翼を閉ざした竜は、蒼天を仰いで想いを馳せる   作:竜公

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プロローグです


プロローグ

 

 

 

 

 走る…………走る………走る………一人の少年が手に何かを抱えながら息を荒げ、傷だらけな身体に鞭を入れながら燃えることだけしか知らない草原を必死に駆けていた。

 血だらけで、とうに限界が来ているであろう少年の身体には激痛が走り、今も転んで倒れそうだったが手に抱えている物を決して離さないという一心の想いが脚を奮い立たせ、今も尚走り続けている。

 自身の命と引換に逃がしてくれた父、

 自身の命と引換に愛を唱えた母、

〝これ〟を見てその姿を想像していた友達、

 それぞれの思いがあるからこそ必死に走り続けている

 走り続けてどれくらい経っただろうか?走るのをやめ、周りを見てみるが変わらず草原は燃えている。

 しかし、周りを見ている暇は無く〝これ〟を安全なところに隠す必要がある。洞窟が無いか探そうと辺りを見回した瞬間、走るのをやめたせいか足がふらついて視界が淀む。遂には転んで抱えている物を離してしまった。

 

「うっ………はぁ、はぁ………、くぅ……。」

 

 少年は痛みに呻きながら鉛のように重い身体を起き上がらせる。目の前に転がった〝鋼鉄に覆われた大きなタマゴ〟を再び抱え、風輪両立1歩ずつゆっくりと歩み始めた。

 再び歩き始めて数分が経ち、ようやくタマゴを隠せるであろう洞窟を見つけた。その洞窟の中へと入った瞬間、自身を撫でるように追い風が吹き、その風に押されるかのように少年は洞窟の奥へと進む。そのまましばらく歩くと洞窟の広い空間ににたどり着いた。

少年は安全であることを理解して安堵のため息を吐き、

 

「ここだ………。…ここなら奴にも見つからない……誰にも見つけられない……。」

 

 ようやくタマゴを安全に隠せる場所を見つけた、見つけることが出来た。

 少年は急いでこの広い空間の中で足場の良い岩場を造り、事前に持っていた複数の枝で作られた鳥の巣のような物を置く。その上にバランスが崩れないように慎重にタマゴを乗せた。

 

「ふぅ……………これでやっと〝キミ〟の安全が保証され…ッ……ゲホッゲホッ……ハァ………ハァ………。」

 

 安心しきった少年だが突然胸に違和感を覚え、手で覆って大きく咳き込む。生温かい手を息を荒げながら見てみると手のひらが赤で染まっていた。それを見て、限界が近付いていると少年は悟る。

 

「もう…………長くは持たないか……君が産まれたら、どんな姿をしていたのかな……鳥かな……?………蛇かな………?それとも本で見たことがある竜かな…………?

きっと格好よかっただろうなぁ……とても可愛かったんだろうなぁ………。君が産まれたら、今よりもずっとずっと楽しかったんだろうね…………。」

 

少年はタマゴに額と両手をつけて温もりを感じるかのように見つめて……やがて離して立ち上がる。

 

「………未来に託そう……この子を、僕はここまでだけど………きっと……君を自由にする事の出来る人が未来に現れる…………。君を護ってくれる人が未来に現れる……………。君を必要とする時が………きっと来るかもしれない…………。」

 

 そう言い少年は来た道を戻り、2つの小さな箱状の物……爆弾を広い空間に出る前の岩壁に貼り付け、そこから少し離れて起爆ボタンを持ちながら遠くにあるタマゴを見つめて

 

「じゃあね……………、〝カイト〟……。」

 

 起爆ボタンを押した瞬間

 

 

 

 

     ドゴオォオオォオオンッ

 

 

 と貼り付けた爆弾が爆ぜ、その衝撃に耐えきれなかった岩が崩れて大きな壁と成り上がり、水の滴り落ちる音しか聞こえなくなったこの空間で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬だが一人寂しく、蝋燭のように儚く点滅するようにタマゴが輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________500年後_________

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 風がなびき快晴のように青い空、風に揺られてサラサラとうたう草原とそれに合わせるかのように木々の枝が風に揺られて音を奏でている。

 ここは『風神バルバトス』が治め、しかしてその風神を〝見る〟ことは出来ず、風神が去ったとされる〝自由の地:モンド〟

 のどかな自然は様々な生き物に恩恵を与え、人も例外なく風が自然と共に手助けをしていた。

 そんなモンドのとある所にて、2つ_否、3つの人影がどこかへと道なりに歩いていた。一人はウサギの耳のようなリボンを頭に着け、首元にゴーグルを掛けている炎のような色の服装をした元気な少女〝アンバー〟もう1人は白色をベースとした所々金の装飾がある服装をしている金髪の少女、旅人こと〝蛍〟と、その側をフワフワと浮いている妖精のような者、〝パイモン〟である。

 

「ヒルチャールの集落の場所はこの先だね、集落から離れたヒルチャールが人に危害を加えない内に倒さないと」

「それにしても…どうして今までそんなところに集落があるなんて分からなかったんだろ?ヒルチャールにはここまで完全に隠す・隠れることが出来る知性なんて持ってないんだよね?」

 

 蛍にそう聞かれ、アンバーは小さく頷く。

 

「うん、普通ならここまで完璧に隠れることは無いけど、そう言われると確かに分からないね………う~~ん、どうしてだろ?」

「きっと、アビスが隠れるように仕向けたんじゃ無いのか??『切り札は最後までとっておく物』みたいな感じで。」

「う~ん、それもあり得るね…全部倒し終えたらアビスを探してみましょ。何か情報を持ってるかもしれないし。」

「うん。」

 

 ヒルチャールを倒した後の話をし終えてやがて道無き森林へと入り、草をかき分けながら情報があった場所に向かっていると、どこからか焦げた匂いが漂ってくる。  その匂いを辿りながら進んでいるとその匂いが強くなりヒルチャールの集落が近くにあると分かり、急ぎ足に切り替えて匂いを辿ってようやくヒルチャールの集落に辿り着いた。

 

「情報通り……こんな所にヒルチャールの集落があるなんて………しかも、いつもの倍以上はいる…。」

 

 2人は身を屈め、(パイモンは蛍の右肩の後ろに隠れている)背の高い草に隠れながら集落を観察する。

 ざっと見ると弓持ちが5体、手斧持ちが4体、槍持ちが3体、剣持ちが6体、何も持っていない個体が5体、合計で23体いることが分かり、厳重にウッドスパイクがいくつか設けられている。……しかし、アンバーと蛍はこの集落に違和感を覚えた。

 

「おかしいなぁ……、人を倒すのに十分な武装をしているのに、守ることや追い払うだけの配置の仕方をしてる………。」

「うぇ?なんで分かるんだ?」

 

 パイモンがそう問いかけると、蛍が「ほら、」と言って、ウッドスパイクに指を指す

 

「あのウッドスパイクの位置、見覚えない?」

「?う~~~ん、あっ!モンド城前付近のと同じだ!」

「うん、このウッドスパイクの位置やヒルチャールがいる場所も防衛に適した配置になってる。ここまで防衛に徹した集落は初めてだよ…。」

「ここまでして一体何を守ろうとしてるんだろう……?アビスがここまで指示したとは思えないし…、ヒルチャールがやるには異常だし……兎に角倒すほか無いね、これ以上集落が大きくなる前に。」

 

 蛍は考えるのをやめて虚空から剣を呼び出して右手に持ち、アンバーも弓を携えて、パイモンは自身に被害が出ないように木の陰に隠れる。

 

「ここまでとなると奇襲は出来なさそうだし、正面から行こう。」

「分かった、遠距離は任せて!」

 

 2人はバッと草陰から飛び出し、ヒルチャールの集落に一気に近付き、アンバーが最初に一番近い所にいるヒルチャールを射抜く。

 

「ギャッ!?」

「ギッ?…………っ!!! スゥ…プウゥゥウゥンッ」

 

 攻撃を受けたヒルチャールを見たもう一体のヒルチャールが腰につけていた角笛を吹き、仲間に敵襲を知らせ、これを聞いた仲間が気付きはじめ、武器を持って近付いてきた。

 しかし、2人はそれに怯むこと無く攻撃を続ける。

剣持ちのヒルチャールが蛍に向けて剣を振り回すも、蛍は難なく躱して二回斬撃を浴びせ、近くで様子を伺っていたヒルチャールを逆袈裟で倒す。これを見ていた弓持ちのヒルチャールが蛍の急所目掛けて射抜こうとしたが、アンバーが放った矢が腕に当たり痛みで少し呻く弓持ちのヒルチャールはアンバーに苛立ちを覚え、弓持ちのヒルチャールは別の矢を取り出して照準を合わせ、〝何か音がする矢〟を放つ。

 

「っ!」

 

 アンバーは嫌な予感がしてサッと横に回避すると、ドゴンッっと今さっきいた所が爆ぜた。

 弓持ちのヒルチャールは当たらなかったことに更に苛立ち、再度火薬が付いた矢を放つが、これも回避して反撃、頭にヒットしたヒルチャールは後ろに吹き飛んだ。

 

「ギャギャギャッ!」

 

 しかし、ヒルチャールを倒してもまた別の個体が出てきて元の数以上に増えてくる

 蛍はこのままではキリが無いと考え、手から風元素を生成して大きな竜巻を作り上げ、一気にヒルチャールを一掃。

 

「ナイス、蛍!」

「このまま一気に押し切ろう!」

 

 風でヒルチャールが怯んでる間に猛攻撃を仕掛けていき、ヒルチャールの数が少なくなっていく。

 

「ギッ、ギ、ギ、ギ…、」

 

 このままではいけないと思ったのか、何も持っていないヒルチャールは何か無いかと必死にあたりを探すとあるものが目に入り、その物に近付いて持ち上げようとする。

 

「ンギンギンギィ~~~~~ッ!」

 

 予想以上に重たいらしく、ヒルチャールの声がその重量を物語った。

 蛍とアンバーが次々と仲間を倒している間にようやっと持ち上がり、大きなタルを持ってよろよろと二人の所に向かう

 

「っ?ちょ、アレって…。」

「まさか、爆弾!?」

 

 2人はタルの正体に気付くもヒルチャールはゆったりだが、タル爆弾を2人に向けて投げようと腕に力を入れ始めた

 

「させない!」

 

 が、ヒルチャールが投げる前にタル目掛けて炎を纏わせた矢を放つ。

 一直線に放たれた矢は弧を描き、タルの真ん中に突き刺さった直後、

 

 

 

 

 

 

    ドガアアァァアンッッッッ

 

 

 

 

 

 

 地面が揺れるほどの轟声が響いて爆風と共に煙が押し寄せ、2人は顔を片腕で覆う。

 やがて煙が収まって、腕を放すと目の前は炎が広がっていてタル爆弾を持っていたヒルチャールやその他のヒルチャールは爆弾の衝撃波で見事に吹き飛び、動かなくなっていた。

 

「けほっけほっ、危なかった…。投げる直前に爆発させて良かったよ…。」

「うん、でもこれで集落にいたヒルチャールは片付いたね。」

 

 2人は増援のヒルチャールが来ないことを確認して武器をしまい、パイモンは戦闘が終わったのを確認して2人の元に戻る。

 

「う~ん、アビスがいないってことは、やっぱりヒルチャールが独自でこの集落を作ったみたいだね。けどやっぱり…。」

「なんでこんな集落になったんだろうな?…………ハッ!もしかして、コイツらにとって重要なお宝を守ってたりして………!」

「お宝って………、確かに大きなお宝だったらそれを守ろうとするかもだけど…。」

「ねえ、あの洞窟に入ってみる?それだったらこの集落の答えが分かるかも。」

 

 蛍が指さした方向を見てみると、大きな洞窟があり、3人が洞窟に近寄ると後ろから追い風が3人を招き入れるかのように吹いた

 3人はこの洞窟に何かあると感じ、蛍とアンバーは念のため武器を構え、慎重にこの洞窟の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「うへぇ…、どんだけ深いんだよこの洞窟…オイラちょっと疲れてきたぞ…。」

 

 洞窟に入ってから数十分が経ち、パイモンが疲れた声で言い、蛍の右肩に掴まって休む。

 蛍やアンバーも考えてることは同じで、二人の表情にも疲れが出始めていた

 

「確かにそうだね…これだけ深く進んでも行き止まりは見えないし…ましてやこんな深く暗いところに何かを隠せそうな場所はありそうにないし…どうしよっか…。」

「ここまで来たならいけるところまで行ってみようよ、何か見つかるかもだし。」

「そうだね、もう少し探ってみて何も無かったら引き返しましょ。」

 

 二人は疲れながらも洞窟の調査を続け、更に奥深くに進んで何か無いか探していると

 

「あれ、行き止まり?」

 

 更に奥深く進んだところで岩壁に当たる。大きく崩れているような岩壁はまるでここが終点であることを知らせているようだった

 

「ウソだろ、ここまで来て行き止まりかよ……うぅ、疲れが一気に来ちゃったぞ……。」

「でも仕方ないよ。この岩壁は崩落で大きく崩れてるみたいだし、また崩落する危険性があると思うから一旦離れましょ。……って蛍、どうかしたの?」

 

 アンバーが引き返そうとしようとしたところ、蛍が何やらしゃがんで岩壁の隙間に手をあてて何かを感じているようだった。

 しばらくして蛍は立ち上がり、少し後ろに下がって岩壁全体を見つめると一言呟く

 

「この壁、崩落で出来た壁じゃ無い…。」

「「え?」」

 

 その一言に2人はもう一度壁を見てみるが、崩落で出来た壁にしか見えない…が、確かに違和感があった。

 周りの岩は、人の手が加えられておらず、途轍もない衝撃で無ければこの岩は簡単には割れない。

 しかし、崩落している壁を見てみると、僅かだが左右の壁から亀裂が入っており、そこから崩れているようだった。

 

「本当だ!ってことはこの壁って………。」

「うん、〝人工的に爆破して出来た壁〟だと思う。」

「人工的にって、まさかヒルチャールがこの岩を?」

「あくまで予想だけどね。この先に何があるんだろう……。」

 

 蛍は首を捻りながら考えて、「あ、」と何かを思い出し、アンバーに振り向いて

 

「アンバー、さっきのヒルチャールが使ってた爆破の矢は持ってない?」

「え、うん、危険だから処分しようと思って数本持ってるけど…。」

「その矢でこの岩壁を爆破できないかな?そうすれば小さいけど空くと思うけど、どう?」

「この矢を岩壁に?…そうね、やってみるわ。」

 

 3人は安全な距離まで離れ、アンバーは「あんた達は背中にいて」と言って蛍とパイモンに自身の背中に隠れるよう促し、ヒルチャールが使っていた爆破の矢を取り出して岩壁に狙いを定め、弓の弦を限界まで引いて爆破の矢を岩壁に向けて放って爆破の矢が岩壁に当たった瞬間に『ドゴンッ』っと小さな爆発音が響いて岩壁が少し削れ、二回、三回と爆破の矢を放つと、僅かに小さな通り穴ができていく。

 更にそこにもう一発撃ち、ようやっと人が入れるくらいの穴ができた。

 穴ができたのを確認した3人は近寄り、アンバーは今ので崩れてないことを確認して緊張した表情からいつもの表情に戻る

 

「ふう、相当複雑な感じだったから崩れないかヒヤヒヤしたけど、大丈夫だったみたい。」

「早く中に入ってみようぜ!何かあるかワクワクしてきたぞ!」

 

 先程の状態とは打って変わって子供のような表情になったパイモンを見て二人も少し元気が戻る。爆破の矢でできた穴に少し屈んで入って、頭部に当たらないように気を付けながら進んで出口から顔を出すと広い空間に出た

 

「………!」

「わぁ…。」

「これは……。」

 

 穴から出た3人が見たものは正に秘境と言うべき光景で

この空間の彼方此方に大きな水色の結晶が所々生えており、水が滴り落ちてできたであろう水溜まりが結晶の存在を強調させ、3人を魅了する。

 

「綺麗…、これがヒルチャールの守りたかったものかな?」

「そうかもね、これは倒した集落のヒルチャールに謝りたいなぁ……。」

 

 この光景を見て先程のヒルチャールに申し訳ない気持ちになった蛍が呟きながら結晶に近寄り、その結晶の表面を手で優しく撫でる。

 一方のパイモンはこの空間を飛び回り、目をキラキラさせながら結晶を見ていた。

 

「この結晶、オイラが見た中で一番綺麗だぞ!何ていう結晶なんだ?モンドしか生えない結晶なのか?」

「ううん、私もこの蒼く澄んだ結晶は見たことがない。何の結晶だろう…?とりあえず、ヒルチャールが守ろうとしていた理由が分かったし、ジンさんに報告しに行きましょ。」

「それじゃあ…………ん?」

 

 蛍が言おうとした瞬間に何かを発見して少し目をこらし、指を指して二人に伝える。

 

「ねえ、あそこに何かない?」

「ん?」

「え?」

 

 蛍にそう言われて2人は指しているところに視線を向けると石が積み上げられている小さな山があり、その上に何かあることに気付く。

 3人はそれに近付いてみると鎖模様で大きな楕円形の物体が置いてあった

 

「これって……タマゴ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一章『翼を封じし機械仕掛けの仔竜』




____うん、戦闘とかの描写難しい苦笑
えと…脱字報告とかこの作品の感想よろしくお願いします。

駄文かもしれませんがこれからもよろしくお願いします…。
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