ウルトラな話   作:タヌキソード

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遺体が出る描写があるので苦手な人は見ないで下さい、グロいかと言われるとグロくはないです

1話で完結です



手向けとお礼の言葉

 

デビルスプリンターを探しに宇宙を駆け回っているうちに僕達はある惑星へとたどり着いた

 

 

この惑星には名前がないとレムは言っていた、今後はこの惑星は名無しの惑星と呼ぶ事にしよう

 

 

宇宙船から名無しの惑星の地表に降り立ち、デビルスプリンターの捜索を続けているうちに、ある一つの洞窟を発見した、中へと入って進んでいくと、洞窟の中に鉄製の扉が現れ、僕は扉を開けて中へと入った

 

 

中はというと研究施設の跡地のようになっていた、質感からしてここが長く使われていない事が分かる、奥へと進むとまた扉を見つけた、その扉を開けた先は何かの研究室になっていた

 

 

恐る恐るその研究室の中へと入り、探索。

 

 

 

その研究室の中はというと、実験道具があちこちに沢山散らばっていて、壁には何かの文字が書かれた紙が張られていた、散らばった実験道具を避けながら探索をしていくと、研究室の奥の方で大きなガラス片を発見した、近くにいくつかあった別のガラス片のパーツと組み合わせると、それはやがて培養槽の形となった

 

 

遠くの方に似たような形のガラス片があった事から、ここには今見たのと合わせて培養槽が二つあったのだろうと想像出来た、培養槽があるということはこの研究室を使っていた誰かはここで何かの生命体を作ろうとしていたのだろうか

 

 

 

「ん?」

 

 

暗くてよく見えないけど、遠くの方にある培養槽の破片の中に混じって何かがあった、懐中電灯でそれを照らした僕は思わず目を見開いた

 

 

 

「こ、これは…?!」

 

 

そこにあったのは体長60cmの…ウルトラマンの赤ちゃんの遺体があった、見た目はウルトラマンジード…僕によく似ていた、その遺体を見て僕はあることを思い出した、それは…

 

 

 

僕が、お父さん…ウルトラマンベリアルの遺伝子を元に作られた存在だということを

 

 

この遺体の子も恐らくお父さんの遺伝子を元に作られたのだろう…この研究室で

 

 

 

「レム、この研究室を使っていたのは誰?」

 

「伏井出ケイです」

 

「やっぱり…」

 

 

 

血縁上、ウルトラマンベリアルは僕のお父さんだけど、僕自身を創造したのはお父さんではなく伏井出ケイという宇宙人、かつて僕は奴と何度も戦ってきた、最終的にライハとの戦いの末に奴は消滅した

 

 

 

ケイは恐らくここでお父さんの遺伝子を使って『ウルトラマンになり得る生命体』を作ろうとしていた、さっきの遺体の子は恐らくその過程で出来た子、しかしウルトラマンにとって必要なものがその子の体にはなく、体の所々には欠損(先天性のもの)も見られた…、遺体の首に手で強く絞められた跡があった為、奴はこの子を失敗作とみなし、そして自らの手で絞め殺したとみて間違いない、突然この世に生まれ落ちたかと思ったら突然殺される…この子はあまりにも可哀想だ

 

 

そしてこの子の犠牲のあとに……僕が作られた、もし生きていれば血縁上この子は僕の実のお兄さんになっていたのかもしれない

 

 

 

「…」

 

 

 

物言わぬ小さきその遺体に静かに手を合わせたあと、僕はその遺体を抱え、研究室のある洞窟を出たあと、その洞窟からずーっと離れた所にある場所にその子の遺体を埋めてお墓を作った

 

 

 

突然生みだされて、突然命を奪われたこの子の魂がどうか救われますように…僕はそう思いながらその子の墓に静かに手を合わせた

 

 

あれから、名無しの惑星でデビルスプリンターを探したけれど、結局見つかる事はなかった

 

 

デビルスプリンターを探しにまた別の惑星に行くため、僕は宇宙船に戻った、宇宙船の中に戻る途中で何かの視線を感じたけど、名無しの惑星には生き物はいないとレムが言っていたのを思い出した

 

 

 

 

宇宙船が発艦し、名無しの惑星の地表を少しずつ離れていく、窓からの景色を眺めていると、遠くの方向に小さな人影が見えた、その人影がいる方向にはあるものがあった、それは…あの子のお墓だ、目を凝らして見ればその人影の正体はあの子だった。

 

 

 

あの子は僕をじっと見つめていた

 

 

 

宇宙船はだんだんと名無しの惑星を離れていく、そうなるにつれてあの子の姿もだんだんと小さくなってきた、それでもあの子は僕を見つめていた、見つめるあの子を僕も見つめた

 

 

 

「リク!」

 

 

ここで突然、ペガに呼ばれた

 

 

「何?ペガ?」

 

「さっきからずっと窓の方見てるけど…どうしたの?」

 

「景色がちょっとキレイだったからつい見とれちゃって…」

 

 

そうしてペガとたわいもない会話をしたあと、再び窓の景色を見たけど、その時には名無しの惑星にあの子の姿はなかった、もう亡くなっているのであの子は恐らく幽霊として現れたんだと思う…

 

 

 

宇宙船が名無しの惑星から完全に離れ、僕は窓から離れた…その時だった

 

 

 

 

『ありがとう…』

 

 

 

声が聞こえた、それは宇宙船にいる誰のものでもない声、その声の主はきっとあの子…。きっと、暗くて寂しいあの場所から自分を明るい地上の世界に出して、弔ってくれた僕にお礼を言いたかったのだろう…

 

 

 

END…

 

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