秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その9

 さて、一方の穣子たちは、特に何事もなく河童の住処の長官(神奈子)の元にたどり着いていました。

 

「ほう。レジスタンスか。わざわざご苦労さまだね」

 

 彼女は以前のように姿を隠しておらず、フツーに部屋の中で過ごしています。

 どうやら、もう正体隠すのが、面倒になってしまったようです。……いやはやなんともテキトーなもんですね。

 

「我がリーダーからこの書簡を預かってまいりました。どうぞ」

「ふむ。受け取ろう」

 

 神奈子はリグルから書簡をもらうと、さっそく開けて中の手紙を読みます。

 

「ほう……。なるほどね。オマエたちレジスタンスは、我々同盟軍との共闘を望むというコトか」

「えっ!? そーなの!?」

「初耳なんだけど!? リグル、オマエは知ってたの?」

「うん、まぁ……。チラっとは」

「言ってくれよー!?」

「まあ、賢明な選択だと思うね。……オマエらのとこのボスは、確か、聖だったか」

「はい。そうです」

「……なるほど。まあ……。アイツらしいね。しかし、悪いが返事はすぐには出せぬ。私らだけでなく、天狗側の意見も聞かないといけないからな」

「あー……。同盟組んでる以上、相手の方の意見を無視するワケにはいかないってコトね」

「そうさ。同盟を組むというのはそういうコトなんだよ。穣子」

「大変ねー。色々めんどくさそーで」

「……ま、なるべく近いうちに返事を出すようにするさ。そういうコトで聖に伝えておいてくれ」

「わかりました。それでは、本日はこれにて失礼します」

「うむ。ご苦労さん」

 

 無事、書簡を神奈子に渡せた三人は建物を出ます。

 

「よーし。コレで用事はおわりだね!」

「うん! あとはアジトに帰って報告すれば任務完了だよ」

「あ、そうだ! せっかくだからどこかで一休みしない? 喫茶店とかさ」

「あ、いいね!」

「私も緊張したから、のどカラカラだよ」

 

 などと言っていたそのとき!

 突然何者かが、走って三人に近づき、体当たりしてきました!

 

「うわぁ!?」

「なに!?」

「ひゃあ!?」

 

 三人は突き飛ばされ、尻もちをついてしまいます。相手はそのまま走り去って行ってしまいました。

 

「……あーおどろいた。二人とも大丈夫?」

「まったく、なにしやがるんだ! アイツめ!」

「……あ、あれ?」

 

 リグルは慌てた表情で、ポケットやらに手を突っ込んでます。

 

「どうしたんだ。リグル」

「ああ、やっぱり! サイフがないっ!」

「えっ?」

「あぁ!? 私もだ!! ない!」

「え!? まさか……。 ああ!? 私も焼きイモがない!?」

「なんでそんなモン、フトコロに入れてんだよ!?」

「いいでしょ! 別に!」

「ねえ、それより……!」

「ああ、追いかけないと!」

 

 三人はすぐに空を飛んで、上空からひったくりを探します。すると。

「あ! いた! 森の方に逃げてってる!」

「よし!おいかけて、とっつかまえるぞ!」

 

 三人はひったくりを追いかけて、一緒に森の中へと入っていきます。

「コラー! 待てー!!」

「イモかえせー!」

「私のサイフかえしてー!」

 

 ひったくりは振り返って三人を確認すると、更に逃げるスピードを上げます。

 

 三人も速度を上げようとしたそのとき、ひったくりがコチラむかって何かを投げてきます。

 

 それは穣子の顔面にバチコーンっと当たりました。

 

「ふぉげぇーっと!?」

「ああ、穣子!?」

「だいじょうぶ?」

「……ったく、なんなのよー!?」

 

 よく見たらそれは穣子の焼きイモでした。どうやら、いらなかったようです。

 

「こ、コノヤロー!? 私の焼きイモを投げるとは、ゆるさん千万!!」

 

 怒った穣子は、まるで焼きイモのように真っ赤になって、再びひったくりを追いかけます。慌てて二人も追いかけます。しかし突然、目の前で網が広げられ、三人はブザマにその網につかまってしまいました。

 

「うぉえあえっ!?」

「なんだぁ!?」

「ひゃあっ!?」

 

 更に三人は、網につかまったまま、そのまま宙づりになってしまいます。

 

「ちょっと! なにすんのよ!!?」

「ちょ! なんだよこれー!?」

「もしかして、つかまっちゃった……!?」

 

 三人のまわりに一斉に武器を装備した者たちがワラワラと。そしてひったくりは、ゆっくり近づくと、三人に言い放ちます。

 

「バカなヤツめ! まんまとひっかかったな!」

「だれよ!? アンタは!」

「私は山城たかね! 山童だ!」

 

 そう。なんと、ひったくりの正体は、たかねだったのです。……と、言っても穣子たちは初対面ですが。

 

「山童! ……って、なんだっけ?」

「さあ……? 聞いたコトないわね! きっと、どマイナーな妖怪よ!」

「ねえ、ここから出してよー!」

「う、うるさい! とにかくオマエらは、このまま生けどりだ! おい、コイツらを持って帰るぞ!」

 

 と、いうわけで、穣子たちは、そのまま山童の住処まで連行されてしまいました。

 山童の住処は、森のはずれのガケの近くにありました。そこには何やら河童の姿もチラホラと見えます。

 三人は、小屋の中のオリに閉じ込められてしまいました。

 

「くっそー! これじゃ身動き取れないじゃないかよ!」

「いったい私たちを、どうするつもりなのかしら?」

「まさか、鍋で煮込んで食べるとか……?」

「なんだと!? なんて野蛮なヤツらなんだ!?」

「もしかして、髪の毛むしって服でもつくる気かもよ!?」

「うわ。なにそれ、引いちゃうんだけど……!」

「んなわけあるか!? 勝手に人の種族のイメージをねつ造すな!」

 

 そうツッコミながら、やってきたのはたかねでした。

 彼女はオリ越しに三人に話しかけます。

 

「三人とも気分はどうだい?」

「いいわけあるかよ!?」

「アンタねぇー。私をこんな目にして、タダですむと思わないでよ? いったい何が目的なのよ!」

 

 穣子の問いにたかねは、平然と言い放ちます。

 

「目的か? そんなものはない!」

「ハァ!?」

「ハァアア!?」

「……目的がないってどういうコト?」

「私たちは河童のジャマが、出来ればそれでいいのさ!」

「なんだと!?」

「ふざけんなー! 私たちは大事な任務に関わってるのよ!?」

「知ったコトかよ! ……ああ、そういえば河童と天狗が同盟結んだとか言ってたな。おかげでこっちも仲間が増えたよ」

「え。それって……?」

「同盟に反対の河童どもが、私たちに合流してくれたのさ!」

「なんですって! だからここに河童もいたのね!?」

「そういうコトだ! ザマーミロ! 河童どもの思う通りにはさせないよ! あっはっはっはっは!」

 

 そう言って高笑いするたかねにリグルが言います。

 

「……でもさ、それによってアナタたちも被害を受けたらどうするの?」

「……え?」

「天狗と河童が手を組んだのは、レミリアの脅威から身を守るためだよ。もし、彼女をそのまま放置していたら、ここも彼女の支配になっちゃうかもしれないんだよ。アナタはそれでもいいの……?」

「うーん。……いや、それはちょっと、困るかもなぁ……?」

「私たちはそれを防ぐために動いてるんだよ。こんなトコロで足止め食ってる場合じゃないんだよ」

「そーだ! そーだ!」

「私たちはとても大変な任務をまかされてんのよ! わかったか!」

「ううむ。……そうか。……よし、わかったよ。オマエらは特別に自由にしてやる! 本当の本当に特別だからな! みんなにはナイショだよ?」

 

 そういうとたかねは、三人をあっさりと解放します。

 

「あのー……。それでサイフは?」

「あ、サイフはかえさん! アレは我々の軍資金だからな!」

「ハァ!? ふざけんなよ!?」

「じゃあな! 幻想郷の平和のために、せいぜい頑張ってくれよ!」

 

 と言いながらたかねは、姿を消してしまいます。どうやら、にとりと同じ光学迷彩のようです。

 

「あんにゃろめー! 今度あったらただじゃおかないわ!」

「まあまあ、自由になれただけよしとしないとね」

「いや、それはそうなんだけどさ。私のサイフが……」

 

 と、思わず落ち込むヤマメに、リグルが告げます。

 

「よし、落ち込んでるヒマはないよ。それじゃ、次はサイフを探そうよ!」

 

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