胡蝶三姉妹は、鬼殺隊の本部へと召集された。そこは、鬼殺隊当主である産屋敷耀哉の屋敷。厳かに整えられた庭には、柱たちが静かに集まっていた。
「皆さん、集まってくれてありがとう。今回は、胡蝶姉妹からの報告がある」
産屋敷耀哉の静かで優しい声が、柱たちの間に響き渡る。その言葉に、皆の視線が三姉妹へと向けられた。
「はい、お館様。恐れながら、報告させていただきます」
カナエが、前に進み出た。彼女の表情は、いつもの穏やかな笑顔ではなく、緊張と、あの夜の出来事に対する恐怖が入り混じっていた。
カナエは、童磨との遭遇を、克明に語り始めた。
「私は、任務中に上弦の弐、童磨と相対しました。その鬼は、虹色の瞳を持ち、私たちがこれまで相対してきた鬼とは、次元の違う力を持っていました」
カナエは、童磨の血鬼術、そしてその圧倒的な再生能力について語る。
「彼は、自身の血鬼術で冷気を放ち、無数の氷の結晶を生成します。その氷は、私たちの剣を弾き、呼吸を鈍らせるほど強力でした。また、再生能力も凄まじく、斬っても斬ってもすぐに再生してしまい……」
カナエの言葉に、柱たちの表情が引き締まっていく。上弦の鬼の存在は知っていたが、その具体的な能力を知るのは初めてだった。
「……童磨の力は、私一人では到底太刀打ちできるものではありませんでした。私の命が危うかったその時、しのぶとあげはが駆けつけてくれて……三人で力を合わせ、何とか夜明けまで耐え抜くことができたのです」
カナエは、そう言って、深々と頭を下げた。彼女の報告は、柱たちに、上弦の鬼の恐ろしさを改めて知らしめた。
「……そうか。よく、無事に帰ってきてくれたね。ありがとう、三人とも」
産屋敷耀哉の優しい言葉に、カナエは顔を上げた。
その時、一人の男が、静かに口を開いた。岩柱、悲鳴嶼行冥だった。
「南無阿弥陀仏……。上弦の弐が、そこまで強大な力を持つとは。我々の鍛錬が、まだまだ足りぬということか」
悲鳴嶼の言葉は、重く、そして真実だった。下弦の鬼でさえ、柱一人でやっと倒せるかどうかの相手だ。上弦の鬼となれば、数人がかりでも、討伐は困難だろう。
その場の空気が、重く沈んでいく。その沈黙を破ったのは、あげはだった。
「お館様! そして、柱の皆様!」
あげはが、勢いよく前に進み出た。彼女の目は、悔しさと、そして確固たる決意に満ちていた。
「姉さんと童磨との戦いを、私は見ていました。そして、私も、その圧倒的な力を肌で感じました。私たち三人がかりでも、あの鬼には及びませんでした。ですが……このままでは、駄目なんです!」
あげはの言葉に、柱たちが驚いた表情を見せる。
「私は、あの時、童磨に言われました。『次こそは食べてあげる』と。このままでは、私たち鬼殺隊は、上弦の鬼に、一人また一人と喰い殺されていくだけです。だから……私たちは、もっともっと強くならなければいけません!」
あげはは、拳を強く握りしめた。
「そして、柱の皆さんだけでなく、下の階級の隊士たちも、もっと強くする必要があります。私たち柱が、稽古をつけてあげたり、任務に同行してあげたりして、皆を底上げするべきです! そうしなければ、鬼舞辻無惨を倒すことなんて、夢のまた夢になってしまいます!」
あげはの言葉は、熱く、そして力強かった。彼女の言葉に、宇髄天元が不敵な笑みを浮かべた。
「ほう? 派手に面白いことを言うじゃねぇか、あげは。お前も、随分と成長したな」
宇髄の言葉に、あげはは小さく頷く。
「はい! 私は、姉さんたちを、そしてこの世の全ての人を守りたいんです! そのためには、私たちだけが強くても駄目なんです! 皆で強くなって、鬼舞辻無惨を倒すしかないんです!」
あげはの言葉は、悲鳴嶼や、無口な冨岡義勇の心にも、深く響いていた。
「……胡蝶あげは。お前の言う通りだ。我々鬼殺隊は、一丸となって、鬼に立ち向かうべきだ」
悲鳴嶼が、静かに言った。
「その案、派手に乗ってやるぜ。俺様が、最高の稽古をつけてやるからな」
宇髄もまた、あげはの意見に賛同した。
「……ああ」
冨岡も、短い言葉で、その意思を示した。
柱たちの意見がまとまったのを見て、産屋敷耀哉が優しく微笑んだ。
「ありがとう、あげは。そして、皆。お前たちのその決意、嬉しく思うよ」
産屋敷耀哉の言葉に、柱たちは、皆一様に、深く頭を下げた。
三姉妹は、本部から蝶屋敷へと戻る道すがら、皆で話をしていた。
「あげは、すごいわ。あんな風に、皆を動かすなんて」
カナエが、あげはに感嘆の声を漏らした。
「そうだよ、あげは! 私も、あんたの言葉を聞いて、胸が熱くなったよ!」
しのぶもまた、あげはを称えた。
「えへへ……でも、私一人じゃ何もできないから。みんなで強くなるしかないんだって、思ったんだ」
あげはは、少し照れくさそうに笑った。しかし、彼女の心の中には、童磨という、超えるべき壁が、はっきりと刻まれていた。
「姉さん、しのぶ。私、絶対に童磨に勝つよ。そして、鬼舞辻無惨を倒す。そのために、もっともっと強くならなきゃ」
あげはの言葉に、カナエとしのぶは、力強く頷いた。
「ええ、もちろんよ。三人で、力を合わせれば、どんな鬼にも負けないわ」
「そうですね。そのためにも、まずは私たちで、稽古を始めましょうか」
三姉妹は、互いに顔を見合わせ、決意を新たにした。彼女たちの瞳は、未来を見据え、強く輝いていた。
はい、柱が下の階級を鍛える、という設定ですが………、原作だと柱自身の鍛錬や任務が忙しいのであまりやらないということになっていたんですよねぇ…。
私は「任務に同行するくらいなら大丈夫じゃない?」と思いまして、このような設定を導入させていただきました。
(実際に稽古をつけるのは柱の意思次第。おそらく、3姉妹は稽古をつけてあげるでしょうねぇ。)
異論は認めます。
お知らせがあります
そろそろ連日更新ができなそうになってきました(プライベートの関係上)
なるべく早めに更新しますので、気長に待っていただけると嬉しいです