そして、日が明けた。
「ミエルの言う黒い影、やっぱりそれは俺の中に抱えていた暗い感情だって言うのか?」
遊矢は木を背もたれにして座り込んでいた。見つめる右手にはユートから託された《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》。
昨日の晩、アレから幾分と会話をし、今後の行動指針を決めていた。
先ず第1に融合次元からの侵略者である、アカデミアの人間を撃退する事。
第2は今後現れるであろう誰かのそっくりさんと本格的に話し合う事。
今の所判明しているのは遊矢のそっくりさんである人物が2人。
エクシーズ次元のユート。
シンクロ次元のユーゴ。
そして柚子のそっくりさんである人物。
エクシーズ次元の瑠璃。
この2人の共通点はそれぞれのそっくりさんと比較的親密な関係である事。
遊矢と柚子が幼馴染である様に。
そして聞かされる柚子のブレスレットの件。
遊矢が近づくとそっくりさんをどこかに転送するらしいと言う事。
と言う事は、この2人の関係は世界を跨ぐこの事件に関して深く関わっているだろう。
まるで世界の神官と巫女だな。
「例え俺の心の底に悪魔が潜んでいようと、俺は俺自身と、俺の中のユートを信じる!」
「その通りだ、遊矢。お前はお前のデュエルで皆を笑顔にする事だけを考えていろ」
とここで物陰から聞いていた俺が遊矢の独り言に一言入れる。
「っ! 千影?」
「託された想い、軽くないぞ?」
「ああ、もう俺は迷わない。俺は俺のデュエルで皆を笑顔にするんだ。そのためにもアカデミアの好きにさせちゃいけない!」
遊矢からはっきりと伝わってくる決意。
いつも揺れるマママインドだった遊矢とは大違いだな。
「エンタメデュエルは楽しむ事、楽しませる事に意義がある。今の遊矢じゃ、アカデミアの連中はエンタメさせられないしな?」
「そ、それは! あいつらが……!!」
「はいはい。でも、確かにアカデミアの連中はデュエルを戦争の道具にしている。遊び気分だろうと戦争は戦争だ。この世界を守るためにも負ける事は許されない。」
一拍置いて、遊矢を見据える。
「“勝つため”のデュエルは俺が担当する。だから遊矢は“楽しむ”デュエルの腕を上げろ。負けないくらいに。エンターテイナーは自分の敗北さえも演出してこそだが、今回は毛色が違うからな」
「……敗北さえも演出する」
あ、そうだ。これも言っておくか。
「召喚方法に意味があるなら俺はこう思う」
「え?」
俺は、ふと遊矢に持論を述べてみる。
「融合召喚は“絆を合せる”。シンクロ召喚は“絆を繋げる”。エクシーズ召喚は“絆を重ねる”。そして、ペンデュラム召喚は“絆を導く”」
「絆を、導く?」
「そうだ。お前のデッキはお前の行く先に導かれて進化する。お前についていく昇や未知夫、ミエル。俺達だっている。路頭に迷わせてくれるなよ?」
「分かった。俺、頑張るよ!」
「召喚方法自体に善悪は無い。何事も力の使い方しだいだ」
その後、俺達は未知夫が作ってくれた朝食を食べ、空腹を満たすと各々の行動に移る。
兄さん、昇、未知夫チームは火山エリアへ。
俺、遊矢、ミエルは氷山エリアへ。
俺達はアカデミアの捜索と撃退を開始した。
◇ ◆ ◇
場所は火山エリア。今ここに今回のバトルロイヤルに参加している全てのデュエリストが集合していた。
高台では一光とかなみ、セレナと隼がオベリスク・フォースの3人とデュエルしている。
その一方で別のオベリスク・フォースと3対1のデュエルをしていた日影は苦しくも敗北してしまった。
オベリスク・フォースの1人が自分のデュエルディスクを操作しだす。
その時だ。
「ぐあっ!?」
「誰だ!」
今にも日影にカード化するための光を当て様としたオベリスク・フォースの手元にカードが飛来し、その行動を阻害したのだ。
「俺が相手になる」
氷山エリアから来た千影がカードを投げつけ待ったをかけたのだ。
氷山エリアでは梁山泊塾の人間から遊矢に似た人物がバイクに乗っていたと言う情報を得て捜索していたが断念したが、オベリスク・フォースが火山エリアに向かうのを見て追いかけてきたのだ。
その最中に1枚のカードを拾ったのだったが・・・・・・。
「何者だ、貴様!」
「デュエリストだ」
千影はデュエルディスクを構え日影の前に立つ。
「忝い・・・・・・」
「良い、今は休め」
日影と千影が短く会話を交わす。
「お前達、紫貝 螺旋と言う男を知らないか?」
千影がオベリスク・フォース達に問う。
「紫貝? 確か先遣隊に居たな」
「螺旋は俺の友人だ。それがどうした?」
どうやらオベリスク・フォース達の中に友人がいたらしい。
千影は不適に笑い、言い放つ。
「その男を倒したのは俺だ」
「なんだと?」
「連絡が取れないんだろう? 今頃LDSで取り調べされているだろう。どういう扱いをされているかは知らないがな?」
「何!?」
オベリスク・フォース達の雰囲気が一気に殺気立つ。
「螺旋の敵を討つ! 手伝ってくれ!」
「おう!」
「任せろ!」
お互いにデュエルディスクを構え、いつでも始められる様子。
「貴様らに見せてやろう、神のデュエルを」
千影の瞳が赤と青のオッドアイに変わる。その眼光は鋭く、獲物を前にした狩人を思わせた。
「「「「デュエル!」」」」
Obelisk Force R LP4000
&
Obelisk Force G LP4000
&
Obelisk Force Y LP4000
VS
Chikage LP4000
3対1のバトルロワイヤルの体を様した虐殺が始まる。
「私のターンだ」
先攻は千影。
「私は永続魔法《ヌメロン・ネットワーク》を発動し、その効果を起動。デッキの【ヌメロン】と名の付くカードを選択しその効果を発動、選択されたカードは墓地に送られる。私が選択するのは《ヌメロン・ウィンドウ》」
デッキから《ヌメロン・ウィンドウ》が排出され千影はそのまま墓地に送る。
「《ヌメロン・ウィンドウ》の効果はデッキから【ヌメロン】と名の付くカード1枚を手札に加える。よってデッキから《ヌメロン・サーキット》を手札に」
デッキから《ヌメロン・サーキット》が千影の手札に加わる。未だに手札は5枚。
「私は手札から《ワン・フォー・ワン》を発動。手札のモンスター《ヌメロン・フロア》を墓地に送り、デッキからレベル1の《ヌメロン・リフト》を特殊召喚する」
《ヌメロン・リフト》
☆1
DEF/0
「この瞬間《ヌメロン・リフト》の効果を発動、墓地から【ヌメロン】と名の付くモンスター1体を墓地から特殊召喚できる。蘇れ《ヌメロン・ウィンドウ》」
《ヌメロン・ウィンドウ》
☆1
DEF/0
「更に墓地に存在する《ヌメロン・フロア》の効果を発動。自分フィールド上に【ヌメロン】と名の付くモンスターが存在する場合、自身を墓地から特殊召喚できる」
《ヌメロン・フロア》
☆1
DEF/0
「手札の《ヌメロン・ピラー》を特殊召喚する。このカードは自分フィールド上に【ヌメロン】と名の付くモンスターが存在する場合に1ターンに1度だけ手札から特殊召喚できる」
《ヌメロン・ピラー》
☆10
DEF/0
流れる様な運びで一気に自身のフィールドに4体のモンスターを呼び寄せた千影。
そのタクティクスにオベリスク・フォースも驚きを隠しきれないで居た。
「す、全て守備力0の雑魚モンスターじゃないか!」
「大量展開しか能が無いのか?」
「我々の敵ではない!」
士気を高めるオベリスク・フォース。
しかし、その意思はすぐにねじ伏せられる。
「《ヌメロン・ピラー》の効果発動。このカード以外の【ヌメロン】と名の付くモンスター1体を指定し、自分フィールド上のモンスター全てを2体のモンスターのレベルの合計にする」
「何っ!?」
「それじゃあ、貴様のフィールドには・・・・・・」
「レベル11のモンスターが4体!? ま、まさか!?」
《ヌメロン・リフト》
☆1→11
DEF/0
《ヌメロン・ウィンドウ》
☆1→11
DEF/0
《ヌメロン・フロア》
☆1→11
DEF/0
《ヌメロン・ピラー》
☆10→11
DEF/0
「こ、この流れは!」
オベリスク・フォースの1人は気づいた様だが無駄な事。
「私はレベル11となった《ヌメロン・リフト》《ヌメロン・ウィンドウ》《ヌメロン・フロア》《ヌメロン・ピラー》の4体でオーバーレイ。4体のモンスターでオーバーレイ・ネットワ-ク構築」
出現するエクシーズエフェクトに飛び込む黒い4つの光球。
そして浮上するは夢幻の王。
「誉れ高き叡智に触れる虚ろの王よ! 夢は幻、希望の光を絶望の闇へ。エクシーズ召喚! 来たれ! ランク11!《夢幻虚王ヌメロニア》!」
《夢幻虚王 ヌメロニア》
★11
ORU:4
ATK/5000
「攻撃力、5000!?」
「こいつ、エクシーズ次元の生き残りか!?」
「ランク11のエクシーズモンスターなんて聞いたこと無いぞ!?」
うろたえるオベリスク・フォース達に目もくれず、淡々と千影は自分のデュエルを続ける。
「私は永続魔法《ヌメロン・サーキット》を発動し、その効果を起動。第1の効果は自分フィールド上のモンスターと同じレベルのモンスターを手札に加える効果だが、私が使うのは第2の効果。自分フィールド上に存在するエクシーズモンスターと同じランクのエクシーズモンスターをエクストラデッキから召喚状件を無視して特殊召喚する」
「同じランク!?」
「エクストラデッキからいきなりだと!?」
「ランク11のモンスターがまだいると言うのか!?」
《ヌメロン・サーキット》の驚愕の効果に驚くばかりのオベリスク・フォース達。
「現れろ!カオスエクシーズ!」
地面に出現したエクシーズエフェクトから浮上するは混沌を識った賢者。
「偉大なる賢者は混沌を識りて真理を識る。理にそぐわぬ者に必定の破滅を与えよ! ランク11!《ロード・オブ・カオス・ヌメロン-マハーバーラタ》」
《CX ロード・オブ・カオス・ヌメロン-マハバーラタ》
★11
ORU:0
ATK/4000
ランクアップを介せず、その身を現す混沌の賢者の出現にオベリスク・フォース達は震え上がった。
千影のフィールドには攻撃力5000と4000の超弩級モンスターが2体。
これを脅威と言わずなんと言うのか。
初期手札5枚から怒涛の展開、そしてエクシーズ。
千影のフィールドには4枚のカード。そして手札は1枚。
「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
最後の手札も伏せ、千影は自分のターンの終了を告げた。
千影のこの布陣に恐れおののくオベリスク・フォース達。
「どうした? 貴様のターンだぞ?」
「クゥ! 俺のターン! ドロー!」
ドローしたカードを見てオベリスク・フォースは口元を吊り上げた。
「ふん、いかに攻撃力が高かろうと問題ではないのだ! 私は手札から《融合》を発動!」
そう言って発動させたのは《融合》の魔法カード。
「俺は手札の《古代の機械番犬》と《古代の機械猛禽》を融合!」
古代の機械のハウンド・ドックとイーグルが渦を巻いて1つになる。
「融合召喚! レベル8! 《古代の機械獰猛鳥獣》!」
姿を現したのは古代の機械で作られた上半身が鷹で下半身が獣の合成獣。
その名もアンティーク・ギア・パワード・グリフォン。
《古代の機械獰猛鳥獣》R
☆8
ATK/2500
「俺は《古代の機械獰猛鳥獣》の効果を──」
「相手が融合召喚に成功した時、リバースカードを発動する」
意気揚々とデュエルを続けようとした時、千影が伏せカードを開示した。
「カウンター罠、発動。《ヌメロン・リライティング・フュージョン》」
「な、何だそのカードは!?」
「相手の融合召喚を無効にし破壊、その後相手のデッキからモンスターを特殊召喚する」
千影の伏せカード《ヌメロン・リライティング・フュージョン》の効果を受け、《古代の機械獰猛鳥獣》は霧散し、変わりに四角い影が現れた。
「私が相手のデッキから特殊召喚するのは《古代の機械箱》」
《古代の機械箱》R
☆4
ATK/500
古代の機械の名を冠するそのモンスターは見るからにボロボロで箱から手足の生えた単調な姿だ。
恐らく、何らかのサーチからの連続サーチコンボ用にデッキに入っていたのだ。
通常ドローで引く確立を減らす為にデッキに1枚しか入っていなかったのがその証拠と言えよう。
千影は一瞬で相手のデッキを確認し、1番この場で必要の無いモンスターを見極めたのだ。
「どうした? 自分のターンを続けると良い」
「融合召喚を無効にする罠だと・・・・・・!? お、俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド。後は頼む」
これで1人目の手札は0。
自分の融合モンスターを書き換えられたオベリスク・フォースの表情が硬い。
打つ手は次の味方に託すしか無い様だ。
「後は任せろ! 俺のターン、ドロー!」
2人目のターンに移る。
「俺は《古代の設計図》を発動! デッキからレベル4以下の【古代の機械】モンスター1体を手札に加える。俺は《古代の機械箱》を手札に加え、その効果を発動! デッキから守備力500以下の機械族で地属性モンスター1体を手札に加える!」
この連続サーチコンボ。まさかすぐに実践してくれるとは千影も思っても見なかったが特に問題ではない。
「俺が手札に加えるのは《古代の機械予備素体》!」
手札に加えられたのはアンティーク・ギア・スペアボディ。
「《古代の機械予備素体》は【古代の機械】融合モンスターの融合素材として使用できる! そして《融合》を発動!」
「ならば私は《ヌメロン・ネットワーク》の効果を起動。デッキから【ヌメロン】と名の付くカードを発動する。私が発動するのはカウンター罠、《ヌメロン・リライティング・マジック》」
「デッキからカウンター罠だと!?」
「相手の発動した魔法カードを無効化し、デッキから別の魔法カードを強制発動する」
「それじゃ、まるで魔法カードの書き換えだ!?」
「私が強制発動させるのは《融合徴兵》だ。エクストラデッキから融合モンスターを公開し、その素材モンスターを手札に加えよ」
「クッ・・・・・・。俺は《古代の機械獰猛鳥獣》を見せ《古代の機械猛禽》を手札に加える。この効果で手札に加えられたモンスターは通常召喚・特殊召喚できない」
ターンプレイヤーの手札に加わったのは《古代の機械猛禽》。
アンティーク・ギア・イーグル。攻撃力1700のアタッカーであった。
打つ手打つ手を潰していく千影。
「俺はモンスターを裏側守備表示で召喚し、カードを3枚伏せてターンエンド」
2人目のターンも終了。
「下手に動くと行動を書き換えてくる・・・・・・。ならば、俺のターン! ドロー!」
3人目のターンが始まる。
「俺は《古代の機械番犬》を召喚し、効果を発動!」
《古代の機械番犬》
☆3
ATK/1000
「600ポイントのダメージを受けろ! ハウンド・フレア!」
「ならばこの瞬間、永続罠《古代の機械増幅器》を発動! 【古代の機械】カードの効果ダメージを倍にする!」
「同じく! 俺も永続罠《古代の機械増幅器》を発動! これで600の4倍、2400ポイントのダメージをくらえ!」
《古代の機械番犬》の口から銃口がせり出し、今にも炎を吹き出そうとした瞬間、千影が宣言する。
「この瞬間、《マハバーラタ》のモンスター効果を発動。このターンの終了時まで、相手全てのモンスター効果は無効化される。スキルシーリング」
《マハバーラタ》が発する波動を受け《古代の機械番犬》が沈黙した。
「な・・・・・・に・・・・・・!?」
「待て! そのモンスターはオーバーレイ・ユニットを持っていないぞ!」
「《ヌメロン・ネットワーク》によって【ヌメロン】と名の付くエクシーズモンスターはオーバーレイ・ユニットを消費せずに効果を発動できる」
「それではこちらのモンスター効果を完全に封じた事になるではないか!」
手札、フィールド、墓地、除外。
相手のターンであっても全ての範囲で発動されるモンスター効果全ての効果を封じる能力。
それが《マハバーラタ》の力の一端。
戦慄するオベリスク・フォース達は今までの千影のプレイングを思い返す。
まずは融合召喚を無効化し書き換えた。
次に《融合》の魔法カード自体を書き換えてきた。
そして最後はモンスター効果を完全に封じてきた。
千影の布陣に今、彼らは打つ手は無いのだろう。口元だけでも戦意喪失を見て取れる。
「俺は、カードを2枚伏せて、ターンエンド・・・・・・」
「私のターン、ドロー」
オベリスク・フォースの表情が絶望に染まる。
千影の手札は1枚だが、フィールドのアドバンテージが異常だ。
千影のデッキ【ヌメロン】にあるのは精々破壊耐性までだ。
バウンスや除外、墓地送りには抵抗できない。
だが、オベリスク・フォース達に都合よくそんなカードがある訳もない。
その事は彼らの表情から十分に読み取れた。
「さあ、初めはお前だ」
そう言って先ほどのターンプレイヤーであるオベリスク・フォースを指差す千影。
「私は《マハバーラタ》の第1の効果をカオス・オーバーレイ・ユニットを消費せずに発動」
「そのモンスターにはまだ効果があるのか!?」
「如何にも。先ほど発動したのは第2の効果。そして今発動するのが第1の効果。《マハバーラタ》は1ターンに1度、効果を選んで発動できる。第1の効果は相手モンスター1体を破壊し、このカードの攻撃力分のダメージを相手に与える」
「な、何!? モンスター破壊とバーン効果!?」
「対象は《古代の機械番犬》。誰かチェーンはしないのか? 無ければ《古代の機械番犬》は破壊され《マハバーラタ》の攻撃力、4000のバーンダメージが発生する」
4000ポイントのバーンダメージという気が触れているモンスター効果だが、対処のしようはある。
モンスター破壊とバーンダメージ発生は同時処理。よって対象となったモンスターを破壊またはリリースするなりして対象を不在にすれば《マハバーラタ》の効果は不発に終わる。
「何も無い様だな。やれ、《マハバーラタ》」
千影の命に従って《マハバーラタ》力を行使する為、杖を掲げる。
「や、やめろ! やめてくれ!」
掲げた杖から発生する青白い雷が収束し、まるで槍のような形をとる。
「放て、インドラの槍」
解き放たれた青い雷槍は《古代の機械番犬》を貫き、その余波の衝撃が周りを飲み込んだ。
「うわああああああっ!!」
Obelisk Force Y LP4000→LP0
まさに一撃必殺。あっさりと蹴散らされるさまは正に埃を払うかの様な気安さ。
「この効果を使用した《マハバーラタ》は相手プレイヤーに戦闘ダメージは与えられない。が、モンスターを戦闘破壊する事はできる」
「こんなの・・・・・・こんなのって・・・・・・!?」
「バトルフェイズ。《マハバーラタ》でセットモンスターを攻撃。スペル・オブ・カオス・ヌメロン」
攻撃対象となった事でリバースするセットモンスター。
《古代の機械箱》G
☆4
DEF/2000
レベル4では高い守備力では有るが、攻撃力4000の《マハバーラタ》には抗う事もできずに破壊される。
「そして、《ヌメロニア》でダイレクトアタック」
「く、来るなああああああッ!!」
「ア・バニッシュ」
Obelisk Force G LP4000→LP0
《ヌメロニア》の無慈悲な攻撃はオベリスク・フォースの悲鳴を飲み込み、彼の視界と精神を白く染め上げた。
残されたのは紫貝 螺旋の友人だというオベリスク・フォースただ1人。
アイツのモンスターはこれで全て攻撃を終えた。
次のオレのターンで蹴散らして、螺旋の仇をとるんだ!
エクシーズの生き残りだかスタンダートだか知らんが負けるわけが無い!
オレはエリートなんだ! オベリスク・フォースの一員なんだ!
そう、彼は内心で叫び、自分を鼓舞する事で自我を保っていた。
そんな彼の現上を嘲笑うかの様に千影は口を開く。
「私は《ヌメロン・ネットワーク》の効果を発動。デッキの【ヌメロン】と名のつくカードを発動する。私が発動するのは《RUM ヌメロン・フォース》」
「・・・・・・は?」
「《RUM ヌメロン・フォース》は自分フィールド上のエクシーズモンスターを素材にし、ランクの1つ上のカオスエクシーズに進化させる。」
「どういう、事だ・・・・・・!?」
「私は《ヌメロニア》1体でオーバレイ・ネットワークを再構築。ランクアップ・カオス・エクシーズチェンジ!」
《夢幻虚王 ヌメロニア》が光球となり天に発現したエクシーズエフェクトに飛び込み光の爆発を起こす。
空気が怯え、大地が振るえる。
「現れろ!カオスエクシーズ! 混沌の憂えは、浅ましき人の業。天壌の夢は、無窮の幻。虚ろの神よ、闇をもて、光に鉄槌を!」
そして、世界を揺らす夢幻の神が翼をはためかせて降臨する。
「ランク12!《夢幻虚神ヌメロニアス》!」
《CX 夢幻虚神ヌメロニアス》
★12
ORU:5
ATK/10000
「・・・・・・ランク12? ・・・・・・攻撃力10000?」
わなわなと奮えるオベリスク・フォース。
「ふざけるなっ!! なんなんだお前のカードはっ!! インチキ効果も大概にしろっ!!」
彼はこの不条理に叫んだ。
言い様の無い感覚を怒りに変えて叫ばなければ《ヌメロニアス》の放つ異常な存在感に押しつぶされてしまう。
そう本能がオベリスク・フォースには働きかけたのだ。
現に、《ヌメロニアス》の登場によってこの場の雰囲気は完全に恐慌状態といって差し支えないほど緊迫している。
重力が2倍になったのではと錯覚するほどに。
「フフフ・・・・・・。漲る。実に漲る」
ここで呟かれる千影の言葉に違和感を覚える者は誰もいない。
「やはり、これは良い“依り代”だ。“我”の真の復活もそう遠くは無い」
ここに居るのは千影では無い。その中に潜む者。
その者がオベリスク・フォースを見据え、口を開く。
「活目するが良い。これが“神”だ。その手にかかる栄誉を胸に、……消えろ」
スゥっとその者は右手をオベリスク・フォースに伸ばし、己の化身に令を下す。
「《ヌメロニアス》で《古代の機械箱》に攻撃。バニッシュ・ブラスター」
《ヌメロニアス》が自身の胸のあたりにエネルギーを収束させる。
それは消滅の力。触れた物全てを消し去る力がある、と言われればそうだと信じてしまいそうな程のおぞましい光。
その光が最後のオベリスク・フォースに放たれた。
「嘘だこんな事おおおおおおっ───」
Obelisk Force R LP4000→LP0
「ワンターンスリーキル……」
このデュエルを間近で見ていた日影の呟きは不思議とここにいる他のメンバーの耳に届いた。
To be Next───
●今日の最強カード●
《CX ロード・オブ・カオス・ヌメロン-マハバーラタ》
ランク11 闇属性
魔法使い族 エクシーズ 効果
レベル11モンスター×3
①②の効果は1ターンに1度、どちらかしか発動できない。
①:このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、このカードの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。この効果を使用したターン、このカードが相手プレイヤーに与える戦闘ダメージは0になる。
②:このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。ターン終了時まで相手のモンスター効果は無効化される。この効果は相手のターンでも発動できる。
ATK/4000 DEF/400
《ロード・オブ・ヌメロン-ラーマヤーナ》がカオスエクシーズに進化した姿。
《マハバーラタ》の恐ろしい効果、その1つ目がモンスター破壊とバーン効果である。
同時処理の為、対象を失うか破壊できなければ不発に終わるが、その威力は絶大。
また、バーンダメージは現在の攻撃力を参照する為、攻撃力を変化させるカードで数値は上下する。もし不発に出来ないならば《収縮》などで攻撃力を下げてダメージを軽減しよう。
また、1つ目の効果と比肩できないくらい強力なのが2つめのモンスター効果封じである。
手札や墓地から発動できるモンスター効果まで封じてくるのだからその非常さは理解できると思われる。モンスター効果であれば除外からの帰還も封じられる。
対処方法は《スキルドレイン》や《エフェクト・ヴェーラー》で《マハバーラタ》のモンスター効果を封じるか。《激流葬》や《サンダー・ブレイク》等で早急に破壊してしまう事だろうか。
【ヌメロン】エクシーズモンスターで唯一耐性が無いのと守備力が低いのが弱点と言える。