秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その2

 

「またこうして会うことが出来てよかったです。静葉さん」

「私もよ。早苗」

 

 静葉と早苗の二人は、河童の住処にある喫茶店でくつろいでました。昼下がりの平和なひとときです。

 

「ところで、あの二人の様子はどうですか?」

「ああ、そうね……。ええ」

「……ああ、何も言わなくてもその表情でわかります。本当、ごめんなさい」

「……まあ、いいわ。私も引き受けちゃったからにはやらないといけないしね」

「静葉さんも大変ですね。もし、本当にどうしようもない時は遠慮なく私を呼んで下さい!」

「ええ、わかったわ。その時はそうさせてもらうわ」

「……本当、神奈子さまも諏訪子さまも、おたがいもう少し素直になるといいのに……」

「……ま、神さまってそういうものよ。時には人間以上に人間くさかったりするの」

「ああ、たしかに……。思い当たるフシたくさんあります!」

「そうでしょう」

 

 そう言って思わず二人はふふっと笑い合います。

 

「……あ、そうだわ。早苗。ずっと聞きたいことがあったんだけど」

「はい。なんですか?」

「あなた、今までどこにいたの」

「……ああ、そうですね。……うん。たぶんもう話してもいいかな?」

 

 早苗はティーカップに口を付けると静葉に告げました。

 

「……実は、とある方の隠れ家で生活していたんです」

「ふむ。それは誰かしら」

「菅牧典っていうキツネの妖怪です」

「え。あいつ」

「あ、知ってるんですか?」

「いや、知ってるもなにも……。それで大丈夫だったの。何か変なことされなかったかしら」

「だ、大丈夫ですよ? すごくいい人でしたし」

「いいひと……」

「ええ。いつも私を気にかけてくれてましたし」

「……へ、へえ」

「あ、そうそう。あとですね。料理が美味しかったですよ。特にあぶらあげの料理なんか、もう絶品で……」

 

 早苗の言葉に静葉は、料理をする典の姿を思い浮かべて、思わず苦笑します。

 

「……へえ。あいつの意外な一面を知ったわ。別に知りたくもなかったけど」

「なにか?」

「いえ、なんでもないわ。……とにかく無事で良かったわね」

「はい。おかげさまで!」

 

 そう言って笑顔を浮かべる早苗を、静葉は思わずフクザツな笑みを浮かべて見つめるのでした。

 

 □

 

 さて、そのころ穣子たちは、お燐に案内され、とある場所に飛んで向かっていました。

 

「おい、お燐どこ行くつもりなんだ? こんな幻想郷の端の方まで来て」

「もうすぐさ。ほら、見えてきた。降りるよ!」

 

 三人が降りるとそこは一面、彼岸花(ひがんばな)が咲き乱れる少しさみしい場所……。

 

「ねえ。お燐、ここってたしか……。なんだっけ? 無言坂?」

「惜しい! 正解は無縁塚(むえんづか)

「なんでこんな所なんかに? なんか不気味で薄気味悪いんだけど……」

「ちょっと心当たりある人物が、ここに住んでるんでね」

「こんなトコにー? あ! もしかしてグータラ死神? あのムネでかいの」

「いやいや。違うよ。アイツ来たら、あたいと口調かぶっちゃうだろ? それこそ区別がつかなくなっちゃうよ」

「いや、そんなの知らないわよ!?」

「えー? でも、あの死神じゃないと、なると……。誰だ?」

「ま、ついてくれば分かるさ」

 

 お燐に連れられて二人は無縁塚の中を進みます。ところが……。

 

「……なあ、ところでなんかさっきから私のまわりに人魂みたいなのがフヨフヨ浮いてるんだが、なんなんだ?」

 

 と、ヤマメがポツリと言うと、すかさずお燐が。

 

「え、人魂かい? 怨霊ならあたいのまわりにずっといるけど……」

 

 すると今度は穣子が二人にたずねます。

 

「ええっ!? イモじゃないの!?」

「イモがふよふよ浮くもんかい!?」

「いや、そんなコト言われたって、イモ浮いてるんだもん、仕方ないでしょ!?」

「いやいや、どう見ても人魂だろ。霊魂だよ霊魂!」

「ヤマメ。それもしかして、レンコンじゃなくて?」

「霊魂だよ! れ・い・こ・ん・! 霊魂とレンコンを見間違えるわけないだろ!?」

「うーん、あたいには怨霊にしか見えないけどねえ……?」

 

 何やら三者三様で変なモノが見えている様子。何か悪いものでも食べましたかね?

 と、そのときお燐が。

 

「あ、いや、待て。思い出したよ!」

「なになに?」

「……そういや命蓮寺の一派には、そんな能力を持っているヤツがいたってね」

「え、そんなのいんの?」

 

 お燐は大声で呼びかけます。

 

「おい! 封獣ぬえ! オマエさんの仕業だろう! 出ておいで!」

 

 すると、どこからともなく声が。

 

「……ちぇっ。バレちゃったか。つまんないのー」

 

 そう言いながら現れたのは、黒いミニスカ姿に黒いショートヘアーの正体不明妖怪。

 

「やっぱりかい。まったく」

 

 ぬえはケラケラと笑いながら言い放ちます。

 

「あー楽しかった! レンコンだって! イモだって! バッカみたい! そんなのドコにもないのにねー」

「なにぃ!? オマエふざけんなよ! オマエが勝手に私たちに見せたんだろうが!」

「そーよ! こちとら豊穣神よ!? イモが見えて何が悪いのよ!?」

「いや、穣子。それはなんか違くないかい……?」

「あはははははっ!! レンコンとイモが怒ったー! 逃げろー!」

「コラ待て! ゴルァー!!」

「イッモイッモにしてやるー!」

 

 と、二人はぬえを追いかけようとするも、そのまま彼女は姿を消してしまいました。

 

「ぬうー!! あんにゃろめー!今度見つけたらタダじゃおかないぞ!」

「まったくだわ! イモをバカにするなんて豊穣神として看過出来ないわね!」

 

 プンスカ怒る二人をなだめるようにお燐が告げます。

 

「……オマエさんたち、気持ちは分かるけど、アレでもアイツは大妖怪なんだよ。それこそあたいたちじゃ太刀打ちできないくらいのね」

「まったく何なのよ! お燐はあんなのに用事があったワケ!?」

「いやいやまさか。でも、アイツがいるってコトはあたいのお目当ての人物も間違いなくココにいるってコトだよ。さあ、二人ともついておいで!」

 

 二人はお燐に連れられて、無縁塚の更に奥へと進むのでした。

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