秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

34 / 85
今回で第一章は終了となります


その33とおまけ1

 一方、穣子たちはあのあと、結局、秋ハウスへと来ていました。

 

 家で留守番していたはたても交えて、ねぎらいの意味も込めた酒盛りが始まっていたところに、ちょうどお燐が帰ってきます。

 

「ふーやれやれ。ただいまっと……」

「よお! お燐! よくここが分かったな?」

 

 勇儀は彼女を迎えるように手を振ると、お燐は笑顔で答えます。

 

「ああ、ゾンビフェアリーの情報網をつかってね。オマエさんたちが、ここにいるコトを知ったのさ」

「へー。そうなんだー? 便利そうねー、それ私も欲しいわー」

 

 そう言って、はたては羨ましそうに、ゾンビフェアリーを見まわします。

 彼女もほんのり顔を赤らめさせており、大分酔いが回っている様子。

 

「……それにしても。ずいぶんキレイになったもんだねぇ。この家」

 

 お燐が家中を見回すと、たしかに見違えるほど隅々までキレイになっており、前のようなカビ臭さや湿気はまったく感じられません。

 

「ふふん。そーでしょそーでしょ? 私がピカピカにしておいたのよー! 神さまのためにね!」

 

 と、自慢げに胸を張るはたて。

 

 そう、あのあと彼女は、穣子に家を貸してもらった恩を返すために、家中をキレイに掃除して、更に補修までしていたのです。なんていい子!

 

「なあなあ、それよりお燐も一緒に飲もうよ! 今、お疲れ会やってたトコなんだよ!」

「お、いいねぇ! ヤマメ。そういうオマエさんもお疲れさま! あんときは助かったよ。カンダタロープだっけ? あれのおかげであたいたちは中に入ることが出来たんだ」

「あーいいってコトよ。私だってアレくらいやらないとね。一緒に行った意味ないし」

 

 そう言って、ヤマメは満足そうに酒をあおります。

 

「……あれ。そういや穣子はどこだい?」

「ああ……。実は」

 

 そう言ってヤマメが呆れた様子で、指で示した先には、顔を真っ赤にしてひっくり返っている穣子の姿が。なんともブザマです。

 

「……あれまぁ。いったいなにがあったんだい」

「……それがさぁ。アイツ、勇儀に盃の酒を、無理矢理飲まされてね……」

「あちゃー。それはまた……」

 

 すると、勇儀が苦笑しながら

 

「いやー。スマンスマン。神さまが、まさか下戸だったとは知らなんだ」

 

 などと言うので、お燐は呆れた様子で言い放ちます。

 

「……あのねえ。勇儀。オマエさんのその盃の酒は下戸じゃなくてもキツいんだって何度も言ってるじゃないかい」

「そうなのか? ソレは残念だな。こんなに美味いのに」

 

 そう言って盃の酒を飲み豪快に笑う勇儀。どうやら反省する気はゼロのようです。

 

 と、こんな調子で、酒宴は夜通しで続けられ、皆が勇儀の武勇伝を聞き飽きてきたころ……。

 

「……と、いうわけでな! 私の奥義と龍の奥義が衝突した瞬間! あたりがまるで昼間のように真っ白になったと同時に、突然ブワーっと風雨が巻き起こったんだ! アレは最高の瞬間だったな! 実力者同士がぶつかり合うと、天候すら変えてしまうんだなってな! ワッハッハッハッハ!」

「へー! スゴイわねー! 私もその場で見てみたかったわー! きっとスゴイ迫力のパノラマ大劇場だったんでしょーねー!」

「……へえ。そうなのかい」

 

(……まあ、アレ、ホントは山の神さまが起こしたんだけどね。ま、気持ちよさそうだし、黙っておくとするか)

 

「でもさ。あの様子だと、結局、決着はつかなかったんだろう?」

「ああ、そうだ! 天気が荒れてきちまったんでな。勝負はいったん持ち越しってコトになった! いやー次にヤツとあうのが楽しみだね!」

 

 と、しゃべるだけしゃべると上機嫌に酒を飲み干す勇儀。

 

 すると、ここで、お燐が待ってましたとばかりに立ち上がります。

 

「……さて、宴もたけなわってとこで、あたいからちょっと話があるんだがいいかな?」

「ん? なんだい? 話って」

 

 ヤマメの問いにお燐は、にっと笑みを浮かべて答えます。

 

「コレまでの経緯と、これからのコトについてさ」

「……ああ、それは大事だな」

 

 勇儀は、盃を置いて腕を組んで、うなずきます。

 一方、はたては少し困惑ぎみな様子でお燐にたずねます。

 

「……あ、あの私、何も事情、知らないんだけど……。聞いてもいいのかな?」

「もちろんいいとも。オマエさんにも一応関係あるからね」

 

 そう言うとお燐は、あのあと屋敷で起きたコトの経緯を皆に説明し始めました。

 ちなみに穣子は、まだ気絶したままです。

 

「……なに!? 河童と天狗で同盟だと!? そりゃたまげたな!」

「そうなんだよ勇儀。オマエさんたち鬼も、うかうかしていられないかもねえ?」

「ふむ。いっちょ萃香のヤツと話でもしてみるかね」

「ヒャー……。天狗は今、そんなコトになってたのねー? もう、浦島太郎状態だわ。私……」

「まぁ、オマエさんは、ずっとここにいたから無理もないさ」

「でも、なんか妙に居心地良かったんだよねー。ココ」

「そいつぁ何よりだ。きっと穣子も、草葉のかげから喜んでるよ」

「いやいや、死んでないからね!? 気を失ってるだけだからね!? 神さまは!」

「……しかしさー。ってコトはさ。お燐。いよいよ次は紅魔館に……?」

「ああ。そうなるね。……と、いうわけで次は、これからのあたいたちの行動についてさ。まず、勇儀!」

「おう!」

「オマエさんは一度地底に戻っておくれ。なんでもさとりさまが、お呼びのようだ」

「はぁ。さとりが? いったい何用だ?」

「さあ、それはあたいにはわからないよ。あって直接聞いとくれ」

「よし、わかった!」

「次に……。天狗さん」

「はーい」

「……と、いうかオマエさんは、これからどうする気だい?」

「うーん。多分、もう住処も安全になったと思うしー。一度、家に戻ってもいいかなーって」

「ああ、そうするといいさ」

「またあったら、そのときはヨロシクねー!」

「ああ、もちろん!」

「……さて、次は、あたいたちだけど」

「うん。どうするんだい?」

「あたいとヤマメと、……そこで倒れてる神さまの三人で、レジスタンスと接触しようと思うよ」

「レジスタンス……?」

「ああ、反紅魔館勢力さ」

「へえ、そんなのがあったのか。わかった。じゃあ、さっそく出発しようか。……穣子が復活したらね」

「……ああ、そうだね。それまで少し体を休めようか。思えばずっと働きづくめだったもんね」

 

 そう言って、お燐は倒れている穣子の方を見て、思わず苦笑いを浮かべます。

 

 その後、勇儀、はたてと別れたお燐とヤマメは、復活した穣子とともにレジスタンスと接触するため、再び秋ハウスを出るのでした。

 

 果たしてレジスタンスとは? そして河童と天狗の同盟軍はレミリアを倒すコトができるのか?

 と、いったところで、第一部を終了とさせて頂きます。それでは第二章へ……

 

 

 




おまけ【幕間劇】

穣子「いやはや、それにしても大変なコトになったわね。まさかこんな大ゴトに巻き込まれてしまうとは……」

静葉「そうね。それにしてもあなた、見てると気絶してばっかりじゃないの。やる気あるの」

穣子「し、仕方ないでしょ!? だって鬼は現れるわ、洪水が押し寄せるわ、イモが喉に詰まるわ……。とにかく大変だったんだからね!?」

静葉「前の二つはともかく、最後のは自業自得ね」

穣子「うっさい! とにかく見てなさい! 次の章では、この穣子さまが大活躍するんだから!」

静葉「へえ。そうなの」

穣子「あ、何よ! その目。信じてないわね!?」

静葉「……と、いうわけで穣子が活躍するかもしれないという【第二章 レミリア攻略戦】お楽しみに」

穣子「私の大活躍! 刮目してみなさいよ!!」

静葉「本当に活躍するのかしら……」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。