秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その15

 

 ところ変わってレジスタンスのアジト。

 ただいまメンバーの上層部による会議が開かれているところです。

 聖、慧音、そしてスカウト担当のマミゾウの三人が円卓を囲んで意見をかわしあっています。

 

「……なるほど。それで永琳には地底に残ってもらったのか。どおりで姿が見えないわけだ」

「はい。用心に用心を重ねると言う意味で、彼女には残ってもらいました。それに主要メンバーをあえて残すことで、向こう側への意思表示にもなりますからね」

「……しかし、彼女がいないとなると、負傷者はどうするのじゃ?」

「彼女のお弟子さんに、まかせるつもりです。永琳からもそう指示がありましたので」

「あの、うどんげとかいう子か」

「……そうか。確かに彼女も腕は確かだ。まかせても大丈夫だろう」

「……それはそうと、聖よ。一つ気になるのじゃが」

 

 と、思案ありげなマミゾウに、聖が告げます。

 

「ええ、マミゾウ。あなたが言いたいことはわかりますよ。レミリアの襲撃が、あまりにもタイミング良すぎるということでしょう?」

「うむ、そうじゃ」

「確かに彼女の襲撃は、私たちが地底に行ったタイミングを、まるではかったかのようなものでした」

「……つまり。わしらが地底と協力するのを妨害しようとしたということか……?」

「はい、その可能性を捨てきれません。あの時、さとりは読心術で彼女の心を読んだ際に、単なるきまぐれで襲撃したと言っていましたが、私はそうではない可能性の方が高いと思っています」

「……と、いうことは、彼女がウソをついたと? いったいどうして……」

「それは、残念ですが、今はわかりません」

「……ふむ。と、いうことはレミリアの裏に誰かがいると……?」

「ええ。……そして、それだけではありません」

 

 彼女の言葉のあと、皆、押し黙ってしまいます。非常に重苦しい空気です。

 しばらくたって、ようやく慧音がその沈黙をやぶりました。

 

「……我々の中に、内通者(スパイ)がいるかもしれないってことか」

 

 思わずマミゾウが、思わず頭をかいて、ぼそりとつぶやきます。

 

「……やれやれ。わしはこれでも人を見てメンバーを選んだつもりじゃったがなあ……」

「……組織の規模が大きくなれば制御しきれないところは、どうしても出てくる。それは致し方ないことだ」

「ええ。慧音の言うとおり。あなたが気に病む必要はありませんよ。マミゾウ」

「それでどうするんだ。聖。メンバーの素性を改めて調べるか? 私でよければやるが」

「いえ、慧音。……今は。あえて静観しておくことにします」

「なんだと……?」

「じゃがしかし、聖よ……?」

「……確かに、思うところは多々あります。……でも、今はなにより、里の開放を最優先にしたいんです」

 

 そう言って聖は真剣な眼差しで二人の顔を見ます。

 

「……そうか。あなたがそう言うのならしたがおう」

「右に同じくじゃ」

「二人とも。ありがとうございます」

 

 そう言って彼女は、二人に向かって手をあわせ深々と頭を下げるのでした。

 

 □

 

 そのころ紅魔館では、二階のテラスでレミリアが、とある来訪者と話をしていました。

 

「……やれやれ、これまた珍しいヤツが来たものね」

「……ちょいとアナタさまの顔を、拝みたくなったもので……」

「……フン。ワザとらしい。いつものヤツはどうしたんだい? あの典とかいう狐は」

「アイツはあいにく今、席を外してましてね……」

「それでアンタがじきじきに来たってワケか。まあ、いいわ。で、何の用よ?」

「同盟軍の方で大きな動きがあったようなので、それを伝えに」

「……へえ。ついにヤツラが攻めて来るってのね?」

「ええ。情報によると、早ければ恐らく明日にでも攻めてくるかと」

「あら、それは面白い……」

「……まあ、とはいえです。あんな烏合の衆の相手なぞ、アナタ一人で十分でしょう。なにしろ、アナタは旧地獄街道をたった一人で壊滅させた実力の持ち主。そして何より、この世界の頂点に立つべき存在なのですから。……ねえ、そうでしょう? 紅魔の君」

 

 来訪者の言葉にレミリアは、フッと笑みを浮かべて返します。

 

「……ええ。そのとおりよ。アンタわかってるじゃない。……ククク。いいでしょう。ヤツラに格の違いってヤツをわからせてやるわ! 私こそが、この幻想郷の絶対的なる王であるというコトをね……!! ああ、ヤツラの襲撃が楽しみだわ!」

 

 らんらんと目を輝かせ、高笑いするレミリアを、その来訪者は意味深な笑みを浮かべ眺めているのでした。

 

 □

 

 もどってレジスタンスのアジト。

 穣子は早くも慧音に何やら任務を頼まれているようです。

 どうやら、紅魔館に潜入してきて欲しいとのコトのようですが……?

 

「……ふーん。じゃあ、魔理沙のヤツを救出に紅魔館へ行ってくればいいのね?」

「ああ、そうだ。穣子、リグルの二人で紅魔館に潜入し、連絡が途絶えた霧雨魔理沙を救出してきてほしい」

「え、私とリグルなの? ヤマメはどうしたのよ?」

「彼女には今、別の任務に当たってもらっているところだ」

「ふーん。……ま、いいわ。でも、あんなところに侵入なんて簡単にできんの? なんか色々いるんじゃないの門番とか」

「ああ、そのとおり。入り口には門番の美鈴がいるはずだ。まず、彼女の目をあざむく必要がある。それに無事潜入できたとしても、中にはメイド妖精やメイド長の咲夜もいる。一筋縄にとはいかないだろう」

「じゃあ、どーすんのよ?」

「大丈夫だ。すでに手は打ってある」

 

 と、そのとき。

 

「ただいまー。はい、慧音さん。指示通りにコイツ買ってきたわよー」

 

 と、現れたのはムラサです。どうやら慧音にお使いを頼まれていた様子。

 彼女は何やら葉っぱを、慧音に渡します。

 

「……ああ、間違いないこれだ。このマジックアイテム『化けダヌキの葉』さえあれば、バレずに紅魔館へ潜入することが出来るだろう。ご苦労。ムラサ」

「……それにしても聞いてよ。まったくさー。あの店主のヤロー、人の足元見やがって……」

 

 どうやら彼女は、香霖堂へ行ってきたようで、そこで店主にふっかけられたようです。

 

「うむ……。だろうと思って、あらかじめ多めに銭を持たせたのだが、結局いくらで譲ってもらえたんだ?」

「いくらもなにも、有り金全部払うことになったわよ!!」

「な、なんだと……!?」

「しかも私のこづかいも含めて全部っ!」

「ううむ……。なんということだ……。『あの日』を境に金に対していっそうがめつくなったとは聞いていたが……。まさかそれほどとは」

「全く聞いてないわよ!!」

 

 そのまま彼女はプンスカ怒りつつ「もう、飲まなきゃやってらんないわ!」などと言いながら、そのまま去っていってしまいました。

 

 ……あれ? 彼女ってたしか寺の住人じゃ……

 ……まあ、ここは聞かなかったコトにしましょう。

 

「さて、気を取り直して……。と、いうわけで、このアイテムを使ってリグルとともに潜入してきてくれ」

「それはいいけど、そんなので大丈夫なの……?」

「ああ、こう見えても、これはれっきとしたマジックアイテム。ちゃんと効果を発揮してくれるだろう」

「ふーん……?」

 

 穣子はタヌキならぬ、狐につままれたような面持ちで、葉っぱを受け取ると、いそいそと出かける準備を整え、リグルとともに紅魔館へと出かけるのでした。さてはて、一体どうなることやら……。

 

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