秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その11

 さて、山童の住処にいる穣子一行は……。

 

「よし、じゃあ、サイフをさがそう」

「でも、探すったって。どうすんのよ? 何かココ広そうだし。……手分けでもする?」

「いや、大体、どこにあるかは想像ついてるよ」

「え? なんで?」

「連れられてるときに、なんとなくココのつくりを把握したから」

「へー? やるじゃん」

「……で、どこなんだよ?」

「あっちだよ」

 

 リグルに連れられて穣子とヤマメは、住処の奥の家の方までやってきます。

 丸太でつくられたログハウスです。

 

「この建物だよ」

「本当かよー?」

「どれどれ……」

 

 穣子は、窓からちょいと中をのぞいてみます。

 

「……どうだ? 穣子。どうせないだろ」

「あった……!」

「え……!?」

「机の上に置いてある」

「マジで……!?」

 

 あわててヤマメも中をのぞいてみると、確かに二人のサイフは部屋の中のテーブルの上に。

 ただし、きっちり見張りもいるので、三人はいったん建物から離れることにしました。

 

「……リグル。アンタ、なんでわかったのよ?」

「ふふん。カンだよ」

「ウソつくな! オマエにそんな力あるかよ! ちゃんと言え!」

「……わかったよ。種明かしするよ。……実は、私、虫を操れるんだ」

「へえ! 虫を!? スゴイじゃん!」

「いや、そんなのは知ってるよ? 一緒に地上に攻め込むとき、お互いの能力を確認したじゃん。どうやったのかって話だよ!」

「最後まで話聞いてよ。サイフにあらかじめ羽虫を一匹忍ばせておいたんだよ。それで外に出たとき、その羽虫を呼んだら、この建物の方から来たから……」

「へー。それでわかったってコトね。アンタやるじゃない!」

「でも、アレどうやってとりかえすんだよ……? 見張りもいるし」

「……うーん。ここはいったん朝になるまで待とうよ。そうすればきっとチャンスがあると思うから」

「え? 朝まで待つのか……?」

「まーまー、ちょうど日も暮れるし、別にいいでしょ。あわてない、あわてない、ひとやすみ、ひとやすみ」

「ま、別にいいけどさ。私も一休みしたかったしね……」

 

 と、いうわけで、三人は木陰でそのまま仮眠を取りつつ、朝が来るのを待ちました。ようこそおいでませ夢の世界へ……。

 

 そしてチュンチュンという、小鳥の鳴き声で目をさまします。おはようございます。

 

「うん……。朝になったみたいだね。二人とも起きて」

「ふぁー……。本日もお日柄良く……」

「おはよ……って、まだ薄暗いじゃん?」

「これくらいの時間がいいんだ。よし、それじゃ行動開始しようよ」

 

 あたりを見まわすと、明らかに人の数が減っています。人じゃなくて妖怪ですが。

 

「……今はちょうど夜型と昼型の妖怪が交代する時間。だから数も減ってるんだよ」

「あ、なーるほどねー」

 

 三人は、再び例のログハウスへ向かいます。窓から中をのぞくと、依然として見張りはいますが……

 

「あれ、なんだ、まだ見張りがいるじゃないか」

「でも、見て。なんか様子が変だよ」

 

 リグルが言うとおり、見張りは、コックリコックリと船をこいでます。とても眠そうです。

 どうやらずっと見張ってた様子。……交代制じゃないんでしょうかね?

 

「……さて、あの見張りどうするよ? リグル」

「いっそ寝るまで待つとか? なんか、ほっときゃそのうち寝そうだし」

「いや、それだと、昼型の人たちが起きて来ちゃうよ」

「あ、それもそーか」

「うーん、どうすれば……?」

「……よし、私にまかせて」

 

 そう言うと、リグルはサッと手をあげます。

 すると、なにやらザザザザザ……という音が。

 

「ん? なにこの音……?」

「うわ!? 穣子! 地面見ろよ!?」

「え? わあっ!?」

 

 二人が驚くのも無理ありません。

 なんと、地面にアリの大群が! 軍隊アリです!

 そして、そのままログハウスの中に……。

 

「アリだー!!?」

 

 見張りは慌ててハウスから飛び出ると、そのまま一目散に逃げていってしまいました。

 

「よし! いまのうち!」

 

 すかさずリグルがハウスへ侵入し、サイフを持ってきます。

 

「ありがとう。オマエたち。もう戻っていいよ」

 

 彼女の合図で、アリはあっという間に去って行きました。

 

「やったー! サイフが戻ったー! やるじゃん! リグル!」

「さ、誰か来る前にここを出よう!」

 

 三人は急いで、山童の住処から抜け出します。

 

「……よし、サイフの中身も無事だね」

「やれやれ。よかったわねー」

「……リグル。正直、見直したよ。やるじゃん! オマエ。ゴメンよ弱虫なんて言って」

 

 ヤマメにほめられたリグルは思わず、顔をそむけてしまいます。

 

「ん? どうしたんだよ。顔赤くなんかして」

「……いや、そのさ。私が、レジスタンス入った理由って、私みたいな弱虫でも、やれば出来るってコトを証明してみたかったからなんだ」

「……あ、もしかして、オマエ、私が言ったコトずっと気にしてたのか……?」

「……見返してやろうと思って……」

「あー……。そうだったのか。……ゴメンな。でも本当、見直したよ。もうオマエのこと弱虫なんて言わないよ!」

「ありがとう……。ヤマメ」

「こちらこそ。ありがとう。リグル」

 

 そう言って二人は、朝日に照らされながら、ガッチリと握手をかわすのでした。

 

「……うう、いい話だわー」

 

 穣子は微笑ましそうにイモをかじりながら、二人を見守っていました。めでたしめでたし。

 

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