鬼滅の刃 〜星空を舞う蝶〜   作:ありす(旧名:紅茶・ルミエール)

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今回から、任務が始まりますね。


飛び立つ蝶

日輪刀と隊服を受け取った胡蝶あげはは、岩嶋玄斎との別れを済ませ、ついに本格的な任務へと身を投じることになった。腰に日輪刀を差し、真新しい隊服を身につけたあげはの胸は、期待と、ほんの少しの緊張で高鳴っていた。

 

「カーーーーッ!あげは!あげは!初任務!初任務ーーーッ!」

 

頭上から、少し高めの甲高い声が聞こえた。あげはの鎹鴉である鈴蘭だ。他の鴉と比べてやや小柄で、いつもどこか落ち着きがない。

 

「鈴蘭、もう少し静かにしてよ。任務は何?」

 

あげはが呆れたように問いかけると、鈴蘭はバタバタと羽ばたきながら、興奮気味に告げた。

 

「カーッ!初任務!初任務ーーッ!都内の住宅街ニテ、夜な夜な鬼が三体、徘徊スルトノコト!カナエと!しのぶト!あげはノ三人で討伐セヨ!カーーーーッ!」

 

鈴蘭の声に、あげはは目を見開いた。

 

「えっ、カナエお姉ちゃんと、しのぶと一緒!?」

 

まさかの三人での任務に、あげはは驚きと同時に喜びを感じた。最終選別での共闘以来、本格的に姉たちと共に戦えるのだ。

 

 

 

指定された都心の住宅街は、夜の帳が下り、静まり返っていた。しかし、その静寂は、鬼の不気味な気配によって、不穏なものへと変わっている。

 

「やっぱり、鬼の匂いがするわね……。可哀想に、この子たちも、人間の頃は……」

 

先に到着していたカナエが、眉をひそめて呟いた。その表情には、鬼への憐憫が滲んでいる。その隣で、しのぶもまた、辺りを警戒するように刀に手をかけている。

 

「カナエお姉ちゃん! しのぶ!」

 

あげはが駆け寄ると、二人は振り向いた。

 

「あげは! 無事だったのね」

 

カナエが安堵したように微笑む。しのぶもまた、あげはの姿を見て、どこかホッとした表情を見せた。

 

「うん! 私、新しい隊服も日輪刀ももらったんだよ!見て見て!」

 

あげはは嬉しそうに、腰に差した深い藍色の日輪刀と、キュロットパンツの隊服を見せつけた。

 

その瞬間、しのぶの顔から、さっと血の気が引いた。

 

「……はぁあああああ!? なによその隊服! 短すぎでしょ! あの縫製係!! 今度会ったらボコボコにしてやる!!」

 

しのぶの怒りの声が夜の住宅街に響き渡る。あげははキョトンとした顔で、

 

「えー? でも、動きやすいし、これが一番いいよ? 玄斎様もいいって言ってたし」

 

と首を傾げた。その様子に、カナエは苦笑しながら、しのぶの肩をポンと叩いた。

 

「はいはい、しのぶ。まさおのことは後にして、まずは鬼を倒しましょう」

 

「もう! カナエお姉ちゃんは甘いんだから!」

 

しのぶは不満げにしながらも、鬼の気配が強くなってきたことに気づいた。

 

その時、路地裏から、ずるり、と二体の鬼が現れた。体は異様にねじ曲がり、瞳孔が縦に裂けている。

 

「人間の匂いがするぜ……」

 

「喰ってやる……」

 

鬼たちが唸り声を上げ、同時に飛びかかってきた。

 

 

 

「カナエお姉ちゃん、しのぶ、いくよ!」

 

あげはが叫ぶと、三人は同時に動き出した。

 

カナエが一体の鬼の前に優雅に舞い出た。

 

「『花の呼吸』壱ノ型・初桜!」

 

鋭くも美しい三連撃が、鬼の胴に吸い込まれるように叩き込まれる。ヒュン、ヒュン、と風を切る音が響き、鬼の体がわずかに怯んだ。カナエはそのまま流れるように刀を振るい、鬼の攻撃を受け流しながら、隙を窺う。その瞳は、鬼を慈しむような光を宿しながらも、決して揺るがない決意を秘めていた。

 

もう一体の鬼には、しのぶが対応した。

 

「『蟲の呼吸』蟷螂ノ舞・隠れ鎌!」

 

しのぶが、まるで蟷螂が獲物を狩るかのように高速で移動し、鬼の視界から一瞬で消え去る。鬼が混乱した隙を突き、その背後に回り込んだしのぶは、躊躇なく刀を突き刺した。多量の毒が瞬く間に鬼の体内へと流れ込み、鬼は苦悶の声を上げてその場に倒れ込んだ。

 

「グルルルル……!」

 

残る一体の鬼が、残忍な笑みを浮かべ、あげはへと向かってくる。あげはは冷静に刀を構え、その動きを見極める。

 

「『星の呼吸』漆ノ型・星羅雲武!」

 

あげはは強く踏み込み、高速の回転斬りを見舞う。あまりの速度に、周囲の空気が渦を巻き、鬼は予期せぬ風圧と斬撃に体勢を崩した。

 

「な、なんだこの速さは!?」

 

鬼が怯んだその隙に、カナエが動く。

 

「『花の呼吸』 捌ノ型・百花繚乱!」

 

カナエの円舞するように周囲を切り裂く十連撃が、咲き乱れる花の如く、体勢を崩した鬼に襲いかかる。満開の花々が咲き乱れるような華麗な動きで、無数の斬撃が鬼の全身を切り裂いた。

 

「ぐあああああああっ!!だが…、まだ斬られてねぇんだよ!」

 

鬼は地面に倒れ込むも、即座に体勢を立て直した。頸は斬れておらず、致命傷には程遠い。

 

「しのぶ!」

 

カナエが叫ぶ。しのぶは頷くと、素早く鬼の元へと跳躍した。

 

「蟲の呼吸! 蜘蛛ノ舞・絡縛(からばく)!」

 

しのぶの日輪刀が、まるで蜘蛛の糸のように複雑な軌道を描きながら、鬼の身体を連続で突き抜き、毒を打ち込んでいく。鬼は身体を痙攣させ、拘束されたかのように身動きが取れなくなった。

 

「今よ、あげは!」

 

カナエの声に、あげはは迷いなく鬼へと肉薄する。刀を低く構え、渾身の力を込める。

 

「『星の呼吸』参ノ型・天降!」

 

あげはは、鬼の頭上へと一気に跳躍する。重力すらも味方につけたかのような落下突きが、隕石のごとき勢いで鬼の頭部に迫る。鬼は毒によって身動きが取れず、なす術もない。あげはの一撃は、鬼の頭部を正確に貫いた。

 

ドゴォッ!

 

鈍い音と共に、鬼の身体が地面に叩きつけられ、やがて塵となって消えていった。

 

夜の住宅街に、再び静寂が戻る。三人は息を整えながら、互いに顔を見合わせて微笑んだ。

 

「やったね、カナエお姉ちゃん! しのぶ!」

 

あげはが満面の笑顔で二人に飛びつく。カナエは優しくあげはを抱きしめ、しのぶもまた、呆れたような、しかしどこか誇らしげな顔で二人の肩を抱いた。

 

「ふぅ、これで初任務はクリアね」

 

「うん。三人一緒だと、とっても心強いわ」カナエが柔らかな声で同意した。その瞳には、鬼を憐れみながらも、人々を守り抜いた満足感が宿っていた。

 

三人の絆が、夜空に輝く星のように、これからも鬼殺隊士として共に戦う道を照らしていくだろう。この夜、胡蝶三姉妹の鬼殺隊としての本当の物語が、幕を開けたのだった。

 




はい、本格的に戦闘描写を加えていきます。
いやぁ…、戦闘描写って難しいですね。
まだ呼吸頼みなところが多いですね。もっとうまく描けるようになりたいんですが…。
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