そのころ穣子たちは守矢神社へ来ていました。さっそく
「おーい! 誰かいるー? いたら返事してー!」
すると奥の方からから「はーい」という返事が。
三人が神社の奥の住居部分の方へと向かうと、その入り口の渡り廊下に見覚えある緑の髪の少女の姿が……。
「おい、早苗じゃないか!」
「あれ? お燐さん! それに穣子さんに、ツチグモ妖怪の……。えーと、オマメさんまで!」
「ヤマメだよ!?」
「いったい三人でどうしたんですか?」
「こいしさまがここにいるって聞いたんだけど」
「あ、こいしさんですか? こいしさんならさっきフラリと出て行きましたけど……」
「ありゃりゃ。入れ違っちゃったかい」
「多分すぐ戻ってきますよ。多分こころちゃんのとこに行ったと思うので……」
「ああ、彼女のとこかい。それならいいけど……」
「あ、そういえば! 穣子さん、穣子さん!」
「ふえ?」
「こいしさんが言ってましたけど、ちょっと前に静葉さんもここに来たみたいなんですよ。私はちょうどいなかったんですけど……」
「えっ!? 姉さんがここに!?」
「はい。あと、にとりさんと文さんも」
「えぇー!? にとりのヤツも!?」
「……なんとまあ。こっちもこっちで入れ違っちゃったってワケかい」
「な、なんてコト……。……そういえば早苗。あの二人の神さまは? 何か気配ぜんぜん感じないんだけど?」
「……ああ、
と、その時です。
「……あれー? 皆、ゾロゾロそろってどうしたのー?」
いつの間にかこいしが、フラリと帰ってきていました。
「あ、こいしさん! おかえりなさい!」
「あっ! こいしさま!? 探しましたよー!」
「あ、お燐じゃん! 久しぶりー! 元気だったー?」
のんきに手を振る彼女に、お燐が言い放ちます。
「元気だったー。じゃ、ありませんよ! さとりさまが心配してましたよ! 帰って顔見せてやって下さいよ?」
「はーい」
「そんで、いったい、アンタはここで何してたのよ?」
「お留守番だよー」
「お留守番って、早苗と……?」
「ううん。ちがうよー私一人だよー」
「へ……?」
「うん……?」
「何それ。どういうこと……?」
思わず首をかしげる三人に、こいしが言います。
「早苗は、たまたまここに来てただけで、私はずっとここで留守番してるんだよー」
「……ゴメン。ますます意味分かんない……。だってここ、早苗の家でしょ?」
思わず頭を抱える穣子。
すると早苗が、神妙そうな表情で口を開きます。
「……実は、神奈子さまたちの命令で、私は今、別な場所で過ごしているんです。なんでも、ここにいるのは危険だって。今ここにいるのは、本当に、たまたま帰ってきていただけで……」
「あ、そーいうコト! 納得したわ!」
「……へえ。それじゃあ普段はどこにいるんだい?」
「ごめんなさい。それは誰にも言うなって……」
「ふむ。そうなのかい」
「……ほーん? なんかよくわかんないけど、そんでかわりにアンタが、神社の留守番してたってワケなの? こいし」
「そーいうコトー。たぶん、おそらく、私が思うにはー」
「っていうかさ。そもそもなんでアンタが、神社なんかにいるのよ!?」
「さーあ? それこそ神の気まぐれってヤツじゃないかなー?」
穣子の質問にこいしは、いかにも何も考えてなさそうなカラッポの笑顔で応えます。
どうやら、ここは彼女との会話に慣れているお燐にまかせた方が良さそうです。
「よし! お燐! ここはまかせた!」
「……こいしさま。教えて下さい。あの二柱の神さまは、一体どこへいったんですか?」
「あーうーん。どうしてもやらなきゃいけないコトがあるって言って、どっかいっちゃったよ」
「どうしてもやらなきゃいけないコト……ですか。それで、こいしさまはなぜ神社へ?」
「うん。オンバシラの神に頼まれたのよ。『お前にここの留守をまかせる。早苗のコトも頼んだぞ! オホン!』って」
「神さまが、こいしさまに……?」
「いや、ほら、だからなんでアンタなんだって、私は聞いてるのよ……」
「……いや、待てよ?」
お燐は、いぶかしげそうにこいしにたずねます。
「……ねえ、こいしさま。それっていつごろ頼まれましたか?」
「えーと。もう結構前の話だよー。多分、数百年くらい前かな?」
「ええ!? そんなに前!?」
「いやいや。さすがにそれはないよ。穣子。……でも、こいしさまが、いなくなってもう数年は経ちますし。つまり、ここを任されてたから地霊殿に帰れなかったってコトですか?」
「あー。そうそう。そーいうコトだねー。さすがお燐!」
「……だ、そうだよ?」
「いやいや。私に言われても……?」
急に話を振られ、困惑する穣子を尻目に、今度はヤマメが、いぶかしそうにお燐にたずねます。
「……おい。というコトは、もしかして『あの日』が関係してるってコトか?」
「さすがヤマメ。恐らくそういうコトになる。『あの日』が起きたのもちょうど数年前あたり。こいしさまがいなくなったころと時期も重なる!」
「……ええと? つまりここの神さまたちは、こいしの力を信じて神社と早苗をまかせたってコト……?」
「いや、もしかしてこいしさまがいなくなったコトで、あたいが動き出すの狙ってたのかも……?」
「うーん? それはそれで、何でそんな回りくどいコトを? あの神さまたちが直接地底に行けばよかったんじゃないの?」
「そうそう。それになんで、あの典っていう変な狐ヤローが、ここにこいしがいるコトを、私たちにわざわざ教えたんだよ? だいたいアイツは何なんだ?」
「おいおい、ちょっと待ってくれよ!? さすがのあたいも、そんないっぺんに喋られたら混乱しちまうよ!?」
思わず頭を抱えるお燐。それに加えて。
「さあー! もりあがってまいりましたーもりあがってまいりましたー」
などと言いながら、無意味にはやし立てるこいしが、場のカオスさに拍車をかけます。
もはや収拾がつかなくなってしまうのではないかと思われた、そのときです。
「……分かりました。私が全部話します」
早苗が意を決したように口を開きます。
「早苗……。いいのかい?」
お燐の言葉にコクンと早苗は