鬼滅の刃 〜星空を舞う蝶〜 作:ありす(旧名:紅茶・ルミエール)
「待たせたな。ここからは、ド派手に行くぜ」
地下の天井に大穴を開け、堂々登場した宇髄は、焦っているのか、若干蛇行しながら襲いかかってくる帯を、二振りの日輪刀で、全て斬りつけた。切り口が、宇髄の日輪刀の持つ謎の爆発によって焼かれ、さらなる追撃が加えられる。
「くっ、鬱陶しい!」
柱の猛攻に、帯鬼は攻め切ることができない。ついに爆発に耐えきれず、身体をよろめかせ、大きな隙を晒した。あげはが、その隙を見逃すはずが無かった。
「『星の呼吸』壱ノ型・流星!」
流星の如く空気を切り裂き、あげはが帯鬼の顔の下、首と思われる場所に日輪刀を振り抜く。帯鬼は首と思われる場所を斬られた。しかし、帯鬼は一切消滅しなかった。
「馬鹿ね。私は本体じゃ無いから、首を斬っても意味ないわよ」
全員が驚愕した。皆を嘲笑うかのように、帯鬼は身体を翻し、穴を伝って、何処かへ行ってしまった。
「お前ら、あの鬼を追うぞ!このまま放置するわけにはいかねぇ!」
あげは達は、帯鬼を追うかたちで、地上に戻ることになった。
地上では、炭治郎が、堕姫と壮絶な戦いを繰り広げていた。
上弦の鬼の力に、炭治郎は防戦一方だった。
一度だけ、炭治郎は堕姫の首を斬るまで追い詰めた。まるで、炭治郎が別の人物になるようだった。しかし、人間の身体には限界がある。炭治郎は、首を斬る直前で限界に達してしまう。
禰 豆子は、身体の変化か、上弦の鬼に接触したからか、鬼としての力が暴走してしまった。その力は、堕姫を追い詰め、全身に傷を負わせることになる。しかし、鬼の本能が暴走した結果、遊郭の一般人を襲おうとしてしまう。
「禰 豆子!落ち着いて!」
炭治郎は、禰 豆子の口を日輪刀でどうにか押さえつけていた。
そんな中、炭治郎のすぐ側に、二つの影が舞い降りた。あげはと宇髄だ。
「派手に暴走してんじゃねえか」
禰 豆子が暴れる中、炭治郎は2人の姿を見ると、安堵と同時に、不安を感じた。
「戦いの邪魔になる隊員はいらない。大人しく子守唄でも歌ってるんだな」
「禰 豆子ちゃんが、人を襲わないように、どうにかしといてね」
「ねぇ、上弦の鬼の私がいるのに無視するなんて、柱としてどうなの?」
そんな3人の様子を、何故か見ていた堕姫は、ふと声をかけたが、返ってきたのは予想の上を行くものだった。
「だってお前上弦じゃねえじゃん。弱すぎる」
宇髄が冷たい眼を向けて行った言葉を、堕姫は理解できなかった。しかし、宇髄の言ったことが、次の瞬間現実として、襲いかかる。
堕姫の首が、突然落ちたのだ。断面は滑らかで、斬られたことすら気づけなかったのだろう。
「は?」
堕姫が困惑したところに、あげはが説明を加えてあげた。
「あなたが気づかない間に、既に首を切っていたってことだよ。流石に上弦の鬼が、こんな簡単に首を斬られるわけないでしょ」
「本当だもん!私上弦だもん!」
「うるせぇなぁ。さっさと消滅してくれ」
「うわあああああああん!首切られた!」
宇髄は、困惑してあげはに耳打ちした。
「こいつ、何で泣いてんだ?情緒不安定すぎだろ。派手に厄介だな」
「さっきまで余裕です、って感じだったのにね。でも、それよりも首を斬っても消滅していないのがmとても気になるんだけど」
柱2人は、堕姫が消滅しないことに、違和感を覚えた。強かった下弦の鬼ですら、首を斬れば消滅した。つまりこれは、帯鬼と同じで、本体では無いのかもしれない。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 助けて! お兄ちゃあああああん!」
2人の予想は、正しかった。「お兄ちゃん」という単語に、2人は警戒心を抱く。
「うううううん………」
堕姫の背中から、おぞましい影が、這い出てきた。
それは、痩せ細り、背中が大きく曲がり、全身に黒い痣が浮かび上がった、醜悪な男の姿だった。両手には、黒ずんだ鎌を持っている。
2人は、男の出現に対して強い警戒心を抱いた。堕姫よりも明らかに強い気配。この男が本体であることは明確だ。宇髄は即座に仕留めようと、一瞬で肉薄し、男の首を狙う。
しかし、男はその動きを察知していた。振り向けざまに鎌を振り抜く。数秒後、傷ができていたのは、宇髄の額だった。
「妬ましい、羨ましい…。死ぬ気で振ったのになァ…、おまえ、いいなァ」
宇髄は、今の一瞬でこの男が今までの鬼とは違うことを知った。
「お兄ちゃん、こいつらが私の首を斬ったんだよ!」
「ひでぇじゃねぇか……。俺の可愛い妹を……派手に泣かせやがってよォ……」
その男の帯状に広がる、おぞましい威圧感。その男の瞳には、「上弦」と「陸」の文字が、はっきりと刻まれていた。
妓夫太郎。上弦の陸の真の姿が、今、この戦場に現れた。
妓夫太郎は、地面に落ちた妹の顔についた傷を、優しく擦って無くしてやった。
「泣くな泣くな。よしよし、お前の可愛い顔が台無しだ」
妓夫太郎は、2人の方に振り向くと、獲物を見定めるような目を向けた。
「さてぇ……誰から、派手に痛めつけてやろうかなァ……」
妓夫太郎は、そう言って、宇髄とあげはに、憎悪に満ちた眼差しを向け
その瞬間、妓夫太郎の体から、極めて強靭で、凄まじい速さを持つ、血の鎌が、無数に放たれた。それは、堕姫の帯とは比較にならない、密度と硬さを持っていた。
「派手に来るぞ! あげは!」
宇髄は、あげはと共に、その攻撃を躱そうとした。
しかし、妓夫太郎の攻撃は、あまりにも速く、そして広範囲に及んでいた。
「くっ!」
あげはは、辛うじて一撃を躱したが、妓夫太郎の攻撃から放たれる凄まじい威圧感に、全身の感覚が麻痺するようだった。
「これが……上弦の鬼……!」
戦場は、再び、凄惨なものへと変貌した。
最近一話が短すぎるな、と感じているので、これまで投稿していた話を、今後随時まとめていく予定です。後これからの投稿も文字数を増やしたいです。その為、投稿回数が減る可能性が高くなります。2週間に1、2話を投稿しようと思っています。これからもよろしくお願いしまう。