「バトルロワイヤル、ねぇ・・・・・・」
会場中央に集められた俺達15人のデュエルディスクがバトルロイヤルモードに強制移行した。
3回戦はお互いのカードを賭けたバトルロイヤルとの事。
ルール説明。
・舞台はここを中心とした舞網市の一定区画。
・区画内にランダムに配置されたペンデュラムカードを2枚以上拾わなければデュエル出来ない。勿論、相手も同じ。
・お互いにペンデュラムカードを賭けてデュエルする。
・試合終了時間である明日の12時までに持っていたペンデュラムカードの枚数によって順位が決まり、4回戦へ駒を進める事ができる。
・使用されるアクションフィールドは区画内を4つに分ける超大型のアクションフィールド魔法《ワンダー・カルテット》が使用される。
俺達は既に走り出し、町中を探索に入っていると突如として街が“起動”した。
『アクションフィールド、オン! 《ワンダー・カルテット》発動!』
司会実況のニコ・スマイリーの声が市内に響き渡る。
これからアクションフィールドが起動するらしい。
『火山! 氷山! ジャングル! 古代遺跡! 4つのエリアが出揃い、準備は整いました!』
俺達3人が居るのは火山フィールドらしい。
「ここで3手に分かれよう。その方が効率が良い」
「分かった、十分に気をつけろよ。千影」
「そっちも」
そう言って兄さんは走り出す。
「それじゃ、私はこっちに行くね」
「気をつけろよ?」
「千影が言える事? そっちこそ気をつけなさいよ!」
かなみもまた、分かれて走り出す。
それを見送った俺はデッキからカードを1枚取り出す。
「あの社長(赤)の事だ、きっと作ってあるんだろうよ」
俺はデュエルディスクに取り出したカード《ヌメロン・ウィンドウ》を召喚する。
「振り子の力秘めし叡智の断片たる同胞を探しだせ」
デュエルディスクに小さく現れた《ヌメロン・ウィンドウ》はくるりと1回転した後、一点を見つめ続ける。
「案の定かよ。まあ、良い。速く見つけて遊矢に接触しよう」
◇ ◆ ◇
「よしっ!」
1枚のカードを拾って気合を入れる少年が1人。
その名は榊 遊矢。
「それで2枚揃ったなぁ?」
「っ!?」
そんな遊矢に呼びかける少年が2人。
梁山泊塾所属の竹田 真と梅杉 剣だ。
「我ら、梁山泊塾が相手だ!」
「たっぷりと屈辱を味あわせてやる」
「梁山泊・・・・・・!」
遊矢が思い返すは勇雄とのデュエル。
そして立ち塞がる2人。
導き出される結論は・・・・・・。
「2体1のデュエルか・・・・・・!」
「アンティルールに乗っ取り、ペンデュラムカードを賭ける!」
「賭けるカードは1枚ずつだ!」
「ああ!」
今まさにデュエルが開始されようとした時、待ったの声が掛かる。
「そのデュエル、俺も混ぜて貰おうか」
「あ、あんたは土野 千影!」
「俺も1枚賭ける。良いな?」
遊矢はまさかの介入者に驚きを隠せない。
「良いだろう。貴様にも屈辱を!」
「我らが梁山泊塾に泥を塗ってくれたケジメを付けさせてやる!」
千影は真と剣の2人を無視し、遊矢の傍に付く。
「2体2のタッグバトルロワイヤルだ」
「助けてくれるのか?」
「2対1はフェアじゃないからな。いらないお世話だったかな?」
「いや、助かる!」
遊矢と千影のタッグが結成されこれで互角の2体2。
「行くぞ!」
真の掛け声で一斉にデュエルディスクを構える。
「「「「デュエル!」」」」
Ken LP4000
&
Makoto LP4000
VS
Yuya LP4000
&
Chikage LP4000
梁山泊の2人は同じ構えで左手を突き出し五指を揺らす。
まるでかかって来い、と挑発するように。
遊矢はその姿に勇雄を重ね、邪念に囚われかけてしまう。
しかし、すぐさまそれを振り払い、意を決して自分のターンを始める。
「俺は手札から《EMアメンボート》を召喚!」
《EMアメンボート》
☆4
ATK/500
遊矢のフィールド上に現れたのはボートとアメンボを足した玩具の様なモンスター。
「さあ、来い」
「すぐに引きづり込んでやる」
「敗北という闇にな!」
未だに挑発を続ける剣と真。
「闇・・・・・・!?」
“闇”という言葉に動揺する遊矢。
思い起こすは勇雄とのデュエル。その最後の一撃。
「しっかりしろ、動揺するな。意識をしっかり持て。お前はお前のデュエルをするんだろう? エンタメデュエリスト、榊 遊矢!」
「そうだ・・・・・・! 俺は俺のデュエルをする! そう決めたじゃないか!」
千影の言葉に奮起する遊矢。
「ありがとう! 俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
遊矢のターンは終り、真のターンに移る。
「俺のターン! お得意のペンデュラムは、もうお前だけのものじゃないぜ!」
真はドローするとすぐさま動き出した。
「俺はスケール5の《PS パープル・シールド》とスケール11の《PS パープル・ソード》でペンデュラムスケールをセッティング!」
真のデュエルディスクにセッティングされた2枚の【PS】モンスターの間に表示されるPENDULUMの文字。
「これで、レベル6から10までのモンスターを同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!」
天空に現れた光の大穴から出現する2体のモンスター。
「《地風星ツムジ》!《天風星アラシ》!」
《地風星ツムジ》
☆6
ATK/2200
《天風星アラシ》
☆7
ATK/2300
真のフィールド上に現れた2体のモンスターは共に鳥類の毛皮を被った弓を携えた狩人。
「《パープル・ソード》のペンデュラム効果発動! 1ターンに1度、自分の場の戦士族モンスターの攻撃力を200ポイントアップする!」
怪しく光る《PS パープル・ソード》。その恩恵を受け《地風星ツムジ》と《天風星アラシ》の攻撃力がアップする。
《地風星ツムジ》
☆6
ATK/2200→ATK/2400
《天風星アラシ》
☆7
ATK/2300→ATK/2500
「バトルだ! 俺は《ツムジ》で《アメンボート》を攻撃!」
真の命により《地風星ツムジ》が二股に分かれた矢を放つ。
「この瞬間、《アメンボート》の効果発動! このカードを守備表示にする事でバトルを無効にする!」
《EMアメンボート》
☆4
ATK/500→DEF/1600
放たれた矢を弾き返し、攻撃を防ぐ事に成功した遊矢。
しかし、真のフィールドにはもう1体のモンスターがいる。
「だが、こっちのモンスターは1体だけじゃない! 」
《天風星アラシ》が矢を番え引き絞る。
次の攻撃が来る感じた遊矢はアクションカードに頼る為に動き出す。
そして、1枚のアクションカードを見つけた時、遊矢は何者かに体当たりされる。
「っ!?」
危うく溶岩の川に落ちかけたが、何とか持ちこたえた遊矢。
しかし、《天風星アラシ》が矢は放たれ《EM アメンボート》を破壊され、見つけたアクションカードは邪魔をしてきた剣の手に渡ってしまう。
「フフフ。アクション魔法《フレイム・ボール》発ど、げふっ!?」
剣が手にしたアクションカードを発動しようとした瞬間、千影によって思いっきり頭を蹴飛ばされる。
その衝撃により剣は拾ったアクション魔法を手放してしまう。
「リアルファイトはデュエリストの嗜み。しかし、貴様らのは度が過ぎているな。ならば、こちらも“そういう”対応を取らせて貰おう」
ひらひらと舞い落ちるアクション魔法を空中でキャッチすると千影はすかさずデュエルディスクに差し込んだ。
「私はアクション魔法《フレイム・ボール》を発動。相手プレイヤーに200ポイントのダメージを与える」
発動したアクション魔法の対象は蹴り飛ばされた剣。
飛来する火の玉の爆発に身を晒しライフポイントが削られる。
Ken LP4000→LP3800
「おのれェ!」
「く・・・・・・! だが、まだ終りじゃないぞ!」
自分達のデュエルを邪魔され憤る剣と真。
だが、真の言葉によればまだ打ち手を出してくる様だった。
「何っ!?」
「俺は手札から魔法カード《融合》を発動する! 俺は《ツムジ》と《アラシ》を融合!」
メインフェイズ2。真はペンデュラムからの融合召喚を行おうとしていた。
「吹けよ風! 荒べよ嵐! 逆巻く破壊神、ここに君臨! 融合召喚!」
姿現すは雲の様な飾りを背負い杖を持った仙人の様なモンスター。
「来い、レベル10! 《覇嵐星フウジン》!」
《覇嵐星フウジン》
☆10
ATK/3000
「俺は《フウジン》の効果! 自分のターンが終わる度に、フィールドの戦士族モンスター1体につき500ポイントのダメージを貴様に与える!」
「何っ!?」
驚く遊矢。
つまり、ほぼ毎ターンに500ポイント以上のダメージが発生する事になるという事だ。
「俺はターンを終了する!」
真のエンドフェイズの宣言により《覇嵐星フウジン》の効果が発動する。
《覇嵐星フウジン》が振りぬいた杖から生み出された竜巻が遊矢を襲う。
「ぐぅ・・・・・・!」
Yuya LP4000→LP3500
「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ! 次のターン、頼んだぞ!」
「分かった。私のターン、ドロー」
このタッグバトルロワイヤルデュエルの留意点は自分のフィールドと墓地、エクストラ等は全て別。タッグであっても基本はバトルロワイヤルという事だ。
その特別ルールの中、新しく2枚のカードの入った千影のデッキが動き出す。
「私は《ヌメロン・ネットワーク》を発動」
「っ!?」
「引いていたのか!?」
千影の宣言に動揺する剣と真。
「自分フィールド上に【ヌメロン】と名の付くカード以外が存在しない為《ヌメロン・ネットワーク》の効果を起動。デッキの【ヌメロン】と名の付くカード1枚を指定しその効果を発動、その後指定したカードは墓地に送る。私が選択するのは《ヌメロン・ウィンドウ》」
選択され墓地に送られる《ヌメロン・ウィンドウ》。
「その効果はデッキから【ヌメロン】と名の付くカード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのは《ヌメロン・レリーフ》」
「そ、それって、ペンデュラムカード!?」
公開したカードに遊矢が反応した。
無理も無い。この大会で初めてその姿を現した新カテゴリー【ヌメロン】のペンデュラムカードが既に完成していたのだから。
「私本来のカードでは無い。今回でばら撒かれたペンデュラムカードの1枚だ」
そう遊矢に告げる千影は自分のデュエルを続ける。
「更に私は手札の《ヌメロン・ウィンドウ》の効果を発動」
「2枚目!?」
「効果は先ほどと同じ、デッキより《ヌメロン・スタチュー》を手札に加える」
「また、ペンデュラムカード!?」
そう、この瞬間に千影の手札に2枚のペンデュラムカードが存在する事になる。
「私はスケール0の《ヌメロン・レリーフ》とスケール11の《ヌメロン・スタチュー》でペンデュラムスケールをセッティング!」
千影のデュエルディスクの両端に配置された《ヌメロン・レリーフ》と《ヌメロン・スタチュー》の間に表示されるPENDULUMの文字。
千影の両脇に出現した光の柱に浮かび上がる2体のモンスター。
《ヌメロン・レリーフ》はその名の通り大きな彫刻を刻まれた石版だ。
抽象されて描かれているのはヒトガタではあるが両腕が大きな翼であり、両脚が鋭角なモンスター。
《ヌメロン・スタチュー》は抽象的な完全な人型の石像だ。
2体とも【ヌメロン】モンスターらしく黒色系の色合いのデザイン。
《ヌメロン・レリーフ》の下には0の数字が、《ヌメロン・スタチュー》には11の数字が現れている。
「これによりレベル1から10までのモンスターが同時に召喚可能! しかし、私のペンデュラムカードには共通した制約がある。それは【ヌメロン】と名の付くモンスターしかペンデュラム召喚できないという事」
「つまり【ヌメロン】専用のペンデュラムカード!?」
その制約に驚く遊矢。
「遊矢、で良いか? お前は安心して自分のデュエルをしろ。遊矢の信じる遊矢のデュエルを。揺れるのは振り子だけで良い、その担い手は大地にしっかりと立っていろ」
「千影・・・・・・」
そして千影は告げる。
「揺れろ、叡智のペンデュラム!」
天空に現れる赤と青の2色の振り子が大きく揺れる。
「大いなる導きよ、行くべき軌跡を示せ!」
出現する光の大穴、ペンデュラムエフェクト。
「ペンデュラム召喚! 現れよ、叡智を讃えし断片たる下僕達よ!」
《ヌメロン・ルーフ》
☆1
DEF/0
《ヌメロン・ピラー》
☆10
DEF/0
ペンデュラムエフェクトから出現したのは2体の【ヌメロン】モンスター。
《ヌメロン・ルーフ》と《ヌメロン・ピラー》だ。
「そしてペンデュラム召喚に成功した時、《ヌメロン・レリーフ》と《ヌメロン・スタチュー》のペンデュラム効果を発動する」
「このタイミングで!?」
「《ヌメロン・レリーフ》の効果は自分がペンデュラム召喚に成功した時、デッキから【ヌメロン】と名の付くモンスター1体を手札に加える。この効果により《ヌメロン・リフト》を手札に加える」
効果処理はまだ続く。
「《ヌメロン・スタチュー》の効果はペンデュラムゾーンを2ヶ所まで指定し、指定したペンデュラムゾーンに存在するカードを持ち主の手札に戻す。この効果により私は自分のペンデュラムゾーン2ヶ所を選択し、《ヌメロン・レリーフ》と《ヌメロン・スタチュー》を手札に戻す」
千影の手札に戻る《ヌメロン・レリーフ》と《ヌメロン・スタチュー》。
これにより、先ほどの制約から解かれた事になる。
と言っても有って無い様な制約なのだが・・・・・・。
「行くぞ?」
「ああ!」
短い会話を交わす千影と遊矢。
そして千影のターンは始まったばかりなのだ。
「私は《ヌメロン・ルーフ》のモンスター効果発動。自分フィールド上の【ヌメロン】と名の付くモンスター1体を指定し、指定したモンスターと同じレベルになる。指定するのは勿論《ヌメロン・ピラー》」
《ヌメロン・ルーフ》
☆1→☆10
「これで千影のフィールドにはレベル10のモンスターが2体?」
「私はレベル10《ヌメロン・ピラー》とレベル10となった《ヌメロン・ルーフ》でオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築」
「ランク10!?」
地面に渦巻くエクシーズエフェクトに飛び込む黒い光の球となった《ヌメロン・ピラー》と《ヌメロン・ルーフ》。
「叡智に触れし偉大なる賢者よ、慈悲を持って彼の者に滅びを与えよ!」
浮上するはヌメロンの知識の一端を読み解きし者。
僧侶を思わせる黄昏色のローブの様な全身鎧に身を包んだ人型モンスター。
「エクシーズ召喚!」
手に持つ杖や全身から放たれる強者の風格が肌で感じ取れる程の存在感。
「来たれ、ランク10!《ロード・オブ・ヌメロン-ラーマヤーナ》!」
《ロード・オブ・ヌメロン-ラーマヤーナ》
★10
OLU:2
ATK/3000
「ランク10ともなれば・・・・・・」
「その効果は強力なはず!」
千影のフィールドに現れた《ラーマヤーナ》に警戒する剣と真。
しかし、警戒しようと手札を使い切った真には防ぐ事はできない。
「私は《ヌメロン・ネットワーク》の第3の効果、【ヌメロン】と名のつくエクシーズモンスターはオーバーレイ・ユニットを消費せずに効果を発動できる効果を使い、《ラーマヤーナ》の効果を発動!」
「何っ!?」
「1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える。選択するのは《覇嵐星フウジン》!」
千影の令に従いその力を振るうヌメロンの賢者。
その杖から迸る青白く瞬く雷電が収束し矢の様な形を取る。
「インドラの矢!」
放たれた雷電の矢は《覇嵐星フウジン》を貫き、その余波の雷撃が真を襲った。
「ぐああああああっ!!」
「真っ!?」
Makoto LP4000→LP1000
「すげーよ! 千影!」
あまりに鮮やかな千影のデュエルタクティクスに素直に喜ぶ遊矢。
そして、これにより真のフィールドは空となり、無防備な状態となった。
「安心すると良い、このターンでは終わらんよ。この効果のデメリットとして《ラーマヤーナ》は攻撃できない。私はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
「やってくれる! 俺のターン!」
第4ターンは剣。
「俺もペンデュラムで行くぜ!」
そう言って公開する2枚のカード。それは真の使ったペンデュラムカードと同じ物。
「俺はスケール5の《パープル・シールド》とスケール11の《パープル・ソード》でペンデュラムスケールをセッティング!」
真と同じく、剣のデュエルディスクにセッティングされた2枚の【PS】モンスターの間に表示されるPENDULUMの文字。
「これで、レベル6から10までのモンスターを同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!」
天空に現れた光の大穴から出現する2体のモンスター。
「出でよ、《地雷星トドロキ》!《天雷星センコウ》!」
《地雷星トドロキ》
☆6
ATK/2100
《天雷星センコウ》
☆7
ATK/2400
剣のフィールド上に現れた2体のモンスターは共に小動物の毛皮を被り軽鎧を身に纏った棍棒と杖使いの武人。
アクションカードを探し回る遊矢だがそれを邪魔するものはいない。
本来であれば真がその役をになっていたのだが、先ほどの効果ダメージで意識はあるものの動けないでいた。
「《パープル・ソード》のペンデュラム効果発動! 1ターンに1度、自分の場の戦士族モンスターの攻撃力を200ポイントアップする!」
先ほどと同じ様に怪しく光る《PS パープル・ソード》。その恩恵を受け剣のモンスターの攻撃力がアップする。
《地雷星トドロキ》
☆6
ATK/2100→ATK/2300
《天雷星センコウ》
☆7
ATK/2400→ATK/2600
「バトルだ! 榊 遊矢に《トドロキ》でダイレクトアタック!」
狙うはモンスターの居ない遊矢。
迫り来る《地雷星トドロキ》の棍棒を成す術無く受けてしまう。
「うわあああっ!」
Yuya LP3500→LP1200
「さらに、《センコウ》でダイレクトアタック!」
杖を構え駆け出す《天雷星センコウ》。
それに対し、遊矢が動いた。
「永続罠《EMピンチ・ヘルパー》を発動!」
突き出された《天雷星センコウ》の杖を遊矢が発動させた永続罠が受け止める。
「相手モンスターのダイレクトアタックを無効にし、デッキから攻撃力800以下の【EM】1体を効果を無効にして特殊召喚する! 来い、《ジンライノ》!」
《EMジンライノ》
☆3
DEF/1800
《EMピンチ・ヘルパー》によって呼び出されたモンスターはシルクハット被り、陣太鼓をつけたサイのモンスターだ。
「ならば速攻魔法《覇道融合》!」
剣が追撃の手として発動するは速攻魔法。
バトルフェイズでも問題なく発動できる魔法カードだ。
そしてその効果は、融合召喚を行うという物。バトルフェイズで特殊召喚されたモンスターは当然攻撃できる。まさしく、追撃の一手だ。
「俺は《トドロキ》と《センコウ》を融合!」
「バトル中に融合っ!?」
遊矢はその事実に驚きを隠せないでいた。
「天に閃け、地に響け! 雷の破壊神、ここに君臨! 融合召喚!」
姿見せるは《覇嵐星フウジン》と対を成す黄の鎧に黒い刀身の剣を持った武人型モンスター。
「出でよ、レベル10! 《覇雷星ライジン》!」
《覇雷星ライジン》
☆10
ATK/3000
「このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える!」
《覇雷星ライジン》の攻撃力は3000に対し《EM ジンライノ》の守備力は1800。
よって発生する先頭ダメージは1200ポイント。
このままだと遊矢はジャストキルされてしまう事になる。
「バトルだ! 《ライジン》で《ジンライノ》を攻撃!」
「俺は永続罠《ピンチ・ヘルパー》のもう1つの効果を発動! このカードを墓地に送る事でモンスター同士で発生するダメージを半分に出来る!」
《EMピンチ・ヘルパー》が光の粒となって消えて《EMジンライノ》に宿る。
それに構う事無く《覇雷星ライジン》は手に持つ剣から電撃を発し、《EMジンライノ》を貫いた。
こちらの雷撃もそれだけに留まらず、《EMジンライノ》を貫通して遊矢にダメージを与える。
Yuya LP1200→LP600
倒れ伏す遊矢だったが己を奮い立たせ、なんとか起き上がった。
「俺は負けない! 負けるもんか!」
「抵抗しても無駄だ! 次のターンで仕留めてやる!」
「《フウジン》が居ればこのターンで仕留められたものを・・・・・・。俺はターンエンドだ!」
屈しない遊矢に回復した真が次のターンで仕留めると宣言し、剣がターンを終了する。
これにより、遊矢のターンに移る。
「俺のターン、ドロー!」
意を決しての渾身のドロー。それにより、キーカードが遊矢の手札に揃う。
「俺はスケール1の《レッド・デビル》とスケール7の《レッド・エンジェル》でペンデュラムスケールをセッティング!」
遊矢のデュエルディスクにセッティングされたのはこの3回戦で手に入れた2枚の【PS】モンスター。そして、その間に表示されるPENDULUMの文字。
「これで、レベル2から6までのモンスターを同時に召喚可能!」
光の柱に浮上していく2体のモンスター。その名の通り赤い石像でモデルでそれぞれ翼をたたんだ悪魔と天使だ。
「揺れろ、魂のペンデュラム!」
大空に出現し光の柱を往復する巨大なクリスタルの振り子。
「天空に描け、光のアーク! ペンデュラム召喚! 現れろ、俺のモンスター達!」
ペンデュラムエフェクトから飛び出す2体分の影。
「レベル4、《EMシルバー・クロウ》! レベル4《EMウィップ・バイパー》」
《EMシルバー・クロウ》
☆4
ATK/1800
《EMウィップ・バイパー》
☆4
ATK/1700
───ドクンッ
突如、遊矢の脳裏によぎる黒き竜。
遊矢を襲う黒い感情が彼の正気を奪おうとする時、千影が動いた。
「しっかりしろ! 遊矢!」
その声はフィールド全体を震えさせ、遊矢を奥底から引き上げた。
「あ、お、俺は・・・・・・」
「しっかりしろ、遊矢」
同じ内容であるが今度は込められた感情が違った。
先ほどのは親が子供を叱り付ける様なものであったが、今度は優しく包み込む様な声色だった。
「先も言ったが、もう1度言おう。揺らすのは振り子だけで良い、それを支える心はしっかりとしろ。お前は、お前のデュエルをするんだろう?」
「そうなんだけど・・・・・・」
ゆっくりと諭すように話しかける千影だが、遊矢の精神は揺れていた。
「“あのカード”に引っ張られているんだ、遊矢は」
「え?」
千影の“あのカード”に遊矢は心当たりがあった。
「アレに込められた“怒り”や“憎しみ”、負の感情の中で研ぎ澄まされた反逆の力だ。今の遊矢なら引っ張られるのも無理は無い。しかし、託されたんだろう? 本当の想いと一緒に、そのカードを」
千影の言葉に思い起こすのはユートが消え行く時、カードと共に託してくれた想い。
───世界に・・・・・・。皆の未来に、笑顔を・・・・・・。
「──そうだった。ありがとう、千影!」
「何、問題無い」
気を引き締め、遊矢は本当の自分を取り戻す。
「よし、行くぞ! 俺はレベル4の《シルバー・クロウ》と《ウィップ・バイパー》2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!」
2体のモンスターはそれぞれの属性、黒と茶色の光弾となり地面に渦巻くエクシーズエフェクトに飛び込んだ。
「漆黒の闇より出し、愚鈍なる力に逆らう反逆の牙!」
しなる先端が二叉となった尾。
「今、降臨せよ! エクシーズ召喚!」
翻すは宝玉の埋め込まれた鋭利な翼。
「現れろ、ランク4! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
顎に長い牙を持つ漆黒の竜がその姿を現した。
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
★4
ORU:2
ATK/2500
「とうとう闇の底に足を踏み入れたな!」
「漆黒の闇からそのドラゴンを召喚したのがその証!」
嬉々として語りだす梁山泊の2人。
しかし、それを遊矢は否定した。
「それは違うな」
そして、この場に宣言する。
「お楽しみはこれからだっ!!」
その顔はエンターテイメントを主とするデュエルの、何時もの遊矢の笑顔だった。
「私はアクション魔法《ダブル・アタック》を発動! フィールド上のモンスター1体を選択し、選択されたモンスターはこのターンに2回攻撃が出来る。私が選択するのは《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
いつの間にか手に入れていたアクションカードを使い、遊矢をサポートする千影。
「次は俺の番だ!」
遊矢は《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の背に乗る。
「《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、ターン終了までレベル5以上の相手モンスター1体の攻撃力を半分にしその数値分をこのカードの攻撃力をアップする! トリーズン・ディスチャージ!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の翼が展開されると紫電が迸り、《覇雷星ライジン》を拘束した。
《覇雷星ライジン》
☆10
ATK/3000→ATK/1500
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
★4
ORU:2→ORU:1
ATK/2500→ATK/4000
「残るオーバーレイ・ユニットも使う! トリーズン・ディスチャージ!」
再び紫電が《覇雷星ライジン》を拘束しその力を奪う。
《覇雷星ライジン》
☆10
ATK/1500→ATK/750
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
★4
ORU:1→ORU:0
ATK/4000→ATK/4750
「行け、遊矢」
「ああ! バトルだ!」
舞い上がる《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》。
「俺は《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で《ライジン》を攻撃! 進撃のライトニング・ディスオベイ!」
「ぐああああっ!!」
一直線に飛翔した《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》の牙によって《覇雷星ライジン》は切り裂かれ、破壊された。
その一撃は凄まじく、余波の衝撃によって剣は大きく吹き飛ばされる。
Ken LP3800→LP0
「もう一度だ! 《ダーク・リベリオン》! ダイレクトアタックだ! 追撃のライトニング・ディスオベイ!」
「うああああっ!!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が再び飛翔しその牙を獲物に突き立てた。
アレの直撃を受けた真も大きく吹き飛ばされた。
Makoto LP1000→0
Yuya&Chikage WIN
To be Next───
●今日の最強カード●
《ヌメロン・スタチュー》
レベル1 闇属性
悪魔族 ペンデュラム
スケール11/11
ペンデュラム効果
①:自分は「ヌメロン」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。
②:自分がP召喚に成功した場合に発動できる。使用されているPゾーンを2ヶ所まで選択し、選択したカードを持ち主の手札に戻す。
モンスター効果
①:このカードは1ターンに2度まで戦闘では破壊されない。
ATK/0 DEF/0
《ヌメロン・レリーフ》
レベル10 闇属性
悪魔族 ペンデュラム
スケール0/0
ペンデュラム効果
①:自分は「ヌメロン」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。
②:自分がP召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ヌメロン」モンスター1体を手札に加える。
モンスター効果
①:自分フィールド上に「ヌメロン」モンスターが召喚・特殊召喚された時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
ATK/0 DEF/0
本来ならばありえないモンスター。それがこの2体、《ヌメロン・スタチュー》と《ヌメロン・レリーフ》。
【ヌメロン】モンスターでありながらペンデュラムモンスターでもある。
量産型のペンデュラムカード【PS】とは別に赤馬 零児が千影とのデュエルで考案した千影専用にと作られたペンデュラムカード。
その効果ゆえ、いずれ千影の手に渡るだろうと算段したが、誰の手に渡る前に千影自ら2枚とも回収して運用した。