さて、神奈子たちの命を受け、地底へと向かった龍とみとりは、旧地獄街道を目指して進んでいました。
「……そうか。では、アナタは元々地底に?」
「ああ。いろいろワケがあってね。それで長官に呼ばれて地上に出てきていたんだ」
「ほう。長官からじきじきご指名とは……。よほど信頼されていると、お見受けする」
「いやいや。そんな……。せいぜい地上と地底の橋渡し程度の役割じゃないかと」
「フフフ。そんな
「そう言うアナタからも、十分に強者のオーラを感じるが……」
「いやいや。そんな……。一応、大天狗なんて肩書きはついてますが、そんなにたいしたことありませんよ」
「いやいやまたそんな……」
などと言ってるウチに、二人の眼下に街並みが見えてきます。しかしなにやら様子が変です。
あちこちから黒煙が立ち上っています。
「むむ!? みとりどの。これは!」
「……ああ、いそごう!!」
二人が街へたどり着くと、二人の目に信じられない景色が飛び込んできました。
なんと、建物という建物が壊れ、黒煙に包まれて燃えていたのです!
「これは! いったい誰がこんなマネを!?」
「みとりどの! あれを!」
みとりが龍が指をさした方を見ると、なにやら弾幕が激しく飛び交っています。どうやら誰かが交戦中のようです。
「……いったい誰が戦っているんだ?」
「この威圧感。よほどの実力者同士と見た!」
と、そのときです。
何者かが二人の目の前にズンっと着地してきます。
「……ふう。やれやれ。コイツはなかなか厄介だな」
「ああ! オマエは!?」
「ん……?」
「勇儀! 私だよ!」
「何ぃ!? なんでここにオマエがいるんだ!? みとり! それに大天狗サマまで!?」
「いったい誰と戦ってるんだよ!? 勇儀!」
「あ、ああ……。紅魔の吸血鬼だよ」
「なんだと!? 紅魔っていうことは……」
そのとき三人の目の前に赤い弾幕が降ってきます。それも尋常な量の!
「うわ!! なんだこれは!?」
「……まったくやってくれるね!」
勇儀は立ち上がって、気合い一閃、拳を突き上げます。すると衝撃が発生し、弾幕をかき消していきます。
「やれやれ……。相手が相手なだけに、本当は本気で挑みたいトコロなんだがな。これ以上街を壊すわけにもいかないし」
どうやら彼女は、場所が悪くて本気を出せず手こずっている様子。
「勇儀! 私がいく!」
「あ、おい! 待てみとり!?」
「みとりどの!?」
制止する勇儀たちを無視して、みとりは上空へ飛び上がります。そして、そのまま彼女は空中にいるレミリアへと向かっていきます。
「キサマ!! 地底になんてマネをしてくれたんだ!?」
レミリアは、見下すような目つきでみとりを見ます。
「あん? ……なんだオマエは? 誰に向かってモノを言っていると思っているんだ」
「うるさい! とっとと失せろ! 野蛮な吸血鬼ごときが!」
みとりはレミリアに×マーク状の弾幕を放ちます。そして弾幕を放った瞬間、彼女に言い放ちました。
「オマエに私の弾幕をさけることを禁じる!」
「なに……?」
すると、レミリアは身動きが取れなくなり、彼女の弾幕の直撃を受けてしまいます。
「ちいっ……! こざかしいマネを……! オマエ何者だ!」
にらみつけるレミリアに、みとりは言い放ちます。
「私は、赤河童の河城みとりだ。『あらゆるものを禁止にする程度の能力』を持つ!」
「な、なんだと! そんなの反則じゃないか!」
「なんならオマエが息をするのを禁じてやってもいいんだぞ?」
「ぐっ……!」
みとりの言葉にレミリアは、思わず歯ぎしりをして言い放ちます。
「……くっ。まあいいさ! 今日のところはあいさつ代わりってコトで、この程度にしといてやるわ! だが、いずれココも私の支配下にしてやるからな! 覚悟しとけ!」
そう言い残すとレミリアは、飛び去っていきました。
「……あらあら」
遠くで様子を見ていた典は、レミリアが撤退するのを見届けると、思わずニヤリと笑みを浮かべてつぶやきます。
「……あの赤河童。なかなか面白いじゃないですか。ふふふ……」
□
そのころ、穣子たちは、妖怪の山にむかっているところでした。
「それにしてもさぁ。なんでオマエ、レジスタンスなんかに入ったんだよ?」
「え? いやそれは……。なんというか」
ヤマメの問いにリグルは、思わず言葉をにごしてしまいます。
「ま、なんでもいいけどさ。オマエみたいな弱虫が役になんか立てんの?」
「う……うるさい! 私にだってやれるコトくらいあるよ!」
「へえ。たとえば?」
「え? いやそれは……。その……」
再びリグルは、言葉をにごしてしまいます。
と、いうやりとりを、二人はずっと繰り返しているモンだから穣子は……
「……あーもー。やだやだ。とっとと終わらせて、とっとと帰りましょ!」
と、嫌気がさしたように、ふて腐れています。
そんなこんなしているウチに妖怪の山に着きました。しかし、ここである問題が。
「……ねえ。そーいえば二人とも。どっちのボスに書簡届ければいいのよ?」
「あ! そういえば聞いてくるの忘れた!」
「慧音さんも何も言ってなかったね……」
「もぉー。どーすんのよー?」
穣子は思わず、ため息をつきます。するとリグルが一言。
「あの。何も言われなかったというコトは、どっちもでいいってコトだと思うんだ。だから私たちで決めちゃっていいんじゃないかな?」
「あー。それもそうだね。んじゃ、どっちにする?」
「よーし。じゃあここは多数決で決めちゃいましょー!」
三人が多数決を取った結果、河童の住処に行くコトになりました。すなわち、神奈子……。じゃなくて技術局長官のほうです。
と、いうわけで、三人はさっそく河童の住処へと向かうのでした。