秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その4

 さて、少し戻って、その日の昼下がりのころ。

 穣子たちは、お燐の探し求めていた人物と会っていました。

 その人物は、自分でこしらえた掘っ立て小屋の中で、こたつに入ってお茶をすすっています。その正体は……。

 

「……なるほど。それで私のところをたずねてきたというワケか。それはそれはご苦労だったね」

「いやいや参ったよ。こんな面倒ゴトになるなんてねえ。ナズーリン」

 

 そう、その人物とはネズミ妖怪のナズーリンでした。どうやら彼女もレジスタンスと関係があるようです。

 

「……フフフ。私も正直、困惑しているよ。いったいこれから幻想郷はどうなってしまうんだろうね?」

 

 ナズーリンは、湯飲みに口を付けると呆れた様子で息をつきます。

 

「……ところで。聖はどこだい?」

「ああ、聖かい。彼女なら地底に行ってるよ」

「なんと!? なんでまた地底なんかに?」

「今、レジスタンスは、地底と手を組もうとしているのさ」

「つまり、さとりさまと?」

「ああ。そういうコトだね」

「……ふむ。こりゃまた大きくコトが動きそうだね」

「かもしれないね」

「あのー……スイマセン。チョットイイデスカ……?」

 

 穣子が話に混ざろうとすると、ナズーリンは初めて二人に気がついたように声をかけます。

 

「ん? ああ、キミたちもいたのか。豊穣神にツチグモ妖怪の……。ええと、なんだっけ?」

「ヤマメだよ! なんでみんな私の名前覚えてくれないの!?」

「……で、キミたちは何をしているんだい。もしかしてお燐の護衛かい?」

「そんなワケないだろ! お燐と一緒に行動してるんだよ! この世界を元に戻すために!」

「……へえー。そうなのかい」

 

 ヤマメの言葉を聞いたナズーリンは、眼を細めて含み笑いを浮かべます。

 

「……何よ? その小バカにしたような目は? 言っとくけど私たちは本気よ!」

「ああ、これは失礼。……いやいや、別にバカにしているわけじゃないよ。ずいぶんと大変なコトをしようとしているね。と、思ったのさ」

「なんかいちいち引っかかるな。その言い方……」

「ふむ。しかし、聖がわざわざ地底にか……。そういや、勇儀のコトもさとりさまは呼び戻してたっけ。うーん。もしかして何か関係が……?」

 

 と、お燐は何やら一人でブツブツ言ってましたが、やがて

 

「……よし。あたいもいったん地底に戻るコトにするか。どうも胸騒ぎがするよ」

「え、地底に? それじゃ私たちも?」

「いや! ここからは二手に分かれようと思う!」

「へ?」

「え……?」

「あたいはこのままいったん地底に戻る。オマエさんたちは、そのままレジスタンスのアジトに向かってくれ。なあに、あたいの名前を出せば大丈夫さ」

「そっか。わかったわ」

「というわけでナズーリン。すまないけどよろしく頼むよ」

「うむ。了承したよ。……しかしキミも何かと大変だねえ」

「ははは。仕方ないさ。こういう役まわりってコトだね」

 

 彼女は苦笑いを浮かべながら、すっくと立ち上がります。

 

「……お燐。気をつけてね?」

「……ああ、大丈夫さ。それじゃ、二人とも、あとはよろしく頼むよ!」

 

 と、言い残してお燐は、足早に去って行ってしまいました。

 名残惜しいですが、彼女とはココでいったんおわかれです。

 

「……さて二人とも。レジスタンスのアジトに行きたいというコトらしいが?」

「ええ。そうよ!」

「ふむ。それならこれを持っていきたまえ」

 

 ナズーリンは、何やら地図を取り出して二人に見せます。

 

「この地図の印が付けてある場所に行くといい」

「行くといいって……。アンタは一緒に行ってくれないの?」

「……ああ、すまないが、私はちょっと用事があるのでね」

「ちぇっ……。ケチね。付き合ってくれてもいいじゃない」

「まあまあ、穣子。別にいいじゃん。この地図んとこに向かえばいいだけの話だろ?」

「……まあ、そうなんだけどさ」

「それじゃ二人とも。道中気をつけるんだよ」

 

 

 と、いうわけで二人はナズーリンに見送られながら、彼女の家を出ると、さっそく地図をたよりにレジスタンスのアジトへやってきました。ところが……。

 

「何よこれ。ただの森の中じゃないのよ!?」

 

 穣子の言うとおり、二人がたどり着いたのは夕日に照らされた森の中の広場。とてもアジトがあるという雰囲気ではありません。

 

「ねえ、ヤマメ。本当にこの場所で合ってるの? 間違ってないの?」

「うん、ここで間違いないよ」

「ちょっと、地図見せてよ!」

 

 と、穣子はヤマメから地図を奪い取って見てみますが、間違いありません。ここで合っています。

 

「ぬぬぬ……。もしかしてあのネズミ、私たちをダマしたんじゃないの!? なんか小バカにした態度してたし!」

「まあまあ、落ち着いて、穣子。もしかしたらそうかもしれないけど、アイツが私たちをだますメリットなんてなくないか? それにお燐がまかせた人物なんだから、きっと信用できる人だと思うよ?」

「……まぁ、そうなんだけどさ」

 

 ヤマメはもう一度地図をよく見てみます。すると。

 ……おや? よく見たら地図の右上に、なにやら絵がかいてあるのを見つけます。

 山と思わしき曲線の上に、丸が描かれているようですが……?

 

「なんだこれ。絵?」

「ただの落書きじゃないの?」

「いや、そんなのわざわざ地図にかかないだろ?」

「山と……。月かしら? コレ」

「ああ、月か。……月……月……。あ、もしかして!?」

「え、なんかわかったの!?」

「穣子! このまま夜まで待ってみよう!」

「え、マジで!? ま、別にいいけど……」

 

 二人は、そのまま待つことにしました。そしてやがて日が暮れ、あたりはすっかり暗くなります。すると……。

 

「はー。もうすっかり真っ暗になっちゃったけど?」

「……ねえ。穣子。まわり見てごらんよ」

 

 ヤマメに言われるままに、穣子があたりを見渡すと……。おや、なにやら、動物の気配が。

 

「何かいるわね? ええと、タヌキかな?」

「みたいだね。なんかいっぱい集まってきたぞ……」

 

 ヤマメの言うとおり、タヌキが二人のまわりにたくさん集まってきました。ぽんぽこぽーん。

 と、そのときです。

 

「ふぉっふぉっふぉっふぉ……。二人ともこんな時間に何しに来た?」

 

 どこからともなく声が響いてきます。

 

「誰だ!? 姿見せろ!」

 

 ヤマメが呼びかけると、二人の目の前にドロンと妖怪が姿を現しました。

 

「ふぉっふぉっふぉ……。なかなか威勢のいいやつじゃのう」

「あ、アンタは!?」

 

 姿を現したのは、化けダヌキの親分こと、二ツ岩マミゾウです。これまた大妖怪の登場です。

 

「……もしかしてオマエがレジスタンスの……?」

「ほぉ。おまえさんたちは、レジスタンス志望かな?」

「いや、私たちは、お燐っていう猫の妖怪と一緒に行動してたのよ! いなくなっちゃったけど」

「あぁ……。なるほど。そういうことかい」

「私たちをレジスタンスのアジトに案内してもらいたいんだ」

「ふむ。いいじゃろう。あの地図の謎も解けたみたいだしのお」

「地図の謎?」

「おまえさんたち、ナズーリンから地図をもらったじゃろう?」

「……あ。もしかしてこの地図って!?」

「うむ。わしがこしらえたものじゃよ」

「なんでこんな回りくどいコトするのよ!?」

「それはもちろん、これくらいの謎が解けないようでは、レジスタンスの一員としてやっていけないからじゃよ。……ま、そう言う意味でもおまえさんたちは見込みがあるようじゃな! ふぉっふぉっふぉっふぉ!」

 

 思わずキョトンとする二人にマミゾウは告げます。

 

「それでは案内しよう! 我がレジスタンスのアジトに!」

 

 こうして穣子とヤマメの二人は、なんとか無事にレジスタンスと接触するコトに成功したのでした。

 

 

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