ここ、舞網市では大規模なデュエル大会が開催されていた。
数多の凄腕デュエリスとを育成してきたデュエル塾であるレオ・デュエル・スクール。略してLDSが主催のこの大会、その名も舞網チャンピオンシップ。
この大会は3つの部門に分かれている。
小学生以下のジュニア。
中・高校生のジュニアユース。
大学生以上のユース。
その1つ、ジュニアユースでの一回戦第1試合が始まろうとしていた。
◇ ◆ ◇
『それではジュニアユース選手権、記念すべき第1試合を始めまーす! 司会進行及び実況はこの私、ニコ・スマイリーが担当させて頂きます!』
会場は熱気に包まれ、デュエルの開始を今か今かと待ち望んでいた。
『第1試合の組み合わせ、その1人目はあのLDS所属の不屈のデュエリスト!上利亜 進駆郎選手!』
紹介に応えて右手拳を突き上げたのは黒髪を無造作に突き上げた髪型の美少年。
この少年が進駆郎だ。
『その対戦相手は無所属ながらも、予選を勝率8割で通過した凄腕デュエリスト! 土野 千影選手!』
こちらは自然体で無反応。短く切られたボサボサの髪、赤い上着にジーンズとごく一般的ないでたち。見た目は何処をどう見ても平凡の少年、それが千影の印象だった。
「良いデュエルにしよう」
「そうですね」
進駆郎の言葉にそう返す千影。
『それでは、始めましょう! ランダムセレクト!』
会場の中央上空に投影された球体が回転し、その回転が止まった時、戦いの場が決まる。
『アクションフィールド、オン! フィールド魔法《アクセル・ワールド》!!』
その瞬間、場が一変する。
ソリッド・ビジョンが起動し、ただの黒い床地だった場所がレーシングコース場に早変わりする。
この立体幻影は質量を持つ。
つまり、ここに投影されている全ての物に触れるという事。
そして、召喚されたモンスターにも触れるという事。
それが“アクション・デュエル”。
「戦いの伝道に集いしデュエリストが!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最終進化系」
『アクショーーン!!』
「「デュエル!」」
Shinkurou LP4000
VS
Chikage LP4000
「先攻は君のようだね!」
「・・・・・・私のターン」
利発な進駆郎に対して千影は落ち着いているというより暗い印象を受ける。
「私は手札から《ヌメロン・ウィンドウ》を捨てて効果発動。デッキから【ヌメロン】と名のつくカードを1枚手札に加える。デッキから永続魔法《ヌメロン・ネットワーク》を手札に」
「【ヌメロン】? 聞いた事のないカテゴリーだ」
『おっとーっ!? 千影選手は予選と違う全く違う新しいデッキを使っているぞ! 【ヌメロン】とは始めて聞くカード群だー!』
そりゃそうだよ。俺だって何で持ってるか知らないし。
と内心で呟く千影。そんな内心に関わらず自分のターンを進める。
「私はこれで、ターンエンド」
『千影選手はカードを1枚も伏せず、モンスターも召喚しないでターンエンド!? 手札事故か!?』
「手札事故か、それは残念。それでも僕は全力で行くよ!」
ターンは千影から進駆郎に移る。
「僕のターン、ドロー!」
「この瞬間、手札の《ヌメロン・ネットワーク》を発動」
「何っ!?」
『千影選手、永続魔法である《ヌメロン・ネットワーク》を相手のターンに発動させたー!?』
千影のフィールドに現れる《ヌメロン・ネットワーク》。
「このカードは自分フィール上にカードが存在しない場合、相手のドローフェイズに発動する事ができる」
「へえ、すごい効果だね。驚いたよ! それじゃあ、僕のターンを続けさせて貰うよ!」
進駆郎は手札を確認する。
良い手札だ!
「僕は魔法カード《調律》を発動! デッキから【シンクロン】を手札に加えた後にデッキトップからカードを1枚墓地に送る! 《ジャンク・シンクロン》を手札に加える!」
そして、デッキトップからカードが1枚墓地へ送られる。
「僕は手札をの《チューニング・サポーター》を捨てて、チューナーモンスター《クイック・シンクロン》を特殊召喚!」
進駆郎の前に現れたのはテキサスハットとマントをつけたガンマン風のロボット。
「墓地の《ボルト・ヘッジホッグ》の効果発動!自分フィールド上にチューナーが存在する場合、墓地からこのカードを特殊召喚する事ができる!」
光の円の中から飛び出してくるモンスター。その姿はボルトを背中から沢山生やしたハリネズミだ。
どうやら《調律》の効果で墓地に送られていた様だ。
これで進駆郎のフィールドにチューナーとチューナー以外のモンスターが揃う。
「《クイック・シンクロン》は全ての【シンクロン】の代用として使用できる! レベル2の《ボルト・ヘッジホッグ》にレベル5の《クイック・シンクロン》をチューニング!!」
《クイック・シンクロン》が5つの光の輪となり半透明になった《ボルト・ヘッジホッグ》がそこを潜ると、閃光が走る。
☆2+☆5=☆7
「集いし星が、熱き闘士を呼び覚ます! その拳で眼前の敵を打ち崩せ! シンクロ召喚! 燃え上がれ、レベル7! 《ニトロ・ウォリアー》!」
閃光が消え、筋肉隆々で緑の体皮の闘士がその姿を現す。
《ニトロ・ウォリアー》
☆7
ATK/2800
「自身の効果で特殊召喚された《ボルト・ヘッジホッグ》がフィールドを離れる場合、ゲームから除外される。まだまだ行くよ!《ジャンク・シンクロン》を召喚! 効果発動! 《ジャンク・シンクロン》が召喚に成功した時、墓地からレベル2以下のモンスターを効果を無効にして自分フィール上に守備表示で特殊召喚できる! 蘇れ《チューニング・サポーター》!」
大きい丸眼鏡をかけエンジンを背負ったオレンジ色の小柄な戦士とガラクタをかき集めて作った小さなロボットが進駆郎のフィールドに現れる。
《ジャンク・シンクロン》
☆3
ATK/1300
《チューニング・サポーター》
☆1
DEF/300
再び、チューナーとチューナー以外のモンスターが進駆郎のフィールドに揃う。
「レベル1の《チューニング・サポーター》にレベル3《ジャンク・シンクロン》をチューニング!」
《ジャンク・シンクロン》が取っ手を引き、背中のエンジンを動かすとシンクロエフェクトが始まり、光が閃きがモンスター達を覆う。
☆1+☆3=☆4
「集いし星が、誘い呼び出す者をを呼ぶ! 異才よ、更なる道へ! シンクロ召喚! 来い、レベル4! シンクロチューナー《ジャンク・サモナー》!」
《ジャンク・サモナー》
☆4
DEF/1600
現れたのは金属質の黒いローブを身に纏う魔法使いの様な姿のモンスター。
「《チューニング・サポーター》がシンクロ素材になった場合、デッキからカードを1枚ドローする! さらに《ジャンク・サモナー》の効果発動! このカードがシンクロ召喚に成功した時、墓地からレベル4以下のモンスター1体を効果を無効にして自分フィール上に特殊召喚できる! 再び蘇れ、《チューニング・サポーター》!」
《チューニング・サポーター》
☆1
DEF/300
「《ジャンク・サモナー》は《ジャンク・シンクロン》として扱える効果を持っている! レベル1の《チューニング・サポーター》にレベル4《ジャンク・サモナー》をチューニング!」
《ジャンク・サモナー》が魔法陣を四つ呼び出すと自身はそこに消えていく、そしてシンクロエフェクトが始まり、光が閃きがモンスター達を覆う。
☆1+☆4=☆5
「集いし星が、新たな力をを呼び起こす! 絆を力に! シンクロ召喚! 来い、レベル5! 《ジャンク・ウォリアー》!」
光の中から現れたのは《ジャンク・シンクロン》を高機動格闘戦に特化させ、成長させた様な青い戦士。
《ジャンク・ウォリアー》
☆5
ATK/2300
『進駆郎選手! 1ターンで3回の連続シンクロ召喚! これはすごい! 対する千影選手のフィールドは永続魔法1枚のみ! これは決まったかー!?』
「《チューニング・サポーター》の効果により、デッキからカードを1枚ドロー! そして、バトルだ! 《ジャンク・ウォリアー》でダイレクトアタック! スクラップフィスト!」
背中のスラスターを噴かせ、左と比較して大きい右拳を突き出して突進する《ジャンク・ウォリアー》。
「この瞬間、《ヌメロン・ネットワーク》の効果発動。1ターンに1度、自分フィールド上に【ヌメロン】と名のつくカードのみの場合、デッキの【ヌメロン】と名のつくカード1枚を選択しその効果を発動できる。この効果は相手のターンでも発動できる」
「相手のターン起動できる永続魔法だってっ!?」
『なんとぉ! 《ヌメロン・ネットワーク》にはそんな効果が隠されていたのかー! 千影選手、なんというサプライズ!』
「私はこの効果によりデッキの《ヌメロン・ランプ》を選択し、その効果を発動」
千影のフィールドの《ヌメロン・ネットワーク》が煌く。
「デッキから【ヌメロン】と名のついたモンスター1体を特殊召喚。来い、《ヌメロン・ランプ》。そして、選択した《ヌメロン・ランプ》は墓地に送られる」
千影によって呼び出されたモンスター。
その姿は浅黒いランプに羽が生えており、青い炎を灯している。
《ヌメロン・ランプ》
☆1
DEF/0
「守備力0? 問題ないな、攻撃続行!」
守備力0の《ヌメロン・ランプ》に抵抗などできるわけも無く、《ジャンク・ウォリアー》に打ち砕かれた。
「《ヌメロン・ランプ》の効果発動。このカードが破壊された場合に発動できる。効果はさっき言った通りだ。デッキから3枚目の《ヌメロン・ランプ》を特殊召喚」
再び現れる《ヌメロン・ランプ》。その効果は正しく後続を誘導する灯火だ。
《ヌメロン・ランプ》
☆1
DEF/0
「《ニトロ・ウォリアー》で攻撃! ダイナマイトナックル!」
大型の筒状スラスターを噴かせ突進する《ニトロ・ウォリアー》。その両拳が《ヌメロン・ランプ》を粉砕した。
「《ヌメロン・ランプ》の効果発動。デッキから《ヌメロン・ピラー》を特殊召喚」
灯火に呼び出されたの巨大な柱を思わせる辛うじて人型の浅黒いモンスター。
《ヌメロン・ピラー》
☆10
DEF/0
「レベル10のモンスター!? だけど守備力0?」
進駆郎は疑問に思った。
レベル10のモンスターでありながら守備力が0? 何かしら効果がある。
しかし、今の僕に対処する方法は無い。 だけど手札に“アレ”がある!
「バトル終了! 僕はカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
3ターン目。千影のターンに移る。
「私のターン。ドロー」
千影は静かに、淡々とターンを進める。その雰囲気がかえって進駆郎にプレッシャーを掛けていた。
「私は魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動。手札からモンスター《ヌメロン・フロア》を捨て、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚。《ヌメロン・リフト》を特殊召喚」
千影のフィールドに現れたのは全体的に浅黒い柵のついた土台。
リフトという名の通り、昇降足場をモデルにしたモンスターの様だ。
《ヌメロン・リフト》
☆1
DEF/0
「《ヌメロン・リフト》の特殊召喚成功時効果発動。墓地に存在する【ヌメロン】と名のつくモンスター1体を特殊召喚する。蘇れ、《ヌメロン・ウィンドウ》」
千影のフィールドに現れる3体目のモンスター。
【ヌメロン】モンスター共通の浅黒い色合いで、窓枠に羽の生えた奇妙な窓の姿をしていた。
《ヌメロン・ウィンドウ》
☆1
DEF/0
「墓地に存在する《ヌメロン・フロア》の効果発動。自分フィールド上に【ヌメロン】と名のつくモンスターが存在する場合、このカードを自分フィール上に特殊召喚できる」
続々と千影のフィールドに現れるモンスター。
今度のモンスターはタイル張りの床、というより土台の姿をしていた。
《ヌメロン・フロア》
☆1
DEF/0
「1ターンで3体ものモンスターをフィールドに特殊召喚するなんて・・・・・・」
『千影選手、あっという間に自分フィールドにモンスターを大量展開! しかし、全てのモンスターのステータスは攻撃力守備力共に0! これからどうするんだー!?』
千影のフィールドのモンスター全てが攻守0。
ならば警戒するのはその効果と誰もが思うだろう。
「私は《ヌメロン・ピラー》の効果発動。自分フィールド上の全てのモンスターはこのカードとこのカード以外の【ヌメロン】と名のつくモンスター1体のレベルの合計と同じになる」
「って事はレベル11のモンスターが4体揃う!? 止めさせてもらう! カウンター罠発動! 《天罰》! 手札を1枚捨てて発動、モンスター効果を無効にして破壊する!」
雷雲から放たれる雷に打たれ《ヌメロン・ピラー》は破壊される。
「では魔法カード《死者蘇生》を発動。蘇れ《ヌメロン・ピラー》」
「くっ・・・・・・」
「防ぐ手は無いと見た。《ヌメロン・ピラー》の効果発動。これにより私のフィールド上のモンスター全てがレベル11になる」
《ヌメロン・ウィンドウ》
☆1→☆11
《ヌメロン・フロア》
☆1→☆11
《ヌメロン・ピラー》
☆10→☆11
《ヌメロン・リフト》
☆1→☆11
『これにより千影選手のフィールドにはレベル11のモンスターが4体揃った! これは来るかー!? 来てしまうのかー!?』
「私はレベル11の《ヌメロン・ウィンドウ》《ヌメロン・フロア》《ヌメロン・ピラー》《ヌメロン・リフト》の4体でオーバーレイ!」
「ラ、ランク11!? しかも4体も使用したエクシーズモンスターっ!?」
驚愕する進駆郎。しかし、千影はそれを無視する。
千影のフィールド上の4体のモンスターが黒系色の光の玉となり飛び上がる。
「4体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」
そして、地上に現れた渦巻く宇宙に飛び込んだ。そこから発生する煌きと衝撃が会場を震撼させる。
「誉れ高き叡智に触れる虚ろの王よ」
エクシーズエフェクトより浮上するは白と金の全身鎧に身を包んだ厳格なる王。
「夢は幻、希望の光を絶望の闇へ」
その存在感は他を圧倒し、フィールドのみならず会場全体を支配する。
「エクシーズ召喚!」
レベル11モンスター4体という超重量級エクシーズモンスター。
「来たれ、ランク11! 夢幻虚王ヌメロニア!」
《夢幻虚王ヌメロニア》
★11
ORU:4
ATK/5000
「こ、攻撃力5000!?」
『出たーッ!! ランク11のモンスター! 私、長年この業界にいますが、ランク11のエクシーズモンスターなど始めてです! しかもその攻撃力は5000!』
超弩級モンスターの登場に会場が湧いた。
しかし、千影はものともせずデュエルを続けていく。
「バトルフェイズ。《ヌメロニア》で《ジャンク・ウォリアー》を攻撃」
「させない! 罠カード発動《くず鉄のかかし》! モンスター1体の攻撃を無効にする!」
「《ヌメロニア》の効果発動。このカードが相手のカード効果の対象になった時、オーバーレイ・ユニットを消費して、その発動を無効にして破壊する」
《夢幻虚王ヌメロニア》
ORU:4→ORU:3
《ヌメロニア》を周回する光の球、オーバーレイ・ユニットが《ヌメロニア》に吸収されると左手から波動を放ち、《くず鉄のかかし》を破壊する。
「く、ここはアクションカードだ!」
「《ヌメロニア》の攻撃。ア・バニッシュ」
《ニトロ・ウォリアー》に捕まり、進駆郎はデュエルフィールドに駆け出す。
しかし、無常にも《ヌメロニア》が放った光弾が《ジャンク・ウォリアー》を粉砕するだけに留まらず衝撃波が進駆郎を吹き飛ばした。
「うわああああっ!?」
Shinkurou LP4000→LP1700
しかし、発生したダメージが少ない。
攻撃力5000の《ヌメロニア》と攻撃力2300の《ジャンク・ウォリアー》の戦闘で発生する戦闘ダメージは2700ポイント。
進駆郎のライフは1300ポイントのはずだ。
「ギリギリ間に合ったよ。アクション魔法《シフトチェンジ・ドライブ1》の効果で《ジャンク・ウォリアー》の攻撃力を400ポイントアップさせたんだ」
『進駆郎選手、アクションカードでダメージを軽減ー!』
《シフトチェンジ・ドライブ1》
一度発動すると厄介なアクション魔法。
自分のモンスター1体の攻撃力を400ポイントアップさせるだけではなく、その後《シフトチェンジ・ドライブ2》を自動的に手札に加えられるという効果だ。
手札に加えたターン発動はできないが、次は攻撃力800ポイントアップのアクション魔法。
ドライブ3、ドライブ4と連鎖する為、厄介なアクションカードなのだ。
遊戯王名物“発動させていた”。あるある。
と内心毒づく千影。
まあ良いや、さっさと止め刺したい。
「私はバトルフェイズを終了。この瞬間《ヌメロニア》の効果発動。《ヌメロニア》が戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に効果を発動、相手モンスター1体を破壊する」
「な、何だって!?」
『ランク11に相応しい強力無比な効果を連発する千影選手のモンスター! 王の名は伊達ではないですねー!』
「ジ・バニッシュ」
《ヌメロニア》が再び放った光弾が《ニトロ・ウォリアー》を破壊する。
「くうう・・・・・・!」
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
「くっ! 僕のタァーンッ!!」
進駆郎の気合のドロー。
そして、ドローしたカードを見て顔を綻ばせた。
『進駆郎選手、起死回生の一手は引き込めるか!?』
「僕は《死者蘇生》を発動! 墓地からモンスターを特殊召喚できる! 僕が特殊召喚するのは《ジャンク・ウォリアー》! さあ、蘇れ!」
《ジャンク・ウォリアー》
☆5
ATK/2300
《ジャンク・ウォリアー》ね。はいはい、シンクロシンクロ。
と、千影の思考を知らずに進駆郎はターンを進める。
「僕はチューナーモンスター《ジャンク・スターター》を召喚!」
元気良く飛び出してきたのは、《ジャンク・シンクロン》を幼くした様な姿の黄色いモンスターだ。
《ジャンク・スターター》
☆2
ATK/900
《ジャンク・スターター》? 聞いた事のないモンスターだ。
シンクロチューナーの《ジャンク・サモナー》もそうだけど、さっきからデッキに知らないカードがそこそこあるなぁ・・・・・・。
千影は再び疑問に頭を傾げるが、とりあえず置いておく事にした。
千影自身2万種類を優にを超えるカードを全て把握している訳では無いからだ。
「《ジャンク・スターター》は《ジャンク・シンクロン》として扱える効果を持っている!」
「成る程」
「僕はレベル2《ジャンク・スターター》にレベル5《ジャンク・ウォリアー》をチューニング!」
2つの光輪を青き拳闘士が潜り新たな力へと進化する。
☆2+☆5=☆7
「集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す! 暴斧を振るえ! シンクロ召喚! 吠えろ、レベル7! 《ジャンク・バーサーカー》!」
深き怒りをその眼に宿した赤い鎧を身に纏い、巨大な斧を持つ狂戦士が現れる。
《ジャンク・バーサーカー》
☆7
ATK/2700
「さらに《ジャンク・スターター》の効果発動! シンクロ素材となった場合、デッキから【ジャンク】と名のつくモンスターを1体手札に加える事ができる! この効果で《ジャンク・シンクロン》を手札に加える!」
『この状況を打開すべく連続シンクロによって現れた進駆郎選手のシンクロモンスター! 千影選手はどう出るのでしょうか?』
反撃の狼煙を上げる進駆郎、しかし、千影は非情だった。
「リバースカードオープン、カウンター罠発動。《ヌメロン・リライティング・シンクロ》」
「《ヌメロン・リライティング・シンクロ》?」
更に聞かない名前のカウンター罠に疑問を浮かべる進駆郎。
「《ヌメロン・リライティング・シンクロ》は相手のシンクロ召喚を無効にし破壊するカウンター罠。さらに相手のデッキからモンスターを特殊召喚させる。但し、発動条件は自分フィールド上に【ヌメロン】と名のつくカード以外が存在しない場合に限るが」
『なななーんと千影選手発動させたカウンター罠、その効果はまさしくリライティング! モンスターの存在を書き換える効果だー!』
千影の前には進駆郎のデッキ内容が空中ディスプレイに表示される。
「・・・・・・やはり、【シンクロン】を中心にした【ウォリアー】デッキか……」
「待ってくれ! どうして、発動できる!? 君のフィールドには《ヌメロニア》が居る。発動条件を満たせない!」
『進駆郎選手の言う通り! 一体全体どういう事でしょう?』
確かにその疑問はもっともだ。【リライティング】と名のつくカウンター罠の発動は共通条件を持つ。
それは“自分フィールド上に【ヌメロン】と名のつくカード以外が存在しない場合
に相手が○○した時、発動できる。”と言うもの。
千影のフィールドには《夢幻虚王ヌメロニア》が存在する。
進駆郎の言う通り、発動条件を満たせない。
「決まっている、《ヌメロニア》の効果だ。叡智の根源に触れたるヌメロンの王だ。自身をサポートするカードを阻害する訳がないだろう?」
「そ、そんな!?」
《夢幻虚王ヌメロニア》の第1の効果。
【ヌメロン】と名のつく魔法・罠を発動条件を無視して発動する事ができる。
これが答えである。
「では効果処理だ。《ジャンク・バーサーカー》のシンクロ召喚を無効にし、破壊。その後、相手のデッキからモンスターを1体特殊召喚する。この効果で《レベル・スティーラー》を特殊召喚」
進駆郎のフィールドの《ジャンク・バーサーカー》が砕け散り、その代わりにてんとう虫のモンスターが現れる。
《レベル・スティーラー》
☆1
ATK/600
「さあ、君のターンだよ?」
そう言う千影。
しかし、進駆郎にできる事は何も無い。
起死回生の《死者蘇生》からのシンクロは破られ、召喚権も使ってしまった。
シンクロ召喚を無効にされたため《ジャンク・スターター》の効果は不発。
手札にあるのは《チューニング・サポーター》の効果でドローした《シンクロ・キャンセル》。
それとアクション魔法《シフトチェンジ・ドライブ2》のみ。
進駆郎の考えた勝ち筋は、《ジャンク・バーサーカー》の効果を使い、《ヌメロニア》の攻撃力を下げ、《シフトチェンジ・ドライブ2》で攻撃力を上げ戦闘破壊するはずだった。
だが、《ヌメロニア》に1ターンに1度という効果制限は無い。《ジャンク・バーサーカー》でも突破は出来なかった。
それを知るのは千影のみだが。
「僕はこれで、ターン、エンド・・・・・・」
「私のターン、ドロー。そのまま、バトルフェイズに入る」
夢幻を司る虚ろ王が動き───
「《夢幻虚王ヌメロニア》で《レベル・スティーラー》に攻撃」
最後の一撃が下る。
「ア・バニッシュ」
「あ───」
戦闘ダメージ4400ポイント。
その衝撃は進駆郎の精神を真っ白に染めた。
Shinkurou LP2200→LP0
Chikage WIN
ブザーと共ソリッド・ビジョンが解除され、会場からは喝采が湧き起こる。
『決まったーー!! 第1試合、勝者はランク11という超絶モンスターで進駆郎選手を破った千影選手ー!!』
会場の歓声を意にも解さず、千影はデュエル場を後にした。
To be Next───
●今日の最強カード●
《夢幻虚王 ヌメロニア》
エクシーズ 効果モンスター
ランク11 光属性
悪魔族 エクシーズ 効果
レベル11モンスター×4
①:このカードが自分フィールド上に存在する場合、「ヌメロン」と名のつくカードを発動条件を無視して発動する事ができる。
②:このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。
③:このカードがカードの効果の対象になった時、X素材を1つ取り除く事でその効果を無効にして破壊できる。
④:このカードが破壊される場合、X素材を1つ取り除く事でその破壊を無効にできる。
ATK/5000 DEF/500
このデッキのエースにして前代未聞のランク11のエクシーズモンスター。
その攻撃力はデュエルモンスターズ最強の《F・G・D》と並ぶ5000。
召喚条件が難しいがフィールドに出れば、その強力な効果の数々で敵を蹂躙できるぞ!