梁山泊の同門者 黒崎相介   作:rOOd

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獣は本能により生きる。
生きるために命を狩る。
それが獣の生き様だ。

獣は群れを成す。
だが、時に一匹で生きるものもいる。
それを孤高と称える。

孤高の獣は群れない。
しかし、同胞の命を脅かさせた時
己の命を尽きようとも守るために
戦う・・・・・・それが孤高の獣だ。



BATTLE11 最強剣士との決闘  後編

       【陽春 夕方】

 

      [裏新宿 無限城]

 

「まず、回収するカード『神の記述』の枚数・・・

 ・・・・・・27枚」

「27枚?それだけMAKUBEX?」

「はい、銀次さん。ハイカード1枚とレプリカカ

 ード26枚です」

「アレ?確かハイカードでレプリカを無限に作れ

 るんだよね、マリーアさん?」

 

 オレはあのカードに一番詳しいマリーアさんの

方に視線を向けて質問した。

 マリーアさんは“ええ、そうよ”と頷く。

 

「じゃあ、今回はそんなに少ないのかな?」

 

 オレの疑問に雪彦が答えた。

 

「今回のレプリカカードは特別なんですよ、銀次

 くん」

「・・・・・・?特別?」

 

 雪彦くんが神妙な顔で目線を下に向けた。

 これって雪彦くんが思考をフル回転させている

時のしぐさだ。

 しばらく黙り込み、オレに視線を合わせた雪彦

くんはこう言った。

 

「レプリカの媒体にはこちらの世界、いや無限城

 の亡霊が使われているんです」

「え?」

 

 雪彦くんの答えでオレは言葉を失っていると蛮

ちゃんが質問した。

 

「そのレプリカは昔ルシファーがガキどもにバラ

 撒いたやつと同等か?」

 

 首を横に振り、否定する雪彦くん。

 

「いいえ、美堂くん。レプリカは以前のものとは

 比べ物にならない力を持っています」

 

 雪彦くんの断言でカヅッちゃんや卑弥呼ちゃん

は驚愕の顔に変わり、マリーアさんは悲しい表情

で下を向いた。

 蛮ちゃんは“具体的にどこが違うんだよ?”と疑

問をぶつけた。

 

「『神の記述』は守護カードを主体に使って戦い

 ますよね」

「あぁ、それと補助カードを効果も利用するな」

「今回は守護カードだけなんです」

 

 蛮ちゃんは雪彦くんの説明でなにが察したのか

“そうか”と呟いて、そのまま考え込んだ。

 ちんぷんかんぷんのオレは雪彦くんに“なにが

違うの”と質問した。

 

「銀次くん、今回の守護カードはさまざまな補助

 効果を使用できるんですよ」

「補助効果の使用?」

「例えば、銀次くんのカードです」

 

 オレのカード 雷神トールで前回の守護カード

との違いを説明する雪彦くん。

 雷神トールを例として。

 

●電気を圧縮するビームやプラズマボール

●電波によるレーダー

●電磁誘導での物体浮遊

 

などさまざまな用途に使用可能だと。

 

「つまり、カードの能力範囲内の応用が可能なん

 です」

 

 雪彦くんの説明でオレは頭から煙が立ち昇って

火事寸前になっていたので蛮ちゃんがバケツの水

をオレにぶっかけた。

 

「メガネ!こいつに理論的説明しても無駄だ」

「あ、いや、その」

「銀次は実戦で理解するタイプだろ」

「ウ~ン、そうですね」

「そうだよ。つーかヒッキー」

 

 俺は目の前の引きこもりに“さっさと異世界に転

移する”と言うと引きつった顔で聞き返した。

 

「他の注意点を聞かないでいいんですか?」

「どうせ、イト巻きに全て話してあるんだろ」

「・・・・・・バレてましたか」

「フン、バレバレだよ。ともかく、これ以上説明

 すると銀次の頭が焼け野原になるし、異世界が 

 大混乱する前に奪還するのがベストだろ」

「そうですね。では皆さん、これより異世界に転

 移を実行します」

 

 そう言うと引きこもりはパソコンのキーボード

をカタカタとリズミカルに操作して次元ゲートを

出現させた。

 

「あなた方の武運を祈ります」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

       【陽春 夜中】

 

      [都内 廃ビル]

 

「ガルム〜。会合ばっかじゃんか〜だりぃ〜」

「あなたは〜。上に立つ者としての自覚が〜」 

「この前さ〜やったじゃん」

「アレは他のチームとの会合!今回は自分のチー

 ムでしょ!!」

 

 学校の終わり、私たちは『アースガルズ』の定

期会議のためにアジト向かっていた。

 

「へいへい、ところで今回のアジトはどこ?」

「つい最近、倒産した建設会社が所有していたビ

 ルです」

 

 『アースガルズ』のアジトは敵対する組織の襲撃

対策のため、定期的に拠点を移転するのだが・・・。

 

「たくっ!なんてこんな面倒を」

「許可したのはあなたでしょ!」

「けどよ、こんな頻繁に変えることね〜だろ」

「確かに。けれど、文句はスコルに言って下さい」

 

 『アースガルズ』のNo.3 スコル。

 アジト定期移転は彼の提案だ。

 だから、この件はスコルが担当している。

 

「クソ〜、スコルのバカヤロー!」

「ハァ〜、本当にあなたは〜」

「あー、飄々したアイツがこんなに用心深いなん

 て〜」

「まあ、確かに」

 

 彼は掴みどころがないが、用心深さは私たちを

凌ぎ、拳聖も高く評価している。

 私はフェンリルがスコルをどう思っいるか前々

から気になっていたので聞いてみた。

 

「フェンリル、今さらですけど、なぜスコルを側

 近に選んだんですか?」

「・・・・・・アイツとはやりづらいからな」

「やりづらい?」

 

 フェンリルは頭を掻きながらスコルの考察を語

り出す。

 

「スコルはマスタークラスだ」

 

 フェンリルの断言に私は頷く。

 

「あんまり驚かないんだな」

「私も察してました。スコルは“達人”。しかも

 特Aクラス、すなわち拳聖と同格だと」

 

 ガルムくんの言葉に俺は頷き、スコルを側近に

した経緯を話した。

 

「スコルは腹の底を誰にも見せねぇし、正直何を

 考え、何が目的なのか全然わからねぇ・・・・・・」

「そうですね」

「けど、俺はアイツの本質の一部を知ってる」

 

 ガルムはスコルの本質と言われて首を傾げた。

 俺はこう断言した。

 

「スコルは情に厚いところがある」

 

 それゆえに仲間のためならば、裏切り者にも晒

し者にもなり、自分の命を賭けて仲間の生きる道

切り拓く。それがスコルの弱点だ。

 

「つまり、スコルは仲間を絶対に裏切らない」

「・・・・・・・・・」

「そういうやつは側近にした方がベストだ」

 

 ガルムくんは俺の説明に納得したようだ。

 

「さて、今日もぐうたらに会合しますか」

「そこはビシッとです、フェンリル!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー           

      【陽春 深夜】 

 

      [都心 廃屋敷]

 

 ボクは目の前の現象が信じれなかった。

 

「なんだアレは?」

 

 ・・・・・・周囲のコンクリートや鉄筋があの球体に

吸い込まれ、砕かれていく。

 もしかしてブラックホール!?

 た、確かに超重量の武器を二軸の高速回転させ

れば重力場を生み出せるが・・・・・・。

 これが弥勒流の奥義だと!

 

「これこそ、己の欲を満たすために全てを奪った

 巨悪を討ち滅ぼす・・・・・・“有”を“無”と還す極限

 の御業・・・・・・“有量円月”」

 

 これはもう、武術ではない。魔法だ。

 そう、究極と呼んでも過言ではない。

 だが、これほどの技なくして勝てないと?

 魔女たちが、騎士たちが戦った悪とはどんな怪

物だ!

 

「だが、弥勒の剣士たちはこの技でも宿敵にかす

 り傷一つ負わせず、無念の死を遂げました」

 

 なっ!バカな!?

 魔女たちの国を滅ぼした敵とは一体・・・・・・。

 

「しぐれさん。剣士としての敬意を称し、この技

 であなたとの決着をつけます」

 

 覚悟を固めたボクは剣を構えた。

 

「・・・・・・こいっ!?」

「“有量円月” 双月」

 

 相介が二つの月が同時に放った。

 

「グッ!?」

 

 み、身動きができない!?

 あの技による重力場の影響か!

 ダメだ。動くことも受けることもできない。

 

「まさに・・・・・・究極の技だ」

 

 ・・・・・・ボクは死ぬのか?とそう思った、次の瞬

間、あの技がボクの目の前で軌道を垂直落下させ

地面に突っ込んだ。

 

「・・・・・・ッ!?」

 

 床には巨大の穴ができ、あの球体はそのまま地

面に沈んでいった。

 

 オレは両手の人差し指を頬につけてこう言った

 

「なんてね?」

「・・・・・・・・・」

「活人拳が人殺しするわけないでしょう。ジョー

 クッスよ、ジョーク」

 

 オレがふざけた態度で先ほどのシリアスをぶち

壊したからしぐれさんは怒髪天を衝く。

 

「バ・・・・・・」

「ん?」

「バ、バカに・・・・・・・・・」

「んん?」

「バカにしているのか〜〜〜〜!!!」

 

ブオオオオオオオオオオ〜〜〜!!!!!

 

 ブチギレたしぐれさんからとてつもない剣気が

解放させた。

 

「うおおおおおお〜〜〜〜!!!?」

 

 すんげぇ剣気ッ!!!?

 オレの全力と同等、いや超えたか〜!

 ヤバ〜い、やりすぎた〜〜!

 

「あ〜しぐれさ、うおっ!!?」

 

シュッー!!!

 

 重力場から解放させたしぐれさんは全ての怒り

を込めた神速の袈裟斬りを放った。

 オレは間一髪で後ろにジャンプして回避したが

しぐれさんの憤怒の攻撃は続く。

 

シュッー!!!シュッー!!!

 

「しぐれさんストップ!!」

 

シュッー!!!

 

「死ね!!」

 

 まさに流麗の剣技と言わしめる猛攻でオレを殺

そうとしているしぐれさん。

 必死に避けるオレだが、先ほど感じた邪気がど

んどん地上に向かってくるのも探知した。

 怒りで我を忘れているしぐれさんを止めるため

に大声で叫んだ。

 

シュッー!!!シュッー!!!シュッー!!!

 

「ストップ!ストップしぐれさん!!」

 

シュッー!!!

 

「うるさい!!」

 

 どうしよう、攻撃の手を休めない。

 っていうか技の速度がどんどんスピードアップ

している〜。

 

シュッー!!!シュッー!!!

 

「ストップってば、しぐれさん!!」

 

 ダメだ。オレの声が入らない。

 どうする、悪霊の親玉がすぐそこまで来てい

るし〜。

 ・・・・・・仕方ない。久々に使うか、特典を。

 

「完現術 “死神代行”!!」

 

 オレは神様特典を発動して死覇装を纏い、オ

レの斬魄刀『裂月』でしぐれさんの剣撃を受け

止めた。

 

「ストップだって!しぐれさん!!」

「〜〜〜〜〜〜ッ!!!?」

 

 ーーーな、なんだ!なにが起こっている!?

 ボクは一瞬でも目を離したか?

 いや、そんなわけない。

 目を離してなど・・・・・・・・・。

 しかし目の前の相介の姿はなんだ?

 いつの間にかあんな姿に?

 それにあの柳包丁みたいな巨大な刀は?

 一体どこから?

 さっきみたいに魔法の倉庫から出したのか?

 いや、そんな隙は・・・・・・。

 ボクは理解が追いつかなず、相介に叫んだ。

 

「貴様は何者だ!!?」

 

 満面の笑みで相介がこう答えた。

 

「オレは黒崎相介!死神代行だ!!」

「死神・・・・・・代行?」

「しぐれさん。悪いが決闘はここまでだ」

 

 

 相介はボクの剣を薙ぐと地面を蹴り上げ、天井

から先ほどアイツが作った穴に向かって剣を突き

立て剣撃を放った。

 

ドシューッ!!!

 

「『裂月』 “月爪烈破”!!」

 

 まるで獣の爪ようなの剣撃が穴の中に射ち込む

 その後、無数の悲痛の叫びがかすかに聞こえた

 

『ぎゃああああああああぁぁぁぁっ〜〜!!?』

 

『ぐああああああああぁぁぁっーーー!!?』

 

『おおおおおおおおぉぉぉぉーー!!?』

 

 叫びがはっきりと聞こえるようになった次の瞬

間!ヘドロの身体をした巨大な赤ん坊のような姿

をした化物が現れた。

 

「バ、バケモノ!?」

 

 しぐれさんは冷や汗を流しながら剣を構える。

 オレは制空圏を発動してこいつの正体を分析し

始めた。

 

「こいつが親玉か?いや違う!」

 

 こいつの邪気は制空圏で察知したものじゃない

 こいつはたぶん親玉の分身体だ。

 

グゥア〜〜!! ギャア〜〜!! アァァ〜〜!

 

グゥア〜〜!! ギャア〜〜!! アァァ〜〜!

 

グゥア〜〜!! ギャア〜〜!! アァァ〜〜!

 

 ん?よく見るとところどころ切れ目みたいな跡

がある。

 なるほど、今まで殺していた行方不明者たちの

魂で繋ぎ合わせて作ったのか。

 なら、親玉はまだ地下深くか。

 

「しぐれさん!」

「なんだ!?」

「建物から出て行って下さい!」

 

 直感でオレの言葉に従った方がいいと判断した

のか、しぐれさんはすんなりと指示通りに動いて

くれた。

 

「クソ悪霊〜!悪いが、巣穴を全て破壊だ!」

 

オオオオオオオオオアァァ〜〜〜!!?

 

 オレは分身体もろとも親玉に必殺技で叩き斬る

 

「『裂月』 “月牙天衝”!!!!」

 

 放たれた剣撃は分身体を消し、親玉目掛けて飛

んでいった。

 

ーto be continuedー




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