私より背が高くて、私より要領が良くて、私より社交的で、私のことを愛してくる義妹   作:的形みずき

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10.恋の質感にときめいてみた。

 四月十三日。

 昨日あれだけ話しておいて、ではあるけれど。

 今日も早起きをして、朝ごはんとお弁当を用意して、家を出る。

 

 一回世間話をしただけでは……朝、顔を合わせてにこやかに食事、というのは……うん。

 

 意気地なしだとどうぞ罵ってくれていい。でも、まだ、無理。無理なものはどう頑張っても無理。

 

 ただ……自分で取った自分の行動に落ち込んで深い深い溜息を吐きながら登校する。

 毎度毎度増田先生に迷惑をかけるわけにはいかないから、ちゃんと時間を見計らって。

 

 ……そうやってみたら、前方に知っている人影が。

 

「真美、おはよー」

「由佳ち、またこの時間? ……っていうか私が今日ケッコー早めに出たから、より早くなってない?」

「色々事情があってさ。おはよ、にしといて」

「ふーん。いいけどさ。おはよー由佳ち」

 

 長い筒はもうトレードマークになりつつある。中曽根真美。友達。

 

「そだ、聞いたよ。昨日かすみんと温泉行ったんだって? いーなー。誘ってよー」

「昨日のは大分衝動的な行動だったし……また今度ね」

「それとさ、かすみんにヘンなこと聞かれたんだよね。〝お前振原の顔見て立場弁えさせたくなったことある?〟って」

「何聞いてんだアイツ……」

「常日頃~って返しておいた」

「何言ってんの真美!?」

「冗談冗談」

 

 え……まさか私の友達全員がこうとか言わないよね。

 真美は常識人枠だよね!?

 

「私が由佳ちの顔見て思うのは、いいこいいこしたくなるなー、くらいかな」

「……子供っぽいってこと?」

「由佳ちってなんかいっつも困ってるか泣きそうになってるイメージあってさ。大丈夫だよーってしたくなる」

「別に何とも思わない、を引き出せるやつはいないのか……」

「いやいや、聞かれたからそう思うって答えただけで、普段は何とも思わないって! それよりさ、聞いた? なななんに彼氏できたって話!」

「え、なに広まってるのそれ」

「本人が言ったわけじゃないからアレだけど、結構もちきりだよ。なななんが陸上部の男子の先輩と一緒にいるーって。あきぱちも見たんだってさ」

 

 ま、女子のコミュニティに属している以上、隠し事……特に恋愛面の隠し事なんて無理だと思った方が良い。

 スピーカーと「誰にも言わないでね?」の連鎖で、瞬く間に広がっちゃうから。六次の隔たりは万能。

 

 那奈は恥ずかしがるだろうけど、思いつめるタイプではないから大丈夫……だと思う。その先輩の方が引いちゃわないかだけ心配ではある。

 でも隠し通すならまず学校の中で会わない、くらいは徹底しないと無理だって。

 

「いいよねー。恋したいなー」

 

 腕を拡げてくるくる回る真美。

 恋したい……と思ったことは、ないなぁ。

 

 だから、ちょっと白々しいとは思いつつ、それを問う。

 

「恋、したことないの? 真美って男っけ全然ないけど」

「片思いは何度かあるけど、お付き合いは一回もないんだよね。前……まぁ中一の時だけど、勇気出して告ろうって思った矢先、その男子が〝守ってあげたくなる子がいい〟って、私とおんなじくらいの体格で運動部の子フってるの見ちゃってさー。そっから色々自信がなくなったっていうか」

「ははーん。つまり私のモテ期到来か」

「今までで告白されたことは?」

「男子からは無いね……」

「女子は……って、ああ。前言ってた先輩か」

 

 というか、女子に告白されましてもね。

 恋愛的な好きなのかどうかってどう判断するんだろう。

 

「恋をすると人が変わるっていうけど、どうなんだろうね。片思いの時は全然変わらなかったけど、両想いになったら違うのかな」

「真美って乙女だよね……」

「なに、夢見がちって言いたいのかー!」

「夢が無いより夢見がちの方が良くない? ……恋への憧れも無ければ、羨ましいと思うことすらなくてさ。恋バナ自体は好きだけど」

「んー。まぁ恋って爆発だからなぁ。一回も感じたことないと、憧れなんか抱かないでしょ。由佳ちって少女漫画とか読むっけ?」

「全く……」

「少女漫画で〝こういう恋してみたい!〟ってなる子は多いから、そういう部分じゃない?」

 

 あまりにも的確な指摘。そう、私は……あんまり創作物に触れてきていない。

 見るアニメも友達と一緒に見たアニメ映画がきっかけだったりして、自分から、というのはほとんどない。

 

 う、うむ。

 見聞を広めるべき、なんだろうな。後年に振原見聞録とか出すためにも……。

 

「っていうか、片思いの時、なんで私に何も言ってくれなかったの。友達じゃん」

「ふつーにクラスメイトなこと多かったからねー。私の好きな人、ってだけで、由佳ちギクシャクしちゃうでしょ。基本気にしいなんだから」

「返す言葉もない……」

「なんなら当たりが強くなる可能性もあるよね。真美がこれだけ想ってるのになんで気付かないの、みたいな感じで勝手に暴走して勝手に強い言葉使って勝手に落ち込んでそー」

「そ、そこまでじゃないと思うけど……勝手に落ち込むのは多分ある」

「英断だったでしょ?」

「はい……」

 

 今まで友達のそういう話を聞いてこなかったのは、各自がそれぞれに私がそうなるだろうな、と思っての判断なのだろう。

 うう、面倒臭人間め。恋バナまで気を遣わせるとは……。

 

「あ、それ関係で面白いのなら、もう終わった話だけど、高一の最初の方かすみんが告られてたよ。女子に」

「へえ。まぁ浅野かっこいいもんね」

「当人は〝セーラー着てたけどかっこいい系の男子だと思ってたんだよね〟と供述しており……」

「え……え゛? ……真美が告ったの?」

「そ。面白いでしょ。今フツーに友達だけど、まだ仲良しじゃなかった頃にそれやって、フられる前に結構凄みのある声で〝は?〟とか言われたの今でも覚えてるなー」

 

 ……え、あ。

 女の子同士って、こんな近くで起こってるんだ。……しかも浅野と真美って……わ、わぁ~……。

 

「浅野の……どこに惹かれたの? 告白の言葉ってどういうの?」

「うぉうグイグイ来るじゃん。ヒトの失恋話にも興味津々か~?」

「あ、ごめん。まだ引き摺ってるとかなら」

「なワケないじゃん。だったら友達やってないって。……どこに惹かれたか。まぁ、そうだねー。入学式直後あたりのかすみんって全然ギャルじゃなくてさ。髪も染めてなければ化粧もしてない女の子だったの。でも、なんていうか、それでも〝我が道を行く!〟みたいなオーラ出ててさ。さっきも言った通り、昔から体格的に守られるより守る側だった私が、〝この人なら守ってくれそう!〟って思って……そっからは早かったねー」

 

 ああ、まぁ。確かにそうだった気がする。

 初期の浅野は全然ギャルじゃなくて、でもどっか威圧的というか……近寄り難い空気があった。

 その後すぐにギャルになったものだから、「この子とは関わらないでおこう」って思ったのを覚えている。……じゃあ何きっかけで、って言われるとうーん。佐十さんにも聞かれたけど、本当にきっかけとかないんだよなぁ、って。

 

「で、告白の言葉は?」

「誤魔化されないか」

「ここまで聞いたらとことん聞くでしょ」

「へへ……ちょっと恥ずかしいけど。その時の私は、〝一生尽くすから、お付き合いしてくれませんか〟って言ったかな」

「うわ大胆」

「で、は? が帰ってきて……そのあと、〝あー……ごめん。ウチは恋愛キョーミない。一目惚れかなんかなん? まぁわからんけど、気持ちは嬉しいから、話しかけてきてくれてよかった。けど、次狙うなら脈あるやつにしなよ。折角かわいいんだからさ〟って言ってきて」

「なんだアイツ誑しか?」

「だよねー! かすみんホンットかっこいいんだよー」

 

 な……なんだろう。

 なんか、悔しい。別に真美に告白されたいわけでも浅野にどうこうでもない。

 ……クールビューティ枠に浅野が座っていることが……言い知れぬ悔しさを駆り立てる……!

 

 そんなあまりにも身勝手な嫉妬を燃やしていると、気付けば校門に。

 じゃ、私は朝練だからー、なんて言って弓道場の方へ歩いていく真美を見送り、昇降口へ。

 

 人影。

 

「あ。……陸上部の先輩とお熱とウワサな那奈さんだ」

「よわっちぃクセに反抗的な由佳さんじゃない。じゃあ抱っこしてあげるから、あやされながら教室へ行く?」

「ごめんなさいでした」

「はいはい。おはよ」

「おはよー」

 

 渦中の人物、井俣那奈。

 この時間、やはり会ってきて……。

 うわ睨まれた。読心術だと!?

 

「……バレないと思ったのに」

「アキを含めてもう何人も那奈とその先輩が一緒にいるとこ見ちゃってるらしいからね」

「周囲はちゃんと確認していたんだけど……教室の窓とかから見られていたら、お手上げ」

 

 学校ってそうそう完全死角な場所ないからね。

 誰もいなくてもどっかから見られているって思った方がいい。

 

 二人、廊下を歩く。ひと気のない廊下。すれ違うとしても朝早い教師だけな廊下を。

 

「どこで知り合ったとか聞いてもいい話?」

「……。……言うと引かれるから嫌」

「つまりもう一回引かれていると」

「霞には話したのよ。あの後すぐ」

「え……なんで私はだめなの」

「由佳がダメだったってより、霞の圧が強かっただけ」

「ああ……」

 

 容易に想像できる。言ってしまえばガキ大将だからね浅野って。

 

「で、話したら引かれたの?」

「ドン引きされた」

「……え、えっちな……話?」

 

 聞けば。

 薄い目でこっちを見てくる那奈。な、なにその反応。

 

「……はぁ。まぁ、ソウイウ話に近いかもね。聞く勇気ある?」

「怖いけど興味が勝る」

「……。……春休み。水泳部、何度か練習あったんだけど……柵の近くに人がいる、って噂になったことがあって」

 

 水泳部が使用するプールは運動場に隣接している。けれどプールサイドの高さが人の身長より高い位置にあるため、余程の無理をしなければ中を覗くことのできない仕組みなっている。

 それでも柵……プールサイドを囲う柵の近くに人がいる、というのは生理的嫌悪を催す話。噂になるのは当然のこと。

 

 って。

 

「まさか、それが」

「そ。その先輩だった。ま、真相としては覗きをしていたんじゃなくてハードルの練習をしていただけだったらしいんだけど」

「え、え。それ信じたの? 絶対聞かれてるって、それ」

「私もそう思ったし、部員のみんなもそう思った。顧問の先生までもね。でも……あ、教室着いた」

「ちょ……肝心肝心肝心なとこ」

 

 ゆっくり歩けばよかった! その好感度最低値から付き合うに至るまでが聞きたいのに!!

 

「気が向いたらメッセで送ってあげる。気が向いたらね」

「向かないやつそれ!」

 

 ──が。

 まぁ、ここで話さずとも……次の女子会で全身抑えつけてのくすぐりの刑で吐かせてやろうぞ……!!

 

 邪悪な──つもりの──笑みを浮かべながら教室のドアを開ける。

 ぐい、と後ろに引っ張られる肩。

 

「なにすん」

 

 ぼふっ、と。

 ……黒板消しが、眼前に落ちる。

 

 古典的な。

 

「あー! 那奈っちなにすんだよー!」

「真っ白由佳ちゃんができるとこだったのに」

「だから止めたんじゃない。あのね、チョークの粉って人体に毒なのよ」

 

 珍しい。この時間にこの双子がいるなんて。

 

「どうしたのここのの。なんでこの時間?」

「ののちゃんが一時間間違えただけ」

「はー? ここちゃんだって遅刻した! って騒いでたじゃんか」

 

 尾藤ののか。尾藤ここね。

 双子の姉妹であり、元気印と冷静沈着……風な二人。きゃーきゃーうるさいのがののか、頑張ってクールビューティキャラで行こうとしているのがここね。

 

「助かった……ウチ一人でこいつらの相手はキツい……あとは、託した……」

「浅野──ッ!!」

 

 教室の奥の方で真っ白に燃え尽きている浅野。浅野は基本ダウナーなので、この双子の元気さには毎回焼かれているイメージがある。苦手じゃないとは言っていたけど。

 

「っていうか!」

「そうだ、そういえば」

 

 双子の視線が那奈を貫く。

 ──理解。

 

「ここのの。私と浅野こっちいるから、那奈で遊んでおいで。押せば聞けるから」

「ちょ、由佳あなた──」

「おー! ってことは由佳っちはもう聞いたってこと!?」

「由佳ちゃんにさえ話すなら、わたしたちにだって話していいはず。教えて那奈ちゃん。覗き魔と付き合うことになった真相を」

「……詳しすぎない? 霞、あなたまさか」

「ウチじゃねーって。もう出回ってんだよ噂は……」

 

 きゃーきゃーうるさい双子に纏わりつかれ、私達から離れていく那奈。その様はまるで濁流に押し流されるが如く……!

 そして、まぁ、流れだったとはいえ……黒板消しの恩を仇で返すことになったことは、えー、謝罪の意を述べさせていただければと存じます。

 

「あー……疲れた。人身御供サンクス」

「したの私じゃなくて那奈だから単純な身代わりだけどね」

「言わねーっつってんのに朝っぱらからずーっと井俣のこと聞いてきやがってよ……。ようやくクラス別々になったってのに関係なく入り浸りやがって」

「あの二人、私達といる時だけ精神年齢小学生くらいになるよね」

「聞こえてるぞ由佳っち! あとで覚えておれ!」

「由佳ちゃん、由佳ちゃんにだけは言われたくないので、あとで覚えておいて」

 

 ……うむ。

 

「私は何も言ってないし何も聞こえなかった」

「口は禍の元が過ぎる」

 

 今から気が気じゃない。あの双子、普段から言葉はいがみ合ってるのにいたずらに関しては抜群の連係で来るからなぁ。

 

「あ、そうだ。虫の掛札効果あったよ」

「そりゃよかった」

「効果あり過ぎて逆の事件が発生したけど」

「今ウチがそりゃよかったで済ませたのに気付けっつの。バレたくないんだろ」

「……イケメンか、もしかして」

「お前の口からイケメンなんて言葉が出る日が来るとは思わなかったよ」

 

 そうだった。気が抜けてた。

 

 あ、じゃあ、えーと。

 

「真美……は、いいや」

「中曽根がなに。いいやで済ませんな気になるだろ」

「あー、いや。……今朝、真美と浅野の話を本人から聞いて、それが頭に浮かんで、でも深堀りすることもないなーって思い直しただけ」

「ウチと中曽根の話? ああ……あいつが告ってきた話か?」

「普通に話すんだ」

「聞かれたら面白おかしく話しちゃっていいって中曽根に言われてるからな。……なんだその顔。にやにやしやがって」

「告白の断り文句がそれこそイケメンでさ。二人して朝盛りあがってたよ」

「その顔写真に撮っていいか。スタンプにして誰か煽るときに使いたい」

 

 もう終わった話、って言ってた通り、わだかまりなんか一切ないんだなぁ、って。

 私なら……告白とか、されたら。ずっとずっと気になっちゃいそうなものだけど。

 

「……恋、かぁ」

「やめろさっきから。イケメンとか恋とか。振原には無理だって」

「いやだって、那奈を始めにみんな色めきだっててさ。ちょっとは気になるよ」

「言うほどじゃないだろ。井俣しか今誰かと付き合ってるやついなくね?」

「わかんないよ? 案外身近な誰かが、とかさー」

「んで、別に誰が誰と付き合ってようが……話のタネにはなるし、目の前で初心な反応みたらそりゃ突っ込むけど、知らんとこで知らんことしてる分にゃどーでもいいだろ」

「……それはそうなんだけどね」

 

 無理矢理根掘り葉掘りしたいわけじゃない。那奈の場合は隙を見せたあっちが悪い。うん。

 結局のところ、そういう「知らない世界」の話を聞くのがおもしろいだけだ。本当に興味があるワケじゃない。

 

「浅野ってさ。……今までどれくらい告られてきたの」

「なんだそりゃ。別にウチそんなモテねーけど」

「えー。ああ、男の子じゃなくていいよ。女子でも。っていうか女子の方が多そう」

「あー……否定はしないけど」

 

 しないんだ。

 へぇー。へぇ~?

 

「うわウザ」

「同年代と年下に好かれて、先輩からは全然だったりしそう」

「あー、そうそう。そーだよそーそー」

「面倒臭くなってるじゃん」

「実際面倒臭いからな。つか……なんでわざわざガッコでこういう話すんだよ。昨日やれよ昨日」

「それは本当にそう」

 

 温泉という絶好の場所で、私達以外誰もいないという絶好のタイミングで、私達は何を話していたんだか。

 恋バナ……いやでも雰囲気を壊したのは浅野であって。

 

「そう考えると浅野ん家ってすごい。お兄さんもかっこいい系だしさ」

「兄貴はキモいけど確かにモテてたな。バレンタインとかエグかったし。あいつチョコアレルギーなのに」

「イケメンのオタクって実在するんだねー」

「……一応兄貴の名誉のために言っておくと、あいつは元々はオタクでもなんでもなかったよ。高校でできた友達に毒されただけ。……中学の時まではフツーにかっこいい兄貴で自慢だったんだけどなぁ。どーしてああなったのか……」

「なんだっけ、黒タイの話」

「六十デニール以外のタイツはタイツじゃない、だろ。……キッショいよな」

 

 何度か会ったことあるけど、見た目も口調も爽やか系イケメンさん。

 ただしそれは表の姿で、裏側……家族な浅野に見せる姿はキショオタク。妹とはいえ女の子な浅野の前で平然とそういう……えっと、変態チックな話をしちゃう人。

 

「ま、家族なんだ。女の子だと思われてないのは当然つってな」

「え。心読んだ?」

「顔に出てた」

 

 もしかしたら私はサトラレなのかもしれない。妖怪サトラレ。心の声が周囲へ伝わる……怖くもなんともない妖怪だ……。

 なるならキジムナーか木霊がいい。木霊でしょうか。YES!

 

「……今のナシ。なんかウチが兄貴に女の子として見られたい感じがしてキショい」

「ああ。確かに。……今度会った時にチクっておこう」

「やめろ。マジでやめろ。死ぬほど調子乗るんだよアイツ。抱きあげてきて抱きしめてきて……ああ、何度殴ったことか」

「えー。妹扱いされてる浅野見たーい」

「泣かすぞおまえそろそろ」

 

 妹、か。

 ……妹ねぇ。

 

 あの子は果たして妹のつもり……なんだろうか。

 主導権を握ろうとするあまり、別の関係性を目指している気がするけれど。

 

「──話は聞かせてもらったァ!」

「妹感溢れる霞ちゃん。確かに見てみたい」

「作戦会議には呼んで。全力で私怨……支援するから」

 

 おっとスピーカーが来た。しかもなんか意気投合した那奈を加えて。

 チャイムまでは……まだ三十分はあるねー。

 

 よし。

 頑張れ浅野。浅野の戦いはこれからだ!

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