秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その2

 二人は、ようやく森をぬけて、沢へ出ました。この沢をぬけて山を超えれば河童の住処です。

 沢の様子もサマ変わりしていて、普段はキレイな川の水が赤黒く濁っています。

 いや、それにしてもなんとも気持ち悪い色だこと。水銀 コバルト カドミウムでも流れているんでしょうかね?

 

「ふう、姉さん。疲れちゃったから、少し休みましょうよ」

「ええ、そうね。じゃあ、あそこにある切り株で、一休みしましょう」

 

 二人は沢の脇の切り株に、腰を下ろしました。

 

「あー、喉かわいたわー」

「沢の水でも飲んできたら」

「嫌よ。あんな気持ち悪い水なんか」

「意外とおいしいかもしれないわよ」

「じゃあ、姉さんが飲んでみてよ?」

「嫌よ。私、喉かわいてないもの」

 

 などと二人が、たわいもない話をしていると、沢の中から突然、何かがバシャンと飛び出してきます!

 そして頭上の木の太い枝に頭をしこたまぶつけて「ギャーッ!」と叫んで、そのまま遠くの方に転げ落ちていきました。

 

「もう、今度はなんなのよ……!?」

「ふむ。ちょっと見てくるわね」

「気をつけてよ……?」

 

 静葉が近づいてその何かの様子を調べてみると……。

 

 あっ! なんと妖怪です!?

 ツチグモの妖怪が倒れています!

 

「もしもし、生きてるかしら」

 

 呼びかけるも返事はありません。どうやら完全に気を失ってるようです。

 

「……ふむ」

 

 静葉は沢の赤黒い水を手のひらにくみ、妖怪の顔にバシャリッと浴びせました。

 たまらず妖怪は「ギャッ!」と叫びながら、飛び起きます。

 

「もう、なにするのさ!? 人が気持ちよく気絶してたのに!?」

「夢見心地なところ悪かったわね。見たところ、あなたはツチグモの妖怪ね」

「そうだけど。……それがなにか?」

「私たちは河童の住処に用があってきたのよ。なにか知ってるかしら」

「知ってるは知ってるけど、あんなトコに何しに行くのさ?」

「この世界を元に戻してもらうのよ」

「え、本当に? それはありがたい!」

「あら、意外ね。ジャマしようと襲いかかってくると思っていたわ」

「だって、ある日、急に皆が勝手に暴れ始めたんだもん。今、この幻想郷は河童の勢力と天狗の勢力、吸血鬼の勢力の3つ巴状態。我々、地底の妖怪にとっては良い迷惑よ! 本当!」

「丁寧でわかりやすい状況説明ありがとう。助かったわ。ところで、あなたは何をしていたの」

「あ、うーん。実は一応、地上を支配してやるつもりで仲間と地底から出て来たんだけど、あっけなく全滅しちゃったんだ。もともと数が少なかったってのもあるけど……」

「ふむ。なんだか事態は思ったより大変なことになってるみたいね……」

 

 腕組みをする静葉に、神妙そうにヤマメがたずねます。

 

「……ねえ、私もアンタたちについていっていいかな? 少しくらい不便でも、私は皆と平和に暮らしてる方がいいし。それに私の能力は案外、役に立てると思うよ?」

「あら。仲間が増えるのは大歓迎よ。私は静葉。つれに穣子ってのもいるわ」

「静葉に穣子か。私はヤマメ。よろしく!」

 

 こうしてツチグモ妖怪の黒谷(くろだに)ヤマメを新たな仲間に加えた一行は、一路、河童の住処を目指して再び進み始めるのでした。

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