梁山泊の同門者 黒崎相介   作:rOOd

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豊かとは何か。

飢えがない幸福。
快適な環境での暮らし。
なんでも買える富。

違う、豊かとは多種多様の選択だ。 

それにより成功と失敗を繰り返し
己の人生を築くことこそ人の豊かだ。

人の未来は選択して成長することこそ
が最善な豊かなのだ。



BATTLE 13 梁山泊での修行 中編 

       【陽春 夕方】

 

      [裏新宿 無限城]

 

「それでは皆さん、異世界転移をします」

 

 MAKUBEXはパソコンのキーボードをリズミカ

ルに叩き、アジトが急に眩しくなった。

 眩し過ぎて全員が目を閉じ、光がだんだん弱ま

って目を開けたら、そこは・・・・・・・・・。

 

「んあ〜、眩しかった〜チカチカするよ。って!

 “ここ”は!?」

「アホ、今さら驚くな銀次」

「で、でもさ蛮ちゃん、こんな簡単に!?」

 

 まあ、銀次の言いたいことはわかる。

 あんだけ苦労してたどり着いた・・・・・・・・・・・・

何もない世界“グラウンド・ゼロ”。

 今、俺たちは世界の狭間に立ってんだからなよ

 

「ここが“グラウンド・ゼロ”・・・・・・」

「そっか、花月さんは来たことがないか」

「そういえばそうね」

 

 好奇心旺盛なカヅッちゃんは目を輝かせて感動

してるとカヅッちゃんはマリーアさんに質問した

 

「マリーアさん、ここが時空の狭間ですか」

「えぇ、ここから先は選ばれた者しか行けないけ

 どね。まさか、生きている間に行けるとは感激

 よ」

「ケッ!?余命わずかなのに感動してもな」

 

 マリーアさんは蛮ちゃんにお得意のマジックア

ローを百発以上発射した。

 

ズドッ!!?ズドッ!!?ズドッ!!?

 

ズドッ!!?ズドッ!!?ズドッ!!?

 

ズドッ!!?ズドッ!!?ズドッ!!?

 

ズドッ!!?ズドッ!!?ズドッ!!?

 

ズドッ!!?ズドッ!!?ズドッ!!?

 

ズドッ!!?ズドッ!!?ズドッ!!?

 

 全弾発射したマリーアさんは満面の笑みだった

が、目は笑っていなかった。

 

「だれが余命わずかだったって〜〜蛮?」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 全弾命中した蛮ちゃんは黒焦げのアフロで怒鳴

り散らす。

 

「ババアッ〜〜!!!殺す気かッ!!!!?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 蛮ちゃん・・・・・・口の悪さで痛い目に遭うクセを

直した方がいいとオレは目で訴えた。

 

「・・・・・・生きてるね、カヅッちゃん」 

「そうですね。美堂くんは相変わらずの不死身ぶ

 りですね」

「確かに呆れるほど不死身ね」

 

 カヅッちゃんは咳払いをして2人をなだめた。

 

「お二人ともじゃれ合うのはそこまで。速やかに

 異世界へ転移しましょう」

「カヅッちゃんの言う通りだよ」

「そうね、時間もないし」

『えぇ、そうしましょう』

 

 MAKUBEXの声がどこからか聞こえてきた。

 

「あれ?MAKUBEXどこ?」

『銀次さん、僕は神の居場所にいます』

「え?神の居場所??」

『今回の異世界転移で僕は神のサポートをする役

 割があるんですよ』

「ええっ!?」

 

 MAKUBEXは驚愕しているオレを落ち着かせる

ために自分の役割を説明する。

 

『銀次さん安心して下さい。別に取り込まれると

 か操られるとかはありません』

「そうなの?MAKUBEX」

『あくまで保険として神は僕のサポートを求めた

 のですよ』

 

 無限城の神がMAKUBEXに助けを求めた!?

 

「そ、そんなに今回の依頼ヤバいの?」

『それは銀次さん自身で判断して下さい。GetBac

 kersの信条は当たって砕けろでしょ』

 

 MAKUBEXにそう言われてオレは蛮ちゃんに声を

かけた。

 

「蛮ちゃん、オレたちに向かうところ敵無しだよ

 ね!」

「あたぼうよ、オレたちは無敵の奪還屋だ!」

 

 オレたちがそう叫んだら、真っ白な渦がオレた

ちの上に現れ、オレたちは光の中に包まれた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

       【陽春 夕暮れ】

 

      [都内 廃墟ビル群]

 

 今、あたしはあたしのチームの幹部たちととも

にアジトを目指して歩いている。

 

「・・・・・・なんで、いきなり」

 

 昨日、オーディンから通達が届いた。 

 あたしのチームの幹部全員でアジトに来いと。

 

「・・・・・・やな予感しかしない」

 

 あたしが拳豪入りする話は前々から聞いていた

が、それならばあたし一人を呼べばいい。

 だが、なぜ幹部全員も参加なんだ?

 考えれば考えるほどわからなくなる。

 あたしが不安と緊張を入り混じった表情だから

側近の白鳥が声をかけた。

 

「・・・・・・キサラ様」

「白鳥」

「大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

 

 部下の前では見栄を張ったものが、計算高く冷

静沈着のオーディンの意図が読めないから正直気

が気でない。

 

「ええい、ウジウジしても仕方ない」

 

 ともかく、オーディンに会えばわかることだ。

 

 薄暗いアジトに到着したあたしたちを出迎えた

のはオーディン一人立っていた。

 前会った時とは違い、張り詰めた雰囲気を漂わ

せるのであたしは立ち尽くしてしまった。

 気まずい空気の中でオーディンはあたしとあい

さつを交わした。

 

「急な呼び出して悪かったな。ヴァルキリー」

「いえ、滅相もありません」

 

 あたしの幹部たちをチラッと見たオーディンに

もあいさつを交わした。

 

「ヴァルキリーのチームメンバーもわざわざ足を

 運んでもらって済まない」

 

 幹部たちはオーディンに声をかけられたので喜

ぶヤツ、驚くヤツなどリアクションもさまざまだ

 オーディンははしゃいでいる幹部たちに聞こえ

るように咳払いして今回の本題を話し始めた。

 

「実はラグナレクが壊滅するかもしれない」

「「「「「「「ッ!!!!!」」」」」」」

 

 オーディンの言葉であたしたちは言葉を失う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー        

       【陽春 夕方】    

 

      [梁山泊 母屋客間]

 

 梁山泊の皆さん・・・・・・硬直したままだ。

 これじゃ少なかったのか?

 なら、梁山泊の金庫番の風林寺に聞くか。

 

「お〜い風林寺、風林寺」

「・・・・・・・・・」 

 

 何度呼びかけてもオレの声が聞こえず、現ナマ

にくぎ付けの風林寺。

 風林寺の正気に戻すため、こいつの顔にパンッ

と手を叩いた。

 

「おい!!風林寺!!!」

「は、はいっ!?」

 

 ビクッと顔を上げた風林寺はオレに視線を合わ

せたが、銭ゲバの顔に変わっていた。

 金に集中していた風林寺の両眼は金のマークが

浮かび上がり、口からよだれがダラダラと垂れて

いたのでオレは頭を抱えながら忠告した。

 

「あー、風林寺」 

「はい?」

「・・・・・・もう少し身だしなみを整えろ」

 

 風林寺はオレの注意でハッとして恥じらいだ。

 急いでハンカチで口のまわりを拭き取り、髪を

整えて咳払いをしてオレに尋ねる風林寺。

 

「く、黒崎さん・・・・・・このお金は」

「入門料だ。五千万ある」

「え、あ、いや・・・・・・その〜」

「五千万では足りないか?なら、後プラス五千万

 を「い、いえ!じっ、十分!?十分過ぎる金額 

 ですわ!!!?」」

 

 オレがケータイで追加を持ってこさせようとし

たら風林寺は慌てて止めた。

 今度はとなりに座っていた兼一がオレに尋ねた

 

「そうちゃん、このお金・・・・・・」

「だから、入門料だって」

「いや、これって家の通帳から?」

 

 オレはこの逆鱗に触れるしか能がないバカの額

にデコピンを喰らわした。

 

ビシッ!?

 

「いった〜〜!!?」

「なわけあるか!!どアホッ!!!」

 

 額を手で覆いながら痛がる兼一は“じゃあ、なん

なのさ”という目で睨んでくるのでオレはため息を

吐きながらこう答えた。

 

「これはオレのポケットマネーだ!」

「え?」

 

 こいつ、家族からオレのこと何も聞いてねえな

 たくっ、ほのかでさえ知ってるぞ。

 しゃーない、一から教えてやるか。

 

「オレはいろんな会社と特許契約してるんだよ」

「えっ!?」

「投資とかアプリ開発とかもやってんだ」

「ええっ!?」

 

 後、悪霊退治とかな。

 そっちは秘密にしとくか。

 兼一は大金をポンッと出すオレに尊敬のまなざ

しを向ける。

 

「・・・・・・そうちゃんすごい。お金持ちなんだ」

「まあな」

 

 ふっ。前世では極貧だった。

 その経験から得た世の真理・・・・・・金こそ正義な

のだよ、兼一くん。

 貧すれば鈍する・・・・・・経済力なき者は弱者だ。

 

「つーか、兼一も金儲けを身につけろ!」

「え~、武術と関係がないんじゃ」

「風林寺に貧乏生活を送らせる気か」

 

 オレの言葉で兼一と風林寺は互いを見つめ合い

どちらの顔も赤くなった。

 

「(イチャラブかい)」

 

 たくっ、相思相愛なのはいいけどよ。

 世の中、それだけじゃ成り立たないんだよ。

 どんな世界でも金がない男ほど惨めたぞ。

 

 そんなイチャイチャ雰囲気を水を差すように咳

払いをする岬越寺先生。

 

「おほん、あ〜黒崎くん」

「岬越寺先生、何か?」

「私たちの懐事情を汲みして大金を?」

 

 オレは首を横に振り、訂正した。

 

「いえ、これこそ梁山泊の正当な入門料ですよ。 

 岬越寺先生」

「正当な入門料かい?」

 

 オレがそう答えると今度は長老が尋ねてきた。

 

「ワシらにはそれほどの価値があると解釈してい

 いのじゃな?」

「はい、長老。梁山泊は千差万別の達人にて世界

 最高の武術を学ぶことができる修行場です」

 

 オレがそう断言すると長老たちは頬を赤くしな

がら照れている。

 オレは梁山泊の評価を続ける。

 

「そんな梁山泊にスパチャのような投げ銭を渡す

 など言語道断です!」

「うっ!?」

 

 オレの熱弁が鋭利の刃物のように兼一の胸に深

く刺さった。

 

「み、美羽さん。僕のお年玉の貯金を「だ、大丈

 夫っ!?大丈夫ですわ!!?」」

 

 涙目の兼一を必死に止める風林寺。

 

「そこまで入門料を気にしないで下さい」

「で、でも・・・・・・・・・」

 

 天然ボケの風林寺は精神攻撃でボロボロの兼一

にトドメを刺す。

 

「け、兼一は取り柄がないですが、いつかお金持

 ちになって出世払いしていただければいいです

 わ!」

 

 兼一は痛恨の一撃で顔を鼻水と涙でグジャグジ

ャで風林寺にあやまる。

 

「ず、ずみまぜん!ぼぐが・・・・・・が、甲斐性なし

 だがら〜」

 

 はぁ〜、情けない・・・・・・。

 たくっ、原作の流れを変えるかもしれないから

あんま言いたくないが、アドバイスしてやるか。

 

「兼一、そんなに甲斐性がほしいならお前の夢だ

 った小説家を目指せ」

「えっ!?小説家?」

「正直お前さ、そっち方面の仕事を目指した方が

 いいと思うぞ」

 

 兼一はオレがそう断言する理由を聞いてきたの

でこう答えた。

 

「はっきり言うがな、お前サラリーマンに向いて

 ない」

「なぜ、そう思うの?」

「お前は良くも悪くも一直線なんだよ」

「だから?」

「つまり、腹芸ができないというか無理だろ」

「うっ!?」

 

 オレの分析にその場の全員がウンウンと頷く。

 兼一は当たってるだけに何も言い返せないので

うなだれてブツブツと独り言を言いながら拗ねる

 

「どうせ・・・・・・どうせ僕はバカ正直ですよ〜。い

 つも・・・・・・いつも人の古傷に塩をぶち撒けるこ

 としか言いませんよ〜」

 

 オレは拗ねている兼一をほっといて岬越寺先生

に修行を頼んだ。

 

「それでは岬越寺先生。本日からご指導をよろし

 くお願います」

「ああ、今日は初日だから軽めにするよ」

 

 庭に移動したオレは兼一と同じ原作の初日修行

メニューを開始した。

 二つの壺に水を限界まで入れ、口縁部を両手で

鷲掴みながら持つカーミ鍛錬。

 原作と違うのは壺のサイズが小学生の身長ほど

巨大であることだ。

 

「・・・・・・なかなかの重さですね」

 

 ・・・・・・これからはこの人の言葉を鵜呑みにして

はいけないなと心底思った。

 

「ハハハッ、君には少し軽いかい?なら明日はも

 っと重くするよ」

 

 アンタな〜。確かにこの手の古式鍛錬法は慣れ

ているけどさ〜。

 なんか、頭の上に乗っている茶碗重くねえ?

 それに腕や脚の上に置いてあるお猪口の数も多

いぞ〜。

 

「あの〜岬越寺先生」

「何かね、相介くん?」

「何分やるんですか?」

「うん?たった180分だよ」

 

 おい!?

 

〜三時間後〜

 

「よし、終わりとしよう」

「ゼエゼエ、お、お疲れ様でした〜」

 

 さ、さすがに疲れた〜。

 しかし、本当にこの壺重〜。

 一体何でできているんだ?

 岬越寺先生は息を切らしているオレの腰に縄を

くくりつけた。

 

「さて、軽く身体をほぐすため、春海町まで行こ

 うか」

「待って!か、春海町!?10駅先の?」

 

 タイヤを縄で引っ張っるランニング!?

 これも原作修行メニュー。

 たが、距離が違うぞ!?距離が!!?

 確か、兼一は初日往復15キロメートル!

対して、オレは約三倍以上45キロメートル!

フルマラソンだぞ!!?

 しかも引きずるのは大型のダンプタイヤ!?

 

「こ、こんなものつけて歩いて行けと!?」

「ちがう!走ってだ!!」

 

 おいおい、岬越寺先生が持つあのムチ!猛獣調

教用だぞ!!

 ビシッと地面に鞭打って“行くぞ!”と叫ぶ岬越

寺先生。

 

「ぐわあああぁぁぁ!!?悪魔!!!?」

「遅い!亀に追い抜かれるぞ!もっと早く!!」

 

 オレは文句言う暇もなく、タイヤに乗った岬越

寺先生に鞭を打ち続けられながら走り出した。

 

ーto be continuedー

 




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