私より背が高くて、私より要領が良くて、私より社交的で、私のことを愛してくる義妹   作:的形みずき

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28.友達とショッピングしてみた。

 Newのバッヂがついたアプリを開く。

 メッセは二通。一通は……なんか旅先でも早起きしちゃっているらしいお姉の撮った海から昇る朝日。キッチンも使えなければスマホにゲームが入っているわけでもないお姉は、それはもうスーパー手持ち無沙汰になっていたみたい。

 もう一通はそれから二時間後、浅野先輩から。

 

 ──〝振原からウチに抱き着いてくれて、なんでか怖がってるウチを慰めてくれた……夢見た〟

 ──〝リアルな感触あったけど起きたらいなかった。ふつーに恥ずい〟

 ──〝けどなんかマウント取れそうだったから報告することにした〟

 

「子供か」

 

 と……虚空へ消えるツッコミをして、ベッドから這い出る。

 四月二十六日。日曜日。

 

 ぐぐ、と伸びをして、大きくあくびをする。出てきた涙を拭いながら……うん。

 晴天。カーテンを開けた先に映る憎らしいほどの青を一瞥して、踵を返す。

 

 今日はなにをしようかなぁ。

 

 

「おはよー」

「おはよう、いのり」

 

 リビングへ降りると既にママ、パパが起きていた。二人とも休日なのに早起きだね。

 というか……なんか着替えてる? スーツじゃない私服だから仕事じゃないだろうけど……。

 

「デートでもいくの?」

「しおりさんが楽器をやっているというのを聞いて、久しぶりにベース欲が出たんだ」

「ベース? ……パパ、ベース弾けるの?」

「ああ。だから今日知り合いのスタジオへ行って、少しセッションをしてこよう、という話になって」

「へえ。いいな、あたしもなんか楽器できたらよかったけど」

「いのりの小さな頃にピアノ教室へ連れていったことがあったけど……その時あなた、〝失敗した時の音きらーい〟なんて言って、そこから楽器系の習い事は嫌になっちゃったのよねぇ」

 

 全然覚えてない。

 ただ……実際今でも外れた音は苦手だ。あたしに関係のない演奏で、誰も何も発していなくとも……なんか咎められた気分になるから。

 多分、外れている、というのが……絶望的に合わないんだと思う。

 

「ついてくるか? あまり高いのは買ってやれないが、今後もやるというのなら何かひとつくらい楽器を買っても、」

「ううん、今キョーミあるだけで、多分続かないからいいよ。……らぶらぶでいってらっしゃい」

「ふふ、そうさせてもらうわね」

「じゃあいのり、お昼のお金は置いていくから」

「うん。コンビニかファミレスか、とにかくなんとかするよ」

 

 あたしとしても二人がちゃんとくっつききってくれないと困るんだ。

 こういう背押しと水入らずは大切にしないとね。

 

 ……でもそーなると、本当に今日なにしようかな。

 

 

 時刻は十時。なにをするか決め切れないまま起床後二時間。

 まずい、このままだと何もしない一日になる。

 とりあえずメッセ。

 

 ──〝泉美、今日暇?〟

 

 ──〝親戚の結婚式。わんでいおーる〟

 ──〝ブーケトス掴み取ってくる〟

 

 頑張って。あいや頑張んないでいいよ。

 

 ──〝でも珍しい〟

 ──〝いのりが印象付け以外で休日に連絡してくるとか〟

 ──〝振原先輩いないんだ?〟

 

 うわうるさ。

 ……ちぇ。

 別に泉美とそこまで仲が良いってわけでもないけど、取り繕わないで良いという一点において泉美以上の人材はいないから、休日にもってこいなんだけどなぁ。

 となると他の友達……。

 

 ──〝菊花ちゃん! 今日暇ですか!〟

 

 ──〝わ、いのり〟

 ──〝メッセうれしい〟

 ──〝十二時過ぎならどこでも合わせられる〟

 ──〝のあ付きになっちゃうけど〟

 

 あの二人は本当いつも一緒にいるな……。

 でも、一日を過ごすのなら人数は多い方が良い。人と話していれば時間が長いとは感じなくなるから。

 

 ──〝駅前のCOLTO集合でいい?〟

 ──〝なにしたいとかは決めてないんだけど、遊び行こう!〟

 

 ──〝OK〟

 ──〝ついでに一応広報委員のメモ〟

 ──〝もってく〟

 

 ああ、そういえば。

 一昨日に出された広報委員の提出物。四月・ゴールデンウイークの新聞のネタをなんでもいいから一つ作ってくる、っていうの、忘れないようにしないと。

 

 ──〝お昼は食べてからにする?〟

 

 ──〝一緒にどっかで食べよ!〟

 

 ──〝OK〟

 

 菊花ちゃんってメッセだと結構淡泊なんだなぁ、なんて感想をひとつまみ。

 あたしもそこそこな自覚はあるけど、メッセと会話って結構乖離するよね。

 

「いのりー、じゃあママたち行ってくるから」

「鍵は閉めるんだぞー」

「はーい!」

 

 鍵を開ける音、扉の閉まる音、鍵の閉まる音。

 

 ……アラームを十一時二十分と四十分にセット。そして仰向けにベッドイン。

 Bluetoothでスピーカーとスマホを接続して、Youtubeを開いて、登録チャンネルを開いて……最近あんまり視聴できていなかったチャンネルの最新動画……は短すぎたので配信アーカイブを開いて。

 その途中辺りにシークバーを動かせば、しっとりとした中性的な声の雑談が始まった。当然途中から。

 中身なんかほとんど聞く気ない。声が良いからBGMに最適なだけ。

 

 改めて仰向けになり、両腕を開く。

 

「……あたしもお姉と旅行いきたい」

 

 呟く言葉は理性を介さぬ本音。

 浅野先輩だけずるい。ずるい、し。

 

「……進んじゃってる、のかな」

 

 あの時の行動は自分でもよくわかっていない。

 なぜかあたしは浅野先輩の恋心を自覚させ、焚き付けさえもした。

 ライバルが増えていいことなんか一つも無いはずなのに。

 

 自覚していない感情で「なんとなく嫌い」になられるのが嫌だったから……だろうか。

 多分違う。勿論含まれてはいるだろうけど、そうじゃない理由がある。

 

 あたしは、だから。

 

「……少なからず、憧れてたんだろうなぁ」

 

 浅野先輩に。

 我が道を征き、明け透けな言葉を吐いて、嫌われることも厭わない彼女の……そういうかっこいい所に、憧れていた。

 あたしもああなれていたらいいな、って。

 

 だから……あたしは自覚しているのに、憧れの浅野先輩が自覚していない、ということが。

 なんだか……そう、なんだか、彼女自身が彼女を……あたしの理想像な浅野先輩を汚しているような感じがしてしまって、それを是正したくなったというか。

 

 理想の押し付け。

 あたしはいつもそうだなぁ。

 

 それで……自分を不利にしているのだから、世話はない。

 ……キスとか、するのかな。海の綺麗なホテル。夜。同じ部屋で寝泊まり。

 ぜったい何か起きる。

 

 他にも友達さんいるからえっちなことはしないだろうけど、浅野先輩妙なところで大胆だからなぁ。

 いたずらに見せかけて本気の、というのはしそう。

 

 む……胸を、揉む、とか。

 さわさわする、とか。

 ……やばい、妄想に嫉妬しそう。

 

 通知。

 

 ──〝この前の仕返し〟

 

 浅野先輩から送られてきたそれに添付されていた写真。

 ……お姉の口に歯ブラシを無理矢理突っ込んだらしい浅野先輩と、かなりの困り顔でされるがままに歯を磨かれているお姉の写真。

 

 ぷっちーん。

 

 まず、お姉の部屋に行きます。無謀にも鍵は開きっぱなし。

 なのでそのまま入って、クローゼットへ向かい……多少「あたしヤバくない?」と思いつつ、お姉の下着をいくつか取り出して、一番かわいいのをパシャ。

 それを浅野先輩へ。……これ結構ヤバくないあたし。

 

 ──〝ずっと一緒にいるのに手が出せなくてむらむらしてそうな浅野先輩へプレゼントです〟

 

 というメッセージを添えて画像を送信すれば……。

 

 ──〝馬鹿お前これ流石に犯罪だぞ〟

 ──〝つか誰かに見られたらどうする気だ〟

 ──〝振原に見られたらウチより先にお前が終わるだろ馬鹿〟

 

 ……。

 確かに。あまりに軽率だった。

 

 ──〝でも、浅野先輩が送れっていうから〟

 

 ──〝は?〟

 

 ──〝あたし、浅野先輩に恥ずかしい写真握られてて〟

 ──〝脅されてて〟

 ──〝毎日一枚お姉のぱんつとかブラとかキャミとかを写真に撮らないといけなくて〟

 ──〝こんなことしたくなくて〟

 

 ──〝振原は別に見てねぇし、んなクソみたいな演技で騙されるやつじゃねえだろ〟

 ──〝そもそも別にウチは振原の下着になんかキョーミないっつの〟

 

 ──〝またまた。温泉? 大浴場? 入ったんでしょ先輩〟

 ──〝その時お姉に欲情しちゃったんじゃないですかぁ?〟

 

 ──〝うざ〟

 ──〝まともに肌を見られなかったのは正解〟

 ──〝意識し過ぎてて自分でもウケてる〟

 ──〝今みんなで足つぼマッサージっての受けにきてんだけど、さっきから聞こえてる振原の声に耐えられる気がしない〟

 ──〝ウチ、振原のことこんなに好きだったんだな〟

 

 ……からかうと、ちゃんとうざがってはくれる……けど、その三百倍くらいの好き好きオーラで殴り返してくるのほんとずるい。

 それじゃ勝負になんないじゃん。

 

 えー。

 えー。

 ずるい……。

 

 もし、あたしが……お姉と同い年で、クラスメイトだったら。

 姉妹関係は変わらないまま……隠したままに、お姉と旅行、いけたんだろうか。

 

 あたしも……。

 

 

 アラームに叩き起こされ、支度を済ませて自転車にライドオン。

 そこまで遠くない場所にある駅まで行って、駐輪場に自転車を置いて……あたりを見渡せば。

 

「キクちゃん今日はやっこいのぅ! いのりんに会うのにおめかしか!」

「普段着と変わらないんだけど」

「吾はわかっておる吾はわかっておる……いのりんとの待ちに待ったデートともなれば、最高の姿で行かなければならぬであろうのぅ!」

「もし本当にそうならノアは連れていかないでしょ」

「いーやなんとしてでもついてく! デバガメ精神!」

 

 いた。ぴょんぴょんぴょんぴょん動き回って跳ね回っている乃蒼と、それをもうそういうものとして放置している菊花ちゃん。

 

「おーい菊花、乃蒼ー」

「お! くぁー、背が高いと人混みで目立ちますな!!」

「言うほど混んでないけどね……」

 

 ぴょんぴょん跳ねてそのままの勢いで突っ込んでくる乃蒼を……珍しく受け止めてみる。

 いつもは躱すから、驚いただろう。

 

「ふぁ!? ……なんというヌクモリ。なんというふわふわ生物。……キクちゃん、ここが吾の死地ぞ……骨はボスにくれてやってくれ……」

「珍しい。受け止めなくていいのにそんなやつ」

「乃蒼だっておめかししてるんだから、怪我させたり転ばせたりするの可哀想かな、って」

「はー、本当に優しいねいのりは」

 

 そう思われるための行動だからね。

 なんて言葉はおくびにも出さず、スマホを開く。

 

「とりあえずご飯いこっか~」

「そうしましょ。……こらノア、そろそろ離れなさいって」

 

 大人しく引き剥がされる乃蒼。ま、この子は別に幼いわけじゃない。聞き訳が悪いわけでもないっぽい。

 故意にこういう……ヤンチャな言動をしているだけ、というか。計算高い悪女ってわけでもないっぽいんだけど、それでいてここちゃん先輩ののちゃん先輩みたいな性格キツい系でもないからまだ掴みあぐねている現状。

 菊花ちゃんはもう普通に乃蒼のママかお姉ちゃんだね。

 

「でも、今日はいきなりどうしたの? 予定無くなっちゃったとか?」

「んーん。元々予定はなかったんだけど、ママが近所のママ友達と楽器やりにスタジオ行くって言ってさ。……あたしは楽器できないんだけど、なんだか無性に友達と遊びたくなっちゃって」

「いのりんママ楽器やるのか! 吾もできるぞ楽器! お琴!」

「え゛……乃蒼が?」

「意外に思うだろうけど、この子はできるのよそういうの。私も篠笛がいける」

「……二人ってなんか……和っぽい家の出身だったりする?」

「ぜんぜん。なんかかっこいいから習った!」

「それに巻き添えで習い始めて気付けば趣味になってた感じ」

 

 すご。

 習わせてくれる親もすごいし、そんななぁなぁなモチベーションで始めてちゃんとできるようになるのもすごい。

 ……これでもしお姉も楽器できる、ってなってたらあたしも死に物狂いで覚えていたかもしれない。前にお姉にできる楽器を問うたら「リコーダー、鍵盤ハーモニカ、マラカス」と返ってきた。ふふん、あたしの勝ちだ。あたしはそこに加えてタンバリンとトライアングルと木琴がある。

 

「いのりは?」

「あたしは学校で習うやつしかできないよ~」

「いのり指長いからなんでもいけそうだけどね」

「うむうむ。指長いのは楽器扱いにおいて爆アドだからな!」

 

 そうなんだ。

 ああ、確かにそうかも。じゃないと届かない穴やキーがあるから。

 

 そんな風に駄弁っているうちに、ファミレスへ辿り着く。

 食べながらどこいくか考えないとなぁ。

 

 

 結局明確にどこへ行くかは決まらなかったので、さっき集まったCOLTOというショッピングセンターでウィンドウショッピングにしゃれ込むことにした。

 ブティックをメインに見て回る。途中、試着室にあった身長計で測ったところ、あたしと乃蒼で31㎝も身長差があることが判明。高校生で145cmなんているんだね……。

 ちょっと羨ましさはある。ちっちゃければもっと愛されるのは容易だったんじゃないか、って。……同時に煙たがられるのも早そうだから、今のままでよかったとも思うけど。

 なお菊花ちゃんは165cm。菊花ちゃんくらいが一番良いんだよねきっと。

 

「ノアは相変わらずちっちゃいけど、いのりがそんなにでっかかったとは……」

「なにを言うキクちゃん。このパイオツを見れば自明であろう!」

「あんま人がいるとこでそういうの叫ばないの。……あと別に背がちっちゃくたってでっかい子はいっぱいるし、その逆も然りでしょ」

「なぬ? 高身長貧乳はともかくデカパイロリはぬぃじげんの中のおとぎ話ではないのか?」

 

 思い起こすは当然お姉。

 チビとかガキって言われることは多いけど、言うほど背が小さいわけではない彼女は……とってもスレンダーだ。

 まぁ。

 身体的特徴なんてね、人それぞれだからね。ね。

 

「でもさ、乃蒼も実は結構あるよね。ちっちゃいのに」

「はぅ!? い、いのりんまさか吾のカラダ目当て……!? いやんはうん、らめぇどふぅ!?」

「だから叫ぶなっつの」

 

 チョップ……にしてはゴリュ、なんて音の鳴ったそれが乃蒼に突き刺さる。

 菊花ちゃんのツッコミ、毎回火力高いよね……。

 

「あ、そうだ。あたし帽子みたいんだった」

「帽子? それはあっちね」

「テンガロンハット買おう!」

「なんでよ」

 

 結構入り浸っちゃったけど、ごめんなさい。

 元から買う気はなくて……やっぱり服は買わないかな。デート服はこういう若い子向けのとこじゃなくて、もうちょっとシックなのがいいから。

 完全な冷やかしで、ごめんなさいでした。

 

 で、帽子見たいというのは本当。

 髪を結構セットするからあんまり帽子被らないんだけど、今あたしが思い浮かべているコーデは帽子あった方が良いし、できたらバッグに括りつけておける帽子がいい。

 とはいえここでも買う気はない。高いし。二人が見てるし。

 

 あくまで下見だ。買う時は電車で隣町へ行って買う。それくらいの徹底はするよ。

 

 

 ぐぐ、と伸びをする。

 

「腋タッチ!!」

「ひゃ!?」

「おひょ、おひょひょ……すべすべぷにぷにの腋ぞ……げへへへ、キクちゃんがトイレに行っている今吾を邪魔するものなし!!」

「ちょ、ちょっと乃蒼~っ!」

 

 そろそろ帰ろっか、なんて切り出そうとしていたところにこれだ。本当に油断も隙も無い。

 っていうか手つきがいやらしい。くすぐったさはないけど、あのほんと、もみもみやめて。

 

「このままパイオツまで──ゴッ、はぁぁああ!?」

 

 取れる乃蒼。振り返ると、菊花ちゃんが右足を身体にクロスさせた格好で止まっていた。その右足の先を見れば、蹲って倒れ伏す乃蒼の姿が。

 ……まさか横蹴りですか。

 

「ごめんいのり、監視を怠った」

「あ、うん、大丈夫だけど……乃蒼は大丈夫これ」

「大丈夫よ頑丈だから」

「イノリンのことかぁぁあ!!」

 

 あ、生き返った。

 ……この二人、あたしとか他の友達がいないとこでもずっとこれやってるんだろうなぁ。

 仲良しにも程があるよ。

 

「結構な時間になっちゃったみたいね。そろそろ解散しましょうか」

「遊び足らぬのでまたお誘い希望!」

「もちろん!」

「──無論、次はおうちでしっぽり……でも構わないのですぞ」

「しっぽりはぶっ飛ばすけど、今度は私の家に来るとかどう? 篠笛、気になってたでしょ」

「え……あ、ばれてた?」

「うむ! 吾にもわかったぞ! COLTOの楽器コーナーちらっちら見てたしな!」

 

 精一杯視線を送った甲斐があった。

 こうすれば、あたしの家に行く、ではなく二人の家に行って篠笛やお琴を見せてもらう流れをつくりやすい。篠笛がどうかは知らないけど、お琴は持ち運びが難しいだろうからあたしの家に来て教える、みたいな展開にもなり難い。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて。明日……は無理なんだけど、今度は前日までに連絡できるようにするね」

「いつでも大歓迎だから。……じゃ、私達はこっち。またね、いのり」

「サラダバー!!」

 

 そう言って。

 歩いて……振原家のある方面に帰っていく二人。

 やっぱり近所なんだ。……自転車、遠回りして帰らないと。

 

 いつかは……いつかはバレることとはいえ、まだ、だと思うから。

 

「……」

 

 視線を下に向ける。あたしの手にあるのは紙袋。

 結局買った……わけではない。二人には親戚の子への誕生日プレゼントと話したそれは、当然お姉のデート服。

 

 お姉の趣味じゃないのはわかってるけど……えへへ、これ着てるお姉見たいし、あたしが買ってきたものを着ないことないだろうし。

 

 楽しみだ。

 そして……どうかお姉が浅野先輩の毒牙より免れていますように。

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