三人は沢をたどって上流の方へ差し掛かりました。河童の住処は、すぐそこです。
どうやら赤黒い水は、河童の住処の方から流れているようですが……。
「……そういえば、ええと、ヤンマークだっけか?」
「ヤマメだよ!?」
「アンタは、何しに河童の住処なんかに行ってたのよ?」
「ああ、実はあそこに仲間がつかまってるんだよ。お空って言うんだけど」
「おくう? あ、聞いたことあるわ。名前だけなら!」
「あの子はすごい力持ってるから、河童たちがその力を利用しようとしてるみたいなんだけど」
「へー。そんなにすごいの?」
「うん、スケだかカクだかわかんないけど、その気になれば太陽と同じほどの力を出せるんだって」
「ふむ、太陽と。それは確かに河童たちも欲しがるでしょうね」
と、そのときです! 突然何者かが三人の前に姿を現しました。
あ、
剣と盾を構えて、ウーウーとうなりながら、まるで狼のように牙をむき出しにして、こちらを威嚇しています。
「なにやら物騒なのが現れたわね」
天狗はすごい形相で静葉たちに言い放ちます。
「おい、そこのオマエら! ここが天狗の領地と知って侵入してるのか!」
「天狗さん。ごめんなさいね。私たち知らなかったのよ」
「嘘をつくな! そこにいるツチグモはさっき、私たちに危害を加えてきたヤツだ! さては仲間を引き連れて仕返しに来たな!?」
「ヤマメ! アンタ何してくれてんのよ!?」
「いや、違うよ!? 向こうが急に襲ってきたから、応戦したまでだよ! 正当防衛だよ! ……負けちゃったけど」
「領地に侵入するモノは何人たりとも、この犬走椛がゆるさん! 我が刀のサビにしてくれる!」
「……ねえ、二人とも。どうやら話をして通じる相手じゃなさそうよ」
「ど、どうしよう!? 姉さん」
「そうね。……ここは逃げるが勝ちよ」
「えい! この下等天狗め。これでも食らいやがれ!」
ヤマメが相手に向かってエイヤッと弾幕を放つと、椛が一瞬だけひるみます。
そのスキに三人は、その場からBダッシュで一目散に逃げ出しました。
「はあ、はぁ……。ここまで来ればもう大丈夫かな。あー怖かったー。まったく見かけによらず、ずいぶん無茶するのねー」
「いやいや。ああでもしないと無事じゃすまなかったよ。白狼とは言えあいつは天狗。私一人じゃ、まともにやっても太刀打ちできないもん」
「……あれ? そういえば姉さんは!?」
二人はあたりを見まわしますが、静葉の姿が見えません。
「え? あれ? どうやら、逃げたときにはぐれちゃったみたいだね」
「えぇ!? 大丈夫かしら、私、ちょっと様子見てくるわ!」
「ダメだよ! 今戻るのはキケンだ! まだ、アイツがいるかもしれないよ?」
「えぇ!? でも……」
「……気持ちはわかるけど、ここはこのまま二人で河童の住処に向かった方がいいと思うよ」
「……うーん。……そうね。仕方ない! 姉さんどうか無事でいてね……!」
二人は静葉をあっさり見捨てて、河童の住処へと向かうことにしました。