遊戯王ARC-V -依代の決闘者-   作:白狼天狗

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その4

「ただいまー」

 

自宅の玄関を開け、中に入りながら帰宅の挨拶をする。

そのまま靴の脱ぎ、居間へ。

 

「お帰りなさい、千影」

「うん、ただいま。母さん」

 

俺を迎えてくれたのは、見目美しい大和撫子を体現したような女性。

見た目20代のこの女性こそ俺の母親、土野 千冬である。

 

「こんにちは、千影。お邪魔してるわ」

「かなみ?」

 

視線を声の方に向けるとそこには長い茶髪をツインテールにしたクセっ毛の少女がいた。

こいつは高坂 かなみ。俺と同級生で幼馴染っていうやつだ。

髪型は利発そうだが、清楚でかなり温和な性格をしている。

しかし、使用デッキは【蟲惑魔】という矛盾。

どうやら母親の影響らしい。

なんでも学生時代はかなりやんちゃな性格だったが旦那と出会って七難八苦の付き合いの末めでたくゴールイン。

今では奥ゆかしい幼な妻だ(見た目だけ)。

 

あれ? このシュチュエーションに覚えがあるぞ?

 

「白星2つ目、おめでとう」

「ありがと」

 

脱線した思考を元に戻し、何時もの様に挨拶を交わす俺とかなみ。

 

「そう言えば、兄さんは?」

「2階でデッキの調整をしているわ。もし千影と当たったら、今のままじゃ勝てる気がしないからって」

「あー……」

 

俺の問いに答えてくれたのは母さんだった。

その答えに思わず言葉があやふやになる。

 

まあ、ですよねー。

今まで《守護天使ジャンヌ》を主軸にした光属性天使族デッキを使ってたけど、今使ってるのは【ヌメロン】デッキ。

そんじょそこらのデッキに負ける理由が少なかったりする。

 

そう、俺には1つ年上の兄がいる。

名前は一光、読み方はカズミツ。使用デッキは闇属性悪魔族の【デーモン】デッキ。

 

名前的に使用デッキ逆じゃない? と、何度か思ったり。

 

「ねえ、千影?」

「なんだ、かなみ」

 

ふと、かなみが俺に声をかけてきた。

 

「あの【ヌメロン】ってデッキ。いつの間に?」

「それは、企業秘密という事で」

「私にも話せないの?」

「んー。こればっかりはね」

「そう……」

 

おうふ。目に見えて落ち込んでらっしゃる。

俺とかなみは兄妹の様に仲が良いと周りからの評判だ。俺だってそう思ってる。

そういう間柄なのに隠し事をされるって、やっぱ傷つくよね。

 

───仕方ない。

 

「代わりと言っちゃ、なんだけど。デッキの中身、見てみる?」

「良いの?」

「ああ、かなみだから特別な?」

 

俺はズボンの専用ポケットからデュエルディスクを取り出し、デッキを抜く。

そして、かなみの居るテレビ前のテーブルまで行き、隣り合って座り主要なモンスターをに見せた。

 

「これが、【ヌメロン】モンスター……」

 

《ヌメロン・ウォール》

レベル1 闇属性

悪魔族 効果

①:自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する。

ATK/0 DEF/0

 

《ヌメロン・フロア》

レベル1 闇属性

悪魔族 効果

①:自分フィールド上に「ヌメロン」と名のつくモンスターが存在する場合発動できる。

このカードを墓地から自分フィール上に特殊召喚する。

ATK/0 DEF/0

 

《ヌメロン・リフト》

レベル1 闇属性

悪魔族 効果

①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

自分の墓地から「ヌメロン」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

ATK/0 DEF/0

 

《ヌメロン・ウィンドウ》

レベル1 闇属性

悪魔族 効果

①:このカードを手札から捨てて発動できる。

デッキから「ヌメロン・ウィンドウ」以外の「ヌメロン」と名のつくカードを1枚手札に加える。

ATK/0 DEF/0

 

《ヌメロン・ランプ》

レベル1 闇属性

悪魔族 効果

①:このカードが破壊された場合に発動できる。

デッキから「ヌメロン」と名のつくモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

ATK/0 DEF/0

 

《ヌメロン・ルーフ》

レベル1 闇属性

悪魔族 効果

①:自分フィールド上に「ヌメロン」と名のつくモンスターが存在する時、このカードを手札から特殊召喚できる。

②:自分フィールド上の「ヌメロン」と名のつくモンスター1体を指定して発動できる。このカードは指定したモンスターと同じレベルになる。

ATK/0 DEF/0

 

《ヌメロン・ピラー》

レベル10 闇属性

悪魔族 効果

①:自分フィールド上に「ヌメロン」と名のつくモンスターが存在する場合、1ターンに1度だけこのカードを手札から自分フィール上に特殊召喚できる。

②:1ターンに1度、自分フィールド上の「ヌメロン」と名のつくこのカード以外のモンスター1体を指定して発動できる。自分フィールド上に存在する全てのモンスターのレベルはこのカードと指定したモンスターのレベルの合計と同じになる。

ATK/0 DEF/0

 

「全部のモンスターが闇属性悪魔族なのね」

「しかも攻撃力守備力共に0。《ツイン・ブレイカー》の良い的だね」

 

そう、【ヌメロン】モンスターはステータスが脆弱で特に防御力が低い。そのため、貫通能力持ちのモンスターが大の苦手なのである。

特に《ツイン・ブレイカー》は天敵と言って良いかもしれない。

 

《ツイン・ブレイカー》

レベル4 闇属性

戦士族 効果

このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、もう1度だけ続けて攻撃する事ができる。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

ATK/1600 DEF/1000

 

レベル4の戦士族モンスターなので《増援》でサーチできる上、貫通効果に合わせて限定的2回攻撃能力も持つ。攻撃力もアタッカーの最低ラインの1600。

下手したら1ターンで3200ポイントもライフを削り取られる。

 

「なるほど」

「一応、エクシーズ主体のデッキだからコイツらがあんまりフィールドに居続ける事はない様にしてるんだけどね。あ、でもエクシーズも防御力低い……」

 

俺はエクストラデッキから5枚のカードを取り出す。

 

「これが、千影のエクシーズモンスター。どれも効果が強力だけど言う通り、守備力が低いんだね」

 

見せたのは《ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》他3枚と《夢幻虚王ヌメロニア》。

《ゲート・オブ・ヌメロン》達の守備力は100。

《夢幻虚王ヌメロニア》の守備力は500。

 

これが強力な効果の代償かと言わんばかりの低守備力。

王様なのに柔らかすぎです。

《イタクァの暴風》や《進入禁止!No Entry!!》からの《ツイン・ブレイカー》2体か1体に《デーモンの斧》や《魔導師の力》の様な強力な装備魔法を装備されたらで大体ゲームエンドだ。

他にも《E・HERO エッジマン》+《最強の盾》とか恐いでしょう……。

そういう貫通モンスター軸表示形式変更デッキと当たらない事を願いたい。

 

てか、次の相手。絶対対策してくるよね。

さっき言った表示形式変更カードと貫通効果持ちモンスター。

それと《サイクロン》と《砂塵の大竜巻》を3積みとかしてこないよな。

 

「さらに言うと、特に強力な耐性を持ってないから《因果切断》とか《強制脱出装置》とか、割とどうとでも処理できたりするんだよね」

「なるほど」

「で、これがこのデッキの要。《ヌメロン・ネットワーク》と《ヌメロン・サーキット》」

 

《ヌメロン・ネットワーク》

永続魔法

①:相手のドローフェイズ時に自分フィールド上にカードが存在しない場合、このカードは手札から発動できる。

②:1ターンに1度、自分フィールド上にこのカード以外の「ヌメロン」と名のつくカード以外が存在しない場合、自分のデッキの「ヌメロン」と名のついたカード1枚を選択し、そのカードを発動できる。その後、選択したカードを墓地へ送る。

この効果は相手ターンでも発動できる。

③:このカードがフィールド上に存在する限り、「ヌメロン」と名のついたXモンスターがX素材を取り除いて効果を発動する場合、X素材を取り除かなくてもよい。

 

《ヌメロン・サーキット》

永続魔法

自分フィールド上に「ヌメロン・ネットワーク」が存在する場合、1ターンに1度だけ①②の効果を選んで発動できる。

①:自分フィールド上のモンスター1体を指定し、指定したモンスターと同じレベルのモンスターをデッキから手札に加える。

②:自分フィール上の「ヌメロン」Xモンスター1体を指定し、指定したモンスターと同じランクのXモンスターをエクストラデッキから召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「デッキのカードを発動できるってひどい効果だわ。インチキにも程がある!」

「【ヌメロン】限定とはいえ、それには同意する」

「それにエクストラデッキから召喚条件を無視して特殊召喚とか・・・・・・」

 

それにしても、原典であるZEXAL本編で登場した【ヌメロン】カードと比べると、ここに存在する【ヌメロン】カードの内容が違うのは何故だ?

 

登場したモンスターも《ヌメロン・ウォール》のみ。まあ、デッキの枚数は最低40枚な訳だし【ヌメロン】モンスターが他に存在しても不思議ではない。

ただ、使って貰えなかっただけ。

 

魔法・罠カードも新規に追加されている。

《ヌメロン・リライティング・シンクロ》がその一例。

 

《ヌメロン・リライティング・シンクロ》

カウンター罠

①:自分のフィールド上に「ヌメロン」名のつくカード以外が存在しない場合、相手のSモンスターがS召喚に成功した時に発動できる。

そのモンスターのS召喚を無効にして破壊する。

その後、相手のデッキからモンスター1体を選択して相手フィールド上に特殊召喚する。

 

エクシーズ召喚主体の舞台でこのカードの存在は異端だ。

というより、シンクロ召喚自体あったかも不明だ。

世界線的に過去作と繋がりが全く見受けられなかった訳だし。

 

ちなみに“俺のいるARC-Vの世界”は繋がっている。ただしZEXALは除く。

時間軸で言うと5'Dsの数年後ってレベルじゃない。あの大災害“ゼロ・リバース”は40年も前の事件だ。言ってしまえば20年以上未来の世界だと言う事だ。

5'Ds本編終了後、モーメントを原動力にするデュエルディスクは廃止され、シンクロ召喚は徐々に衰退。その代わりエクシーズ召喚が生まれたと言う訳だ。

それでもシンクロ召喚は現役なんだけどね。

今は満遍なくそれぞれの特殊召喚が息づいている。

ただし、地域によっては主流の召喚方法が違うけどね。

 

ここ、舞網市の主流の召喚方法はアドバンス召喚。

基本中の基本だからね。あとはモンスター効果による特殊召喚かな。

一応、デュエル塾で各召喚法を教えている所も無くはないが、LDSがあるからなー。

 

そして一番の謎、それが俺の持つエクシーズモンスター。

《ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム》

《ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》

《ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》

《ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ》

この4枚は恐らくレプリカ。本物は回収された筈だからだ。

 

《夢幻虚王ヌメロニア》

このカードは例外で回収はされなかったが、本当の主と共に消滅したはず。

 

そして、これらのモンスター達は本当の名前を失っている。

本来なら恐らく、俺の持つ全てのエクシーズモンスターの名前の最初に【No.】と付く。

【No.】と書きナンバーズと読む。

ZEXALを語る上で欠かす事のできない100枚と番外の8枚で構成されるカード群。

ただし特例は除く。

その全てはエクシーズモンスターで、持ち主になんらかの影響を及ぼす危険な力を持っているカードだ。

 

《ゲート・オブ・ヌメロン》は1~4番目。

 

俺はエクストラデッキからもう1枚のカードを取り出す。

 

ランク10のエクシーズモンスター。

 

《ロード・オブ・ヌメロン-ラーマヤーナ》

ランク10 光属性

悪魔族 エクシーズ 効果

レベル10モンスター×2

①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。この効果を使用したターンはこのカードは攻撃宣言できない。

②:相手がモンスター効果を発動した場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その効果を無効にして破壊する。

ATK/3000 DEF/300

 

コイツも恐らく【No.】の1枚。そして回収されたからレプリカなのだろう。

 

そして……。

 

《夢幻虚王ヌメロニア》

コイツは108番目にして“1000”の名を冠する【No.】。

ZEXAL本編ではいきなりコイツの上位存在である《CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス》が登場したため出番なしと言う可愛そうなヤツでもある。

 

コイツらは例外だ。

 

番外の【No.】はNo.101~No.107、そしてNo.1000の8枚は出自が違うため回収されない【No.】。

No.101~No.107はあの世界で現存しているはずだ。

 

しかし、このカードだけは違う。

一世界の神の力の写し身。それがこのカードの正体なのだろう。

自身の野望のため。抵抗する者達を葬るため。

そのために生まれたカード群。それが【ヌメロン】。

 

これらのカードは1週間前、突如俺の勉強机の上に現れた。

40枚に満たないデッキとも呼べないカード達と10枚のエクシーズモンスターをこちらのカードで補填して出来たのが今のデッキだ。

 

突然現れた事から、異世界から転位してきたのだろう。

もしかすると、散り際に残った力を全てデッキに込めてこの世界に飛ばしてきたのかもしれない。

だが、無理な転位によりデッキに込められた力が削られ【No.】でなくなった。

さらに、世界を渡ると言うのはそう容易いものじゃないはずだ。

だからデッキがダメージを負い、カードの数が減ったのだろう。

転位先の環境に対応する術式も組まれていたのだろう。だから対シンクロのカウンター罠が存在する。

 

というのが俺の推測だ。

 

更に驚いた事にこのデッキには直接関係の無いカードが混じっていた。

それもズバリ《RUM-ヌメロン・フォース》だ。

 

《RUM-ヌメロン・フォース》

自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高い「CX」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。その後、この効果で特殊召喚したモンスター以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする。

 

特殊召喚先が【CNo.】のはずなのに【CX】に変更されている。

・・・・・・遊馬先生、貴方がリ・コントラクト・ユニバースしたカードがリライティングされてパクられてます。

 

ああ、ZEXALはカードを書き換えるのが基本でしたね・・・・・・。

 

と現実逃避している時にかなみに声をかけられた。

 

「ねえ、私とデュエルしない?」

「良いよ。ちょっと待ってて、デッキ持ってくるから」

「ううん。その【ヌメロン】デッキとデュエルしてみたいな」

「うん、それ無理」

 

何をおっしゃる、かなみさん。

幼馴染相手にこんな危険な外道デッキ使うわけ無いでしょ。

 

「えー? どうしてよ!」

「このデッキとデュエルしたかったら大会で当たる事を祈るしかないね」

「・・・・・・まあ、いいわ。さっそくやりましょう?」

「いや、ちょっと良いカードが手に入ったからデッキを構築し直すからもう少し待ってて」

「ふーん、あのデッキが更に強くなるって事ね? まあ、今回はそれで我慢するわ」

 

そうして俺は2階の自室でデッキの再構築を行う。

社長(赤)から貰ったカードの中に欲しかったカードが沢山入っていたからこれはこのままこっちのデッキで大会に出てもいい気がしてきた。

 

だが、それよりも・・・・・・。

何故俺は突如現れた得体の知れないこの【ヌメロン】デッキを“何の疑問も感じないでこれでデュエルしなければいけない”と思っているのか。

 

何故“このデッキをこの世界に転位させた理由を思いつけない”事。

 

そして、【ヌメロン】デッキの本来の使い手の名前をどうしても思い出せない。

 

───ド■・サ■■ン■。

 

俺は自分の思っている以上に“選ばれた”のかもしれない。

最悪の意味で・・・・・・。

 

 

 

To be Next───




●今日の最強カード●
《ヌメロン・ネットワーク》
永続魔法
①:相手のドローフェイズ時に自分フィールド上にカードが存在しない場合、このカードは手札から発動できる。
②:1ターンに1度、自分フィールド上にこのカード以外の「ヌメロン」と名のつくカード以外が存在しない場合、自分のデッキの「ヌメロン」と名のついたカード1枚を選択し、そのカードを発動できる。その後、選択したカードを墓地へ送る。
この効果は相手ターンでも発動できる。
③:このカードがフィールド上に存在する限り、「ヌメロン」と名のついたXモンスターがX素材を取り除いて効果を発動する場合、X素材を取り除かなくてもよい。

本来はフィールド魔法だったが異世界に適応するために変質し、永続魔法になった【ヌメロン】デッキのキーカード。
「ヌメロン」限定とはいえデッキからのカードの発動、エクシーズモンスターの効果発動のコストの免除と強力な効果が目白押しのインチキカードだ。
発動されたらすぐに破壊しよう。
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