秋姉妹の奇妙な大冒険   作:バームクーヘン2号

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その11

そのころ、地上のとある場所では。

 

「それじゃ始めましょうか」

 

 パルスィと勇儀が地上制圧に向けて動き出していました。

 二人は、夜の森の中へとやってきています。

 

「勇儀。手始めにこの森からおやり!」

「やれやれ……。仕方ねえな」

 

 勇儀は円状の弾幕を構築し、あたり一帯にぶっ放します。

 轟音とともにまわりの木々が、たちどころになぎ倒されてしまいました。

 

「うわっ!?」

 

 偶然、木の上で寝ていたミケは、寝ていた木ごと吹っ飛ばされてしまいます。

 

「いったい何!? 戦争でも起きたの!?」

「よぉ。子猫ちゃん。悪いがここは制圧させてもらうよ」

「悪く思わないでね?」

「なんですって!? ここは私たちのナワバリよ!?」

「そうよそうよ!」

 

 一緒に居合わせた宵闇妖怪のルーミアも二人に抗議をします。

 

「フン。いいぞ? なんなら二人まとめてかかってこいよ?」

「よーし望むトコロよ!」

「夜の私はひと味違うわよ! オマエなんか私たちがやっつけてやる!」

 

 と、果敢にも二人は勇儀に挑みますが、特に大した見せ場も無く、あっけなく敗れてしまいました。

 そのまま二人は、泣きながら寺へと駆け込むのでした。

 

「うわーん! 響子ー! 助けてー!」

「なになに!? なにゴトよ!?!?」

「森で鬼が暴れてるんだよー!」

「ええっ!?!?!? それは大変!!!!」

 

 二人から事情を聞いた響子は、思わず寺中に響くような大声を出してしまいます。するとその声を聞いて奥から姿を現したのは……。

 

「どうしたんですか。響子。大声なんか出して……」

「あ!!! (しょう)さま!!!」

 

 奥から姿を現したのは寅丸星(とらまるしょう)でした。

 

「ふむ、先ほどの轟音といい、何かあったようですね。お二人とも、話してごらんなさい」

「は、はい。実はかくかくしかじか、うんぬんかんぬん……」

「なるほど。事情はわかったわ。よし、皆、寺に避難させなさい。結界を張って守ります」

「うん! わかった!」

 

 二人はさっそく他の妖怪たちを集めに向かいます。

 

「星さま!? またそんな勝手なコトをして……!?」

「心配いりません。聖さまから許可はもらってますので」

「え!? そうなんですか!?!?」

「ええ。それより響子、あなたは避難してきた妖怪たちを誘導しなさい」

「はーいっ!!」

 

 響子は元気よく寺の入り口の方へ向かい、逃げてきた妖怪たちを、良く通る大声で案内しはじめます。

 その妖怪たちに混じってマミゾウの姿が。どうやら妖怪たちを寺まで誘導してくれていたようです。

 

「よし、妖怪たちの避難は終わったぞ」

「ありがとうございます。マミゾウ」

「……さて、どうする? 相手は橋姫と星熊童子じゃぞ」

「ええ。橋姫はともかく、鬼は私たちの力じゃ到底およびもしませんね」

「……なら、わしがいこうか?」

「いえ。それにはおよびませんよ」

「む、なぜじゃ?」

 

 いぶかしげな様子のマミゾウに星が涼しい顔で告げます。

 

「ほら、気配を感じませんか……?」

「気配……? ……む?」

 

 戻って森では。

 

「……おいおい、皆、逃げていっちまったぞ。パルスィ、どうするんだよ?」

 

 あきれ気味に勇儀はなぎ倒された木々の上に腰かけて、思わずため息をつきます。

 パルスィはまわりを見回しながら笑みを浮かべて告げます。

 

「んー。そうねえ。ジャマ者もいなくなったし、ここに地上侵攻のためのリバース前線基地でも建てましょうか。幸い木材もたくさんあるコトだし」

「なるほど……?」

 

 と、そのときです。

 

 突然、二人の目の前に角の生えた幼女が姿を現したかと思うと、彼女はそのまま力任せに勇儀をぶん殴りました。

 

「こぉおおおんのボケナスヤローがぁああーーーーー!!!」

 

 勇儀は吹っ飛ばされ、なぎ倒された木々の中に埋もれてしまいます。その幼女――萃香はパルスィをにらみつけて言い放ちました。

 

「オマエらいい加減にしろ! いいか? 霊夢が『異変』解決に乗り出したぞ。もう、侵略ごっこは終わりだよ!」

 

 負けじとパルスィも萃香をにらみつけて言い返します。

 

「ふん。アイツにリバースを止めることは不可能よ!」

「なんだと? どうしてそう言い切れるんだ!?」

「そんなのどうでもいいでしょ。さあ、勇儀」

 

 パルスィは、例の笛を出すとピロリロリィと吹きます。すると笛の音に操られるように倒れた木々の中から勇儀が飛び出してきました。

 

「……いててて。いきなり何するんだ!? 萃香!」

「うるせぇ! いつまで侵略ゴッコなんかやってんだよ!! こちとら、もうこの生活には飽き飽きなんだ!」

「さあ、勇儀。やりなさい!」

「……ああ。了解」

 

 勇儀は萃香を見()えます。

 

「おいおい、オマエ。いつからそんな女に尻敷かれるヤツになりさがっちまったんだ?」

「うるせぇな。鬼にはそれぞれ事情があるんだよ。それはオマエだって一緒だろ。それに……」

「それに……? なんだよ」

「いっぺんでいいからオマエとガチで戦ってみたかったんだよ! 伊吹萃香……!!」

「……はーん、結局、そういうコトかよ! ……いいよ! 相手してやるよ! 星熊勇儀!!」

 

 二人が拳を構え、お互いに殴りかかると、それだけで衝撃が発生し、まわりの倒木が吹き飛んでしまいました。

 もはや天変地異レベルです。っていうか、冗談抜きで幻想郷崩壊しませんかコレ……。

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