秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その9

 

 そのころ、夕暮れどきの里。

 

 里の外れの柵の前に、帽子をかぶった少女の姿がありました。

 こいしです。表情こそいつもの彼女と変わらない様子ですが、何やらうつむいたままで、たたずんでいます。

 

 そこへお面をたくさん引き連れた無表情な妖怪が現れます。その妖怪は不思議そうな様子でこいしに声をかけます。

 

「どうした、こいし」

「んー? あ、その声はこころちゃんだ! やっほー」

「やあ。やっほー」

 

 こころが無表情のままあいさつをすると、ようやくこいしは顔を持ち上げさせました。

 

「……で、どうしたんだ? 珍しく元気ないじゃないか」

「あ、わかるー?」

「ああ。わかるとも。なにがあったんだ」

「うーん……じつはー」

 

 こいしは彼女に、地霊殿で起きているコトを説明しました。

 話を聞いている間、こころの付けている面が、くるくると忙しそうに入れ替わります。

 どうやら感情がめまぐるしく入れ替わっているようです。

 

「……と、いうわけなんだよー」

「……そうか。よくわかった」

「よかったー。わかってくれて」

「ああ、わかったが。なんだ、そんなコトか」

「ええー。そんなコトー?」

「ああ、そんなコトだよ」

「ひどいやー! 私は割と真剣なのにー。こころちゃんのばーか! いじわるー!」

 

 それを聞いたこころのお面が猿に変わります。どうやら困ってしまった様子です。

 

「……ああ、いや、すまない。そういうつもりで言ったわけじゃないんだよ?」

「じゃあ、どういうコトー?」

「こいしがやるべきコトはもうわかっているだろうって、言いたかったんだ」

「え……?」

「地霊殿を悪いヤツに乗っ取られてしまったんだろう? なら、やるこコトは一つって話だよ」

 

 彼女の言葉にこいしはしばらくぽけーっとしていましたが、やがてわずかに目を見開いてつぶやくように言いました。

 

「……やるコトは一つ。……ああ、そっか!」

「わかったか」

「うん! さすがこころちゃんだね! いつでも困ったときには助けてくれる!」

「いやいやそんな。たいしたコトはしてない。でも、こいしの役に立てたのならよかった」

「うん! もう大丈夫!」

「そのようだな。いつものこいしに戻ったようで私もうれしいよ」

 

 彼女のお面が福の神に入れ替わります。喜びの面です。よきかな。よきかな。

 

「よーし! 私、ガッツーンとかましてくるよー!」

「そ、そうか。ほどほどにな……?」

「はーい! ありがとう!」

 

 そう言うとこいしは、満面の笑みを浮かべ立ち上がってふわふわっと去って行きます。

 その様子をこころは無表情で見送るのでした。

 

 □

 

 同じころ、穣子と静葉は地霊殿への道を降りていました。

 四人は二手に分かれ、慧音とリグルは正規の入り口から地底に潜り、穣子と静葉は以前、お燐が教えてくれた近道を通って、それぞれ地霊殿へ向かっていたのです。

 

「……へえ、こんな裏道があったなんてね」

「お燐が教えてくれたのよ。ここを通れば直で地霊殿に行けるわよ!」

「そうなのね。それはありがたいわ」

 

 二人が縦穴をゆっくり降りていると、下の方に何やら気配を感じます。

 

「ん? 待って。下に誰かいるみたい!?」

「あれは……」

 

 二人を待ち受けていたのは。

 

「ふふふ……。きっとこの道を通ると思ってましたよ」

「ちっ! 読まれてたのね!」

「典。何の用よ」

「そりゃ、もちろん……」

 

 そう言って典は試験管のようなものを取り出します。

 

「むむっ! やる気ね!」

「待って。その前に一つ確認するけど」

「……なんですか?」

「典。あなたはやっぱりリバースの一員なのね」

「ふふふ。……これが答えですよ」

 

 典は、その試験管のようなモノを見せびらかすように振って見せます。

 

「……穣子。いくわよ」

「うん!」

 

 二人はアビリティカードを取り出し構えました。戦いの幕開けです!

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