「げっ! 出た!?」
「パチュリーに聞いたわ。ここにドブネズミが迷い込んでるって」
「なんだと!? 誰がドブネズミだ! 失礼なヤツめ! ……まあ、確かに私は黒いは黒いが」
「いや、魔理沙さん。ドブネズミはどちらかというと灰色ですよ?」
「ああ、そうか。……じゃあ違うな! 悪いが私たちはドブネズミじゃないぞ! ドブネズミは黒くないからな!」
「アンタたちの黒さなんて、どうでもいいわよ!? 私の役目は侵入者を排除するのみ!」
やはり咲夜はナイフを構えてヤル気満々です。
「よし、ここは私にまかせてオマエらは逃げろ!」
「え。でも?」
「
「へ……?」
そのとおり、穣子は脱兎のごとく、その場から逃げ去っていました。
「あっ!? 待ってよー!!」
慌ててリグルも追いかけます。すると咲夜は苦笑を浮かべて告げます。
「……フフフ。バカなヤツらね。あっちは行き止まりなのに……」
「なんだと!? ……ま、いいか。あっちはあっちで何とかしてもらおう」
「そうね! まず先にアンタを始末しないとね! 魔理沙!」
「それはこっちのセリフだぜ! 覚悟しろ! 咲夜! 白黒つけてやる!」
「アンタは真っ黒だけどね!」
二人が同時にはなった弾幕がぶつかり合い、あたりにまばゆい閃光がほとばしります。
そして、そのまま二人は激しい弾幕合戦へと移行するのでした。
□
一方、逃げた二人はというと……。
「……ねえ、穣子。本当にこっちでいいの?」
「そんなの私に言われてもわかんないわよ!」
「ええ……。じゃあ、なんでこっちに来たの?」
「しかたないでしょ! 逃げるコトしか考えてなかったし……」
二人はどんどん奥へ進みます。
「……穣子。なんかだんだんジメジメしてきたよ?」
「そうね。ノド乾いてたから助かるわー」
「……穣子。なんかカビくさくなってきたよ?」
「そうね。ちょっと変わったニオイ嗅ぎたかったから助かるわー」
「……どういう状況なの。それ」
更に奥に進むと、やがて二人の目の前に、いかにも古めかしい重厚そうな木の扉が現れました。
「ほら、穣子、行き止まりみたいだよ?」
「うーん。やっぱり道、間違えちゃってたみたいね……。と、言っても今更戻るわけにもいかないし……」
「……でも、なんかここ入るの気が引けるなあ……」
などと二人が尻込みしていると、突然ドアが重苦しい音を立てて開きます。
まるで「どうぞ、お入りください」と、言っているようです。
「……ねえ、どうする? 穣子」
「いや、もうこれは入るしかないでしょ? 話の流れ的にも」
「……うう、わかったよ」
二人は渋々、部屋の中に入りました。
「おじゃましまー……す」
カビくさい入り口に反して、中は意外にこざっぱりとしています。何かの魔法による照明でしょうか、ほんのりとコハク色に照らされた室内は、テーブルとイスが置かれており、その奥にはカンオケを模したベッドがあります。そしてそのベッドの奥にある丸椅子に座って、本を読んでいる少女の姿が……。
その少女は、コチラを振り向くと、口元に笑みを浮かべ、二人に告げました。
「……いらっしゃい。二人とも。少し私に付き合ってくれないかしら……?」
そう言うと、その少女は二人を見つめ、その目を赤く怪しく光らせるのでした。