秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その24

 さて、戻って紅魔館地下では。

 

 三人は、壁に映し出された映像を見て戦況を見守り続けています。

 

「……うーん。なんかさ。これ、うち負けてない?」

「……ええ。戦闘機もですが、天狗たちも、だいぶおとされてますね。幸いすぐに復帰はしているようですけど……」

「だよねー。これ、なんかヤバいんじゃないのー……?」

 

 すると、涼しげな表情でフランドールが告げます。

 

「姉は両者の激しい攻撃を弾幕で相殺しつつも、直接攻撃で着実に撃ちおとしている。これは理詰めでやっているというより、本能のままに攻めているように見受けられる。つまり……」

「……つまり? 何よ……!?」

「このままならば、姉が同盟軍を押しきるでしょうね」

「マジで!? やべーじゃん」

「ええ、ヤベーイわよ。アナタたちの命がね……?」

 

 そう言うと、フランドールはふっと笑みを浮かべて、ティーカップに口を付けます。

 

「ぐぬぬぬー……!」

 

 穣子は歯ぎしりをすると、ティーカップにドバドバと茶を注ぎ、そのまま一気に飲み干します。

 

「うええっ!? なにこれ!? まずっ!」

「人間の血の紅茶よ。美味でしょ?」

「アンタ、なんつーもんを……」

「あら、吸血鬼が血を飲むのは何もおかしくないでしょ?」

 

 穣子は苦虫を潰したような顔をしていましたが、突然、何かに気づいた様子で急にニヤニヤと笑い出しました。

 

 ……かわいそうに、とうとう気が触れてしまったか。

 

「……ね、ねえ、穣子? どうしたの。ついにおかしくなっちゃった?」

「違うわよ! あるコトに気づいちゃったのよー」

「あるコト……って?」

「アンタには、おーしえなーい。んふふふー……!」

「うわぁ……」

 

 キモチワルイ笑みを浮かべる穣子に、リグルは思わずドン引きしてしまうのでした。

 

 □

 

 戻って上空では、依然として激しい攻防が繰り広げられています。

 戦況を見守る諏訪子がふと、神奈子にたずねます。

 

「……ねえ。神奈子。今の戦況はどっち優勢だと思う?」

「そうだねえ。6対4で相手さんってトコか」

「だよねー。このままじゃジリ貧ってヤツじゃないの?」

「まあ、さっきまで8対2くらいだったから、それよりはだいぶマシになってるけどねえ」

「そんな悠長なコト言ってる場合じゃないでしょ!? いくら私の加護で、天狗たちを強化してるったって限界ってのはあるわよ! アイツら生身なんだから!」

「わかってるとも。もう手は打ってある」

 

 そう言って、ニヤリと笑みを浮かべる神奈子。

 

「……もう。いーっつも、そうやって、もったいぶって、後手後手に回るんだからさー……」

 

 と、諏訪子は呆れた様子で、思わず彼女に半眼を向けます。

 

 依然としてレミリアは、素早い動きで両軍の攻撃をさけつつ、体当たりで確実に撃ちおとしていきます。

 

「フハハハ! 同盟軍などしょせんは烏合の衆! オマエらごときが紅魔の君である私に勝てると思ってるのか!?」

 

(……くっ。天狗がこの程度のモノと思われるのはしゃくだが、今はまだ辛抱の時……! 援軍はまだか!?)

 

 天狗軍を率いている龍は、内心では焦りつつも、表情を崩さず他の天狗たちに指示を送ります。

 

「皆の者! 援軍が来るまでの辛抱だ! 精鋭部隊と天狗のプライドをもって何とか持ちこたえよ!」

「はん! そんなしょうもないプライドなんて、イヌにでも食わせておけ!」

 

 レミリアは天狗たちをあざ笑うかのように、巨大な深紅の槍(スピア・ザ・グングニル)を召喚します。

 文と静葉を襲ったときより更に大きな槍です!

 

「いかん!? 総員退避だ! 散れ!!」

 

 と、龍が大声で指示を送ったそのときです。

 

 突然、頭上が暗くなりました。

 

「ん? なんだ……?」

 

 レミリアが思わず上を見上げると、なんとそこには巨大な鉄の船が! 今までの無人兵器の比ではないくらい巨大な飛行船です!

 

「なんだ!? あれは……!?」

 

 その巨大ぶりにレミリアだけでなく、天狗たちも驚く中、神奈子だけは思わずほっとした様子でため息をつきます。

 

「やれやれ……。やっと来たか。待ちわびたぞ」

 

 そのとき、彼女に通信が。その相手は。

 

「神奈子さま! こちらみとり。ただいま到着しました。待たせて申し訳ありません! 何ぶん調整が遅れてしまいまして……!」

「構わんよ。さあ、それの力を存分に見せてやれ!」

「ラジャー!」

 

 神奈子はあっけにとられている諏訪子に、いかにも自慢げに告げます。

 

「……くっくっく。どうだ。これが我が切り札。空中飛行船スワノカミ三号だ!」

「アンタ、私に内緒でこんなのを……!?」

「ああ。トップシークレットでな」

「何で教えてくれなかったのよ!? 肝を冷やしたじゃないの!」

「何を言う! 味方をもあざむいてこその切り札だろう?」

「ハァ……。まったくアンタってヤツは……」

「よし、それじゃ! 行くぞ! みとり!」

「ラジャー!」

 

 みとりは、船の底の砲身を動かし紅魔館に狙いを定めます。

 

「させるか! このハリボテめ!」

 

 すかさずレミリアが、先ほどの槍を巨大飛行船に向かって放ちますが、船の分厚い装甲にゴイーンと跳ね返されてしまいます。

 

「な……っ!? どうやらただのハリボテじゃないようね……!」

「当然だ! コイツは河童の技術力の結晶! 機動力こそ低いが、防御力には自信がある!」

「しかし、いくらそいつの大砲でもこの魔法壁は崩せまい! 我が腹心の魔法使いが、あらゆる術法を駆使して構築した、その名も難攻不落魔法壁だからな!」

「ほう、面白い。 よし、みとり。ためしに一発かませ!」

「ラジャー!」

 

 ほどなくして空中船から砲撃がズドーン! と、撃ち込まれます。しかし、あえなく魔法壁にゴイーン! と、跳ね返されてしまいました。

 

「ふむ、なるほどな……。では、もう一発……」

「ムダムダ! 何度やってもおなじよ!」

「くく……。それはどうかな……? よし、みとり、アレを撃ち込め!」

「アレですね! ラジャー!」

 

 今度は砲身の先に徐々に光の塊が構築されます。

 

「よし、撃てぇーい!」

 

 神奈子の号令とともに、砲口から真っ白い光線が発射され、その光線は紅魔館全体を包み込んでいきます。すると……

 

 バリーン!!

 

 なんと! 乾いた音とともに、紅魔館を覆っていた魔法壁を粉々に砕きました。

 

「よし! 壁が壊れたわ! 今よ!」

 

 すかさず地上で待機していた聖たちレジスタンスは、うどんげと静葉を残して、紅魔館内へと突撃していきます。

 

 うどんげは、空中船の方を見たまま目を丸くしていました。

 

「ちょっと……。あんなモノまでつくってたの……?」

「……ええ。そうみたいね。……私も驚いたわ」

 

 そのとき、ふと、静葉は思い出します。

 

(そういえば、前に技術局長官のいる建物にいったときに、何か大きなモノをつくってたわね。きっとあれがこの船だったのね)

 

「……やるじゃないの。神奈子」

 

 思わず静葉はニヤリと笑みを浮かべるのでした。

 

「バカな! 難攻不落魔法壁が……!?」

「どうだ。あらゆる魔法を無効化にする特殊な砲弾の威力は。今ごろ、オマエの腹心の魔法使いとやらも、さぞ慌てふためいてるだろうな」

「……おのれぇ! よくもやってくれたな……!! オマエら一人残らずツブしてやる!」

 

 まんまとしてやられたレミリアは、怒り心頭な様子で、全身に真っ赤なオーラをまとい、巨大な槍を手に同盟軍をにらみつけます。

 

「今こそ決着をつけてやろう! 覚悟しろ! 紅魔の暴君よ!」

 

 神奈子や諏訪子も負けじと神のオーラをまとい、レミリアを見据えます。

 

「よし、行くぞ! 全軍総攻撃開始だ!」

 

 神奈子の号令とともに、天狗軍、河童軍両方から激しい攻撃が繰り出されます。

 

 レミリアもそれに真っ向からぶつかっていきます。

 

 いよいよ決戦の時です!

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