秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その13

 

 月夜の元、宝玉を片手に、誰かと連絡をかわす人かげが浮かび上がっています。典です。

 

「……私です。……ええ。こちらの手はずは整いつつあります。……わかりました。では、次のフェーズへ移りたいとおもいます」

 

 彼女は宝玉をしまうと、ふっと空を見上げます。

 

 そのときです。

 

「……見つけたぞ。典」

 

 彼女の前に姿を現したのは、なんと龍でした。

 

「おっとと。これはこれは龍さま。どうも。お久しぶりです」

「……典。秋神さまから聞いたぞ。いったいお前は何をやってるんだ……。まさか私を裏切ったのか?」

「まあまあ……、そんな怖い顔しないでくださいよ。結果的に同盟を結ぶコトが出来たじゃないですか?」

 

 そう言って笑みを浮かべる典に、龍は呆れた様子で告げます。

 

「……典。あまり出過ぎたマネはするなよ。オマエは……」

「ええ。わかってますとも。しょせん私は、しがない管狐です。私に出来るコトなんてたかが知れてますので」

「ふむ。わきまえているなら構わんが……」

「ふふふ……。ご心配なく。アナタに迷惑はかけませんよ。それでは失礼します」

 

 典は龍を置いて、そのまま一礼すると、こーんこーんと姿を消してしまいます。

 

「ふう……」

 

 龍は思わず、ため息をつくと、その場に立ち尽くしてしまうのでした。

 

 □

 

 そのころレジスタンスのアジトに帰った三人は、地底から帰ってきていた聖と対面していました。

 

「まあ、おかえりなさい。リグル。それにヤマメさんに穣子さんも。私がレジスタンスリーダーの聖です」

「あ、どうもー。秋神やってる穣子よ」

「ああ、えっと、はじめまして。ツチグモのヤマメです」

「話は慧音から聞いています。とりあえず、三人ともまずは任務お疲れさまでした。さあ、奥までどうぞ」

 

 と、案内されたその先にあったのは……。

 

「あら、いらっしゃーい! じゃーんじゃん飲んで食べてくださいねー!」

「おぉーっ!?」

「こ……これは!?」

「すごーい!」

 

 三人を待ち受けていたのは、美宵のお出迎えと、たくさんの料理とお酒でした。

 驚く三人に聖が告げます。

 

「ふふ。おどろきましたか? 美宵は、元々里も居酒屋で働いていたそうで、料理が得意なんですよ。我々レジスタンスの貴重な食料担当として活躍してもらっています」

「あれ待って……? アンタってお坊さんじゃなかった? お坊さんって確か肉とか酒とかダメだったんじゃ……?」

「ええ、もちろん。だから私とお寺の人たちは別メニューで精進料理を用意してもらっています。ね。あなたたち?」

「……アッハイ」

「ええ。はい……」

 

 聖に話を振られたムラサと一輪は、苦笑いを浮かべながら返事をします。

 

「……いつもわがまま聞いてもらってごめんなさいね。美宵」

「いえいえ。おかまいなく! 新しい料理のレパートリーが増えるから、こちらとしてもありがたい話ですよ!」

「……ふーん。まあ、そういうコトなら遠慮なくいただこうかしらね!」

 

 と、いうわけで、レジスタンスの酒盛りが始まりました。

 美宵の手料理が次々と運ばれる中、メンバーたちは和気あいあいと料理に舌つづみを打ち、酒やらジュースを空けていきます。

 

 その中で聖は、各メンバーにねぎらいの言葉をかけています。どうやらこうやって結束を高めているようですね。そして、宴もたけなわになったころ。聖が皆に向かって告げます。

 

「さて、皆さん。聞いてください。我々レジスタンスは、この度、地霊殿の一派と協力関係を結ぶことができました。更に同盟軍にも協力関係を打診し、現在、向こうからの返答待ちですが、恐らく協力関係を結べることでしょう。こうして着々と準備は整っています。間もなく決戦の時です。今日の食事会でしっかり英気も養えたことでしょう。あとは各自、戦いの準備を整えてください」

 

 続けて脇にいる慧音が付け加えます。

 

「現在、紅魔館で潜入調査をしている霧雨魔理沙(きりさめまりさ)からの報告によれば、里の人たちは地下に閉じ込められているとのことだ。同盟軍や地底との共同戦線を張ることになれば、我々は里の人の解放を最優先で動くことになるだろう」

「……へえー。すでにスパイも送り込んでるのねぇー」

「まさに用意周到ってヤツだな」

「はい。里の人の解放のために我々レジスタンスは存在していますからね。そのためには一切妥協はしませんよ。穣子さん、ヤマメさん。あなたたちも頼りにしてますからね?」

 

 そう言いながら聖は、微笑んで二人と握手をかわします。

 

「ほえー……。なんかスゴい人だわ」

 

 彼女の存在感に、思わず圧倒されてしまう穣子とヤマメでした。

 

 □

 

 

 さてちょうど同じ刻、ここは妖怪の山の外れの森の中。月夜に照らされる人かげが二つ……。その正体は……。

 

「……ああ、なるほど。では、紅魔館に攻め入って、河童どもが手薄な時を狙えばいいってコトか!」

「ふふふ……。その通り! いやぁ、察しが良くて助かりますよ。たかねさん」

「くっくっく。オヌシもワルじゃのー。でも、こんなコトしていいのか? オマエは元々同盟組なんじゃないか? 管狐さんよ」

「ふふふ……。私にはある『壮大な計画』がありましてね。現在、そのために動いてる最中でして……」

 

 そう言ってニヤリと笑みを浮かべる典。それを見て、たかねも同じように笑みを浮かべます。

 

「……なるほどな。よし、じゃあ、そのときを待とうじゃないか! そして我らの力見せてやる! 同盟軍を転覆させてやるぞ! ふっはっはっは!」

 

 おやおや、何やら不穏な予感が……?

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