鬼滅の刃 〜星空を舞う蝶〜   作:ありす(旧名:紅茶・ルミエール)

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先週は体調不良で投稿できませんでした。すみません。


遊郭(4)

京極屋での夜は、喧騒としていた。突然の女将の転落死の対処と、普段の仕事を同時に行わないといけなかったからだ。

 

 

 

胡蝶あげはと我妻善逸は、蕨姫花魁と遭遇した後、宇髄天元からの新たな連絡を待つため、潜入先の京極屋の部屋で夜を過ごしていた。

 

 

善逸は、堕姫の一撃を受けて気絶していたものの、大事には至らずに意識を取り戻したが、その顔は恐怖に引き攣ったままだった。

 

「あの女、絶対鬼だよ! 怖すぎるよ!音しなかったし!絶対上弦の鬼だ!」

 

善逸は、恐怖に震えながら、布団の中でガタガタと震えていた。

 

「落ち着いて、善逸くん。あの女が上弦の鬼である可能性が高い。宇髄さんに連絡が取れればいいんだけど…」

 

あげはもまた、堕姫の放つ底知れない威圧感を忘れられずにいた。柱である自分でも、正面からあの威圧感を受ければ、一瞬で遅れを取るかもしれない。

 

二人は、周囲に鬼の気配がないことを確認し、警戒しつつも、束の間の休息を取ることにした。

 

 

 

 

 

深夜。京極屋全体が、静寂に包まれていた。女将のことについても、ひと段落ついたのだろう。

 

善逸は、深い眠りについていた。日中は雑用や演奏と様々な場所で仕事に駆り出されているのだから、疲れてしまうのも当然だ。しかし、今この瞬間だけは起きていた方が良かったののかもしれない。

 

善逸の眠る部屋の戸の隙間を、何者かが音を立てないようにすり抜けてきた。それは、帯だった。美しい鬼蓮の花の模様をあしらった、帯だった。

 

「フフフ、熟睡なんて、随分油断しているじゃない。」

 

帯は喋ったが、善逸は起きなかった。帯は、善逸に身体を巻き付けて、そのまま取り込んでしまった。後に残されたのは、善逸が寝ていた痕跡のある布団だけだった。

 

 

 

あげはは、浅い眠りの中にいた。柱として、上弦の鬼常に遅れを取らないために、五感を研ぎ澄ませているからだ。熟睡することは許されない。

 

その時、彼女の肌を粟立たせるような、冷たい気配が、何の音もなく、部屋の中に侵入してきたことを察知した。

 

(来た……!)

 

あげはは、目を開けるよりも早く、枕元に置いていた日輪刀の柄に手を伸ばした。

 

しかし、その動きは、一瞬遅かった。

 

部屋の隅から、極彩色の柔らかな帯が、凄まじい速さで滑り込んできた。それは、まるで生き物のように、正確にあげはの寝床へと向かってくる。

 

「『星の呼吸』 壱ノ型・流星!」

 

あげはは、寝起きの体勢から、無理やり体を起こし、帯へと斬りかかった。しかし、場所は狭い部屋の中、それも寝ている状態では思うように踏み込むことができない。そして寝起きで体が完全ではない状況では、いつもの鋭い太刀筋を発揮できない。

 

カキン!

 

あげはの日輪刀が、帯の表面に当たったが、その帯は鉄のような硬さを持ちながらも、水のような柔軟性も併せ持っており、斬り裂くことができない。

 

「くっ……硬い!」

 

あげはが体勢を立て直そうとした瞬間、帯はすばやくあげはの体を絡め取った。

 

「うっ…!」

 

帯は、あげはの四肢を締め上げ、完全に動きを封じた。あげはの抵抗は、帯のしなやかで強靭な力の前では、無力だった。

 

「油断した……!」

 

あげはは、悔しさに歯を食いしばる。上弦の鬼相手に、寝込みを襲われるという、最も愚かな失敗を犯してしまった。

帯は、抵抗するあげはを容赦なく締め上げ、そのまま取り込んでしまった。

 

 

一方その頃、遊郭の屋根の上。

 

宇髄天元は、炭治郎と伊之助の二人の潜入先から、鬼の気配も、妻たちの気配も感じられなかったことに安堵していた。

 

(よし。雛鶴、まきを、須磨の三人は、まだ無事のようだ。さて、残るは京極屋の二人だ)

 

宇髄は、京極屋の屋根へと向かい、京極屋の屋根の上に降り立った。しかし、彼が感じたのは、不吉な気配だった。

 

宇髄は、すぐに善逸とあげはの潜伏していた部屋に降りたが、そこには、誰もいなかった。

 

「チッ…やられたか」

 

宇髄は舌打ちをした。二人の姿がない。鬼の気配も、人間の気配もない。

 

 

宇髄は次の日、2人を誰にも見られない屋根の上に呼び出した。

 

「あれ、善逸達は…。宇髄さんもいない」

 

宇髄は、2人の前に突然姿を現した。

 

「善逸は来ない。あげはもだ」

 

 

宇髄は、普段の口調とは違って冷静な雰囲気を持っていた。

 

「善逸とあげはの二人が、行方不明になった」

 

「えっ…!」

 

炭治郎は、驚愕の声を上げた。伊之助は、ただただ驚いている。

 

「お前たちには悪いことをしたと思っている。もしかしたら、あげはが善逸の捜索をしているかもしれねぇが、確実とは言えない」

 

 

宇髄は、そう言って、二人に背を向けた。

 

「お前たち、退避命令だ。すぐに遊郭から出ろ」

 

宇髄の言葉に、炭治郎は目を見開いた。

 

「宇髄さん、待ってください!俺たちはまだ戦えます!」

 

「恥じるな。生きている奴が勝ちなんだ。機会を見誤るんじゃない」

 

宇髄は、振り返り、突き放すような、それでいて2人の身を案じるような目でそう言った。

 

「残りの任務は俺が片付けておく」

 

 

炭治郎達は、宇髄の言葉に屈しなかった。彼らは、強く拳を握りしめた。

 

「俺たちだけでも、善逸達を助ける!」

 

炭治郎達は遊郭に残り、善逸達の捜索を続けることを決めるのだった。

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