「やったじゃないか、遊矢!」
「ああ! 最高のエンタメデュエルが出来たよ!」
お互いのデュエルを称えて握手する千影と遊矢。
「ありがとう、千影」
「それは何より。俺としても遊矢、君に会いたかったからね」
「そうなのか? それにしてもなんか千影って父さんみたいで心強かったよ」
「やめてくれ、この歳で親父くさいは酷いぞ?」
「そんなつもりで言ったんじゃ・・・・・・!?」
「大丈夫、分かってる。冗談だ。それよりも話したいことがある」
「話? そうだ、俺も千影に話があるんだ」
千影は遊矢と会話しながら気絶している剣と真からペンデュラムカードを回収する。
「なら、しばらく一緒に行動しよう。そうだな、古代遺跡エリアでも行くかい?」
「分かった、一緒に行こう」
◇ ◇ ◇
古代遺跡エリアへ向かう俺と遊矢。
その途中で俺の事情から話すことにした。
「俺は、ある意味で遊矢と同じ状況なのかもしれない」
「どういう事だ?」
ある日、謎のカード群【ヌメロン】に出会った事。
このカード達は意思を持ち、何かを成そうと俺を利用しようとしている事。
そのせいでデュエル中に性格が変わって見える事。
融合次元の人間とデュエルした事。
そして、この世界で起きようとしている異変の前兆を。
体を乗っ取られそうになった、といった時はさすがに遊矢も心配してくれた。
そんな危険なデッキを使って大丈夫なのか? と。
そこは今度起きるであろう事件のために仕方なくですまして、遊矢も経験あるだろう? と、話をずらす事でごまかした。
「そんな、そんな事って・・・・・。じゃあ、その内ユーゴも?」
「ユーゴ? まさか、シンクロ次元の人間か?」
「ああ、現れるなり行き成りユートとデュエルして、そして・・・・・・」
「なるほど。そして君の手に《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》がある訳か」
遊矢の辛そうな表情から察する。
やはり、もう、ユートは居ない様だ。
「ユーゴの《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》は《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》と共鳴してた。俺の《オッドアイズ》と同じ様に・・・・・・」
ほう。そんな事が起きていたのか。
「ならもう1体の竜が存在するんだろうね。君の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と共鳴する竜が」
「どうしてそう思うんだ?」
「分かるだろう? エクシーズ次元には《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》。シンクロ次元には《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》と各次元の名を冠した竜がいる」
「そうか! なら融合次元なら!」
「恐らくだけど、何とか《フュージョン・ドラゴン》というのが存在するんだろうね」
「でも待ってくれ。この世界はスタンダードだって言っていた。なら・・・・・・」
まあ、遊矢の疑問も最も。
本来共鳴するべきは《スタンダード・ドラゴン》なんだろうけど。
「いや、間違ってないさ。この世界もスタンダードからはずれ始めている」
「どういう事だ?」
「分からないのか? 遊矢。君が答えじゃないか」
「俺が、答え? ま、まさか!?」
遊矢が答えに気がついた様だ。
「ペンデュラム・・・・・・? この世界がペンデュラム次元になるって言うのか?」
まあ、今の現状を見ればそう考え至るのも当然の理ってね。
こうまで早くペンデュラム召喚が広まっていけば、というよりこの大会が終わり次第ペンデュラムカードが市居に流され、多くの人が手に取ることになるだろう。
そうなればこの世界をスタンダードとは呼べなくなる。
「俺が、ペンデュラム召喚なんてものを手に入れたばっかりに、そんな!?」
「いや、その考えは間違いかもしれない」
「?」
自責の念のせいか疑問を振り払えないで入る遊矢。
「次元を超えるなんて一朝一夕でできる事じゃない。なら何年も前から準備や研究がされていたはずだ」
「そうだな、そう言われてみれば確かに・・・・・・」
「もしかすると君の父親、榊 遊勝が消えた理由はそれを感じ取ったからじゃないかな?」
「父さんが!?」
「あくまで憶測だからな? 真に受けるなよ」
「・・・・・・分かった」
どうも遊矢は父親に関すると考え無しになるっぽいな。
だが、ありえなくは無い。ZEXALの主人公である遊馬の父親は世界の危機を察知しアストラル世界に向かった訳だし。
「遊矢。“抑止力”って知っているか?」
「よくしりょく? 何それ?」
「ここでの抑止力は世界を円滑に進める為にその邪魔になるものを排除する世界の仕組みだよ」
「その抑止力がなんだって言うんだ?」
うん。要領を得ないって感じの顔だな、遊矢。
「つまり、ペンデュラム召喚は他の次元からの侵略に対する抑止力じゃないかって思ってね」
「なんだって!?」
「融合、シンクロ、エクシーズと並び立つ新たな力、ペンデュラム。その力に選ばれたのは逸早くこの異変に気づいた人間の息子。そういう筋書きなんじゃないかな?」
「筋書きだって!? 一体誰の!?」
「この世界の神さまかもしれないけど、それは分からない。だけど、これだけははっきりと言える。今後、遊矢はこの次元間の戦いに巻き込まれて行く。これは絶対だ」
「なんで言い切れるんだ?」
主人公だから。とは流石に言えないけどね。
「ペンデュラム召喚の開祖が蚊帳の外に居るわけ無いだろう? 現に、既に遊矢は融合次元とエクシーズ次元。さらにシンクロ次元の人間と接触している。これでも無関係で居られると思って居るのかい?」
そう言われた遊矢は思い詰めだしてしまった。
まあ、仕方ないよね。口外にこの世界を救うのはお前だ! って言われている様なものだしな。
「話を纏めるとこの一連の事件は全て融合次元が基点となって起きており、その総締めを何とかしない限り何れこの世界も融合次元のターゲットになる。そして、この異変を解決できるのはペンデュラムの開祖であり、更なる進化の可能性を持つ遊矢、君なんだよ」
「そんな、そんな事言われたって、俺・・・・・・」
戸惑うよね。
突然、君が世界を救う勇者だ! なんて言われてもすぐ受け入れられるわけ無いし。
「戸惑うのも分かる。だが、これは憶測や妄想に近い話だ。だが、現実はそれを否定していないのは分かったかな?」
「それは、何となく、分かった」
やっぱり一気に現状を理解しろってのが無理あるか。
俺も予想や想像を確定事項の様に言っているし。
「とりあえず、難しい話はこれで終りにしよう。もう少しで古代遺跡エリアの中心だ。中継を見た限りで相手が動いていなければ・・・・・・」
「黒咲がそこにいる」
「今できる事は黒咲と会って話をする事。そうすればもっと詳しい事情が分かる」
「そうだ。行き成り全部解決なんてできっこないんだから1つ1つ解決して行こう」
「その意気だ遊矢! 俺も黒咲と話がしたい。エクシーズに特化したこの【ヌメロン】デッキについてとか。ここは協力して行こう」
「ああ! ありがとう、千影」
◇ ◆ ◇
古代遺跡エリアの中心地にある神殿跡に歩を進める遊矢と千影。
その時、遊矢がとある人物を見つける。
「黒咲!?」
名前を呼ばれた青年はただ答えず、柱に背を預けたまま腕を組んでいた。
「お前には色々聞きたい事が山ほどある! 素良の事、アカデミアの事!」
「俺も貴様を待っていた」
静かに佇んでいた隼が口を開く。
「ユートを、何処へやったッ!!」
隼の怒気に思わずたじろぐ遊矢。
「ユートが紫雲院 素良とデュエルしたのを俺も知っている。そこに貴様が乱入した事も。その後ユートは忽然と姿を消した。一体何があった!? ユートに何をした!?」
「お、俺は・・・・・・」
「貴様が何かした。そうに違いない! でなければ、何故貴様がユートのカード、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を持っている!?」
「それは、俺も何が起きたのか上手く説明できないけど、ユートに託されたんだ! デュエルで笑顔を、って!!」
その時だ。別の人間の声がモンスター効果を宣言する。
「このカードは相手プレイヤーにダイレクトアタックする事ができる。俺は《アサルトナイト・スラッシュ》でダイレクトアタック!」
そこに居たのはナイト・オブデュエルズの1人。カールだ。
全身鎧の鉄人形の様なモンスター《アサルトナイト・スラッシュ》が斬撃を飛ばす。
千影は離れているから問題ないが、話し合っていた遊矢と隼は屈んで避ける。
「《アサルトナイト・スラッシュ》はバトルによるダメージを0に出来る」
そう説明したのは同じくナイト・オブ・デュエルズの1人、アシュレイ。
自身の前に従えている《アサルトナイト・スラッシュ》は盾を構え、その斬撃を受け流した。
気がつけば遊矢と隼はナイト・オブ・デュエルズの3人に囲まれていた。
「ナイト・オブ・デュエルズ!?」
「こいつら、性懲りも無く・・・・・・!!」
そしてカールがエンド宣言をすると石ころがどうとかしゃべり出すとアシュレイのターンに移り、最後の1人のブラムのへ《アサルトナイト・スラッシュ》で攻撃する。
勿論、ブラムも《アサルトナイト・スラッシュ》の効果でそれを防ぐ。
「自分達のデュエルにカコつけて俺を痛めつける気か」
「そんな!?」
ナイト・オブ・デュエルズは1度、3体1のデュエルで敗北していた。
これはそれの意趣返しなのだろうが、デュエリストのやる事ではない。
「カスが・・・・・・」
千影は思わずそう呟いた。
アシュレイのターンが終り、ブラムのターン。
先ほどの繰り返しで《アサルトナイト・スラッシュ》でのダイレクトアタック。
その斬撃は確実に遊矢と隼を捕らえていた。
「仕方ない・・・・・・!!」
千影は飛びつき遊矢と隼の2人を突き飛ばすが、飛来する斬撃が直撃し、柱に背中を打ち付ける事になってしまった。
「ぐっ・・・・・・」
「千影!」
一方、ナイト・オブ・デュエルズは・・・・・・。
「俺達はただデュエルしているだけだぜ?」
「ルール違反なんてしてねぇし」
「フフフ・・・・・・」
ここまでくるといっそ清清しい程だ。
と、そこへ3人の男性が駆け込んで来た。
制服のような揃いの白いズボンに青い上着、顔にはマスクをしていた。
「なんだ、こいつら?」
「オベリスクブルー?」
遊矢の呟きに千影が疑問に感じながら答える。
「知っているのか? 千影」
「恐らく、アカデミアの尖兵だ。それもエリートの」
そう、この3人は融合次元の尖兵。オベリスク・フォースであった。
そして彼らから後に優々と歩いて来た少年に遊矢は見覚えがあった。
「待ち遠しかったよ。君と決着を着けるこの時が。黒咲 隼!!」
「素良ー! 無事だったんだな!」
数日前に消えた友人、紫雲院 素良だ。
遊矢も思わず声をかける。
だが、そんな遊矢を無視し素良はオベリスク・フォースにナイト・オブ・デュエルズの始末を支持する。
「大体、何者だ貴様らは!」
「オベリスク・フォース」
『BattleRoyalMode Join』
アシュレイの問いにオベリスク・フォースの1人が答えると同時に電子音声が流れる。
オベリスク・フォース対ナイト・オブ・デュエルズの3対3のデュエルが開始されたのだ。
「ごめんねー遊矢ー。話はコイツを倒してからねー」
「ちょっと待てよ、素良!」
一方的に遊矢を振り切り、素良は隼と共に神殿の奥に進んで行く。
「待て! 争うのはもうやめろ!」
遊矢も素良と隼を追いかけ様とするがその時、信じられない音が遊矢の耳に届いた。
ピー、というLPが0になった時に生じる音だ。
「なっ!?」
振り返るとそこには敗北し、地面に伏するナイト・オブ・デュエルズの姿。
遊矢は思った。
この短時間に3人ともやっつけたって言うのかっ!?
「遊矢・・・・・・」
「千影!」
ここでダメージから回復した千影が遊矢に寄り添う。
思ったより、ダメージが大きかった様だ。まだ千影はふらついている。
「フン。スタンダードのデュエリストなんて大した事ねぇな」
そう言ったオベリスク・フォースの1人がデュエルディスクを構えた時、遊矢に衝撃が走った。
脈動する想い。灼熱の記憶。
それは融合次元の尖兵達にカードにされていくエクシーズ次元の人達の姿。
そして目撃する、カールがカードに封印される瞬間を。
「ひゃあああああ!?」
「こんなのルール違反だ!」
目の前でカールをカードにされたアシュレイとブラムが取り乱す。
「ルール通りさ」
「敗者は消えるのみ。当然だ」
アシュレイとブラムに近づくオベリスク・フォース達。
「やめろ・・・・・・」
止まらないオベリスク・フォース。
「やめろ・・・・・・」
尚も呟く遊矢。
「やめろ・・・・・・」
しかし、非常にもオベリスク・フォースのデュエルディスクから放たれた光によってアシュレイとブラムもカードに封印されてしまった。
「止められなかったか・・・・・・」
千影は目を伏せ、それを目撃した遊矢はついに限界を超え叫ぶ。
「ヤメロォオオオオオオ!!」
遊矢の怒りの慟哭がその場に響いた。
To be Next───