その奇跡が何回も起きたらそれは奇跡と呼べるだろうか 作:トモットモ
バシャバシャ。朝起きたらまず顔洗うよな。目覚めるためにも。今日も1日が始まるわい。
「すみません。届かないのですが」
顔を洗っている横で俺を見上げるジンカ。
「ん? お前も顔洗いたいのか?」
「はいです。このぷるるんお肌に更に潤いを与えようと思いまして」
確かにツヤツヤしてんな~。
「んじゃ~ほい!」
俺はジンカの両脇を掴んで持ち上げる。よいしょ~。
「バシャバシャです」
蛇口から水を手で掬い、フェイスに潤いを与えているジンカちゅわん。
そんでもって、その後手早く歯磨きと髭剃りを終える俺。部屋に戻る。
ジンカは、ベッドに腰掛け足をプラプラしてる。ってか俺のグラビア雑誌を抱えていやがる。
「とりま、もう一回整理していいか?」
「ですです」
ジンカは了承というようにコクコク頷く。
「あーっと、俺が昨日使った奇跡? が発動して、今ジンカがここにいるんだよな?」
「そうです」
「んで、その奇跡には代償っつーのがあって、その代償っつーのが……」
「あなたのそばにいること、です」
「別に無理してそばにいなくてもいいんだぜ?」
俺が奇跡のキャンセルをすりゃあいいんだろ?
「それは駄目駄目ですね」
「なぬ?」
ジンカは、じっと俺を見つめて言った。
「とりま、名前を聞いてもいいですですか?」
「お、おお。俺は青沢鳥男だ。よろしくな」
俺が軽く自己紹介すっと、ジンカは、コクンと頷く。
「はい。ジョリオさんですね」
誰それ? 変なあだ名付いてないか?
「ジョリオって誰だよ!」
俺はと・り・おっだっちゅーの!
「いえ、あなたはジョリオさんです」
「なぜに?」
ジンカはもう決定しました感を出しながら、俺に言う。
「お髭です」
ピシッとジンカは俺の口元を指差して言う。
「髭だあ?」
俺がそう問うと、ジンカは首肯する。
「朝、あなたは髭がジョリジョリしてましたです」
まあ、俺も男っすから……って。ん? ま、まさか!
「それで俺がジョリオってか!」
「ですです。イカしたネーミングです」
「そ、そうかあ?」
果てしなくビミョ~な感じすんだけど。
「ほむん。今はツルツルですね」
ジンカは、口の周りを指で円を描くようになぞった。
「剃ったからな」
俺は口の周りを手でキュッキュッさせる。
「でもまたすぐジョリジョリしますですね?」
まあ、俺もをとこっすから。
「まあな。でもそこはほら、ナイスガイの方向でいきてーじゃん?」
ジンカは小首を傾げて、ムムムと唸る。
「言っている意味がよく分かりませんね。お髭とナイスガイにどんな関係性があるのですか?」
「髭が似合う野郎もいるだろい?」
「そういうものですですか」
俺はどっこいせとカーペットの上に座り込む。
「ですですっと。……んでだが、ジンカちゅわん?」
俺はにっこりとする。
「何でしょうか?」
ジンカちゅわんは、なんか言いたいことあるんかなら言ってみ~な顔で俺を見つめた。
「いつまで俺のトレジャーを抱え込んでいるつもりなんだい?」
そう、ジンカは俺のトレジャーの1つであるグラビア雑誌をギュッと抱えこんでいるのだ! ガード固~。
「これは奇跡を使うのに必要なアイテムです」
何ですと?
「とりあえず、返して貰おうか」
「このパツキンのチャンネーですが」
パラパラッとジンカはグラビア雑誌を捲り、該当のページを指で指し示す。おいおい。ちょっと待てって。一体何を言うつもりだ?
「な、何だよ?」
「このパツキンのチャンネーに……私の姿を重ねましたですね?」
この娘は一体何を言っているにょ?
ジンカちゅわんは一体何を言っているにょ? グラビアいいですね~。次回に続きます~。