秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その7

 

さて、村の外に出た四人。

 

「……よーし、ここなら思う存分やり合えるわね!」

「と、言ってもどうやって応戦するつもり?」

「弾幕ごっこする気がないならこっちも対抗してやるまでよ!」

「対抗って、どうやって?」

「こうやってよ!」

 

 穣子はフトコロから当たり前のようにサツマイモを取り出すと、それにエイヤッと、神の力を注ぎ込みます。するとなんというコトでしょう。サツマイモがバズーカー砲に早変わり! ……って、そんなんありですか!?

 

「じゃーん! イモで作ったバズーカー! その名もイモバズーカー!」

「うわー……。まんま過ぎるネーミングー」

「オラー! これでもくらえー! もずくどもー!」

 

 さっそく穣子は姉妹に向かって、イモバズーカーをハデにぶっ放します。しかし二人には当たらず。

 

「うっわ。危なっ!? あのイモ、なんつーモン撃ってくるのよ!?」

「ちっ! よけたか! じゃあ、もういっぱーつ!」

「させるか!」

 

 妹の方が琴をポロォーンとかき鳴らすと、その衝撃波でイモバズーカーが木っ端みじんに。

 どうやら、元がイモだけあって耐久性はゼロのようです。

 

「うあー!? 私のイモバズーカーがー!?」

「……うーん。あの二人、近づかなくても攻撃できるってのは厄介だね……。しかも攻撃も見えないし。なにか仕掛けがあると思うんだけど」

「仕掛けねぇ……?」

 

 穣子は上空の二人をじっと見つめます。すると……。

 

「あ! リグル! 見て! アイツらの後ろになんか箱みたいなの浮いてない?」

 

 穣子の言うとおり、彼女らの背後に四角い何やら装置のようなモノが浮いているのが見えます。

 

「きっとあれがマジックアイテムに違いないよ! 穣子」

「よーし! じゃあ、あれを壊せばいいのね!」

「むむ、気づいたか! でも、させないわよ!!」

 

 二人は一斉に楽器をボロボロジャンジャーンと演奏し始めました。するとあたりに次々とジャンジャンバリバリと爆風が巻き起こります。まるでじゅうたん爆撃です! タリホー!

 

「ほぁーら! 近づけるモノなら近づいてみなさいよ! このイモ虫コンビども!」

「ひぃー!? これじゃ近づけないわ! しかも、やっかましいし!」

 

 と、二人が耳を塞いでひるんでいたそのときです。

 

「……まったく、ひどい騒音ね」

「アンタは!?」

「メイド長さん!?」

 

 いつの間にか穣子たちの目の前に、紅魔館のメイド長こと咲夜の姿が。

 更に彼女は、その手に姉妹の後ろに浮いていた箱の形したモノを携えてます。

 

「……ふーん。どうやらこれが元凶みたいね?」

「……ああっ!? いつのまに!? 姉さん! あれ見て!」

「あ、ちょっと!? アンタそれ返しなさいよ!?」

 

 と、二人が慌てて咲夜に近づこうとしたそのとき、空中に魔方陣が描かれたかと思うと、その中から紫のローブを羽織った紫もやし……もとい、パチュリーが姿を現し、咲夜からその箱を受け取ります。

 

「……残念だけど、それはできない相談だわ。……ふむ、これはどうやら空気の振動に準ずるモノの波動を増幅させて衝撃波や爆風に変えているようね。どこで手に入れてきたのか知らないけど、なかなか面白いアイテムね。……でも、しょせんはオモチャ。チチンプイプイっと。はい、これでこの装置は無力化したわ」

「なっ……!?」

 

 二人は慌てて楽器を弾きますが、ボロボロベンベンと音色が空しく響くだけで何も起きません。

 

「姉さん! 大変よ! 攻撃が!」

「そ、そんなのわかってるわよ!?」

 

 思わず慌てふためく二人。そこに日傘を持った金髪の少女が笑みを浮かべて現れます。

 

「あ、アンタは!?」

「フランドールさん!?」

「穣子、リグル。お二人ともごきげんよう」

 

 フランドールは髪をかき上げ、穣子たちに優雅にお辞儀をするとパチュリーからマジックアイテムを受け取ります。

 

「咲夜。パチュリー。ご苦労さま。ふーん、これがマジックアイテム。誰が作ったか知らないけど、こんなモノは……。こうよ」

 

 彼女が手にぐっと力を入れると、マジックアイテムは砂となってサラサラと風に舞っていきました。

 

「あぁーーーっ!? 私たちの『マイジェネレーション』が! なんてコトをしてくれんのよ!?」

「……アレそんな名前だったの」

「変な名前」

「うっさいわよ! そこのイモ虫どもっ!」

「……さあて、付喪神さんたち。まだ、ここで暴れる気?」

「うう……っ!」

「ど、どうしよう!? 姉さん!」

「うぐぐぐぐぅーっ……!! これで勝ったと思うなよぉーっ!?」

「あ、姉さん! 待ってよーー!?」

 

 よくある捨て台詞とともに、二人はその場を去って行ってしまいました。

 

「はいはい。二度と来なくていいからね」

 

 そう言って微笑むフランドールに穣子が怪訝そうにたずねます。

 

「……アンタ、なんで里なんかに……?」

「ええ。里が襲われてるって聞いてね」

「なんでそれでわざわざ……」

「……姉が今まで里に迷惑をかけてしまってたので、せめて私ができるコトをしなくては、と思ったのよ。とは言っても、失った時間は帰ってこないし、罪滅ぼしにすらならないと思うけど」

「……そうだったんですね」

「それに一応、山の神さまとの調停で里を守るって条件出されてたからね。ま、というわけで、里のコトは私たちにまかせてちょうだい」

「わかったわ!」

「フランドールさんが、味方なら頼もしいコトこの上ないですよ」

「ふふ。そう言ってもらえるとうれしいわ。あ、そうだ! これをアナタにあげましょう」

 

 フランドールは、首につけていたハート型のロケットペンダントをリグルに渡しました。

 

「困ったときにこのロケットペンダントを開いてみて。きっと役に立つから」

「え、そんな。いいんですか……?」

「ええ、もちろんよ。……大事にしてね?」

 

 そう言ってクスリと笑うフランドールに、リグルは思わず照れくさそうに顔を背けてしまいました。

 

「あ、そういえば聞いたわよ。穣子。リグル。アナタたちリバースと戦っているんですってね?」

「え! どうしてそれをアンタが知ってんのよ!?」

「……実はお姉さまがヤツらと関わってたみたいなのよ。どうやら利用されてたようだけど……」

「あらら、なんとまぁ……」

「……そうだったんですね。それは、なんというか……。災難でしたね」

「ま、もうすべては終わったコト。それじゃ頑張ってね!」

「ありがとうございます! フランドールさん!」

 

 こうしてフランドールたちの力を借りて付喪神姉妹を撃退した二人は、意気揚々とアジトへと戻るのでした。

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